2016-12-31(Sat)

過労死対策 電通社長辞任へ 過重労働一掃の契機に

企業経営者への強い警鐘だ 「残業文化」は通用しない 慣習や意識の変革こそ

<各紙社説・主張>
読売新聞)電通社長辞任へ 企業経営者への強い警鐘だ(12/30)
毎日新聞)電通社長辞任へ 過重労働一掃の契機に(12/30)
日本経済新聞)トップ辞任に及んだ過労自殺 (12/30)
産経新聞)電通社長辞任へ 「残業文化」は通用しない(12/30)
信濃毎日新聞)電通書類送検 慣習や意識の変革こそ(12/30)




以下引用



読売新聞 2016年12月30日 06時02分
社説:電通社長辞任へ 企業経営者への強い警鐘だ


 大手広告会社・電通の過労自殺問題は、社長の辞任表明に発展した。過重労働は、経営者が責任を問われなければならない重大事案であることを浮き彫りにした。
 石井直社長は記者会見で、「120%の成果を求め、仕事を断らない矜持もあった」と述べ、電通特有の企業風土が過重労働を招いたとの認識を示した。「経営陣が歯止めをかけられなかった」と、自らの責任を認めた。
 電通では、過去にも社員が過労自殺している。近年も、違法な長時間残業で相次ぎ労働基準監督署の是正勧告を受けた。その後、「ノー残業デー」を設けるなどの対策を取ったものの、新たな悲劇を防げなかった。
 経営陣が、職場の実態を十分に把握し、本気で変革に取り組んだとは、到底言えまい。
 昨年末に新入社員の高橋まつりさんが過労自殺した問題で、東京労働局が法人としての電通と幹部社員1人を労働基準法違反容疑で書類送検した。これにより、石井社長は辞任に追い込まれた。
 11月の強制捜査から2か月足らずでの早期立件である。日本の著名企業で過重労働が常態化していたことに対する当局の危機感の表れと言えるのではないか。
 労使協定で決めた残業の上限を超えて高橋さんらを働かせた上、勤務時間を上限内に収まるよう過少申告させていた疑いがある。同様の例は複数見られ、労働局は労務担当役員ら上層部の立件も視野に入れ、捜査を続ける。
 徹底的に全容を解明し、再発防止につなげてもらいたい。
 高橋さんは、母子家庭で育ち、東大から電通に入った。「夢に向かって努力を続けてきた」「生きて社会に貢献できることを目指していた」。命日を前に母親が公表した手記につづられている。
 若い社員の夢と希望を断ち切った電通の罪は重い。
 電通だけの問題ではない。10月に公表された初の過労死白書によると、過労死ラインとされる月80時間超の残業があった企業は23%に上る。他の企業経営者も重く受け止める必要がある。
 長時間労働の是正は、政府の「働き方改革」の柱だ。社員が疲弊すれば、生産性も低下する。
 業務量を変えないまま、残業を禁じるだけでは、仕事を持ち帰る社員を増やす結果になる。受注する仕事の量や内容を精査し、社員に無理を強いずに業績を上げる。そのために、知恵と工夫を凝らすのは経営者の責務である。
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毎日新聞2016年12月30日 東京朝刊
社説:電通社長辞任へ 過重労働一掃の契機に


