2016-12-30(Fri)

大型物流施設 大競争時代 ネット通販で宅配急増

圏央道、カネ生む大動脈に 日本の物流を変革

◇大量供給、空室率上昇招く テナント確保へ質向上
----国内の大型物流施設大競争時代に入った。
インターネット通販市場の拡大で物流施設の需要は堅調に推移しているものの、施設の大量供給により空室率の上昇も招いている。建物を造れば即入居という「全入時代」は幕を閉じつつあり、テナントのきめ細かなニーズにいかに対応できるかが生き残りのカギを握る。
----米アマゾン・ドット・コムなど自前で物流センターを構え、独自のノウハウでデベロッパーに頼らない物流システムを構築する動きも増えている。このため危機感を募らせ、対策を講じるデベロッパーも出てきた。

◇作業省人化へ投資拡大 時給の上昇 効率化迫る
----「物流施設では労働集約型モデルが限界にきており、装置産業型への転換期を迎えている」
----不動産サービス大手、CBRE(同・同)の小林麿・インダストリアル営業本部本部長は「コスト削減は、消費地に近いなど立地条件の良い施設への入居を可能にする」と話す。スピード配送など消費者へのサービス内容が向上すれば、業績拡大にもつながる。
----デベロッパー大手、ESR(東京・港)の共同創設者兼最高経営責任者、スチュアート・ギブソン氏は「物流は経済の血管」と表現する。血流を滞らせないためにも省人化や自動化の流れは止められない。
(日本経済新聞)

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圏央道、カネ生む大動脈に 日本の物流を変革
■地方の雇用創造
----東名高速・東北道・関越道を受け止め、首都圏を弧で囲む圏央道。本格稼働から1年たち、沿線は最先端の物流基地に変貌した。宅配便が急増する中、日本経済を支える大動脈の現場を歩いた。
 「クルマの流れが変わった。夕方には渋滞ができるところもでてきたよ」。余裕で流れていた道路が夜中に向けて走るトラックで渋滞する。そんな変化を話すのは、東武東上線若葉駅から埼玉県川島町の物流施設に向かう際に乗ったタクシーの運転手だった。
----職はない、ヒトもいない、あるのは田畑や山ばかり──。そんな何の変哲もない日本の地方都市が、圏央道を中心にカネを生む大動脈へと変わった。
----ただ、最近は圏央道物流施設はやや供給過多になりつつある。不動産サービス大手CBRE(東京・千代田)によると、圏央道沿いの物流施設の空室率は7~9月期、23%まで高まった。今後、開発が遅れていたつくばエリアでの施設の竣工、建設が相次ぎ、さらに供給過剰感が増す。

ネット通販拡大でサービス競争
----物流業界にあって、取扱量が急増しているのが、「宅配便」だ。2015年度の宅配便取扱個数は3.6%増の37億4493万個だった。今年度に入っても増加は続いており、ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸、佐川急便、日本郵政(6178)傘下の日本郵便の大手3社が16年4~9月に扱った宅配便の個数は17億4541万個で前年同期に比べて5%増えた。
----背景にはインターネット通販の普及がある。実際、物流施設で仕分けられる荷物をみていると、大手通販業者のロゴの箱や紙袋が目に付く。
----ネット通販の拡大は物流業界にどんな変化をもたらしているのか。物流業界に詳しい神奈川大学の斉藤実教授は「消費者に届ける『ラストマイル』を踏まえた物流センターの立地、機能が重要になっている」と指摘する。大消費地に近く、高速道路網を活用して広いエリアをカバーできる圏央道はまさにうってつけの場所というわけだ。
(日経ヴェリタスセレクト)

◇相模原に国内最大級の物流倉庫 シンガポール大手が計画
----国内各地で大型物流施設の建設が相次いでいる。インターネットによる通信販売の充実が進み、立地の良さに加えて工場機能なども集約できるため、利便性が高い大型施設の需要が高まっている。
 神奈川県相模原市には2022年、東京ドーム14個分の広さの物流倉庫が開業予定だ。シンガポールの物流大手グローバル・ロジスティック・プロパティーズの日本法人が27日、計6棟の計画を発表した。総床面積約65・5万平方メートルは国内最大級。総事業費は約1330億円で、運送会社などに貸すとみられる。
(朝日新聞)




