2016-12-15(Thu)

認知症の事故の賠償 公的な救済制度の創設は見送り

民間保険の活用促す 家族の会「非常に残念」

認知症事故、被害救済見送り 政府「範囲、財源に課題」
 認知症の人が起こした事故を巡り、厚生労働省、警察庁などの関係省庁連絡会議は13日、被害の弁償など、公的救済制度の創設を見送ることを決めた。愛知県大府市で2007年に起きた鉄道事故訴訟をきっかけに「認知症の人と家族の会」などが要望していたが、連絡会議作業部会は「救済範囲や財源などを含めた議論が必要で、直ちに制度的な対応をするのが難しい」と検討結果をまとめた。
 認知症の人が徘徊中に起こした事故などでは本人に責任能力がないと判断された場合、家族が損害賠償を求められるケースがある。5月末に設置された作業部会は、トラブルの実態把握や専門家へのヒアリングを実施した。
(共同通信 2016/12/13 21:10)

認知症事故賠償公的救済制度の創設は見送り 民間保険の活用促す 政府
---- 家族の会「非常に残念」
こうした国の判断について、電話での取材に応じた「認知症の人と家族の会」の高見国生代表理事は、「非常に残念」と語った。「認知症は誰でもかかり得る病気で、鉄道会社であれ家族であれ徘徊による事故を完璧に防ぐのは不可能。被害者と加害者、どちらにも落ち度がない事故で発生した損害は、金額の大小に関わらず公的な補償制度でカバーすべき」と主張した。民間保険の活用を促すことについては、「思わぬ事故が起きた時に、『なぜ加入していなかったのか』と家族が追及される流れにつながらないか」と問題を提起している。
(介護のニュースサイト Joint- 2016.12.14)




以下引用

産経ニュース 2016.12.14 09:24
認知症事故、救済見送り 省庁連絡会議 「高額な賠償 多発せず」
登校中の小学生らが巻き込まれた事故現場周辺。手前は衝突した軽トラック=28日午前、横浜市港南区
 認知症の人が起こした事故をめぐり、厚生労働省、警察庁などの関係省庁連絡会議は13日、被害の弁償など、公的救済制度の創設を見送ることを決めた。愛知県大府市で平成19年に発生した鉄道事故の訴訟をきっかけに「認知症の人と家族の会」などが要望していたが、連絡会議の作業部会は「救済範囲や財源などを含めた議論が必要で、直ちに制度的な対応をするのが難しい」との検討結果をまとめた。
 認知症の人が徘徊(はいかい)中に起こした事故などでは、本人に責任能力がないと判断された場合、家族が損害賠償を求められるケースがある。5月末に設置された作業部会は、認知症の人をめぐるトラブルの実態把握や専門家へのヒアリングを実施。「(19年の事故のように)高額な損害になる事案は多発していない」と指摘した。
 国土交通省認知症の人が関係した鉄道事故(26年度)が29件で、事業者の損害額は最大120万円だったと明らかにした。
 さらに、民間で認知症の人向けの個人賠償責任保険が開発され、鉄道会社を対象に人身事故や復旧にかかった費用をカバーする仕組みが検討されていることも考慮。厚労省は今後、自治体や家族会を通じ、こうした保険について周知のチラシを配布する。
政府は認知症の人に対する都道府県単位での広域見守りを強化するほか、踏切に取り残された高齢者らを救出できるよう、検知能力の高い装置や非常用押しボタンの配備を進める。
 大府市の鉄道事故は19年12月に発生。鉄道会社が亡くなった男性=当時(91)=の遺族に約720万円の損害賠償を求めたが、最高裁は今年3月、「介護の実態などを総合的に考慮し、賠償責任の有無を判断すべきだ」として、家族に賠償責任はないとの判断を示した。
                  ◇
 「認知症の人と家族の会」の高見国生代表理事の話「認知症の人の徘徊を防ぐことは非常に困難で、高額の賠償責任を問われる鉄道事故は、介護をしているどの家族にも起こり得る。民間保険も、年金収入に頼る『老々介護』の世帯にとってハードルは高く、誰もが加入できるとは限らない。社会的に救済する制度ができなければ、家族は安心して介護ができない。厳しい介護の現実を理解していない判断で、遺憾だ」


