2016-12-18(Sun)

海峡横断道路 復活の兆し  民間活用 新手法で整備

第3の関門道「関門海峡道路」(下関北九州道路) 08年凍結 

海峡横断道路 第3の関門道、復活の兆し 08年凍結
----全国で6ルート計画され、大規模公共工事見直しで2008年から凍結状態の「海峡横断プロジェクト」に、復活の兆しが見え始めた。安倍晋三首相の地元・山口県下関市と北九州市を大橋などでつなぐ「関門海峡道路」(下関北九州道路)について、石井啓一国土交通相が前向きな姿勢を示したためで、「東京湾口道路」など他のプロジェクトの地元自治体からも期待の声が強まっている。
(毎日新聞)

◇【大動脈が危ない-関門新ルート実現を】民間活用、新手法で整備
---- 国交相答弁「修正」に高まる期待
 北九州市と山口県下関市の中心部を結ぶ関門新ルートをめぐり、地元政財界でつくる「下関北九州道路整備促進期成同盟会」(会長、村岡嗣政山口県知事)が、民間資金を活用し、社会資本整備を行う「PFI方式」など新たな手法で整備できないか、検討を始めることが17日、分かった。18日に北九州市で臨時大会を開催し、民間資金の活用を盛り込んだ決議を採択する。

----関門新ルート構想をめぐる流れが大きく変わった。11月16日の衆院国土交通委員会で石井啓一国土交通相は公明党の吉田宣弘氏の質問に、こう答弁した。
 「下関北九州道路(関門新ルート)を含めた(全国の)6つの海峡横断プロジェクトについては、平成20年3月に個別での調査は行わないことにした。ただ、下関北九州道路は、すでにつながっている関門トンネルや関門橋のバイパス機能の確保など他の5つのプロジェクトとは違いがあると認識している」
 この発言は、関門新ルート整備の前進を意味する。
(産経ニュース)





以下引用

毎日新聞2016年12月17日 13時21分
海峡横断道路 第3の関門道、復活の兆し 08年凍結
P)関門海峡を視察した石井啓一国土交通相=2016年11月20日午後1時41分、比嘉洋撮影
 全国で6ルート計画され、大規模公共工事見直しで2008年から凍結状態の「海峡横断プロジェクト」に、復活の兆しが見え始めた。安倍晋三首相の地元・山口県下関市と北九州市を大橋などでつなぐ「関門海峡道路」(下関北九州道路)について、石井啓一国土交通相が前向きな姿勢を示したためで、「東京湾口道路」など他のプロジェクトの地元自治体からも期待の声が強まっている。【門田陽介、比嘉洋、取違剛】
 下関北九州道路は、関門トンネル、関門橋に続く第3の道路として構想され、1998年に東京湾口などと共に海峡横断プロジェクトとして閣議決定された。しかし、「採算が見込めない」との批判を受け、国交省が08年に事業の調査見送りを発表し、事実上凍結された。
 ところが、石井国交相は今年11月16日の衆院国土交通委員会で、同じ公明党の議員から見解を問われ「地元の要望は十分受け止めている。一度、必要性を再整理することが必要と考えている」と答弁。20日には福岡市のJR博多駅前の陥没現場の視察とともに、関門海峡道路の想定場所も訪問し記者団に「(関門橋などの)バイパス機能を有し、他の海峡プロジェクトとは違う」と述べ、実現に含みを持たせた。
 北九州市議の超党派の一団は10月中旬、陳情で国交省に出向き「幹部から好感触を得た」(自民市議)という。メンバーの一人は「二階さんになって変わった」と、国土強じん化を唱える自民党の二階俊博幹事長の存在が追い風とみる。
 想定ルート東端の下関市は安倍首相の選挙区で、西端の北九州市は麻生太郎副総理兼財務相の勢力圏。国交省関係者は「自民党は『安倍-麻生道路だ』との批判を警戒し、公明党が前に出ている」と話す。麻生氏側近の大家敏志参議院議員(福岡県選出)は12月11日、麻生氏も出席した北九州市での会合で「必要な公共事業はきちんとやるのが安倍政権の目指す道。心を一つにして下関北九州道路を造り上げたい」とあいさつした。
 地元議会も前のめりだ。福岡県議会は13日、休眠中の超党派議連を復活させた。18日には山口、福岡両県知事らによる整備促進大会を開き、21日には両県、下関、北九州両市の4議連などで上京し、国交省や自民党に来年度政府予算での調査費計上を求めることにしている。
 風向きの変化に他の海峡横断プロジェクト関係自治体も色めき立つ。
 「島原天草長島連絡道路」の地元、熊本県は「プロジェクトが一部でも動き出せば突破口になり得る」と期待。「紀淡連絡道路実現期成同盟会」(事務局・和歌山市)の関係者も「下関の計画が前進するのは、6プロジェクト全体としてはプラス。地元の二階幹事長就任もあり、前進を期待したい」と意欲を見せる。一方、「東京湾口道路」の関係自治体で構成する「房総地域東京湾口道路建設促進協議会」(事務局・千葉県富津市)の関係者は「首相のお膝元で羨ましいが、下関だけが他の海峡道路とどう違うのか」と関門海峡道路先行をけん制した。
「費用対効果低い」
 こうした状況に対し、公共事業に詳しい五十嵐敬喜・法政大名誉教授は「関門海峡を渡る道路が三つになると新しい道路を作る際に重要な費用対効果はまったく合わないはずで、詳細な情報公開が求められる。国土強じん化というと聞こえはいいが政財界や官僚が決めるのではなく、国民負担や代案を示し住民に問うべきだ」と異議を唱えている。