以下引用



日本経済新聞 2016/11/22付
物流施設 大競争時代(上)大量供給、空室率上昇招く


テナント確保へ質向上
 国内の大型物流施設大競争時代に入った。インターネット通販市場の拡大で物流施設の需要は堅調に推移しているものの、施設の大量供給により空室率の上昇も招いている。建物を造れば即入居という「全入時代」は幕を閉じつつあり、テナントのきめ細かなニーズにいかに対応できるかが生き残りのカギを握る。
「入居が決まるまで少し時間がかかっている物件もある」。米系デベロッパー、プロロジス(東京・千代田)の山田御酒社長は話す。1月に完成した「プロロジスパーク吉見」(埼玉県吉見町)の入居内定は6割程度。年内にはめどをつけたい考えだが「近隣で想像以上に供給がある」と危機感を募らせる。
 物流施設の大量供給の背景にあるのが消費者向け電子商取引の拡大だ。経済産業省のまとめによると2015年の市場規模は13.7兆円と5年でほぼ倍増。取扱量の増加に対応し延べ床面積が1万平方メートルを超える施設の建設が相次いでいる。
 不動産サービス大手、ジョーンズラングラサール(JLL、東京・千代田)によると16年の首都圏の新規供給面積は107万8000平方メートルと15年比7%増の見込み。17~18年も年間100万平方メートルを超える新規供給が続くという。
 既に空室率は上昇している。CBRE(東京・千代田)の調査では首都圏の大型物流施設の9月末の空室率は9.1%と、前回調査(6月末)に比べて0.2ポイント上がった。上昇は4四半期連続で5年9カ月ぶりの高水準だ。日本ロジスティクスフィールド総合研究所(東京・中央)の辻俊昭社長は「供給増のペースは速すぎる」と指摘する。
 「買い手市場」を映し、テナント企業の施設を選別する目も厳しくなっている。
 倉庫事業などを展開する初村第一倉庫(福岡市)の初村正章社長は「近隣に複数の施設があるが、条件をじっくり吟味して新たに借りる物件を決めることができた」と話す。JLLのリサーチ事業部マネージャー、伊藤翔氏は「賃料水準が低い郊外での供給増もあり、テナントの選択肢が広がった」と指摘。募集賃料から5%程度安く成約する例も出ているという。
 米アマゾン・ドット・コムなど自前で物流センターを構え、独自のノウハウでデベロッパーに頼らない物流システムを構築する動きも増えている。このため危機感を募らせ、対策を講じるデベロッパーも出てきた。
 大和ハウス工業は千葉県流山市で耕作放棄地を取得した。「資金を温存して、入札案件といった投資に備えることができる」(浦川竜哉常務執行役員)
 プロロジスは都心から離れ、利便性が高くないとされた茨城県古河市に化学品の輸送や保管、配送事業を手掛ける日立物流ファインネクスト(東京・江東)専用の物流施設「プロロジスパーク古河2」を起工した。「1社専門の施設だと収入が安定する」(山田社長)という。シーアールイーは延べ床面積が660平方メートルよりも狭い施設も展開するなど、施設規模を多様化している。
 JLLは20年末の首都圏の大型物流施設の賃料を3.3平方メートルあたり月4364円と予測している。施設が増え始めた07年と比べると8%安く、リーマン・ショック前を下回る水準だ。「これからは質の競争になる」(大和ハウス工業の浦川氏)との声も多く、大型物流施設の淘汰の足音が聞こえ始めている。
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日本経済新聞 2016/11/23付
物流施設 大競争時代(下) 作業省人化へ投資拡大 時給の上昇 効率化迫る


