2016-12-20(Tue)

オスプレイ飛行再開 県民より米軍なのか

政府はなぜ認めたのか  飛行再開、理解できぬ  欠陥機には許されない

<各紙社説>
朝日新聞)オスプレイ再開 県民より米軍なのか(12/20)
毎日新聞)オスプレイ再開 政府はなぜ認めたのか(12/20)
東京新聞)オスプレイ 飛行再開、理解できぬ(12/20)
北海道新聞)オスプレイ再開 不安置き去りのままか(12/20)
信濃毎日新聞)オスプレイ再開 なぜこれで容認なのか(12/20)
琉球新報)オスプレイ飛行強行 墜落の恐怖強いる 命の「二重基準」許されぬ(12/20)
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琉球新報)オスプレイ飛行再開 欠陥機には許されない(12/18)
沖縄タイムス)[飛行再開 返還式典も]県民無視の強行やめよ(12/18)
読売新聞)オスプレイ事故 米軍は再発防止策を徹底せよ(12/18)




以下引用



朝日新聞 2016年12月20日(火)付
社説:オスプレイ再開 県民より米軍なのか


 政府はなぜ、これほどまでに米軍の言うがままなのか。その姿勢が改めて問われている。
 沖縄県名護市沿岸で、米軍輸送機オスプレイが大破した事故から1週間足らず。同種機の飛行米軍が全面再開した。
 先週末、民放テレビに出演した安倍首相は「徹底的な原因究明」を強調。「今まで米側はなかなか運航を止めてこなかった。しかしカーター国防長官が日本においては一時的に止めてくれた」と語っていた。
 だがそのわずか3日後、米軍飛行を再開した。「空中給油の際の給油ホースとオスプレイのプロペラの接触が原因であり、機体そのものが原因ではない」という米軍の説明を、政府はそのまま容認した。
 大破事故と同じ日、普天間飛行場で、別のオスプレイが胴体着陸する事故も起きた。ここでも「確立されたマニュアルに従って衝撃を吸収するパッドの上に着陸した」との米軍の説明を政府は受け入れた。
 米軍の説明の根拠は何か。同様の事故が再発する恐れはないのか。胴体着陸事故の日本側への通報が遅れた理由は――。米軍の、そして日本政府の説明は十分とは言えない。
 日本の捜査機関が事故調査に手を出せないことも、県民の怒りを増幅させている。米軍関係の事件・事故に、基地の外でも米軍に警察権を認めている日米地位協定があるからだ。
 今回の大破事故でも、海上保安本部が米軍に捜査協力を申し入れているが、返事さえない。
 日本側が捜査に加われないのならなおさら、政府は米軍に十分な情報開示を求め、国民・県民に丁寧に説明すべきなのに、その努力はあまりに乏しい。
 「もうこういう政府は相手にできない。法治国家ではない」
 翁長雄志知事の言葉は、県民の不安を顧みない米軍への怒りとともに、米軍にもの言えぬ政府への失望の表れだろう。
 事件や事故のたびに問題となる地位協定の改定にも、政府は本腰を入れて取り組むべきだ。
 事故後、在沖米軍トップの四軍調整官が副知事に「パイロットは住宅や住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」と述べ、「占領者意識そのもの」と県側の猛反発を受けた。あまりに早い今回の飛行再開も、米軍・日本政府と県との溝をいっそう深めかねない。
 オスプレイはすでに本土各地を飛んでおり、配備計画も進んでいる。オスプレイによる不測の事故も、そして国民不在の事後の対応も、沖縄だけの問題ではない。
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毎日新聞2016年12月20日 東京朝刊
社説:オスプレイ再開 政府はなぜ認めたのか