日本経済新聞 2016/12/13 22:27
認知症の鉄道事故・トラブル29件 公的救済制度は見送り
 認知症対策を議論する関係省庁連絡会議が13日開かれた。国土交通省は、2014年度に認知症の人が関連した鉄道事故やトラブルは29件で、鉄道事業者の損害額は最大で約120万円だったと明らかにした。
 国交省によると、損害額の内容(複数回答)は、事故やトラブルに伴い乗客の誘導などを職員が行ったことによる「人件費」が最も多く14件、次いで「代替交通機関による輸送費」が8件。
 認知症絡みの鉄道事故では、07年に徘徊(はいかい)中に電車にはねられ死亡した認知症の男性(当時91)の家族に対し、JR東海が720万円の損害賠償を求めた訴訟があり、最高裁は今年3月に家族の責任を認めない判決を出している。
 同訴訟を機に損害の弁償など公的救済制度の創設を求める声が上がったが、今回の検証で損害額が高額の鉄道事故は多発していないことが確認されたため、連絡会議は公的救済制度の創設を見送ることを決めた。民間保険の活用を周知する。
 一方、警察庁は認知症の人が車を運転して起こした交通事故が15年までの過去3年間で少なくとも216件あったと公表した。13年は63件、14年は75件、15年は78件。認知症の人による交通事故件数の公表は初めて。15年の78件のうち、人身事故は27件で、被害者が死亡した例はなかった。


朝日新聞デジタル2016年12月13日20時35分
認知症事故の公的補償見送り 連絡会議「民間保険で」
 認知症の人による事故やトラブルの補償のあり方を検討してきた厚生労働省や国土交通省などによる連絡会議は13日、公的な補償制度の創設を見送る方針を決めた。徘徊(はいかい)中の認知症男性の列車事故で家族が損害賠償を求められた訴訟の最高裁判決を受けて協議してきたが、民間保険の普及や地域での見守り体制整備などで対応できると判断した。
 連絡会議によると、2014年度におきた認知症の人が絡む29件の列車事故のうち、鉄道事業者から回答のあった13件で事業者の損害額は最大で約120万円。また、民間保険を利用したケースでは、認知症の人の加害行為で親族などが個人賠償を負ったのは1社あたり年数件ほど、損害額は数十万円ほどだった。
 これらを踏まえ、13日にまとめた報告書では、損害額が高額となる事案が多発している事実は確認されなかったとし、公的補償制度について「直ちに新たな制度的な対応を行うことは難しい」と結論づけた。
 これに対し、「認知症の人と家族の会」(京都市)の高見国生代表理事は「だれもが起こしうるリスクには公的な補償制度で備えるべきで、今回の結論は非常に遺憾だ。徘徊は予見しにくく、見守りの体制の整備などでは不十分で、民間保険に頼るのは家族など個人の責任を問うことになる」と話している。(水戸部六美、森本美紀)


毎日新聞2016年12月13日 19時31分(最終更新 12月13日 19時31分)
認知症鉄道事故
14年度29件、損害額は最大120万円
認知症に関する関係省庁連絡会議で報告
 認知症の人が関係する鉄道事故は2014年度に29件発生していたが、鉄道事業者の損害額は最大で120万円(判明分のみ)にとどまることが13日、認知症に関する関係省庁連絡会議で報告された。同会議は「損害額が高額な事案は多発していない」として法制度の改正を見送り、地域の見守り体制の充実や民間保険の活用などを進める対応策をまとめた。
 認知症の人が列車にはねられた事故で、鉄道会社の損害について遺族が賠償責任を負うかが争われた訴訟の最高裁判決(今年3月)を受け、同会議が認知症の人が関係する事故の実態把握と対応策の検討を進めていた。実態把握では、交通事故後の臨時適性検査で運転者が認知症と分かった事案は15年に78件あった。また、認知症の人の加害行為で、親族らが民間保険による個人賠償をしたケースは保険会社1社あたり年間数件程度で、支払額は数万~数十万円だった。【山田泰蔵】


