2016-12-16(Fri)

カジノ法成立 また政治不信が募った

臨時国会「閉会」 言論の府の劣化は深刻だ 結局、カジノのためか

<各紙社説・主張>
朝日新聞)カジノ法成立 課題の解決策を示せ(12/16)
読売新聞)カジノ法成立 深刻な副作用踏まえ再考せよ(12/16)
毎日新聞)カジノ法成立 また政治不信が募った(12/16)
日本経済新聞)カジノの不安をどう拭う (12/16)
東京新聞)臨時国会「閉会」 結局、カジノのためか(12/16)

しんぶん赤旗)カジノ解禁法成立  賭博場許さぬたたかいさらに(12/16)
北海道新聞)民進党迷走 カジノ採決なぜ応じた(12/16)
河北新報)カジノ法成立/今後に禍根残した国会運営(12/16)
信濃毎日新聞)国会閉幕 熟議の場に程遠い姿(12/16)
京都新聞)臨時国会閉幕へ  論議の軽視は許されぬ(12/16)

神戸新聞)国会閉幕/言論の府の劣化は深刻だ(12/16)
中国新聞)臨時国会 審議尽くされていない(12/15)
西日本新聞)カジノ法成立 問題点が山ほどあるのに(12/16)





以下引用



朝日新聞 2016年12月16日05時00分
(社説)カジノ法成立 課題の解決策を示せ


 カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備を政府に促す議員立法のカジノ解禁法が国会成立した。
 刑法が禁じる賭博にあたるため日本で認められてこなかったカジノの合法化に対し、国民の抵抗感は強い。自民党と日本維新の会を中心とする推進派が異論を押し切り、法成立を急いだことは極めて残念だ。
 衆参両院での実質審議は合わせて23時間余り。それでも、カジノ実現に向けた数々の課題が浮き彫りになった。
 カジノ解禁法は、施行後1年以内をめどに、規制基準や必要な対策を盛り込んだ実施法の策定を政府に義務づけている。課題の解決も丸投げした格好だ。
 国民が納得できる策を政府が出さない限り、カジノ実施は認められない。
 最も懸念されるギャンブル依存症に関し、推進派は国会答弁で、競馬、競輪などの公営競技やパチンコといった既存ギャンブルの弊害であり、カジノ解禁を機に政府に対策強化を求めると繰り返した。IR事業者から国や自治体が徴収する金の一部を対策に充てる考えも示した。
 すでにある依存症の問題にどう手をうつのか。何よりもまず、政府はこの点について明確な方針を打ち出すべきだ。パチンコや公営競技での被害抑止策も同時に考える必要があろう。
 依存症は本人や周囲を長く苦しめる深刻な問題だ。だが国レベルの対策はこれまでほとんど講じられてこなかった。
 客の換金行為が当たり前のパチンコが賭博でなく「遊技」とされ、競馬や競艇などが派手な広告を展開する。日本特有の事情が国の対応を遅らせてきた、と専門家は指摘する。
 公営競技と異なり、純民間業者が営むカジノをどんな論理で賭博罪の例外にするのか。やはり民営のパチンコは「脱法」のギャンブルでいいのか。こうした難題も積み残されたままだ。
 カジノを解禁する理由について、推進派は観光振興、とりわけ訪日外国人客の増加に伴う経済効果を強調した。
 だがアジアを見渡せばすでに多くの巨大カジノがあり、後発の日本が競争を勝ち抜けるとは限らない。国会では日本人のカジノ入場を禁じては、との意見も出たが、推進派は収益が伸びず国や自治体へ入る金が減る恐れがある、と否定した。結局、国民の散財を経済成長の糧に期待しているのか。
 今後の法整備を、政府は性急に進めてはならない。一つひとつの課題について、解決策をじっくり考えるべきだ。
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読売新聞 2016年12月16日 06時02分
社説:カジノ法成立 深刻な副作用踏まえ再考せよ