産経ニュース 2016.12.18 07:06
【大動脈が危ない-関門新ルート実現を】民間活用、新手法で整備
 ■地元経済界などきょう臨時大会 国交相答弁「修正」に高まる期待
 北九州市と山口県下関市の中心部を結ぶ関門新ルートをめぐり、地元政財界でつくる「下関北九州道路整備促進期成同盟会」(会長、村岡嗣政山口県知事)が、民間資金を活用し、社会資本整備を行う「PFI方式」など新たな手法で整備できないか、検討を始めることが17日、分かった。18日に北九州市で臨時大会を開催し、民間資金の活用を盛り込んだ決議を採択する。
 関門海峡をつなぐルートは現在、関門国道トンネル(昭和33年開通)と関門橋(48年開通)がある。ともに完成から40年以上が経過し、水漏れ対策など保守管理のための「通行止め」が常態化している。
 大規模災害を想定した代替ルートの観点からも、地元で新ルート整備を求める声が高まる。
 新ルートは、下関市彦島迫町と北九州市小倉北区西港町付近を結ぶ2・5キロの経路が有力視されている。
                  ◇
 関門新ルート構想をめぐる流れが大きく変わった。11月16日の衆院国土交通委員会で石井啓一国土交通相は公明党の吉田宣弘氏の質問に、こう答弁した。
 「下関北九州道路(関門新ルート)を含めた(全国の)6つの海峡横断プロジェクトについては、平成20年3月に個別での調査は行わないことにした。ただ、下関北九州道路は、すでにつながっている関門トンネルや関門橋のバイパス機能の確保など他の5つのプロジェクトとは違いがあると認識している」
 この発言は、関門新ルート整備の前進を意味する。
 同構想は昭和60年に浮上した。平成10年に橋本龍太郎内閣は全国総合開発計画を閣議決定し、その中で海峡横断プロジェクトの1つとして盛り込んだ。
 これは、紀淡連絡道路や豊予海峡道路など、全国6カ所の海峡に連絡道路を設ける壮大な計画だった。
 だがその10年後、福田康夫内閣は計画の凍結を決定した。当時、野党第一党の民主党(現民進党)は「無駄な公共事業だ」と糾弾していた。衆参でねじれた国会情勢に翻弄され、福田氏は断念せざるを得なかった。
 20年3月12日の衆院国土交通委員会で冬柴鉄三国交相(当時)は同構想について問われ、こう答弁した。
 「海峡プロジェクトの調査は今後行わないと決断した。こういう候補路線を格上げすることが将来起こった場合、国会にお諮りしなきゃならない。そんな思いもあり、調査はもう必要ないと思った次第だ」
 それから8年。建設行政に詳しい地元関係者は、石井氏から飛び出した今回の答弁を、「関門新ルートはかつて凍結された海峡プロジェクトから切り離す」という額面通りの意味に加え、冬柴氏が答弁した「国会にお諮りする」の言葉を石井氏が“修正”したと読み取った。着工に向けた大きな一歩だと理解した。
 石井氏の発言に山口・福岡両県は色めき立った。
 両県知事は共に官僚出身だ。官僚独特の言い回しを示す「霞が関文学」にも詳しい。それだけに、石井氏の答弁の真意を即座に理解したに違いない。
 両県と地元経済界で作る「下関北九州道路整備促進期成同盟会」は、18日に臨時大会を開催して、同ルートの早期着工を政府に迫る考えだ。
 石井氏は先の答弁で、PFIという具体的な手法を挙げながら「整備手法も検討する必要がある」と述べた。
 これを受け、期成同盟会は早速、民間資金を事業に活用する新たな枠組み作りに着手する。
 石井氏は11月20日に同ルートの建設候補地を視察した。その場でも重ねて「他の一般的なバイパス(迂回道路)と同じ位置付けで、その必要性を検討したい」と述べた。
 従来、足踏み状態だった同構想は、ここにきて急展開を見せたようにもみえる。ただ、伏線があった。
 安倍晋三首相が防災・減災対策でインフラ整備を強化する「国土強靱化」の方針を打ち出して以降、地元では同ルート建設に向けた機運が高まった。
 期成同盟会は26年、10年ぶりに大会を開き、太田昭宏国交相(当時)に早期着工を求める要望書を手渡した。翌年も要望を出した際、太田氏からは「必要性は私も理解している」と前向きな発言を受け取った。
 その場に立ち会った期成同盟会の関係者は「年を追うごとに政府側の理解も進み、期待値が高まっている。民間資金の活用策は石井氏からの“宿題”だと思い、着工への筋道を付ける答えをこちらも用意する」と語った。(九州総局 大森貴弘)