 詳細な事故原因を明らかにしないまま、在日米軍が沖縄県・米軍普天間飛行場に所属する新型輸送機オスプレイの飛行を再開した。
 空中給油訓練中に名護市沖に落ち、機体が大破した重大事故から1週間もたたないうちの飛行再開だ。翁長雄志(おながたけし)・沖縄県知事が「言語道断」と批判したのは当然だ。
 米軍は、事故の原因について、給油ホースがオスプレイのプロペラに接触したためで「搭載システム、機械系統、機体構造」に問題はない、と改めて日本政府に説明した。
 政府は、防衛省・自衛隊の専門的知見から、米軍の説明に合理性があると判断し、飛行再開の通知を「理解できる」と容認した。
 ところが、オスプレイの機体構造に問題がなかったとしても、なぜ空中給油中にホースがプロペラとぶつかるような事故が起きたのかという根本原因は解明されていない。
 防衛省は、米軍の説明にもとづいて「乱気流が影響していると思われるが、他の要素もあるようで、調査中」(幹部)と話している。
 飛行再開を決めた米軍の判断は納得できない。それ以上に、簡単に再開を受け入れた日本政府の対応に問題がある。防衛省は、事故機を実際に見ておらず、米側から説明を聞いただけで合理性があると判断したという。これが住民の安全に責任を持つ政府の態度だろうか。
 4年前にオスプレイの国内配備を受け入れるにあたって、日本政府は過去の事故などを検証したが、今回はそういう姿勢は見られない。
 情報提供も不十分だ。県や市への説明が再開当日に行われたのは、日米当局の誠意を疑わせる。
 また、名護市沖の事故と同じ日、別のオスプレイが普天間で胴体着陸事故を起こしていたことが明らかになったが、当初、米軍から連絡はなく、防衛省は報道で事実を知った。その後の米軍の説明では、脚部を下ろす電気系統の故障が原因という。
 今回の事故では、在沖縄米軍トップのニコルソン沖縄地域調整官が、住民らに被害が出なかったことをもって「感謝されるべきだ」と開き直る発言をしたことも大きな問題になった。しかし、政府は遺憾の意すら示さず、事実上、不問に付した。
 日米地位協定が壁になり、日本側が事故を捜査できない問題も積み残されたままだ。第11管区海上保安本部(那覇市)は、航空危険行為処罰法違反容疑での捜査を受け入れるよう米軍に求めているが、米側からは回答がないままだという。
 事故は沖縄や配備計画のある地域の人々を不安にさせたが、事故後の日米当局の対応はその不安をいっそう増幅させかねない。
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東京新聞 2016年12月20日
【社説】オスプレイ 飛行再開、理解できぬ


 海岸に「墜落」して停止されていた垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの飛行を米軍が再開した。安全性の確認は十分とは言えず、沖縄県民の反対も無視した飛行再開だ。全く理解できない。
 米海兵隊のオスプレイが十三日に沖縄県名護市の海岸に不時着、大破してから六日。事故後停止していた同型機の飛行を再開した。在日米軍は飛行再開について「安全手順や機体を徹底的、慎重に見直した。安全な飛行運用を継続できると高い自信を持っている」と説明する。
 今回の「墜落」は、空中給油訓練中、事故機のプロペラが乱気流で給油ホースに接触して破損、飛行が不安定になったため起きた。空中給油は引き続き停止するものの、機体自体の原因ではないとして飛行を再開するのだという。
 しかし、開発段階から実戦配備後まで墜落事故を繰り返し、安全性に懸念が残る機種である。同じ十三日には別の機が米軍普天間飛行場に着陸する際、脚部の故障で胴体着陸する事故も起きた。
 ヘリコプター機能も持つオスプレイは、通常の固定翼機よりプロペラが大きい。空中給油を行えば乱気流時に給油ホース切断の危険性は高まる。操縦の難しさに加え構造上の問題も無視できまい。
 米側の説明を受けた菅義偉官房長官、稲田朋美防衛相はそろって「飛行再開は理解できる」と述べたが、日米地位協定の制約があり日本独自の機体捜査をしたわけではない。米軍はもちろん、日本政府の対応も全く理解できない。
 米軍基地が集中し、オスプレイの危険に、より深刻に直面している沖縄県では翁長雄志県知事ら多くの県民が飛行再開に反対し、撤去を求める。なぜ反対を押し切って強引に飛行再開を急ぐのか。
 二十二日には政府主催の米軍北部訓練場の部分返還式典が行われる。返還条件として新設されたヘリパッドは、当初は想定されていなかったオスプレイも使用する。
 飛行再開を急いだのは、返還式典を前に、オスプレイの飛行を既成事実化するためではないのか。
 オスプレイは陸上自衛隊も十七機導入し、千葉県の陸自木更津駐屯地では普天間に配備された米軍の二十四機の定期整備も始まる。米軍横田基地(東京都)にも米空軍特殊作戦用機が配備される。
 オスプレイは日本の空を飛び回る。危険にさらされるのはもはや沖縄県だけではない。すべての国民が直視すべき現実である。
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北海道新聞 2016/12/20 08:50
社説:オスプレイ再開 不安置き去りのままか