 「物流施設では労働集約型モデルが限界にきており、装置産業型への転換期を迎えている」
 今夏から物流施設内の搬送用ロボット「バトラー」の販売を始めたGROUND(東京・江東)の宮田啓友社長は強調する。「バトラー」はインドの物流施設向けロボット開発ベンチャー、グレイオレンジによる商品棚の搬送機。人工知能(AI)を駆使して入出庫データを解析し、優先順位をつけて商品の棚を作業場所まで自動搬送する。
 専用棚も必要となるため初期投資として1億円程度は必要だが、宮田社長は省人化や作業効率化で「3年程度で回収可能」という。本格販売はこれからだが、将来は物流施設内で複数のテナントが「バトラー」を共有する「物流版シェアリングエコノミー」を目指す。
 ニトリホールディングスは川崎市東扇島の発送センターにノルウェー企業が開発した倉庫システム「オートストア」を導入した。商品が入った専用コンテナ上をロボットが水平方向に動く。ロボットがコンテナを上下に動かして取り出し、従業員に届ける。繁忙期では発送センターで働く1日に必要な人員を25%減らせるという。
 インターネット通販では昼夜を問わず注文が入り、迅速な配送が求められる。一方で人件費は上昇し作業効率化は必須。人手不足解消とコスト削減を図るため、省力化への投資は拡大している。
 日本物流システム機器協会(東京・中央)によると、2015年度の物流施設向け機材の売上高は4211億円と前年度に比べ2割増えた。同協会によると、16年度も増加傾向にあるという。
 「仮想倉庫」という仕組みづくりに取り組むのはアビームコンサルティング(同・千代田)。人員配置や作業編成は工程管理者の勘や経験に頼っているのが現状だが、同社では全体の工程をシミュレーションして入居テナントごとの最適解を出す。来年にも販売に乗り出す計画だ。
 不動産サービス大手、CBRE(同・同)の小林麿・インダストリアル営業本部本部長は「コスト削減は、消費地に近いなど立地条件の良い施設への入居を可能にする」と話す。スピード配送など消費者へのサービス内容が向上すれば、業績拡大にもつながる。
 リクルートジョブズによると、三大都市圏(首都圏、関西、東海)の物流作業員の10月のパート・アルバイト募集時平均時給は984円と前年同月比2.7%上がった。上昇幅は全業種よりも大きい。生産人口が減っている現在、人手不足が解消する見込みは少ない。
 デベロッパー大手、ESR(東京・港)の共同創設者兼最高経営責任者、スチュアート・ギブソン氏は「物流は経済の血管」と表現する。血流を滞らせないためにも省人化や自動化の流れは止められない。
 斎藤公也が担当しました。
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日経ヴェリタスセレクト 2016/11/27 5:30
圏央道、カネ生む大動脈に 日本の物流を変革


地方の雇用創造
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO09985350W6A121C1K15200/
 東名高速・東北道・関越道を受け止め、首都圏を弧で囲む圏央道。本格稼働から1年たち、沿線は最先端の物流基地に変貌した。宅配便が急増する中、日本経済を支える大動脈の現場を歩いた。
 「クルマの流れが変わった。夕方には渋滞ができるところもでてきたよ」。余裕で流れていた道路が夜中に向けて走るトラックで渋滞する。そんな変化を話すのは、東武東上線若葉駅から埼玉県川島町の物流施設に向かう際に乗ったタクシーの運転手だった。