 一人の新人社員の過労自殺が大企業のトップを辞任に追い込むことになった。長時間労働が横行している会社は相変わらず多いが、社員の命の重さを自覚し、過労死・過労自殺の一掃へ取り組むべきである。
 広告代理店最大手・電通の新人社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が過労自殺した問題で、東京労働局は高橋さんの上司と同社を労働基準法違反の疑いで書類送検し、これを受けて石井直社長が辞任することを表明した。
 「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは」。電通の行動原則である「鬼十則」には過重労働を促す文言が並ぶ。社員は入社直後から長時間の残業を余儀なくされることが多く、高橋さんの残業時間も過労死ライン(月80時間)を大きく超える105時間だったと労働基準監督署は認定した。
 電通ではこうした違法残業が常態化している疑いがあるとして、各地の労働局が11月に全国の本支社を家宅捜索した。同社は過去にも若い社員が過労で自殺し、2010年、14年、15年に労基署から長時間労働の是正勧告を受けている。上層部への捜査は越年して継続されるが、改善されない企業体質には徹底してメスを入れるべきだ。
 電通だけでなく、社員教育や業績アップのためには厳しい長時間労働も必要と考える経営者や幹部社員は多い。
 音楽・映像ソフトの製造販売会社「エイベックス・グループ・ホールディングス」は長時間残業や時間外の割増賃金の不払いで今月、労基署から是正勧告を受けた。松浦勝人社長は「時代に合わない労基法なんて早く改正してほしい」とブログで主張し、物議をかもしている。
 企業トップの意識や労務管理のあり方が根本的に変わらない限り、社員を追い詰める長時間労働は改善できないだろう。
 厚生労働省は労基法違反を繰り返した企業名の公表対象を拡大し、違法残業時間を「月100時間超」から「月80時間超」に引き下げ、労基署の指導を受けても改善しなければ公表することを決めた。
 サービス残業をなくすため、企業に社員の労働時間を正確に把握させる仕組みも導入する。
 現在も労働時間は週40時間と法で定められているが、労使で「36(さぶろく)協定」を結べば時間制限を外すことができる。相反するダブルスタンダード(二重基準)を許してきた責任は政府にもあるのだ。
 「働き方改革」の長時間労働是正の議論は年明けから本格化する。抜け道を許さないような労働時間の規制が必要だ。
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日本経済新聞 2016/12/30付
社説:トップ辞任に及んだ過労自殺


 昨年12月に電通の女性新入社員、高橋まつりさんが過労自殺した問題で、石井直社長が辞任することになった。過重労働の把握と是正は経営者の責任であることを示したといえる。ほかの企業も警鐘と受け止めるべきだ。
 厚生労働省東京労働局は、労使協定の上限を超える違法な残業をさせた疑いで、高橋さんらの上司だった幹部と電通を書類送検した。石井社長の辞任はその責任をとってのものだ。
 過重労働を放置し、自殺にまで追い込んでしまう組織は異常である。電通では1991年にも入社2年目の男性社員が過労で自殺し、最高裁が2000年に会社の責任を認めている。企業風土などの面で根深い問題があると考えざるを得ない。
 違法な長時間労働は全社的に広がっていた疑いも持たれており、東京労働局などは10月に同社本社と3支社、子会社5社を立ち入り調査した。電通が的確な対策を立てるためにも、過重労働の実態の究明を急いでほしい。
 長時間労働は電通に限った問題ではない。厚労省が10月にまとめた過労死白書によると、2割を超える企業で、過労死の労災認定の目安となる月80時間を超える残業があった。
 仕事の仕方の見直しは待ったなしの課題だ。不要な業務がないか、企業は点検を求められる。日本の正社員は欧米に比べ職務内容が不明確で、これが長時間労働の温床になっているともいわれる。職務の明確化も考えたい。
 労働時間ではなく成果の対価として賃金をもらう「脱時間給」制度の創設や、仕事の時間配分を本人が決められる裁量労働制の拡大は、メリハリのきいた働き方を広げることにつながろう。
 日本は残業時間への規制が緩く、これを見直す必要はある。しかし基本は、労働生産性を上げることで働く時間を短くするという考え方だ。企業も政府も、どうすれば生産性が上がるかという問題意識で対策を考えるべきだ。
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産経新聞 2016.12.30 05:03
【主張】電通社長辞任へ 「残業文化」は通用しない