 多くの深刻な副作用を伴うカジノを本当に解禁するのか。政府・与党は、いったん立ち止まり、真剣に再考すべきだ。
 統合型リゾート(IR)の整備を推進するためのカジノ解禁法が成立した。自民党、日本維新の会などが賛成した。
 参院審議で、議員立法の法案は修正された。だが、カジノの悪影響としてギャンブル依存症を例示し、5年後の見直し条項を追加する、小手先の修正にすぎない。
 カジノには、マネーロンダリング(資金洗浄)や、暴力団の関与、青少年への悪影響、風紀の悪化など、様々な問題点が指摘される。これらにきちんと向き合わないのは、立法府として無責任だ。
 参院では、参考人質疑を含め、16時間の委員会審議を行った。衆院の6時間よりはましだが、違法な賭博を容認する重大な政策変更に見合うとは到底言えない。
 とにかく延長国会成立させたい、という自民党などの前のめりな姿勢は批判を免れまい。
 自主投票とした公明党は、慎重審議を唱えた山口代表、井上幹事長らが反対する一方で、賛成は反対の2倍以上に上った。
 理解に苦しむのは、民進党の迷走ぶりだ。参院内閣委員長ポストを握り、蓮舫代表は徹底抗戦の方針を掲げていたのに、参院執行部は、法案修正に満足し、採決に応じて、反対票を投じた。
 司令塔の不在、党内の連携の乱れは明らかで、国民にも分かりづらい、ちぐはぐな対応だった。
 政府は、来年の通常国会にもカジノ解禁の実施法案を提出する構えだ。ギャンブル依存症対策として、カジノの入場料徴収や入場制限、依存症者の相談・治療体制の拡充などを検討している。
 この程度の対策で、悲惨な社会問題を防げるはずがあるまい。
 厚生労働省の研究班によると、依存症の恐れがある日本人が536万人もいると推計される。
 カジノは、パチンコ、競馬・競輪より高額の金が動くという。借金を重ねた末、犯罪や自殺に走り、家族離散を招く人が増える。それを承知しながら、なぜカジノを導入せねばならないのか。
 推進派が主張する経済効果も、慎重な吟味が必要だ。海外には、観光・地域振興への貢献は一過性にとどまり、衰退した事例がある。アジアでは、マカオ、韓国、シンガポールなど競争相手も多い。
 新たな付加価値を生むこともなく、客の負け分に依存する。そんな不健全な成長戦略に安易に期待することは慎まねばならない。
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毎日新聞2016年12月15日 
社説:カジノ法成立 また政治不信が募った


 立法府の権威を自ら汚すに等しい会期末のドタバタである。
 カジノ解禁に向けた「統合型リゾート(IR)整備推進法」(カジノ法)が成立した。参院審議での取り扱いが焦点だったが、民進党は採決を容認した。
 民営賭博を事実上合法化するという、国民生活に直接影響する法律だ。にもかかわらず、まともな議論も経ずになし崩しに道を開いたことは納得できない。
 おとといからきのうにかけて、事態は急変した。参院で自民、民進両党が法案修正で歩み寄ったためだ。
 修正といってもギャンブル依存症対策の明示や施行後5年以内の見直しなどにとどまる内容で、根幹は変わらない。経済効果やマネーロンダリング対策も含め、衆参合計22時間程度の審議では議論を尽くしたというにはほど遠い。
 特に理解しがたいのが、参院における民進党の対応である。
 蓮舫代表は安倍晋三首相との党首討論でカジノ問題に議論を集中させた。IRを成長戦略と位置づける姿勢を「国家の品格を欠く」と批判し、成立阻止を強調していた。参院内閣委員会の委員長は民進党所属のため、議事の主導権を握っていた。
 ところが参院審議の土壇場で参院民進党は法案の手直しを評価し、内閣委員会の採決に応じてしまった。
 民進党が採決に応じない場合、自民党は委員会の採決を省略していきなり本会議で成立を強行するかの判断を迫られるため、与党にも慎重論があった。法案に反対したとはいえ不十分な修正で採決に応じたことは、結果的に民進党が成立に手を貸したと取られても仕方ない。
 この歩み寄りは民進党の参院幹部が主導したのだという。さすがに党内でも批判が起きたのか、執行部は今度は内閣不信任決議案の提出など強硬姿勢に走った。政党の統制を欠いた旧民主党そのままのちぐはぐな対応である。
 もともとカジノ解禁をめぐり民進党は賛否両派を抱えている。意見集約を怠ってきたツケが回ってきたとも言えるのではないか。
 もちろん、会期の延長に便乗して無理やり成立を急いだ自民党に一番の問題がある。首相ら官邸がIR構想を推進する中でスピード決着に走り、公明党も事実上同調した。
 強引な対応はIRを推進し、与党に協調的な日本維新の会への配慮からとみられる。だが、推進派もカジノ解禁の副作用を認める中、乱暴に議論を進める必要などなかった。
 「安倍1強」に与党がなびき、野党第1党の軸足が定まらないようでは国会は正常に機能しない。国会はまた、政治不信を深めてしまった。
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日本経済新聞 2016/12/16付
社説:カジノの不安をどう拭う