毎日新聞2016年11月21日 地方版
下関北九州道路
「必要性、地元で検討を」 国交相が理解示す /山口
 石井啓一国土交通相は20日、下関市と北九州市を結ぶ下関北九州道路(関門海峡道路)の想定ルートを視察した。記者団に「必要性について地元でゼロベースで検討してほしい」と述べ、建設推進を求める地元政財界に理解を示した。
 下関北九州道路は関門海峡をつなぐ関門トンネル、関門橋に次ぐ「第3の道路」。国交省は2008年に財政悪化に伴う公共事業削減で、全国の海峡横断プロジェクトに関し、経路や建設手法について調査を実施しない方針を決定。だが両市と山口、福岡両県は毎年、国に建設関連予算の確保を要望している。【比嘉洋】
〔山口版〕


産経ニュース 2016.11.21 07:00
国交相「関門新ルート」調査費計上に含み 福岡
 石井啓一国土交通相は20日、北九州市と山口県下関市の中心部を結ぶ関門新ルートについて「将来的には政府の調査もあるかもしれない。まずは地元で必要性をしっかりと調査してほしい」と述べた。視察先の北九州市で記者団に語った。
 関門新ルートは昭和60年に構想が浮上した。紀淡連絡道路(和歌山-淡路島)などと一緒に「6海峡横断プロジェクト」に位置づけられ、平成20年に凍結された。
 石井氏は「(関門新ルートは)関門橋や関門トンネルなどのバイパス機能を有しており、一般的なバイパスと同じ位置付けで必要性を検討したい。国として一切調査しない、としているほかの(海峡横断)プロジェクトとは違いがある」と述べた。