介護のニュースサイト Joint- 2016.12.14
認知症事故の賠償、公的な救済制度の創設は見送り 民間保険の活用促す 政府
《 関係省庁連絡会議 13日 》
認知症の高齢者が起こした事故の損害をどう救済すべきか。政府は13日、当事者の支援にあたる団体などが提案していた公的な補償制度の創設を見送ることに決めた。
損害が高額になるケースが少ないことと、モラルハザードへの対応など課題が多いことを理由にあげている。民間保険への加入を促しつつ、地域の見守り体制を強化する施策を引き続き展開していくという。厚生労働省や国土交通省、金融庁などが参画する「関係省庁連絡会議」で、こうした方針を確認した。
議論が始まったきっかけは、認知症で徘徊していた男性が列車にはねられて亡くなった2007年の事故。運行に支障をきたしたJR東海は、乗客の振り替え輸送にかかった費用など約720万円の支払いを求めて提訴した。そうした重い賠償を家族に強いるべきなのか。裁判の行方が大きく注目された経緯がある。認知症に起因する事故は防ぐのが難しく、誰もが巻き込まれて損害を被るリスクを抱えていることから、公的な補償制度が必要との声も強まった。
「新たな制度的対応は難しい」
こうした動きを受けて、国は具体策を検討するための実態の把握に着手。この日、その成果を明らかにした。
それによると、2014年度に認知症の高齢者が関係する鉄道事故は29件あり、確認できた最高の損害額は120万円だったとされている。保険会社に尋ねたところ、認知症が原因の加害行為で家族などが賠償することになったケースは、1社につき年間で数件程度だったという。損害額は数万円から数十万円と報告されている。
 「関係省庁連絡会議」ではこれらを踏まえ、「損害額が高額となる事案が多発しているという事実は確認されなかった」と整理。加えて、「損害をカバーする範囲をどう考えるか、財源、モラルハザードへの対応も含め幅広い議論が必要」と説明し、「直ちに新たな制度的な対応をすることは難しい」と結論づけた。見守り体制の充実に向けた自治体の取り組みを後押しするほか、民間保険の紹介・普及などを行っていく考えを示している。
家族の会「非常に残念」
こうした国の判断について、電話での取材に応じた「認知症の人と家族の会」の高見国生代表理事は、「非常に残念」と語った。「認知症は誰でもかかり得る病気で、鉄道会社であれ家族であれ徘徊による事故を完璧に防ぐのは不可能。被害者と加害者、どちらにも落ち度がない事故で発生した損害は、金額の大小に関わらず公的な補償制度でカバーすべき」と主張した。民間保険の活用を促すことについては、「思わぬ事故が起きた時に、『なぜ加入していなかったのか』と家族が追及される流れにつながらないか」と問題を提起している。


エコノミックニュース2016年12月15日 07:43
損保2社、認知症の列車事故も補償対象に 個人賠償保険
三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険<8725>が来年1月から「個人賠償責任保険」を改定する。これまで補償されていなかった列車の運行不能損害を対象に加えるという。個人賠償責任保険とは人に怪我をさせたりや物を損壊したりしてしまった際の損害賠償を補償するもので、列車の運行不能損害については「車両に物理的な損壊がなければ補償されない」とされてきた。しかし、ある事故をきっかけに見直しの必要性が一部で指摘されていた。
 その事故とは、2007年に起きた当時91歳の認知症の男性が列車にはねられ死亡した事故だ。列車を運行していたJR東海<9022>は運行遅延の損害賠償として男性の妻と別居していた長男に対して約720万円を求める裁判を起こした。その後今年3月に最高裁が「家族に賠償責任はない」として請求を棄却。しかし「特段の事情がある場合は監督義務者として責任を問われることがある」ともしており、妻と長男を「監督義務者」としたJR東海の言い分に対して「どのような場合に賠償責任を免れるのか」は最後まで明確に示されなかった。
 このニュースは大きく取り上げられ「同居していない長男にまで責任があるのか」「介護の現場を見ていない」という声があがっていた。その一方で「相手がJRのような巨大企業でなく中小企業だったら」と、同様の事故が繰り返された場合を見据えて事故を起こした側に何らかの賠償が必要だとする意見もあった。そして問題の根本はいまだに解決されていない。
 個人賠償責任保険の補償を受けられるのは契約時に決めた「記名被保険者(=本人)」と同居の親族、別居の未婚の子に限られるのが一般的だ。しかし2社はこの被保険者の範囲の拡大も進めている。15年10月には事故を起こした被保険者が重度の認知症などで責任能力が無い場合、その監督義務を負う別居の家族らも補償の対象に加えている。前述の事故での長男がこれにあたる。東京海上日動火災保険<8766>も今年10月に同様の改定をし、損保ジャパン日本興亜<8630>も来年1月に同様の改定をする予定だ。
 高齢化社会で同様の事故のリスクは増える一方だろう。家族のあり方も多様化する中「監督義務者」の問題が解決することは非常に難しい。そのような中で今回の損保各社の動きは大いに評価できるものだろう。(編集担当:久保田雄城)

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