 在沖縄米軍はきのう、新型輸送機オスプレイの飛行を全面再開した。13日夜に発生した不時着事故から、わずか6日後である。
 オスプレイの安全性に再び重大な懸念が生じたにもかかわらず、原因や再発防止の詳しい説明がないままの見切り発車のような飛行再開は、住民の不安を無視したと言われてもやむを得まい。
 翁長雄志(おながたけし)知事が「言語道断だ」と反発したのは当然だ。
 当初、現時点の再開に難色を示しているとみられた政府は、あっさり容認した。沖縄と米軍のどちらに寄り添っているのだろうか。
 米側は、事故は空中給油訓練中のトラブルによるもので機体自体に問題はないという。空中給油訓練は飛行再開後も見合わせる。
 だが大破した機体の回収は終わっていない。どのような分析を行い、何を根拠にしたのか、なぜ再開を急いだのかは不明だ。
 また、別のオスプレイが普天間飛行場で起こした胴体着陸について防衛省は、部品交換で対応できる電気系統の不具合が原因だったとする。なぜ不具合が起きたのかさらに調べる必要はないのか。
 安倍晋三首相は16日のテレビ番組で「徹底的に原因究明してもらいたい」と述べていた。いずれのケースも原因究明と説明責任が尽くされたとはとても言えない。
 ところが稲田朋美防衛相は「米側の対応は合理性が認められる」と述べた。理解しがたい。
 沖縄県民の不安や懸念に真摯(しんし)に向き合おうとしない米側の姿勢は事故直後から顕著だった。
 在沖縄米軍トップのニコルソン沖縄地域調整官は抗議に訪れた安慶田(あげだ)光男副知事に「パイロットは県民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」と述べた。
 安慶田副知事は「植民地意識丸出しだと感じた」と憤った。沖縄が置かれた状況に対する県幹部としての偽らざる思いだろう。
 米軍の事件・事故で日本側の捜査権が制約される日米地位協定の問題は今回も浮かび上がった。
 第11管区海上保安本部は事故に対し航空危険行為処罰法違反容疑での捜査に着手し、米軍に協力要請したが、米軍は機体回収を一方的に進め捜査は困難になった。
 沖縄国際大学構内に米軍ヘリが墜落した2004年の事故の際も同じような事態が起きている。
 しかし、不平等な地位協定の改定を米国に要求するのは政府にとって事実上タブーとなっている。これで主権国家と言えようか。根源的な疑問を抱かざるを得ない。

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信濃毎日新聞(2016年12月20日)
社説:オスプレイ再開 なぜこれで容認なのか


 在沖縄米軍が輸送機オスプレイの飛行を再開させた。沖縄県名護市沖で大破した事故から1週間もたっていない。詳しい原因は分からないままだ。とても納得できるものではない。
 事故について米軍は、空中給油訓練中のトラブルが原因で機体の問題ではないと説明している。機体自体の安全性が確認できたとして空中給油以外は飛行を再開すると連絡してきた。日本政府は「理解できる」と容認した。
 海岸近くの浅瀬で起きた。機体がばらばらになり、乗員のうち2人がけがをした。「不時着」したとする米軍に対し、沖縄県は「墜落」との見方を示す。
 日本国内で初めての重大事故である。発生の翌日に政府は安全が確認されるまでの飛行停止を要請し、米軍は当面停止を伝えた。反発を和らげたいためのポーズにすぎなかったとみるほかない。
 機体に問題がないとしても、操縦の難しさや飛行の危険性は明らかだ。「安全性や信頼性に対する最大限の自信がなければ運用を再開することはない」との米軍の主張に説得力はない。
 米軍は原因の調査を継続中としている。機体の残骸の回収もまだ終わっていない。
 この段階で政府はなぜ、飛行再開を容認できるのか。沖縄県の翁長雄志知事は拒否するべきだとの考えを示していた。「米軍の言いなり」といった声が沖縄で相次いでいるのは当然である。米軍側に改めて飛行停止や日本の捜査受け入れを迫るのが筋だ。
 米政府は「オスプレイの能力は日本や地域の安全保障に大きく貢献している」と意義をアピールしている。呼応するように稲田朋美防衛相も「オスプレイの配備は日米同盟の抑止力・対処力を向上させ、アジア太平洋地域の安定にも資する」との見解を示した。
 安全保障を強調しながら、何を守るのか。沖縄の人たちをはじめ国民の暮らしの安心や安全を損ねるのでは本末転倒である。
 在沖縄米軍トップは事故後、抗議に訪れた沖縄県の副知事に対し「パイロットは県民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」と不快感を示したという。県民の気持ちを逆なでする発言である。こうした対応が続くのでは、米軍への反感が高まるばかりだ。
 22日には政府が米軍北部訓練場の部分返還式典を開く。返還条件であるヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)ではオスプレイの運用が予定される。県民感情から懸け離れた式典は見送るべきだ。
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琉球新報 2016年12月20日 06:01
<社説>オスプレイ飛行強行 墜落の恐怖強いる 命の「二重基準」許されぬ


