2017-02-06(Mon)

JR北海道 路線見直し 道有識者会議が報告書案

経営改革に向けた国の抜本的支援求める  経営責任の一端は国にある

北海道新聞)社説:「JR」道部会案 あくまでもたたき台だ(2/1)

◇JR路線見直し、道有識者会議が報告書案公表 国の抜本的支援求める
宗谷・石北線の維持想定/国の貸付金返済猶予…
 
----北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道事業見直しについて議論する道の有識者会議は30日、2030年ごろの道内鉄道網のあり方に関する報告書案の概要を正式公表した。宗谷線や石北線を念頭に維持すべき路線を指摘したほか、JR北海道の経営改革に向けた国の抜本的な支援策を求めた。道は今後、報告を受けて国への対応方針をまとめる。報告書案には国の制度改正を含む支援内容も含まれ、国と道による激しい交渉が始まるとみられる。

----報告書案は国によるJR北海道への支援強化の必要性を強調した。その背景には、道内の自治体や有識者にJR北海道の経営責任の一端は国にあるとの意見が根強いことがある。国鉄の分割民営化の際に国が用意した経営安定基金の運用益が低金利で減少。本来手にできる資金が不足した結果、施設の維持管理などに支障が生じたとの見方だ。

そもそもJR北海道が鉄道事業の見直しに突き進んだ要因が資金不足にある。道と沿線自治体のいずれも赤字路線を支える財政的な余裕はない中、「最終的には誰が資金を出すか」(自民党ベテラン道議)という政治テーマに発展しつつある。
(日本経済新聞)




以下引用

日本経済新聞 地域経済2017/2/4 2:19
「鉄道網維持、道内連携を」 知事、報告書案の公表受け
 北海道旅客鉄道(JR北海道)による鉄道事業見直しを巡り、道の有識者会議が鉄道網のあり方に関する報告書案の概要を公表したことを受け、高橋はるみ知事は3日、「JRや経済界を含む道内関係者が、交通網をどう守るか思いを共有したうえで、国への支援要請などを行っていく必要がある」と述べた。鉄道網維持に向け、改めて道内連携を呼びかけた。
 さらに「JRは民間企業といえども政府の関与が大変強い。だが道民の方々とともに事業展開した企業という側面もある」と話し、JRに道内企業としての責任を果たすよう求めた。
 有識者会議の鉄道作業部会は、7日に最終的な報告書を高橋知事に提出する方針。知事は道議会での議論も踏まえた上で、道としての今後の対応策を固める考えだ。



北海道新聞 2017/02/01 08:55
社説:「JR」道部会案 あくまでもたたき台だ


 JR北海道の鉄道事業見直しを受け、鉄道網のあり方を議論する道のワーキングチームが報告書案をまとめた。
 鉄路を役割ごとに六つに分類し、石北線(新旭川―網走)と宗谷線(名寄―稚内)については事実上、維持を求めている。
 経営上の観点で10路線13区間を「単独では維持困難」としたJRとは一線を画したとはいえよう。
 ただ、石北、宗谷両線についても維持のための具体策は示さなかった。地域の生活路線については置き去りの懸念も残る。
 報告書案は「個別線区について直接結論を出すのが目的ではない」という。
 ならば、これはあくまで論点を整理した「たたき台」ととらえるべきだ。「結論」のように独り歩きすることがあってはならない。
 チームは学識経験者、首長、JR役員らからなり、昨年11月から議論を重ねた。
 報告書案が示した6分類は《1》札幌と中核都市等をつなぐ路線《2》広域観光ルートを形成《3》国境周辺地域や北方領土隣接地域《4》広域物流ルート《5》地域の生活路線《6》札幌近郊の都市圏―である。
 《1》は石北線を念頭に「引き続き維持されるべきだ」とした。
 《3》では、宗谷線のある宗谷地域で「引き続き維持することが必要」、花咲線(釧路―根室)が通る北方領土隣接地域は「鉄道の役割を十分考慮する」としている。
 対照的に、《2》の広域観光は「地域において持続的な運行のあり方を検討」、《4》の広域物流ルートも「総合的に検討」と大ざっぱだ。
 北海道全体の底上げを考えれば観光も物流ルートも重要である。石北線や宗谷線などと区別せず、鉄道網を大きな視野でとらえる必要があるのではないか。
 さらに気になるのは、生活路線のうち収支が極めて厳しい線区は「他の交通機関との役割分担なども含めた」検討を促したことだ。
 報告書案は併せて、自治体が鉄道施設の一部を所有する「上下分離方式」について、「現実的に困難」との見解も示している。
 これでは、生活路線の廃止論議が加速しかねない。
 報告書案はまた、JRの経営の持続には「国による抜本的な支援が不可欠」とした。当然だろう。
 ただ、道の役割については、線区ごとの検討に加わること以外に具体的記述がない。
 地域全体を見渡す立場にある道には、この問題で主体的な役割を担うよう、あらためて求める。
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北海道新聞 2017/02/01 07:00、02/01 15:51 更新
三セクの車両保有例示 JR見直し道部会案 協議論点に