 カジノを解禁し、ホテルや会議場と一体となった統合型リゾート施設(IR)を整備するよう、政府に求める法律が成立した。
 カジノにはギャンブルへの依存や反社会的勢力の介入、マネーロンダリング(資金洗浄)の懸念など様々な問題が指摘されている。そのため、この法律の案をめぐっては与野党が対立し、与党内でさえ賛否が分かれていた。
 ところが自民党などは、この法律の案を国会の終盤で唐突に審議入りさせて成立を目指し、それが野党の抵抗で難しくなると、今度は会期の再延長へとなだれ込んでいった。
 カジノ解禁ありきの強引な国会運営に驚くばかりだ。このありさまには、IRの推進に理解を示す人たちも鼻白んだのではないか。
 カジノ法の成立を受けて、政府は具体的な制度づくりに取りかかり、1年以内をめどにIRの仕組みや管理の方法などを具体的に定める実施法案を作成する。
 課題は山積している。そもそも賭博に当たるため刑法が禁じているカジノを、どんな理屈で民間業者に認めるのか。この大前提さえ明確になっていない。
 国会審議の場では、問題点については「実施法で適切に対応する」と事実上、丸投げにされてきた。今度こそカジノのメリット、デメリットの両面を十分に検証し、国民に分かる形で示しながら議論を深める必要がある。
 日本はいまでも、他国に比べてギャンブル依存症の疑いがある人の割合が高いという推計がある。自国民の入場を制限したり、高い入場料を課したりする案が出ているが、どんな客層を想定することになるのか。
 IRを経済活性化のための起爆剤にしたいという地方の思いは納得できる。IRの建設や運営にともなって新たな雇用が生まれるといった効果があることも事実だろう。だが依存症対策などの社会的コストがそれを上回ってしまっては元も子もない。長期的な視点に立った検証が欠かせない。
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東京新聞 2016年12月16日
【社説】臨時国会「閉会」 結局、カジノのためか


 臨時国会が事実上、閉会した。TPPと年金制度改革を名目に延長された会期の終盤、自民党などは「カジノ解禁法」の審議を強引に進め、成立させた。この国会は結局、カジノのためだったのか。
 振り返れば「カジノ国会」の名がふさわしい国会だったのではないか。九月二十六日に召集された臨時国会が事実上、閉会した。
 安倍晋三首相は冒頭の所信表明演説で「アベノミクス加速国会」と位置付けていたが、アベノミクス加速の是非をめぐり、与野党が建設的な議論を戦わせた国会だったとは、とても思えない。
 当初、十一月三十日までだった会期を延長したのは、環太平洋連携協定(TPP)の今国会承認と関連法の成立を確実にし、年金支給額を抑制する年金制度改革関連法を成立させるためだった。
 しかし、トランプ米次期政権の離脱表明で発効する見通しのない協定を承認し、関連法を成立させる必要があるのか、私たちの暮らしに関わる年金の支給額を抑制する法律を、議論を打ち切り、採決を強行してまで成立させていいのかと、私たちは会期延長自体の正当性に疑問を投げかけてきた。
 さらに見過ごすわけにいかないのは、自民党と日本維新の会が国会終盤になってカジノを含む「統合型リゾート施設(IR)」整備推進法(カジノ解禁法)の審議を強引に進め、会期を再延長してまで成立させてしまったことだ。
 これでは臨時国会の真の目的はカジノを解禁することにあったのかと、疑いたくもなる。
 カジノ解禁法をめぐっては疑問が山積みだ。現行の刑法が賭博として禁じているカジノを、そもそも合法化していいのか▽すでに五百万人を超えるとされるギャンブル依存症の人がさらに増加するのではないか▽カジノやホテル、会議場などが一体化した複合施設を整備すれば本当に経済効果が見込めるのか、などである。
 しかし、衆参両院で審議が尽くされたとは言えない。法案提出議員のパーティー券を、カジノを推進する大手パチンコ企業が大量に購入していたことが、法律の成立を急いだことと、どういう関係があるのかも気掛かりだ。
 疑問や懸念を残したままの法律の成立は、全国民の代表である国会の責任放棄にほかならない。
 カジノ解禁法案の廃案に向けてあらゆる手段で対応するとしていた民進党が、参院での委員会採決に応じたことにも疑問が残る。与野党ともに猛省を促したい。 
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しんぶん赤旗 2016年12月16日(金)
主張:カジノ解禁法成立  賭博場許さぬたたかいさらに


