2017-01-05(Thu)

市場万能論からの脱却を 人間らしく働けるように

再生エネこそが切り札だ
----いま考えなくてはならないのは、人の顔が見える経済を取り戻すこと


「人間不在」の危うさ
----「新自由主義」がもたらした富の偏在と格差拡大を、「暮らし」の視点から変えたい。
それが社会の分断を修復する一歩になる。

----新自由主義は、市場の機能を万能視し、市場における選択を「自由の基礎」とする考え方である。
これを基にした経済政策が1990年代以降の米国経済の活力を生み、世界各国に広がっていったのがグローバル経済の本質だ。
 
その価値観の下、資本は国境を越え、より効率的に、より大きな利益を得られる市場に投資を集中させるようになった。
「選択と集中」の論理は、投資先に選ばれた場所に繁栄を、選ばれなかった場所に貧困を招いた。
 
新自由主義の危うさは、市場に判断を委ね続けているうちに、人の痛みや弱さに鈍感になってしまう点にある。
市場の要求に応えられない企業や人間が競争から脱落しても「それは仕方のないこと」と考える。
行き着く先が社会の分断だ。
(北海道新聞 社説)

北海道新聞)あすへの指針 人間らしく働けるように(1/5)
北海道新聞)あすへの指針 再生エネこそが切り札だ(1/4)
北海道新聞)あすへの指針 市場万能論からの脱却を(1/3)




以下引用



北海道新聞 2017/01/05 08:50
社説:あすへの指針 人間らしく働けるように


 48階建てビルの照明が次々と消えていく。周囲の高層ビルはまだ明るい光を放っている。そこだけぽっかりと空洞ができたようだ。
 東京・汐留の電通本社ビルで毎夜、繰り返される光景である。
 2016年9月、労働基準監督署が電通の新入社員の過労自殺を労災と認定した。その後、電通は本社ビルを午後10時に一斉消灯し、深夜残業を原則禁止している。
 厚生労働省は昨年末、違法な残業をさせていたとして、電通とその幹部を労基法違反の疑いで書類送検した。社長は引責辞任する。
 事件は電通のみならず、労働現場に大きな衝撃を与えた。
 折しも安倍晋三首相は「働き方改革」を掲げ、長時間労働の解消や、格差是正のために同一労働同一賃金の実現を表明している。
 仕事は生活を安定させ、人々に喜びをもたらすものだったはずだ。本当に働く人のためになる改革なのか、注視していかなければならない。
他の企業にも共通性
 電通の女性社員、高橋まつりさん=当時(24)=は15年のクリスマスの夜、東京都内の社宅から飛び降り、亡くなった。
 1日2時間、1週間に10時間しか睡眠時間が取れないこともあり、うつ病を発症した。
 「死にたいと思いながらこんなストレスフルな毎日を乗り越えた先に何が残るんだろうか」。会員制交流サイト(SNS)などで悲痛な叫びを発信していた。
 電通では25年前にも男性社員が自殺し、最高裁が過労自殺で企業(電通)の責任を初めて認める判決を下した。
 その教訓がまったく生かされなかったことになる。
 だが、これは電通だけの問題ではない。二つの事件で遺族側代理人を務めた川人博弁護士は「他の企業にも共通する問題がある」と語る。
 川人さんが特に指摘するのは「お客さまは神様です」に象徴される利益最優先の企業風土だ。
 取引相手の要求があればどんな無理な納期でもやる。徹夜も休日返上もいとわない。第3次産業ではそうした過剰サービスが当たり前になっているという。
「つくる」ことに喜び
 どうして働く現場で命まで削らなければならなくなったのか。
 東京と群馬県上野村を行き来し、労働や経済の問題を見つめてきた哲学者の内山節(たかし)さん(66)は「仕事の楽しさは自分で『つくる』ことにある」という。
 農家や職人は昔から自分で商品をつくってきた。企業の中にいても自分で考えてモノやサービスをつくり、消費者との関係や職場の人間関係をつくる。それが喜びにつながってきた。
 反対に工夫もなく、言われたままにやる仕事は、楽しくない。
 バブル崩壊以降「雇われることがつくることと結びつかなくなった」とみている。
 働く現場は荒れている。政府が次々と労働分野の規制緩和を進めたからだ。派遣労働の対象業種拡大や受け入れ期間の制限撤廃、裁量労働制の対象職種拡大…。
 グローバル化が進み、企業は安く解雇しやすい、調整が利く労働力を求めるようになった。
 その結果、いまや不安定な非正規雇用が全体の約4割にのぼる。
 表に出る過労死や自殺は「氷山の一角」とされる。政府が昨年初めてまとめた過労死白書によると、「過労死ライン」と言われる月80時間超の時間外労働を社員にさせた会社は2割にのぼる。
 労基法は労働時間の上限を週40時間と定めているが、労使協定を結べば残業が認められ、実質的には青天井だ。法規制が機能していないことは明らかである。
適切な規制が不可欠
 昨年末、長時間労働でうつ病を発症したとして労災認定を受けた東京都内の40代の女性は記者会見でこう語った。
 「奴隷としてではなく、人間として生きたかった。人間らしく働ける会社になるべきだ」
 女性は運送会社でトラック運転手として、長いときは1日20時間、月によっては残業時間が200時間を超えたという。
 働く人の暮らしと健康を守るためには、規制緩和の流れを押しとどめ、適切に規制することが不可欠だ。
 時間外労働に上限を設けることはもちろん、1日の勤務後、一定時間の休息をとることを義務づけるインターバル規制も一案だ。欧州でも導入している。
 同一労働同一賃金も、正規雇用の賃金を非正規に合わせるような改悪であれば、本末転倒である。
 こうした政策を待つまでもなく、企業は自ら働き方改革に取り組むべきだ。社員の意欲が高まれば、企業の持続的な成長につながる。それを忘れてはならない。
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北海道新聞 2017/01/04 09:00
社説:あすへの指針 再生エネこそが切り札だ


