2016-12-13(Tue)

カジノ法案 「数の力」を振り回すな

それが「美しい日本」か 乱暴すぎる国会運営
カジノ解禁がもたらす社会問題より、海外観光客呼び込みなど経済効果を重視する政権の姿勢


----ギャンブル依存症の増加や治安の悪化、青少年への悪影響、不正な資金洗浄(マネーロンダリング)に使われることへの懸念など、法案は数々の問題をはらむ。世論もむしろ慎重・反対意見の方が多い。

----推進派はまた、カジノの収益の一部を依存症対策にあてればいいと主張する。だがカジノ解禁は新たな依存症患者を生み出しかねない。まさに本末転倒である。

----安倍首相はかねて「観光振興、雇用創出の効果は非常に大きい」とカジノ解禁に前向きだ。菅官房長官は先月下旬、「観光立国の観点で審議してほしい」と与党幹部に要請した。

----カジノ解禁がもたらす社会問題よりも、海外からの観光客の呼び込みなど経済効果を重視する政権の姿勢が浮かぶ。

----カジノ解禁は日本の社会に禍根を残すことになりかねない。「数の力」を振り回し、強引に通すようなことは許されない。

<各紙社説>
朝日新聞)カジノ法案 「数の力」を振り回すな(12/6)
読売新聞)カジノ法案可決 参院審議で問題点を洗い出せ(12/7)
毎日新聞)カジノ法案 再考の府も審議放棄か(12/8)
東京新聞)カジノ法案 それが「美しい日本」か(12/7)
信濃毎日新聞)カジノ法案 乱暴すぎる国会運営(12/6)




以下引用



朝日新聞 2016年12月6日05時00分
(社説)カジノ法案 「数の力」を振り回すな


 刑法の賭博罪にあたるカジノの解禁に道を開く法案が、きょうにも衆院を通過する見通しだ。自民党は14日に会期末が迫る今国会での成立をめざす。
 衆院内閣委員会の審議はわずか2日間、計約6時間にすぎない。自民党と日本維新の会などの賛成で採決を強行したが、党内に慎重論の多かった与党の公明党は賛否を決めきれず、自主投票に回った。
 ギャンブル依存症の増加や治安の悪化、青少年への悪影響、不正な資金洗浄(マネーロンダリング)に使われることへの懸念など、法案は数々の問題をはらむ。世論もむしろ慎重・反対意見の方が多い。
 それなのに、公聴会や参考人質疑といった幅広い意見を聴く手順を踏むこともなく、「数の力」で押し通そうとする。
 あまりに強引で拙速な進め方であり、衆参ともに圧倒的な議席数を握った安倍政権のおごりというほかない。
 法案は議員立法で、カジノの詳細な制度設計は、施行後1年以内をめどに政府がつくる実施法案に委ねている。
 例えば最大の懸案のギャンブル依存症対策はどうするのか。
 法案提出者の細田博之氏(自民)は、衆院内閣委で問われ、「大きな問題だ。政府に働きかけ、政府からも必要だと回答を得ている」と答弁した。
 国会は政府に「丸投げ」ということなのか。カジノ解禁を決める前に、まず国会で十分に議論すべき課題のはずだ。
 推進派はまた、カジノの収益の一部を依存症対策にあてればいいと主張する。だがカジノ解禁は新たな依存症患者を生み出しかねない。まさに本末転倒である。
 自民党の強硬姿勢の背景には首相官邸の強い意向がある。
 安倍首相はかねて「観光振興、雇用創出の効果は非常に大きい」とカジノ解禁に前向きだ。菅官房長官は先月下旬、「観光立国の観点で審議してほしい」と与党幹部に要請した。
 カジノ解禁がもたらす社会問題よりも、海外からの観光客の呼び込みなど経済効果を重視する政権の姿勢が浮かぶ。
 今国会では、年金改革関連法案に環太平洋経済連携協定(TPP)承認案・関連法案と、与党の採決強行が相次ぐ。
 衆参ともに単独過半数を握った自民党には、異論がますます届かなくなっているように見える。
 カジノ解禁は日本の社会に禍根を残すことになりかねない。「数の力」を振り回し、強引に通すようなことは許されない。
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読売新聞 2016年12月07日 06時00分
社説:カジノ法案可決 参院審議で問題点を洗い出せ