 県民の命を危険にさらすオスプレイの飛行再開は断じて許されない。墜落原因が不明なMV22オスプレイの飛行を強行した米軍、容認する政府に強く抗議し、改めて飛行停止と撤去を要求する。
 米軍は13日の墜落事故からわずか3日後に飛行再開を政府に通告、6日後に飛行を全面再開した。政府は「安全性確認までの飛行停止」を求めていたが、それを覆す無責任な飛行容認である。
 事故原因の徹底解明、それに基づく安全性の確認が反故(ほご)にされた。県民の生命の安全をないがしろにする暴挙と断ずるほかない。
首相は発言に責任持て
 安倍晋三首相はテレビ番組で「原因が究明されるまで運航をやめるよう米側に要請した」と言明した。にもかかわらず菅義偉官房長官は飛行再開を「理解できる」と容認した。モラルハザード(倫理欠如)は甚だしい。首相は自らの発言に責任を持つべきだ。
 稲田朋美防衛相は翁長雄志知事に「県民と国民が理解し安全ということがない限り飛行はやめるよう申し入れた」と明言した。それが一転、「空中給油以外の飛行再開は理解できる」と容認した。
 しかしこの見解は欺瞞(ぎまん)に満ちている。事故機は回転翼を前に傾けた「固定翼モード」で墜落した。オスプレイの元主任分析官は「ヘリモードで補給できない事実は、予期されなかった航空機の欠陥」と新たな構造的欠陥を指摘している。
 従来指摘されている軟着陸のためのオートローテーション機能欠如の影響を含め、事故原因が解明されたとは到底、言えない。
 防衛相が「空中給油訓練以外の飛行」を認めると強弁するなら、オスプレイの空中給油は全廃すると明言すべきだ。
 名護市職員は、給油ホースを出した空中給油機が米軍機と並んで市役所上空を何度も通過したと証言している。危険な空中給油が海域だけでなく市街地など陸域上空でも行われている疑いがある。
 防衛省の土本英樹審議官は佐賀県議会で「オスプレイ配備は安全確保が大前提」とし、佐賀では給油訓練を実施しないと述べた。審議官は来県し「安全確保のため沖縄でも給油訓練を実施しない」と約束すべきだ。
 陸自オスプレイ配備を予定する佐賀の県議会、市議会で防衛省幹部、職員は何度も参考人質疑に応じている。防衛省は墜落事故が現実となった沖縄でこそ県議会、地元議会の質疑に応じるべきだ。
 県民の安全を軽視する「命の二重基準」は許されない。
欠陥機は撤去すべきだ
 県民の猛反発が予想されながらの飛行再開は、ヘリパッド完成に伴い22日に迫る米軍北部訓練場の過半の「返還式典」と無関係ではなかろう。オスプレイを飛行再開させねば同訓練場のヘリパッドは無用の長物となるからだ。
 住民、県民に墜落の恐怖を強いてでもヘリパッドでのオスプレイ運用を優先する軍隊の論理と日本政府の追従姿勢が明らかだ。
 オスプレイの飛行再開、ヘリパッドの運用強行は県民の怒りの炎に油を注ぐことになろう。
 オスプレイ対応のヘリパッドは県内に69基あり、50基が伊江島や北部訓練場、中部訓練場(キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン)に集中する。米軍普天間飛行場の「オスプレイ墜落の恐怖」が本島全域で一層、強まる。
 東村高江区住民の中にはオスプレイの訓練激化を恐れ転居した家族もいる。本紙「声」欄に「伊江島飛行場、高江、辺野古(新基地)を結ぶ魔の三角形」の投稿が載った。オスプレイが縦横無尽に飛び交う恐怖を県民に強いる。
 金武町の小学6年女子児童は「きょうふ心いっぱい。オスプレイ事故の避難訓練をしないといけないのかな」と書いた。
 県民に恐怖と忍従を強いるオスプレイ飛行再開は許されない。構造的差別に基づき配備された構造的欠陥機は撤去させるしかない。
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琉球新報 2016年12月18日 06:02
<社説>オスプレイ飛行再開 欠陥機には許されない