=2016/11/17付 西日本新聞朝刊=
事業凍結の下関北九州道路 地元に必要性整理求める 国交相「ゼロベースで」 [福岡県]
2016年11月17日 01時28分
 石井啓一国土交通相は16日の衆院国土交通委員会で、県などが実現を目指している北九州市と山口県下関市を結ぶ新たな下関北九州道路(関門海峡道路)について「ゼロベースで必要性を再整理する必要がある」と述べ、地元に事業の必要性などを改めて検討するよう求めた。公明党の吉田宣弘氏(九州比例)の質問に答えた。
 同道路は、大分県と愛媛県を結ぶ豊予海峡道路など全国に6カ所ある「海峡横断プロジェクト」の一つだが、政府は財政難を理由に、2008年からプロジェクト推進を凍結している。
 ただ、九州と本州をつなぐ道路は、市民生活や経済活動に不可欠な上、既存の関門橋と関門トンネルは利用されるようになって40~60年が経過。補修工事などで渋滞も増えている現状がある。
 石井氏は「バイパス機能の確保など、他の海峡横断プロジェクトと違いがあると認識している」と発言。整備手法に関しては「(民間の資金やノウハウを活用する)PFIなどについても検討する必要がある」と指摘した。
 同道路を巡っては、昨年夏に地元の首長や国会議員が参加して北九州市で「整備促進大会」が開かれるなど、関係自治体などの要望が強い。

公明新聞:2016年11月22日(火)付
本州・九州間に新道 衆院決算行監委 吉田氏が主張
21日の衆院決算行政監視委員会の第4分科会で公明党の吉田宣弘氏は、本州と九州を結ぶ下関北九州道路の早期整備を訴えた。
吉田氏は同道路について、16日の衆院国土交通委員会で国交省側が「ゼロベースで必要性を再整理する」と答弁したことを踏まえ、「開通すれば、人の流れや物流が促進し経済効果をもたらす。救急医療や防災面でも効果がある」と意義を強調した。
 このほか、東九州自動車道や九州横断自動車道延岡線などの早期整備も求めた。

産経ニュース 2016.8.26 07:00
九州・山口の知事ら第2関門ルート建設を要望
 村岡嗣政山口県知事や小川洋福岡県知事、麻生泰・九州経済連合会会長らは25日、石井啓一・国土交通相や自民党の二階俊博幹事長らを訪ね、「下関北九州道路(第2関門ルート)」の早期実現を要望した。要望は今月1日に開かれた整備促進大会での決議を踏まえたもの。


公明新聞:2016年8月26日(金)付
関門海峡に新ルート整備
期成同盟が公明に 下関北九州道路で訴え
公明党の石田祝稔政務調査会長は25日、衆院第2議員会館で下関北九州道路整備促進期成同盟会(村岡嗣政会長=山口県知事)などから、本州と九州を関門海峡で結ぶ下関北九州道路実現で要望を受けた。
 席上、村岡会長らは現在の関門橋と関門トンネルが老朽化で「通行止めが頻発している」と説明。さらに、災害時の代替機能、円滑な物流の確保など新ルートの必要性を主張した。
 石田政調会長は、「産業の生産性向上や災害時対応の観点から道路網整備は重要だ。要望をしっかり受け止める」と述べた。