 わずか約6時間の衆院審議で、様々な問題をはらむカジノを賭博の例外扱いにしようとする。あまりに乱暴かつ無責任だと言うほかない。
 統合型リゾート(IR)整備推進法案が衆院本会議で、自民党、日本維新の会などの賛成多数で可決、参院に送付された。
 自民党などは参院でも、衆院並みの超スピード審議で採決し、14日までの延長国会中に法案を成立させる姿勢を崩していない。
 法案を扱う参院内閣委員会の委員長は、民進党が務める。参院では、今国会中の採決にこだわることなく、より慎重な審議に努めることが求められよう。
 議員立法の法案は本来、丁寧に手続きを踏み、各党の幅広い合意形成を図るのが常道である。今回のように、強引に採決に持ち込む手法は、今後の国会運営にも禍根を残しかねない。
 公明党の対応にも疑問がある。山口代表や井上幹事長ら幹部は、慎重な審議の必要性を強調しながら、自民党などが主導する委員会運営を容認した。公明党が採決に反対すれば、自民党も再考せざるを得なかったのではないか。
 採決の際、公明党は自主投票にし、民進党は退席した。いずれも党内に賛成、反対の両論があり、一本化できなかった。これだけ国民の関心が高い法案で党の方針を決められないのは異例である。
 衆院内閣委員会では、法案の付帯決議を採択した。決議は15項目に上り、カジノ施設関係者に対する厳格な要件や入場規制、ギャンブル依存症対策の抜本的強化、世界最高水準の厳しい営業規制などが列挙されている。
 決議内容に大きな問題はない。しかし、こうした項目は、きちんと質疑を重ねたうえ、審議の最終段階で可決の前提条件として練り上げるべきものだ。不十分な審議を補うために付帯決議を充実させるのは本末転倒である。
 カジノの合法化には、多くの課題が指摘されている。暴力団や海外の犯罪組織の関与や、ギャンブル依存症者による犯罪や自殺の増加、青少年への悪影響などだ。こうした深刻な副作用を伴う成長戦略は、明らかに筋が悪い。
 カジノの経済効果についても、一定の観光客の増加や雇用創出を見込む民間試算の一方で、東アジアではカジノが乱立し、市場が飽和状態にあるとの厳しい見方がある。過剰な期待は禁物だろう。
 与野党は、対策や制度設計について政府に丸投げせず、自らが腰を据えて議論すべきだ。
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毎日新聞2016年12月8日 東京朝刊
社説:カジノ法案 再考の府も審議放棄か


 これでは暴走に等しい。
 カジノ解禁に向けた「統合型リゾート(IR)整備推進法案」(カジノ法案)が参院で審議入りした。自民党は週内にも成立を図ろうとしている。
 カジノの合法化に多くの懸念が指摘されているのにもかかわらず、まともな審議もせず法案は衆院を通過した。「再考の府」である参院までもが審議を省略するあしき前例を残してはならない。
 各会派による合意を原則とする議員立法の法案なのに、衆院内閣委員会の審議はわずか約6時間だった。
 中身もお粗末だった。ギャンブル依存症対策などへの具体的対応について、提案者側は施行後に政府がまとめる実施法案に委ねられるという趣旨の答弁を繰り返した。
 質問に立った自民党議員は「時間が余った」と直接関係ない話題に持ち時間を費やし、般若心経を唱えた。信じがたい光景である。
 自民党が成立を急ぐ背景には安倍晋三首相ら官邸側の意向があるとみられている。首相はシンガポールでカジノを含む施設を視察し「IRは(外国人観光客を呼び込む)成長戦略の目玉になる」と語っている。
 確かに経済界や地方の一部にはカジノを含むIR構想への期待がある。大阪府・市は大阪湾の人工島での整備を想定し、横浜市なども誘致に乗り出している。
 だが、各国の競争激化などで経営が失敗、悪化したり、アジアでも減収傾向が指摘されたりしている。本当に海外から客を呼び込めるか、綿密な分析が必要だろう。成長戦略が手詰まりだからといって、負の側面に目をつむったままカジノを含む施設を頼みにするようでは問題だ。
 従来のIR推進論はおおむねカジノの負の側面を認め、その払拭(ふっしょく)に努めることで世論の理解を得ようとしていた。今回のような進め方はこうした積み重ねにも逆行する。
 自民党と日本維新の会がIRを推進する中、慎重だった公明党はあっさり自主投票を決め、衆院通過を事実上容認した。衆院では維新が選挙で強い影響力を持つ大阪選出の公明党議員は全員賛成した。参院本会議で同党は質問も見送った。これでは足元をみられるばかりではないか。
 参院で法案を実質審議する内閣委員会は民進党議員が委員長を務める。自民党には委員会採決を経ず本会議で成立させたり、委員長を解任して可決を強行したりする案すら浮上しているという。
 こうした性急さに参院自民党からも疑問の声が起きているのは当然だろう。禍根を残さないためにも参院は法案を徹底審議し、責任を果たすべきだ。
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東京新聞 2016年12月7日
【社説】カジノ法案 それが「美しい日本」か