■木更津から茅ケ崎まで
 景色を一変させたのは首都圏中央連絡自動車道(圏央道)だ。1980年代から計画が進められ、2015年10月に東北道と関越道がつながり、本格的に稼働し始めた。日本の大動脈を受け止め、東京を中心に半径40キロメートルの郊外でぐるりと弧を描く。千葉県木更津市から神奈川県茅ケ崎市まで1都3県を結ぶ。
 倉庫街といえば海辺や河辺が多かったが、いまは内陸の圏央道沿いが注目されている。「賃料とのバランスを考えるとメリットが高い」と埼玉県吉見町に拠点を構える日本ロジテム(証券コード9060)の島森憲之執行役員は話す。同社はここで加工食品メーカーの関東圏での物流を一手に担う。
 施設内は商品の山。その一角に、加工前の原材料も積まれていた。製造以外の部分をできるだけ外部に出したいメーカーの需要をくみ、物流会社は原材料を保管するスペースも提供する。消費地である首都圏に約1時間で商品を運べる圏央道はうってつけの幹線なのだ。
 「もう撮り直さないとね」。神奈川県内陸工業団地協同組合の山本健三常務理事は、応接室に貼られた10年前の工業団地の空撮写真を見ながらこう語る。厚木市と神奈川県愛川町にまたがる230万平方メートルの団地は、自動車産業など日本のものづくりを支えてきた。圏央道にほぼ隣接する地の利のよさからここ数年は物流拠点として注目され、三井不動産(8801)の物流施設などが相次ぎ登場した。「いまだに空き地はないかと物流業者からの打診が後を絶たない」(山本常務理事)
 その一角でひときわ目立つ巨大なセンターがヤマトホールディングス(9064)のヤマト運輸の厚木ゲートウェイだ。11月のある平日の午後。同社の拠点のなかでも最大級の規模を誇る大型物流施設のなかに足を踏み入れた。
 実際に住宅に配達するスタッフは圧倒的に男性が多いが、物流施設では女性とシニアが中心となって、インターネット通販業者から大量に送付された荷物の仕分け作業にあたっていた。飲料のケースなど重そうな荷物が多いが、女性2人の作業員がてきぱきとこなしていた。重労働ではないか尋ねると「そうでもない」とにこやかに笑う。1人の女性は約15年も仕分けをしているという。
 同施設は13年8月に稼働した。1日当たりの荷物の取扱量は3年余りで当初の2倍の40万個強まで増えた。ネット通販の拡大に加え、圏央道の開通で高速道路網とつながったことが大きい。「性別や年齢にとらわれず、とにかく働き手を確保したい」。物流量の拡大、人手が追いつかないくらいだと柿沼貴良ゲートウェイ長は危機感を隠さない。
 ゲートウェイに隣接するのは日立物流(9086)傘下の自動車部品物流、バンテック(川崎市)の物流拠点だ。厚木営業所の柳原潤所長は「この2~3年よくなかった荷動きが戻ってきた」と晴れやかな表情を見せる。
 主要取引先である日産自動車(7201)が今秋、小型車「ノート」の生産を九州から追浜工場(神奈川県横須賀市)に切り替えたためだ。九州では北米向け多目的スポーツ車(SUV)などの生産に忙しくなった。首都圏での需要が多い「ノート」の生産を、余裕のある追浜に移した。九州から完成車を運ぶよりもコストも時間もかからない。“地産地消”効果でバンテックを出入りするトラックの台数は「5~10%は増えた」(柳原氏)。

■カフェ併設、人手確保に力
 職はない、ヒトもいない、あるのは田畑や山ばかり──。そんな何の変哲もない日本の地方都市が、圏央道を中心にカネを生む大動脈へと変わった。
 9月に竣工した「GLP狭山日高2」は、シンガポールの物流施設開発会社、グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(GLP)が手掛けた最新の物流施設だ。
 免震構造など、いくつもの最新技術を施した施設だが、中でも最大の売りとして「都心のカフェのような食堂を用意した」と山後正憲ヴァイスプレジデントは胸を張る。カフェは最上階にあり、晴れた日には東京スカイツリーも見える。眺望は最高だ。
 実はこれが、日本全体が抱える問題でもある労働力不足の解消策の一手だという。「競合はショッピングモール」で、互いに地元の人材を奪い合っている。商業施設に比べて「きつい・きたない・危険」の3Kの印象がある分、不利な物流業界で職場環境の良さをアピールする。最寄り駅から送迎のためのシャトルバスを出すなど、施設側はあの手この手で人の確保を急ぐ。
 物流拠点としての圏央道の潜在力をいち早く見いだしたのは、米系物流施設開発会社、プロロジスだ。同社は積極的な投資を続け、法人向けの賃貸用大型物流施設を建設する。11年に竣工したプロロジスパーク川島(埼玉県川島町)が圏央道沿いの物流ブームの火付け役といわれる。「当初はこんなところにつくるのか、と社内でも業界でも笑われた」と森田大輔開発部部長は振り返る。
圏央道(奥)周辺にはプロロジスパーク川島(手前)などの物流施設建設が相次ぐ(埼玉県川島町)
 だが、首都圏へおよそ1時間のこの場所からなら、注文の翌日、時にはその日のうちに商品を手にしたいという消費者の要求の高まりにも対応できる。化粧品や食料品の企業物流も、ネット通販の拠点としても倉庫はフル稼働しており、常時700人が働く雇用の受け皿にもなった。