産経ニュース 2016.8.2 07:05
第2関門ルート 「大規模災害に備えを」 下関で整備促進大会 山口
下関北九州道路の早期実現に向けて開かれた促進大会
 「下関北九州道路(第2関門ルート)」の早期実現を目指す下関北九州道路整備促進大会が1日、山口県下関市で開催された。九州と本州を道路で結ぶルートは現在、関門トンネルと関門橋しかない。いずれも40年以上経過して老朽化が著しく、代替道路の建設が急務となっているが、国の予算で調査費も計上されていない。(菊池昭光)
                   ◇
 「大規模災害に備えた円滑な道路網の必要性を再認識した」
 下関北九州道路整備促進期成同盟会会長の村岡嗣政・山口県知事は、今年4月の熊本地震を引き合いに、第2関門ルートの早期整備を訴えた。
 既存ルートは脆弱(ぜいじゃく)だ。
 関門トンネルは開通から58年が経過した。平成23年以降の5年間で、通行止め回数は計1138回に上った。2日に1回以上、通行止めとなっている。同様に42年間が経過した関門橋は、1日の平均交通量(平成27年)が3万7290台と建設時の想定を超えている。積雪や事故、強風で通行止めになることもある。
 村岡氏はこの現実を挙げ、「安定的な交通網の確保が必要だ。第2関門の気運を高めていきたい」と語った。
 熊本地震では大分道が一時通行できない状況になったが、東九州道が完成していたことで大分県は孤立せずに済んだ。小川洋・福岡県知事は「まさに代替道の重要性を認識した」と語った。
 小川氏は防災面に加え、経済面での必要性も強調した。
 北部九州と山口県では、日本全体の2割にあたる171万台の自動車が生産されている。小川氏はこの数字は「イギリスやフランスに匹敵する」と指摘した上で、「海峡横断プロジェクト凍結という“呪縛”を国に解いてもらい、早期に調査に入って頂きたい」と述べた。
 期成同盟会の調査によれば、第2関門ルートの効果として、国道2号、3号、199号の混雑が2~4割減少し、下関市~北九州市の所要時間は約25分と、関門トンネルを使った現状の半分程度になるという。こうした混雑緩和や走行経費の軽減などで、50年間で計約2070億円の経済効果があると試算する。
 中国経済連合会と九州経済連合会が合同でつくっている関門連携委員会の吉村猛委員長(山口銀行頭取)は、「(下関・北九州地域は)120万人の都市圏を形成している。第2関門は既存のルートを補完・強化するもので、他の海峡プロジェクトとは違う」と訴えた。


産経ニュース 2016.6.8 07:07
【語る】前国土交通相・太田昭宏氏 「関門橋新ルート前進させる」
 「福岡県と山口県下関市の間にもう一本、橋がほしいという話をよく聞きます。何とか前進させたい」
 本州と九州は関門国道トンネル、関門橋、関門鉄道トンネル、新関門トンネルの4ルートで結ばれる。だが、関門橋などは老朽化が進み、慢性的な交通渋滞に頭を抱える。そこで、地元の経済団体などは「下関北九州道路建設促進協議会」を平成10年に結成し、新ルートの実現を国に働きかけている。
 安倍晋三政権は、防災・減災のため「国土強靱(きょうじん)化」政策を進める。新ルートはその一環だ。6日夜、九州・山口の悲願を代弁するように、福岡市で開かれた公明党県本部会合で声を張り上げた。
 「福岡、下関から佐賀、長崎までつなげて塊を作り、福岡を中心とした経済圏を前進させましょう。大阪を抜こうじゃありませんか。国を挙げて、新ルート実現を応援しますから」