 地方が人やモノの供給源となって、都市に繁栄をもたらす。産業革命以来、多くの国が歩んできた道である。
 効率的かつ合理的なのかもしれないが、一方通行の流れは地方に疲弊をもたらし、都市との格差を拡大させてきた。
 6年近く前に起きた東京電力福島第1原発の事故は、こうしたシステムが限界に近づいていることを見せつけたともいえる。
 福島からの電力供給が止まった東京は大混乱に陥った。一方、原発と引き換えに国や電力会社が支払うカネで潤ってきた立地地域は、今も多くの住民が帰るに帰れず存続の危機に立たされている。
 原発で過酷な事故が起きれば、都市も地方も共倒れしかねない。
 原発の「安全神話」の上で成り立ってきた都市と地方の関係は、転換が迫られている。
悪循環繰り返す原発
 原発は1970年代に建設が本格化した。
 とりわけ集中したのが、福島県のほか、東京電力柏崎刈羽原発がある新潟県、関西電力高浜原発などのある福井県だ。核燃料サイクルの拠点の再処理工場などは青森県に集まった。
 いずれも、大都市と離れた人口の少ない地域にある。「迷惑施設」の建設は人口密集地を避けたい。そんな考えが政府や大手電力にあったのは確かである。
 原発立地地域には、多額の交付金で公共施設が建ち、下請け労働などの雇用も生み出された。
 しかし、地域の自立につながったとは言い難い。
 “カネのなる木”と言われた原発も、年数がたつとともにその効果は薄れてゆく。
 北海道電力泊原発のある後志管内泊村では、原発の資産価値が年を経て低下したことで固定資産税収入が減少した。これにより、水道料金の軽減など独自のサービスを縮小せざるを得なくなった。
 地域が原発に頼りすぎるがため、結果的に疲弊を招く悪循環である。こうした問題に向き合うことは、エネルギーの将来像を考える上で欠かせない。
やめるにやめられぬ
 福島の事故の後、国内では稼働原発がゼロになる状態が2度にわたって出現した。
 しかし、現在は定期検査中を含む3機が稼働中である。廃炉が原則のはずの40年超の老朽原発も動きだす見込みだ。
 驚くのは、政府と電力会社の前のめりな姿勢である。
 「原発依存度を可能な限り低減する」とした政府の方針と明らかに矛盾している。
 事故を起こした福島原発を巡って、政府は昨年末、廃炉・賠償などの対応に21兆5千億円かかるとの試算を示した。
 一般の原発でも耐用年数を迎えて廃炉にするのに多額の費用がかかる。もはや、原子力は安いエネルギーとは言えない。
 1兆円以上を投じた高速増殖原型炉「もんじゅ」はほとんど稼働することなく、廃炉が決まった。なのに政府は、核燃料サイクル政策を維持し、後継の高速炉をつくる考えを打ち出している。
 核燃料サイクルを放棄すれば、使用済み燃料を再処理工場で保管している青森県などの反発に遭う。だから「やめるにやめられない」。それが実相ではないか。
 実現性が乏しい事業に巨費を投じるのはやめるべきだ。
地域の宝物を生かす
 では、都市と地方が共存できるエネルギーをどう生み出すのか。
 酪農地帯のオホーツク管内興部町。「牛のふん尿は地域の宝物」と硲(はざま)一寿町長は力を込める。
 酪農家6戸から出る成牛560頭分の排せつ物を集め、町の施設で発酵させてメタンガスを取り出す事業が昨年始まった。
 ガスは農家の法人に売り、この法人が燃焼させて得た電気を北電に売却する。副産物は牧草の肥料や牛舎の敷料として酪農家に戻され、再利用が徹底している。
 町の人口3900人に対し牛は1万1千頭。すべての排せつ物を活用すれば、町内の電気をまかなえる計算だという。
 道内では、紋別市で森林資源の木質チップを使う国内最大級のバイオマス発電所が稼働するなど分散型電源が続々と誕生している。
 風力発電は、出力はあっても変動幅が大きいため、狭い地域で使うのに適していないとの課題が指摘されている。しかし、蓄電池の併設などで、拡大の道は開ける。
 気がかりなのは、政府が太陽光や風力でつくる電気の買い取り価格引き下げに動いていることだ。
 地域の雇用につながり、地球温暖化対策にもなる再生エネの普及の勢いを止めてはならない。
 エネルギーの安定供給と、地球温暖化対策。二つを同時に解決する糸口を再生エネに求めたい。
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北海道新聞 2017/01/03 08:50
社説:あすへの指針 市場万能論からの脱却を