 刑法が禁じる賭博場・カジノを合法化するカジノ解禁推進法が再延長された国会で成立しました。環太平洋連携協定(TPP)承認・関連法、「年金カット」法の強行とともに暴挙を重ねた安倍晋三政権と自民、公明、維新の姿勢は、強権・暴走政治の極みです。国民多数の声を踏みにじり悪法を推進した勢力の責任は重大です。
「実施法」つくらせぬ
 カジノ法案審議で推進派は「この法案が成立しても直ちにカジノ解禁にはならない」と何度も言いました。カジノを中核とする統合型リゾート(IR)の整備を政府の責務にするという法案の重大な内容を小さくみせるためのごまかしですが、一面の事実でもあります。法律が成立しても、1年以内をめどに政府の責任で策定するという「実施法」が成立しない限り、カジノ施設の開設を前に進めることはできません。
 日本共産党の大門実紀史議員が参院内閣委員会で追及したように、カジノを合法化するためには、刑法の賭博禁止の例外として解禁されている競馬や競輪などの公営賭博と同等の要件を充たさなければなりません。「公設、公営で、公益のため」というのが従来の法体系であり、このまま民間事業者が私的利潤の追求のために開帳する民営賭博=カジノを合法化する余地などありません。
 カジノがギャンブル依存症や、マネーロンダリング(資金洗浄)、多重債務問題の再燃、青少年への悪影響、犯罪の誘発や治安の悪化、暴力団の介入など、大きな社会的問題を引き起こす危険性は推進派も認めざるをえませんでした。その上で「世界で最も厳格な規制を行う」と言い張りましたが、具体的な方策は「実施法段階で政府が適切に決める」とすべて丸投げ、先送りにしています。
 深刻な弊害は、カジノを解禁する以上、必然的に生じるものです。カジノの危険を封じ込める対策など“ラクダを針の穴に通す”というようなもので、できるはずがありません。安倍首相を責任者にする推進本部が準備するという「実施法」をつくらせず、カジノにストップをかけるたたかいがいよいよ重要です。
 大阪府・市、横浜市など20前後の地域で、カジノ誘致の動きが起こっています。これらは、海外のカジノ資本を呼び込み巨大カジノ施設をつくれば、地域経済が活性化するという誤った思い込みで、自治体首長や地方経済界の有力者、地元選出国会議員や地方議員らが、地域住民の意向などお構いなしに、独走しているものです。どの地域でも、カジノ反対の世論は圧倒的多数です。「カジノはいらない」という住民の願いと結び、カジノ誘致反対の運動を各地で広げるときです。
依存症のない社会を
 大きな焦点になったギャンブル依存症についてカジノ推進派は、カジノ収益の一部を依存症対策に充てると述べ、“マッチポンプだ”と批判にさらされました。新たな依存症を生まないためにはカジノをつくらないのが一番です。深刻な依存症問題を解決する根本的な対策を、独自に強力にすすめ、ギャンブル依存症のない社会を目指すことが求められます。
 社会に不幸をまき散らす略奪の賭博ビジネス=カジノは、日本にいりません。
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北海道新聞 2016/12/15 08:50
社説:民進党迷走 カジノ採決なぜ応じた


 カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案の修正案がきのうの参院本会議で可決し、衆院に戻された。
 臨時国会は会期を3日間再延長した。カジノ法案は衆院本会議で可決、成立の見通しとなった。
 法案を審議した参院内閣委員会では、自民党がギャンブル依存症対策を明示し、施行後5年以内に必要な見直しを行うとの修正案を示すと、民進党は急転直下、採決に応じた。修正案には反対した。
 数の力に物を言わせる政府・与党の姿勢は今国会も目に余った。民進党は「国民の理解も納得も得られていない」と廃案を主張し、徹底抗戦の方針だったはずだ。
 ところが土壇場で野党第1党が対決姿勢を貫かず、成立へ手を差し伸べてしまったように映る。ちぐはぐな腰砕けの対応だった。
 民進党はきのう、参院に安倍晋三首相問責決議案、衆院に共産党など3党と安倍内閣不信任決議案などを提出し、深夜まで法案成立に抵抗の姿勢は見せた。
 蓮舫代表は午前中の党の会合で「立法府の品格を懸けて、衆参一緒に戦って廃案への道筋を付けていきたい」と述べた。
 だが、本気で成立を阻止するなら主戦場は民進党が委員長ポストを握る参院内閣委員会だったはずだ。参院議員の蓮舫氏が、足元の参院執行部と連携が取れていたのかどうか疑問符が付く。
 修正案自体も評価に値しない。カジノ解禁でギャンブル依存症患者を増やし、対策を行うのは「マッチポンプ」のようなものだ。
 ほかにも反社会勢力の介入や本当に地域振興に資するのかどうかなど懸念や疑問は尽きないにもかかわらず、拙速な審議と採決によってカジノ解禁に道を開くことは今後に大きな禍根を残す。
 今国会では政府・与党の最重点だった環太平洋連携協定(TPP)承認と関連法に続き、きのう、年金支給額の抑制を柱とした年金制度改革法も成立した。
 政府・与党には、野党との真摯(しんし)な対話で幅広い合意形成を図ろうとの姿勢は今回も希薄だった。
 一方で、経済政策や社会保障の重要課題で問題を深彫りできない民進党の非力さも否めない。
 カジノでは党内に推進派を抱え、長く議論を集約できていなかったことも不可解な採決合意の背景にあるのではないか。
 民進党は「安倍1強」のおごりと緩みが際立つ現政権への説得力ある政策の対立軸を、国民に示す作業を急ぐ必要がある。
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河北新報 2016年12月16日金曜日
社説:カジノ法成立/今後に禍根残した国会運営


 数の力でごり押しする自民党。腰が定まらない民進党。カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案を巡る臨時国会最終盤の「ドタバタ劇」は、国民の目にどう映っただろうか。
 法案は土壇場で一部修正されて、きのう未明に成立した。審議が十分尽くされていない上、しかも成立までたどり着く過程が不透明だった。国会への不信感が高まっただけでなく、今後に禍根を残したと言わざるを得ない。
 そもそも自民党の対応は「拙速」の一言に尽きる。議員立法なのだから、きちんと手続きを踏んで、各党の合意を取り付けるのが筋だ。法案成立を急いだのはなぜなのか。
 安倍晋三首相の思惑は、大阪万博誘致に絡めてIRに積極的な日本維新の会の取り込みにありそう。次期衆院選や憲法改正への協調が念頭にあり、「身内」として引き付けておく狙いがあったのではないか。そうであるならば、党利党略のための法案だろう。 分かりにくかったのは民進党の対応だ。「廃案」を掲げていたのに、参院幹部が突如、自民党幹部と法案を修正することで合意し採決に応じたのは一体どうしたことか。
 党内に「徹底抗戦」を求める強い声があったにもかかわらず、である。最後はつじつま合わせのように、内閣不信任決議案を提出するなど抵抗姿勢に転じた。迷走ぶりに他の野党も驚いたに違いない。蓮舫代表の指導力が問われる事態だ。
 自民党を含めて参院側には、実質審議が5時間半で参院に法案を送ってきた衆院への「意趣返し」があったという。修正案を衆院に回付することで、参院の存在意義を示したかった面もあろう。
 ただ、メンツにこだわって衆院と違いを見せつけたいならば、時間をかけて慎重審議すべきだった。それが「再考の府」の役目ではないか。
 今回成立したのは、基本法である。施行後は1年以内をめどに、政府に対してカジノ合法化に向けての法整備を促している。国民の理解が全く広がっていない中で、実施法がそう簡単に成立するとは思えない。
 修正案では、ギャンブル依存症防止策の強化を明記したものの、結局、政府への丸投げだ。しかも、賭博の納付金で対策を講じるというのでは本末転倒も甚だしい。
 世界有数の「ギャンブル大国」なのに、日本の依存症対策はお寒い限りだ。アルコール、薬物依存症と比べて、予防教育、支援者人材育成、研究助成どれ一つ取っても進んでいない。ここでカジノを解禁したら一体どうなるのか。
 カジノを認める公共性は何なのか。人の不幸を前提にした地域振興が、日本が目指すべき成長戦略なのか。「負」の部分をどう克服していくのか。越えなければならないハードルが幾つもある。国会の責任がこれから問われる。
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信濃毎日新聞 2016年12月16日
社説:国会閉幕 熟議の場に程遠い姿