 民間航空機事故では決してあり得ないことが、米軍機には許されていいはずがない。
 墜落事故を受けて飛行が停止されている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを、19日にも米軍が飛行させる考えを日本政府に伝えた。
 今回の墜落で明らかになったのは、オスプレイが欠陥機であるということである。
 国防研究所(IDA)でオスプレイの主任分析官を務めたレックス・リボロ氏は、米軍が説明する「不時着」ではなく「墜落」と断定している。「ヘリモードで補給することができないという事実は、予期されなかった航空機の欠陥である」と述べ、オスプレイの新たな構造的欠陥であると指摘する。同じような墜落事故が再び発生するとも強調している。
 沖縄の上空で欠陥機の飛行を再開させれば、人命に関わる重大事故が起きかねない。飛行再開に強く抗議するとともに、沖縄からオスプレイの早配備撤回を求める。この欠陥機を運用する在沖米海兵隊の全面撤退、欠陥機が使用する辺野古新基地建設断念と北部訓練場に整備された六つのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の使用を禁止すべきだ。
 日本政府は情報提供と再発防止、安全が確認されるまでの飛行停止を米国に求めているが、それでは生ぬるい。米側に配備撤回を求めるべきである。
 これまでにも米軍は県内で発生した米軍機墜落事故で、2日から2週間の短期間に飛行を再開させている。2004年の沖国大米軍ヘリ墜落事故では、9日後に同型機が普天間飛行場を飛び立った。今年9月のハリアー墜落事故では、県民の飛行停止要求を無視し、墜落原因が明確でないのに約2週間で同型機の飛行を再開した。
 1972年の日本復帰後、県内での米軍機墜落事故は48件目だ。1年に1回以上落ちる計算になる。沖縄の空は安全・安心とは言い難い。米国や他府県で事故原因や再発防止策を示さないまま飛行再開が許されるだろうか。
 軍事優先で飛行を再開させるのは、県民の生命・財産を軽視する二重基準にほかならない。
 米軍は墜落したオスプレイの残骸を回収し、日本側の捜査協力申し入れを実質的に拒否した。事故の全容を独自に捜査できないのでは主権国家とはいえない。
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沖縄タイムス 2016年12月18日 09:54
社説:[飛行再開 返還式典も]県民無視の強行やめよ