 政府が発表する景気指標が改善しても、経済が良くなっている実感が湧かない。今年もそんなギャップが続きそうである。
 グローバル化した経済の下、一握りの「勝ち組」と多数の「負け組」の格差が、逆転不能なほどに広がっているのも一因だろう。
 「勝ち組」の代表が、日産自動車を再建に導き、現在は年間10億円を超す報酬を得ているカルロス・ゴーン社長(62)だ。
 先月には、日産傘下に入った三菱自動車の会長にも就任。三菱は全取締役の報酬総額の上限を30億円と3倍に増やして迎え入れた。
 一方、日産再建の過程では、「コストカッター」ゴーン氏の要求に応えられずに取引を打ち切られた部品メーカー、リストラ対象となった社員らの「負け組」も生み出されてきた。
 「新自由主義」がもたらした富の偏在と格差拡大を、「暮らし」の視点から変えたい。それが社会の分断を修復する一歩になる。
「人間不在」の危うさ
 新自由主義は、市場の機能を万能視し、市場における選択を「自由の基礎」とする考え方である。
 これを基にした経済政策が1990年代以降の米国経済の活力を生み、世界各国に広がっていったのがグローバル経済の本質だ。
 その価値観の下、資本は国境を越え、より効率的に、より大きな利益を得られる市場に投資を集中させるようになった。
 「選択と集中」の論理は、投資先に選ばれた場所に繁栄を、選ばれなかった場所に貧困を招いた。
 新自由主義の危うさは、市場に判断を委ね続けているうちに、人の痛みや弱さに鈍感になってしまう点にある。
 市場の要求に応えられない企業や人間が競争から脱落しても「それは仕方のないこと」と考える。行き着く先が社会の分断だ。
 いま考えなくてはならないのは、人の顔が見える経済を取り戻すことである。
 ヒントは地方にある。
 日本国内では、市場の論理では投資の対象にならないような過疎地が増えている。
 幸いなのは、自らの事業を通じ、そうした地域の住民の課題を解決しようとする企業が存在していることだ。
事業家の原点に返れ
 中国地方最高峰・大山(だいせん)を望む鳥取県江府(こうふ)町は人口約3千人、そのうち65歳以上の高齢者が43%超を占める。この高齢・過疎の町の食を支えているのが、移動販売車「ひまわり号」=写真=だ。
 地元の集落で1人暮らしをする下村慶子さん(78)は「街に買い物に行く手段がないので本当に助かります」と笑顔を見せる。
 運行しているのは、隣町の日野町を拠点にスーパー5店を運営する安達商事(従業員33人)だ。
 社長の安達享司さん(64)は地元生協の従業員だったが、バブル期に勤務先が倒産。店と働く人を引き受け、90年に会社設立した。
 「住民の食と職を守ることが、地域を守ることにつながる」。安達さんの決断を支えたのは、そんな事業家としての「志」だ。
 高齢化が進み、店に足を運べない住民が増えた2006年には「店の方が歩み寄ろう」と考えた。
 自らメーカーに掛け合い、3トントラックの荷台を売り場に改造した専用車両を開発した。それが「ひまわり号」である。
 重要なのは、一見割に合わない事業に取り組む安達商事が黒字経営を続けているということだ。
 地域住民の顔が分かる従業員が、必要とされる商品を把握しているので仕入れに無駄がない。競合店がないので過度の安売り競争に巻き込まれる心配もない。
 新自由主義の対極とも言える手法でも、きちんと利益を確保し、消費者が満足する事業を持続することは可能である。それを証明しているとも言えよう。
 だからこそ同種の取り組みが全国に広がったのではないか。安達さんがノウハウを無償公開したこともあり、いまやコープさっぽろの80台をはじめ、買い物弱者のための移動販売車が各地を走る。
 市場への過信が招いた社会の亀裂は深刻だ。事業家たちが市場ではなく、人と向き合い、世の中のためになる事業を行ってこそ、経済の原点である社会還元になる。
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