 国会は議員立法の統合型リゾート施設(IR)整備推進法の成立で事実上閉幕した。
 カジノ解禁に道を開く重大な法案にもかかわらず、審議開始からわずか2週間での可決である。熟議の場には程遠い国会の現状が端的に表れている。
 衆院本会議での可決、成立は15日未明にずれ込んだ。14日までの会期内には採決できないと見込み3日間再延長してのことだ。自民党は今国会での成立にこだわってきた。来年の通常国会に先送りした場合、夏の東京都議選に響きかねないといった事情がある。
 カジノやホテル、大型会議場などが一体となった施設の整備推進を政府に促す法律だ。施行後1年以内をめどに政府が必要な法整備をする。ギャンブル依存症の患者が増える可能性、マネーロンダリング(資金洗浄)に悪用される恐れなど、問題点は多い。
 推進法は、カジノに伴う有害な影響を排除するため必要な措置を講じること、ギャンブル依存症などの悪影響を防止することを盛り込んでいる。どう防ぐのか、具体策は政府に丸投げの形だ。もとより解禁の是非を巡る本質的な議論は深まらなかった。
 自民が急いだ背景には、カジノを「成長戦略の目玉」と位置付ける安倍晋三首相の意向がある。11月下旬に2週間の会期延長を決めた際、公明党の山口那津男代表との会談で「IR法案もよろしくお願いします」と伝えていた。
 首相が目指す政策を実現するため形だけの審議で法律を成立させる。与党とはいえ、自民が首相に唯々諾々と従うばかりなら国会は官邸の下請けになってしまう。
 一方、野党第1党の民進党の対応は分かりにくいものだった。廃案を主張しながら、参院の委員会で修正案の採決を容認した。
 カジノ法案のほかにも、環太平洋連携協定(TPP)承認案、年金制度改革法案と与党のごり押しが続いた。
 TPPを巡って農相が強行採決を唆すような発言をしたり、官房副長官が野党の国会対応を「田舎のプロレス」と評したりと、立法府を軽視する政権の姿勢も際立つ国会だった。
 3年前の特定秘密保護法、昨年の安全保障関連法など、数の力による与党の採決強行は当たり前の光景になりつつある。
 「首相1強」の下、国会の空洞化が著しい。行政へのチェック機能や合意形成の努力を放棄するようでは、存在意義が問われる。与野党共に厳しく自覚すべきだ。
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[京都新聞 2016年12月16日掲載]
社説:臨時国会閉幕へ  論議の軽視は許されぬ


 臨時国会が事実上閉幕した。
 7月の参院選の結果、自民党が衆参両院で単独過半数を占め、数の力で圧倒する与党がどのような姿勢で審議に臨むかが注目された国会だったが、特に会期終盤になって議事運営の強引さが目立ち、閣僚から論議を軽視するような発言も相次いだ。
 少数派の声に謙虚に耳を傾け、妥協点を探る姿勢に欠けていたといわざるをえない。数におごる政権運営は、有権者の政治不信や政党不信を生み出すことを忘れてはならない。
 今国会では、国の行方を左右する重要法案が審議された。
 安倍政権が成長戦略の柱として重視してきた環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案は、衆院を通過した後、成立を確実にするため、臨時国会の会期を14日間延長することを決めた。
 ところが、次期米大統領に当選したトランプ氏が、TPPからの脱退を表明。協定発効の見通しが立たなくなったのに、参院で承認案を可決した。情勢の変化を見定めることなく、成立を急いだ政府の姿勢は大いに疑問だ。
 国民生活に直結する年金制度改革法案は、支給額抑制につながることから参院選前の本格審議を見送りながら、会期延長を機に、カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案とともに成立へかじを切った。審議を尽くしたといえないまま、野党の反対を押し切って採決を強行した。
 強硬姿勢がより明確になったのはカジノ法案の審議だ。カジノと会議場、ホテルが一体となった施設の設置や運営を民間に認める内容であり、暴力団の関与や治安、地域環境の悪化のほかギャンブル依存症への影響が大きいという懸念は国民の間に根強い。
 にもかかわらず、衆院では5時間半の実質審議で本会議を通過させ、参院で一部を修正して可決。会期を3日間再延長させてまで衆院本会議で再び可決し、成立させた。連立を組む公明党は自主投票で、山口那津男代表は反対し、与党内の論議さえ十分でないことを露呈した。なぜ、そこまで急ぐのか、国民は納得できまい。
 蓮舫代表が「廃案に」と意気込んでいた民進党も、参院委員会では修正案の採決に応じる姿勢に転換、腰砕けの対応になった。なぜ党の方針を貫けなかったのか。執行部は総括してほしい。
 このような国会は、国民が求める「熟議」にはほど遠い。来年の通常国会が心配だ。与党は自らの姿勢を見つめ直すべきだ。
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神戸新聞 2016/12/16
社説:国会閉幕/言論の府の劣化は深刻だ