■空室率上昇、供給過剰感も
 自治体も圏央道を中心とした地域活性化に積極的だ。「働く場所が地元で確保できるのは大きい」と埼玉県日高市の谷ケ崎照雄市長は期待を寄せる。物流施設だけではない。道路を起点としたにぎわいをきっかけに「市内でのイベントに静岡ナンバーの車が目立つようになった」と経済圏の広がりをも実感する。
 ただ、最近は圏央道の物流施設はやや供給過多になりつつある。不動産サービス大手CBRE(東京・千代田)によると、圏央道沿いの物流施設の空室率は7~9月期、23%まで高まった。今後、開発が遅れていたつくばエリアでの施設の竣工、建設が相次ぎ、さらに供給過剰感が増す。
 急速に膨らむネット通販を背景に、物流倉庫という新しい用途でヒトを集め、雇用や経済的な価値を生み出したその次は──。停滞する地方の眠れる宝を掘り起こすヒントがありそうだ。

■東名阪、即日配達が可能に
 モノの動きは「経済の体温計」によく例えられる。「体温計」から分かる日本経済の現状を見てみよう。
 まずは全体の物量だ。国土交通省によると、国内貨物輸送量(トンベース)は1991年度にピークの66億7923万トンとなってから減少に転じた。日通総合研究所(東京・港)が試算した2016年度の国内貨物輸送量は前年度比0.8%減の46億6010万トンで、1991年度の7割の水準にとどまる。バブル崩壊後の経済の停滞に加え、国内のインフラ投資が一巡し、重量がかさむ建設関連資材の輸送が減った影響が大きい。
 そんな物流業界にあって、取扱量が急増しているのが、「宅配便」だ。2015年度の宅配便取扱個数は3.6%増の37億4493万個だった。今年度に入っても増加は続いており、ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸、佐川急便、日本郵政(6178)傘下の日本郵便の大手3社が16年4~9月に扱った宅配便の個数は17億4541万個で前年同期に比べて5%増えた。

■ネット通販拡大でサービス競争
 背景にはインターネット通販の普及がある。実際、物流施設で仕分けられる荷物をみていると、大手通販業者のロゴの箱や紙袋が目に付く。
 経済産業省によれば、15年度の国内の消費者向け電子商取引(EC)の市場規模は前の年度に比べ7.6%増の13兆7746億円に拡大した。消費者向け商取引全体に占めるECの比率は4.75%で右肩上がりのトレンドが続いている。米国ではECの比率がおよそ8%に達しており、日本でもまだまだネット通販の成長が期待できそうだ。
 ネット通販の拡大は物流業界にどんな変化をもたらしているのか。物流業界に詳しい神奈川大学の斉藤実教授は「消費者に届ける『ラストマイル』を踏まえた物流センターの立地、機能が重要になっている」と指摘する。大消費地に近く、高速道路網を活用して広いエリアをカバーできる圏央道はまさにうってつけの場所というわけだ。
 ネットで注文した商品を、すぐに手にしたい──。そんな消費者の要望に応えるべく、通販業界では即日配送がキーワードになっている。アマゾンジャパン(東京・目黒)が昨秋以降、1時間以内の配送の拡大に動いているほか、楽天も昨夏、食品や日用品を最短20分で配達するサービスを都内の一部で展開し始めた。
ネット通販拡大が物流の変化を生んだ(ヤマト運輸の厚木ゲートウェイ)
 ヤマトHDは9月、愛知県豊田市で大型の物流拠点「中部ゲートウェイ」を稼働させた。厚木ゲートウェイや羽田クロノゲート(東京・大田)と連携し、東京―名古屋間の配送でも即日配達が可能になった。来年には大阪府茨木市でも大型の物流拠点を立ち上げ、東名阪での即日配達を可能にする。日本郵便も全国で大型の物流拠点を立ち上げ、輸送効率の向上にかじを切る。利便性を追求する消費者の要求が有る限り、宅配便の利用はまだまだ増えていきそうだ。