 カジノを解禁する統合型リゾート施設(IR)の整備推進法案が衆院を通過した。ギャンブルの副作用を直視せず、まともな議論を欠いたまま成立を図る動きは異常である。参院の良識は大丈夫か。
 昨年四月、自民党などが議員立法として提出した法案は、ホテルや国際会議場、商業施設などを併せたIRの整備を促すものだ。カジノはその目玉となる。
 政府が制度設計を進め、施行後一年以内をめどに実施法案をつくると定めている。刑法の賭博罪の歯止めを外し、民間資本の参入に道を開くことになるが、問題だらけというほかない。
 カジノは国の監視、管理下で運営されるというが、政官業の癒着の温床になりかねない。外国資本も進出するに違いなく、公正な統制が利くのか疑念が拭えない。
 国内外の犯罪組織が利権に群がったり、マネーロンダリング(資金洗浄)に悪用したりするおそれが強いことは明らかだ。家族連れで出かけた先で賭場が開かれ、暴力団員が出入りしている。そんな光景を想像せざるをえない。
 最も気がかりなのは、ギャンブル依存症の拡大だ。日本では競馬や競輪などの公営賭博に加え、遊技扱いのパチンコやパチスロが身近にあって、患者は多い。
 厚生労働省研究班の三年前の調査では、依存症が疑われたのは推計五百万人を超え、成人の5%近くを占めた。1%前後にとどまった諸外国に比べて格段に高かった。犯罪に走ったり、自殺に追い込まれたりする悲劇も絶えない。
 カジノの合法化は、治安悪化や人心荒廃に拍車をかけることにならないか懸念が募る。法案そのものが有害性を認め、排除する手だてを講じるよう定めているのだから、なにをか言わんやである。
 推進派は、観光や地域経済の振興といった効用ばかりを力説する。しかし、浮き沈みの激しいカジノ市場に地方財政を委ねるのは危険ではないか。皮算用に乗るのではなく、冷静に検証すべきだ。
 賭博とは胴元が儲かり、ばくち打ちは損をする仕組みで成り立つ。胴元が納める税金は、カジノがもたらす諸問題の対策に回るだけではないか。社会福祉の底上げにつながるとは思えない。
 社会が抱え込みかねない負の側面と向き合わず、法案を押し通そうとする自民党や日本維新の会などは、国民の不安と不信を招いていることを自覚すべきだ。人間を不幸に陥れるばくちで経済成長をという発想自体がゆがんでいる。
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信濃毎日新聞 2016年12月6日
社説:カジノ法案 乱暴すぎる国会運営


 自民党はカジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)の整備推進法案をきょう衆院通過させる方針だ。9日の参院本会議での成立を目指している。乱暴極まりない進め方である。
 法案はカジノやホテル、大型会議場などが一体となった施設の整備推進を政府に促す内容だ。施行後1年以内をめどに具体的な制度設計を盛り込んだ法律を作るよう求めている。2015年に自民と当時の維新の党などが提出し、継続審議になっていた。
 衆院の内閣委員会で11月30日に審議入りしたばかりなのに、2日に自民などの賛成多数で可決されている。わずか6時間ほどの審議で採決に踏み切った。今国会で成立させる構えの自民は8日に参院で審議入りさせ、同程度の時間で済ませようとしている。
 政府はIR整備を成長戦略の目玉と位置付ける。既に内閣官房に検討チームを設けている。環太平洋連携協定(TPP)の発効が難しくなる中、IRを今国会の成果にしたいのだろうか。
 自民の強気の姿勢は、民進党の事情も見透かしてのことかもしれない。党内に賛成派もおり、一枚岩ではない。法案提出は旧民主と旧維新の合流前で、提出者に名を連ねた議員がいる。一部議員は推進議連を発足させている。
 法案が抱える数々の問題点は残されたままだ。
 ギャンブル依存症の人が増えたり施設周辺の治安が悪化したりする懸念、暴力団関係者の関与やマネーロンダリング(資金洗浄)に悪用される心配など、マイナス面が幾つも指摘されている。委員会で議論は深まらなかった。
 外国人の誘客など、プラス面は疑問符が消えない。IRの誘致を目指す自治体や経済団体からは歓迎、期待の声が聞かれる。果たして思惑通り効果が上がるのか。他国にもあるカジノが日本にできたとして、どれほどの外国人を引き付けられるのだろう。
 TPP承認案、年金制度改革法案など与党の強引な国会運営が続いている。
 先月下旬、萩生田光一官房副長官は野党の国会対応を「田舎のプロレス。ある意味で茶番」と発言した。強行採決というものは世の中にあり得ず、審議が終わり採決するのを強行的に邪魔する人たちがいるだけ―とした。
 反発を受けて撤回、謝罪したものの、これが安倍政権の本音ではないか。巨大与党が数の力で強行突破を続けるなら、政治は劣化していくばかりだ。
(12月6日)
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