 延長された臨時国会の焦点だった年金制度改革法案と、カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案の修正案が与党などの賛成多数で可決、成立した。
 野党4党が内閣不信任決議案を提出し、カジノ法案の採決が日付をまたぐ混乱はあったが、再延長した3日間の会期を使い切ることもなく今国会は事実上幕を閉じた。
 数の力で押し切る巨大与党。食い止めるすべを持たない野党。国民の懸念に応えようとする議論は展開されず、重要な政策が決まっていく。繰り返された光景に「言論の府」の劣化を思い知らされる。
 特に、カジノ法案を巡る与野党の攻防は国民不在の駆け引きに終始した。自民党は、わずか5時間半の委員会審議で衆院を通過させた。委員会で質問に立った自民党議員は般若心経を延々と唱えて時間を稼ごうとした。いかに中身のない、可決ありきの審議だったかが分かる。
 参院では民進党の迷走が際立った。蓮舫代表ら執行部が「廃案」を掲げたのに対し、参院幹部は独自判断で修正案の採決に応じた。ギャンブル依存症の防止措置などの文言が盛り込まれたものの、具体策は示されていない。形ばかりの修正で採決を容認し、成立を急ぐ与党を助けた形となった。いくら採決で反対し、不信任案を連発しても、カジノ解禁の悪影響を心配する国民の共感は得られないだろう。
 今国会では首相や閣僚の国会軽視の言動が相次ぎ、環太平洋連携協定(TPP)関連法案や年金改革法案で採決強行が繰り返された。政権の暴走を危惧する世論を味方につける機会はあったのに、民進党は肝心な場面で結束できなかった。野党第1党の責任を果たしたとは言えない。
 最大の責任が、異論に向き合わない安倍晋三首相と自民党の姿勢にあるのは言うまでもない。公明党はカジノ法案の採決を自主投票とし、一部が反対票を投じたものの「政権のブレーキ役」になる覚悟があったのかは疑問だ。
 あらためて国会の存在意義を問いたい。野党の問題提起が世論を動かすこともあれば、与野党が歩み寄って難しい課題を解決することもできる。熟議を通じて異なる意見を調整し、広く合意を形成するのが国会の役割である。「言論の府」を取り戻さなければならない。
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中国新聞 2016/12/15
社説:臨時国会 審議尽くされていない