■REITも熱視線
 圏央道に注目するのは物流会社やメーカーだけではない。上場する不動産投資信託(REIT)にとっても物流施設は今や打ち出の小づちだ。
 みずほ証券の集計によると、2016年1~10月にREITは物流施設を計1540億円程度(新規上場に伴う取得分は除く)取得した。前年同期を7%上回る。同社の石沢卓志上級研究員は「オフィスビルは優良物件の不足が深刻になっており、物流などが物色されている」という。
 特に首都圏への交通アクセスの良い圏央道周辺の施設は優良物件だ。
 物流特化型REITのGLP投資法人(3281)が9月、112億円で取得したのが、左記の川島インターチェンジ(IC)に近くの施設。「北陸および東北地方への広域配送拠点として注目を集めるエリア」(同法人)だ。日本プロロジスリート投資法人(3283)も3月に圏央道の桶川加納ICに近い施設を126億円で取得した。富士経済は電子商取引の市場は2017年には7兆2272億円と14年比2割増を見込む。

■長期契約で賃料収入安定
 陰りが見えてきたREITだが、GLPやプロロジスRといった物流REITの投資口価格(株価に相当)は、東証REIT指数を上回って推移している。8月に新規上場した三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471)の投資口価格は初値を一度も下回っていない。テナントと長期で賃貸契約を結ぶため、オフィスや商業施設などと比べて賃料収入が安定しているという点も投資家をひき付ける。

■交通量から景気が見える
 物流が膨らめばマネーも動く。「法人住民税140億円増、固定資産税50億円増」。国土交通省は9月、圏央道の開設による5年間の税金増収効果をこう試算してみせた。
 圏央道を歩き、何台ものトラックを目にしていたとき、ふとある日銀OBが幹部時代に教えてくれた言葉を思い出した。「景気を読む時はそこの首都高速道路を走っているトラックを数えればいいと若手にいっているんだ」
 物流は景気に敏感に反応する。エコノミストたちはそこから経済活動を読み解こうとしてきた。かつて国交省が月次で公表していた陸海水運の動向を示した「輸送指数」は、四半期ごとの国内総生産(GDP)成長率を予測する上で重視されてきた。中国でも、経済活動を把握するために様々な指標を合成して作られていた「李克強指数」で、鉄道貨物輸送量が使われていた。
 第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは2009年末に輸送指数が廃止されてからは、非製造業の生産状況をまとめた統計「第3次産業活動指数」に注目する。この統計の運輸業の項目がある程度、GDP成長率と連動しているという。前年比増減率は、14年4月の消費税引き上げ後の低迷から横ばいが続き、足元でやや持ち直してきたことから「日本経済は今後も緩やかな成長が続く」と読む。
 「高速道路の交通量やカーナビのデータなどが活用できるようになれば、もっと早く的確に物流状況を把握し、経済予測につなげられる」と永浜氏はいう。圏央道は全国につながる。この動向がわかれば、日本経済の健康状態がすぐさまわかるといえそうだ。
秋山文人、菊池貴之、栗原健太が担当した。
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朝日新聞 2016年12月28日15時28分
相模原に国内最大級の物流倉庫 シンガポール大手が計画