産経ニュース 2015.9.22 07:04
【大動脈が危ない 関門新ルート実現を】(上)巨大災害への備え必要
シルバーウイークで渋滞する関門トンネル下関料金所=21日午前、山口県下関市(画像を一部加工しています)
 ■現ルート遮断で経済損失年14兆円
 下関北九州道路(第2関門ルート)の構想復活から2年が経過した。関門海峡をはさむ自治体は今年度予算に調査費を計上した。だが、地元経済界の希望とは裏腹に、実現に向けた動きは遅々として進まない。本州と九州を結ぶ関門国道トンネル、関門鉄道トンネル、関門橋、新幹線の4本の大動脈は刻々と限界に近づいている。問題点を改めて検証してみたい。
                  ◇
 盛夏も過ぎ去ろうとしていた8月27日。国土交通省に、山口県の村岡嗣政知事らの姿があった。下関北九州道路整備促進期成同盟会の会長として、関門新ルート建設の陳情だった。
 村岡氏らは、北九州市で7月24日に開かれた整備促進大会で採択された「道路の早期実現」「実現に向けた調査検討」「予算確保」の3項目を太田昭宏国交相に手渡した。
 「東アジアのゲートウエイとして役割を期待され(中略)地域経済を支える基盤となる道路網の充実・強化によるストック降下を発揮させることが急務(中略)本州と九州の連絡強化が喫緊の課題…」
 期成同盟会のほか、下関北九州道路建設促進協議会、中国経済連合会・九州経済連合会関門連携委員会も大挙して関係省庁、政府与党に訴えかけた。
 だが、概算要求が終了した平成28年度予算案で、調査費など費用が付くかは不透明な状況だ。
 彼らの前に立ちふさがったのは、またしても「道路」という“言葉の亡霊”だった。
                  ◇
 「私は道路特定財源制度を廃止して、(平成)21年度から一般財源化すること、そして10年間の道路計画を見直して5年に短縮することをお約束いたしました」
 20年4月30日、福田康夫首相は、首相官邸での記者会見で、事実上の「道路建設との決別」を宣言した。
 国債、地方債の残高が合わせて800兆円を抱え、その後の少子・高齢化社会が視野に入ってきた当時、やむを得ない判断だった。
 下関北九州道路は全国6海峡をトンネルや橋で結ぶ国の海峡横断プロジェクトの1つとして、20年に凍結された。その後も、「道路建設との決別」が、関門新ルートにとって大きな重しとなっている。
                  ◇
 果たして下関北九州道路は本当に無駄なのだろうか-。
 平成23年3月に起きた東日本大震災は、インフラをずたずたに引き裂いた。経済・生産活動への影響は被災地だけでなく、全国に拡散した。東北地方で作っている部品が届かないため、九州にある自動車工場の生産も一時ストップした。インフラの複線化など「リダンダンシー(二重性)」が再認識された。
 関門橋、関門トンネル、関門鉄道トンネルの現ルートが、何らかの原因で遮断された場合、九州は文字通り孤島となる。この経済損失を、九州経済連合会が22年に行った「関門トンネル・関門橋の交通遮断に伴う経済損失影響に関する報告書」が想定している。
 報告書によると、関門橋と関門トンネルが遮断された場合、1年間に約14兆円の経済損失が発生するとした。現ルートの遮断は九州のみならず、国内全体に影響が広がる可能性が高い。
 九州内で行われた企業ヒアリング(25年)では、想定される具体的な被害が報告されている。
 「エアバッグは爆発物扱いであるため、現行法上は内航船や航空便では運搬が不可能である。在庫を圧縮するため、毎日トレーラーによる陸送で4便(現状)~8便(ピーク時)の物量であるため、関門海峡の陸路が遮断されると、九州内での完成車生産がストップしてしまう」(完成車メーカー)
 「時期によっては九州内では白菜が取れない。白菜やキャベツのような葉茎菜類、玉ねぎのような根菜類は本州から移送している。白菜は長野県からの入荷が最も多い」(食品卸し)
 山口、福岡両県の試算によれば、下関北九州道路は建設費を除いても2070億円の経済効果があるとされる。それ以上に、将来の南海地震など巨大災害に備え、「国土強靱(きょうじん)化」の一環として整備される意味合いは大きい。
                  ◇
【用語解説】海峡横断プロジェクト
 国の大規模な道路やトンネル建設を伴う横断道路構想。内訳は(1)東京湾口(神奈川県横須賀市-千葉県富津市)(2)伊勢湾口(愛知・渥美半島-三重・志摩半島)(3)紀淡海峡(4)関門海峡(5)豊予海峡(6)島原天草長島連絡の各道路。平成20年の政府決定で凍結されたが、第2次安倍晋三政権発足後、復活の機運が高まっているとされる。

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