 将来に禍根を残す臨時国会だろう。多くの国民が懸念する法整備の審議が不十分で修正も形ばかりだ。議会制民主主義にとって由々しき事態である。
 世論調査による内閣支持率は堅調であり、与党は強気の構えを隠そうともしない。安倍晋三首相は年金制度改革法の審議中に「こんな議論を何時間やっても同じですよ」と発言し、民進党の指摘を受けると、「不適切ではない」とする答弁書を、政府がわざわざ閣議決定したほどだ。国会軽視も甚だしい。
 そもそも臨時国会の会期を2週間延長してまで、これほどの重要案件の処理を急いだのはなぜだろう。日ロ首脳会談や安倍首相の米ハワイ・真珠湾訪問で有権者の注目を集めた上で、衆院の早期解散に打って出る腹積もりがあるためだろうか。
 しかし、いくら支持率が高止まりでも、政権が今やるべきことは解散や選挙ではあるまい。
 かねて進めてきた経済政策アベノミクスの成長戦略はどこへ行ったのだろう。働き方改革や女性活躍などの施策も急がなければならない。むろん年金制度改革も重要だが、それだけに年明けの通常国会に持ち越す選択肢もあったのではないか。
 年金制度改革法は、将来の年金水準を確保するため、支給額の抑制を強化する内容が柱である。世代間で痛みを分かち合うという意味では、やむを得ないルール変更も含まれるとみていい。それだけに老後の暮らしに直結する。政府には丁寧な説明が求められていたはずだ。
 だが、11月の衆院厚生労働委員会では「審議が深まっていない」と採決に反対する民進党など野党に対し、与党は「20時間を超えれば十分」と押し切った。同じような重要法案の場合、約30時間審議している。拙速との批判は当然だろう。
 カジノ解禁へと道を開く統合型リゾート施設(IR)整備推進法の審議も同じである。
 与党内でも異論が出たほか、新聞各紙がそろって社説で疑義を呈した。国内外の反社会的勢力の介在やマネーロンダリング(資金洗浄)の恐れ、治安の悪化、青少年への悪影響など、いずれも深刻な問題である。とりわけ気掛かりなのは、ギャンブル依存症の人がさらに増えるのではないかということだ。
 しかも、議員立法の推進法であって、実施法は政府に丸投げになろう。国会議員としての責任放棄になりはしないか。
 これも審議を急ぐ必要はなかったが、民進党の内閣委員長が採決に抵抗するとみるや、自民党は委員会採決を省き本会議の「中間報告」で採決に持ち込む奇策さえ構えていた。なりふり構わぬとはこのことだろう。
 民進党もちぐはぐだった。参院では自民党との折衝の結果、法律に「ギャンブル依存症」の文言を明記するなどの修正で委員会採決に応じた。その一方で採決で修正案に反対し、きのうは問責決議案などで抵抗した。筋を通さない印象だけが残り、残念というほかない。
 あすで自民、公明両党が政権復帰を果たして4年になる。現政権は決して結果を出しているわけではないが、野党第1党の民進党も政権戦略を示せない。
 来年の通常国会も、憲法改正論議をはじめ課題は山積している。今こそ、国会は形骸化を自ら食い止めるべきときだ。



西日本新聞 2016年12月16日 10時33分
社説:カジノ法成立 問題点が山ほどあるのに


 刑法で禁止されているカジノを合法化する法律が成立した。統合型リゾート施設(IR)整備推進法というもっともらしい名称に覆い隠されているが、要は「カジノ解禁法」である。
 1年以内にカジノ運営のルールなどを定める実施法案を国会へ提出するよう政府に義務付ける議員立法で、参院での一部修正を経て15日未明の衆院本会議で自民党や日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。
 私たちは法案の段階から何度も問題点を指摘してきた。厚生労働省が536万人と推計するギャンブル依存症の増加、暴力団の介入、犯罪資金の流入や資金洗浄(マネーロンダリング)、周辺の治安悪化、青少年への悪影響など疑問や懸念は山ほどある。
 推進派は利点として外国人観光客の増加、地域活性化、雇用創出効果などを挙げるが、それで相殺できるような問題ではない。
 野党の反対や世論の批判を受けて法案は一部修正された。とはいえ、主な修正は▽悪影響としてギャンブル依存症を明記して政府に防止対策を求める▽施行後5年以内にカジノ法と実施法を見直す-という内容にすぎない。
 これでは「とにかくカジノを合法化するのが先決で、具体的な対策は後で考えればいい」と言うに等しいのではないか。
 議員立法という手法が内包する問題も改めて指摘しておきたい。国会審議でいくら懸念を指摘されても、提案議員は「実施法案を政府に促す法案にすぎない」と責任を回避するような答弁に終始した。政府もIRを成長戦略の一環と位置付けているのに「行政府が議員立法にとやかく言えない」(安倍晋三首相)と論議を避けた。
 カジノ法成立によってIR整備は実施法案段階へ進む。今度こそ国会は徹底審議する責任を負う。政府も「運営する側の責任」といった言い逃れは許されない。
 長崎県と同県佐世保市など誘致に取り組む全国の地方自治体も、地域住民を交えて論議を深めてもらいたい。
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