物流倉庫の完成イメージ=グローバル・ロジスティック・プロパティーズ提供
 国内各地で大型物流施設の建設が相次いでいる。インターネットによる通信販売の充実が進み、立地の良さに加えて工場機能なども集約できるため、利便性が高い大型施設の需要が高まっている。
 神奈川県相模原市には2022年、東京ドーム14個分の広さの物流倉庫が開業予定だ。シンガポールの物流大手グローバル・ロジスティック・プロパティーズの日本法人が27日、計6棟の計画を発表した。総床面積約65・5万平方メートルは国内最大級。総事業費は約1330億円で、運送会社などに貸すとみられる。
 物流施設の大規模化は、分散した工場と倉庫を集約し、作業効率が良くなる利点がある。ある物流施設の担当者は「ネット通販で宅配便数は増えており、オフィス、商業、ホテルに次ぐ不動産規模になる」と期待する。
 道路交通網の整備とも連動している。相模原の施設は首都圏を環状で結ぶ圏央道に近い。大和ハウス工業が今月着工した岩手県北上市の施設は東北道へのアクセスが売りだ。関西圏でも好立地の施設が増えた。
 圏央道は、茨城県区間が来年2月に全線開通する。石井啓一国土交通相は20日の記者会見で「沿線にある約1600の大型物流施設で生産性向上が期待される」と述べた。


アジア エックス 2016年12月28日
物流施設運営のGLP、日本最大規模の物流団地を建設へ
〈シンガポール〉
シンガポール政府投資公社(GIC)が筆頭株主のグローバル・ロジスティック・プロパティーズ(GLP)は相模原の土地を取得、物流団地「GLP相模原」を建設する。事業費は1,330億円を予定している。
 用地面積は約29万5,000平方メートルで、6棟からなる延べ床面積65万5,000平方メートルの団地を開発する。国道16号線、129号線へのアクセスが容易で、2020年以降に着工、2022年から順次竣工する予定。
GLP日本法人の帖佐社長は、「この地域の物流に対する需要の高さなどを考慮し、用地取得を決定した」と語った。
 GLPグループは、中国、日本、ブラジルおよび米国でも物流施設を運営しており、延べ床面積は計5,200万平方メートルにのぼる。最近の活動では、基金額6億2,000万米ドル(約730億円)の投資ファンドを組成した。先行き3年間で15億米ドル(約1,760億円)の投資を行う予定。
GLP日本法人は、北海道から九州まで96件の物流施設を運営しており、関東圏にはGLP厚木、厚木2を含め56件の施設がある。


日刊建設工業新聞  [2016年12月28日5面]
GLP/相模原市で国内最大の物流施設開発へ/用地取得、6棟総延べ65・5万平米
 ◇22年から順次竣工
 グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(GLP、東京都港区、帖佐義之社長)は、相模原市に国内最大規模の先進的物流施設「GLP相模原プロジェクト(仮称)」を建設する。約29万5000平方メートルの建設用地を取得した。建物は6棟で構成し、総延べ65万5000平方メートルの規模を想定。20年以降に着工し、22年から順次竣工する予定。総開発コストは1330億円を見込んでいる。
 建設地は公表していないが主要幹線道路の国道16号と129号からのアクセスに優れた立地としている。現在は前土地所有者の施設が残っている状況。
 計画によると、マルチテナント型施設を4棟、ビルト・トゥー・スーツ(BTS)型施設を2棟建設する。同社は周辺の座間市、綾瀬市、愛川町などにも大型物流施設を展開しているが、相模原市には初進出となる。
 計画地は首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の相模原愛川インターチェンジ(IC)、相模原ICからも近く、首都圏の広域をカバーできる。東名高速や中央道を経由することで首都圏と中部・関西圏の結節点にもなることから、一帯には多くの物流企業が進出している。
 帖佐社長は「この地域の物流に対する需要の高さや人材雇用の優位性などから進出を決めた。物流のプライムエリアに希少性の高い広大な用地を確保できた。GLP流山プロジェクトを上回る規模。大規模かつ最適な物流ソリューションを提供していく」とコメントした。
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