 県民を愚弄(ぐろう)しているというほかない。米軍が19日にもオスプレイの飛行再開を打診、日本政府が認めたことが明らかになった。日米両政府には重大事故を引き起こしたとの認識が欠けている。
 名護市安部で起きた墜落事故と同じ日に米軍普天間飛行場では胴体着陸事故も発生している。2件の重大事故の原因が究明されない中、とうてい認めるわけにはいかない。
 墜落事故であらためて分かったのは全県に張り巡らされた広大な米軍の訓練空域である。墜落の危険性は基地周辺だけでなく全県に及ぶ。
 墜落現場で浮き彫りになったのはまたしても日米地位協定の壁である。民間地域にもかかわらず第11管区海上保安本部が求めた捜査協力に米側から回答はない。米軍は「物証」の機体を回収している。
 2004年8月、普天間の大型ヘリコプターが隣接する沖国大に墜落した事故でも米軍が規制線を張り、警察を排除した。その後、日米は基地外での米軍機の事故に関するガイドライン(指針)を策定した。事故機に近い「内周規制線」は日米共同で、事故機から離れた「外周規制線」は日本側が統制することになった。だが事故機を米側が管理することに変わりはない。今回、外周規制線でも米軍が記者らを締め出すことがあった。「指針破り」である。
 事故を引き起こした米軍が日本の捜査を拒むのがそもそもおかしい。日本側の捜査に米側が協力する形に日米地位協定を改定しない限り、日本は主権国家とはいえない。
■    ■
 政府は22日に北部訓練場の半分を返還する式典を名護市内で開く。オスプレイ墜落事故に抗議し翁長雄志知事は返還式典の自粛を要請した。返還地を抱える国頭村の宮城久和村長も式典の延期を求めている。県民の不安と懸念を考えれば当然である。
 返還とオスプレイが使用するヘリパッド(着陸帯)を東村高江集落を取り囲むように6カ所の建設が条件になっている点も見逃せない。
 政府は復帰後、最大規模の約4千ヘクタール返還をアピールする。沖縄からみれば式典はオスプレイのヘリパッド使用にゴーサインを出すことにほかならない。負担軽減にならず、式典の開催に反対する。
 13年4月28日に東京で開かれた政府主催の「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を思い出す。サンフランシスコ講和条約によって沖縄は日本から切り離され、いまに続く「軍事植民地」となった日だ。沖縄の実情が眼中にない点で共通している。
■    ■
 高江、宜野座村城原、伊江島などではオスプレイの訓練激化による騒音や震動などで日常生活に大きな支障が出ている。政府は式典よりも各地を訪れ、住民から直接オスプレイ被害の声を聞くべきだ。
 政府はオスプレイ前提の環境影響評価をしていない。生物多様性豊かなやんばるの森林を大量伐採して造ったヘリパッドとオスプレイがどのような影響を与えるのか。その懸念には何も応えていない。
 県、東、国頭両村は実施を求めている。政府は式典の前にやるべきことがある。
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読売新聞 2016年12月18日 06時01分
社説:オスプレイ事故 米軍は再発防止策を徹底せよ


 高性能の米軍機に対する信頼を傷つけかねない極めて遺憾な事故だ。
 米軍普天間飛行場所属の輸送機オスプレイが沖縄県名護市沖の浅瀬に不時着し、大破した。乗員5人のうち2人が負傷した。
 空中給油の訓練中、翼のプロペラが給油機のホースに接触し、損傷したのが原因とされる。
 周辺住民に被害はなかったが、一歩間違えば惨事につながる恐れもあった。稲田防衛相と岸田外相が米側に対し、オスプレイの飛行停止と原因究明の徹底を求めたのは当然である。
 米側も、飛行停止に応じた。ただ、事故が機体に起因する可能性を否定し、オスプレイの安全性に問題はないとして、週明けにも飛行を再開したい意向を示す。
 事故を起こした海兵隊のMV22型の10万飛行時間当たりの重大事故率は、昨年9月時点で2・64と、他の海兵隊機とほぼ同水準だ。
 開発段階で事故が相次いだことから、沖縄県では根強い懸念を持つ人が多い。事故当日には、別のオスプレイが着陸装置の不具合で普天間飛行場に胴体着陸したことも判明している。
 米側は、事態を深刻に受け止めて、より詳細に原因を調査するべきだ。実効性ある再発防止策を講じ、積極的に情報開示して、適切な運用に努めねばならない。
 在沖縄米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官は、「パイロットは住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」などと県副知事に語ったという。
 事故を最小限に抑えたのは事実としても、県民への配慮を欠いた不適切な発言と言うほかない。
 オスプレイは、ヘリコプターの垂直離着陸と、固定翼機の高速飛行の機能を併せ持つ。従来の輸送ヘリに比べ、最大速度、行動半径、貨物搭載量が大幅に向上した。普天間飛行場に24機配備され、来年は横田基地への配備も始まる。
 朝鮮半島有事、南西諸島防衛などで効果的な部隊輸送が可能となる。今年4月の熊本地震では、救援物資を輸送した。災害時の機動的な活動も期待できる。
 陸上自衛隊が佐賀配備を念頭に調達を始めたのは、安全性が確保されていると判断したためだ。
 政府は、従来以上に丁寧な説明を尽くし、関係自治体などの理解を得ることが重要である。
 翁長雄志知事は、政府と米軍に強く抗議し、配備撤回を求めた。ただ、今回の事故を、普天間飛行場の辺野古移設への反対と絡めるのは筋が違うのではないか。
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