 広告大手、電通の新入女性社員が昨年末に過労自殺をした問題で、厚生労働省が違法な長時間残業をさせた労働基準法違反の疑いで、法人としての電通と、女性社員の上司だった幹部社員1人を書類送検した。
 これを受け、石井直社長は来月に引責辞任すると表明した。同社は以前にも若手社員が過労自殺をしたほか、長時間労働で何度も是正勧告を受けていた。
 横行する違法行為を放置してきたことが、経営トップの辞任に発展した。あらゆる企業が厳しく受け止めるべき事態である。
 働く人の心身の健康を損なう過重労働は、なくさなければならない。その背景にあった残業文化を排し、効率的な働き方によって生産性を高めることが必要だ。問われているのは、経営者自らの意識改革である。
 送検された電通幹部は、違法な残業をさせたうえ、勤務時間を過少申告させた疑いも持たれている。家宅捜索から1カ月半という早い段階での立件は、悪質性に加え、長時間残業に対する厳格な姿勢を示したものと受け取れる。
 違法労働が全社的に広がっていた可能性もあるとみて、役員ら上層部の関与の有無を調べる捜査は継続される。
 石井社長に対する直接の事情聴取も行われたという。社長は会見で「過重労働を許す風土があった。全責任を取る」と述べた。
 日本を代表するような大手企業といえども、法令を順守した労務管理が徹底されなければ、トップの経営責任に直結する。そういう時代を迎えたとの認識が要る。
 少子高齢化に伴い、都市部などの人手不足は深刻化している。今後、賃金や勤務時間をめぐり、従業員の待遇向上に取り組まない企業に優秀な人材は集まらない。まして、社員を「使い捨て」にするブラック企業は生き残れまい。
 電通は何度も是正勧告を受けていた。だが、事実は公表されなかった。厚労省は今後、違法な長時間残業などを強いる企業の社名を積極的に公表するという。悲劇を繰り返さぬため、労働実態の監督も強めてもらいたい。
 「働き方改革」を掲げる安倍晋三政権は、長時間残業の解消に向け、労働時間の上限規制の強化を検討している。産業界の反発は根強いが、労働者保護の観点で実効性ある対策を講じるべきだ。
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信濃毎日新聞 (2016年12月30日)
社説:電通書類送検 慣習や意識の変革こそ


 問われるのはこれからと考えるべきだ。
 広告大手電通の女性新入社員が過労自殺した問題である。東京労働局が法人としての電通と女性の当時の上司に当たる幹部1人を、労働基準法違反の疑いで書類送検した。
 労使協定で定めた上限を超える残業を女性ら2人にさせ、勤務時間も過少申告させた疑いだ。
 労務管理は悪質だった。
 1991年にも、入社2年目の男性社員が過労自殺した。遺族は提訴して、電通が1億6800万円を遺族側に支払って和解。女性新入社員が自殺するまでの約10年間で、違法残業の是正勧告を5回受けていたことも分かった。
 それでも長時間労働を当然視する体質は変わらなかった。30人以上の社員が違法な残業を強いられ、100時間以上過少申告していたことも分かっている。会社の組織的な関与を含め、全容を明らかにしなければならない。
 再発防止に必要なのは、何よりも意識改革である。
 電通社員の心構えを示す「鬼十則」が象徴的だ。「取り組んだら放すな、殺されても放すな」などの言葉が並び、新入社員は暗記するよう求められていた。
 石井直社長は記者会見で来年1月の辞任を表明し、「この問題があってから、時代に合わなかったりする表現があったと認識した」と述べている。旧態依然とした体質に経営陣も漬かっていた責任は大きい。
 電通は女性新入社員の遺族の「命より大切な仕事はない」という言葉と向き合い、一から企業風土をつくり直す必要がある。
 捜査は異例のスピードだった。女性の労災認定から3カ月、家宅捜索から1カ月半である。通常なら強制捜査から立件まで半年から1年かかるとされる。
 立件を急いだのは、長時間労働を批判する世論が高まったことに加え、働き方改革を進める政府が、一罰百戒の意味を込めたと考えられる。
 長時間労働は電通だけの問題ではない。15年度に労災認定された過労死は96件、過労自殺(未遂含む)は93件と高止まりが続いている。政府は労基法の改正などを含めた長時間労働の是正策を検討中で、来年3月に方針をまとめる。
 制度を変えるだけでは違法な長時間労働はなくならない。労務管理への対応を誤れば、大企業でも屋台骨が揺らぐ。企業はそのことを強く認識して慣習や意識の改革に取り組み、従業員が働きやすい環境をつくっていく必要がある。
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