 JR北海道の鉄道事業見直しに対応する道の鉄道ネットワークワーキングチーム(WT)がまとめた検討結果の報告書案で、路線維持策の一つとして「第三セクターによる車両の保有・貸し付け」や「観光施策と連携した鉄道利用の促進」を例示していることが31日分かった。今後、道や沿線自治体がJRと路線存廃を協議する中で論点となる可能性がある。WTは1月30日の会合での議論を踏まえ、7日に高橋はるみ知事に報告書を提出する。
 WTは30日、報告書案の要旨のみを示し、全文は公表していなかった。全文はA4判で19ページあり、道内の鉄道網のあり方や国の支援策などを記載している。
 これによると、自治体が鉄道施設を保有する「上下分離方式」の導入には否定的な見解を示す一方、「地域の実情や路線の特性に応じた実効性のある方策」を見いだす必要があると指摘。「三セクによる車両の保有とJRへの貸し付け」などを具体例として挙げた。

北海道新聞 2017/01/31 05:00
道の部会報告書案 沿線、安堵と反発
JR石北線を走る札幌行きの特急オホーツクに乗り込む乗客=30日、網走駅(大石祐希撮影)
 JR北海道の路線見直しをめぐり、道の鉄道ネットワークワーキングチーム(WT)が30日まとめた報告書案が、石北線や宗谷線を念頭に路線維持を求めたことを受け、沿線自治体の利用者や首長からは「一定の配慮があった」と安堵(あんど)の声が上がった。一方、慎重な表現にとどまった路線の地元は、反発や戸惑いを隠さなかった。
 宗谷線の名寄―稚内間について、報告書案はロシア極東地域との交流拡大を見据え、路線維持が必要とした。名寄市の加藤剛士市長は「要望が一定程度、反映された」と評価。石北線も、札幌と中核都市・北見市をつなぐ路線として重要視された。網走市の水谷洋一市長は「高規格道路が延伸される実施計画のない中で、希望がつながった」と話した。
 一方、根室線の釧路―根室間(花咲線)を指すとみられる「北方領土隣接地域の路線」は「鉄道の役割を十分考慮することが必要」との表現にとどまった。有志でつくる「夢空間☆花咲線の会」代表で、根室市の会社員鈴木一雄さん(43)は「『維持』と明記されなかったのは残念。北方領土での日ロ共同経済活動も考えられ、花咲線は必要」と訴える。
 高潮被害で不通が続き、JRが廃止・バス転換の方針を示している日高線鵡川―様似間の沿線からは反発の声が上がった。胆振管内むかわ町幹部は「道もJR同様、収支だけで判断し、日高線を軽視している」と憤る。ただ、別の町長からは「被災から2年もたち、新たな方向性を示す時期に来ているかもしれない」と、論議の必要性を示唆する声も漏れた。


北海道新聞 2017/01/30 17:00、01/31 02:17 更新
石北、宗谷線の維持目指す 道の部会報告書案

 JR北海道の鉄道事業見直しを受けた鉄道網のあり方を議論する道の鉄道ネットワークワーキングチーム(WT)が30日、検討結果の報告書案をまとめた。石北線(新旭川―網走)と宗谷線(名寄―稚内)を念頭に路線維持を求める一方、収支が厳しい地域の生活路線については「他の交通機関との役割分担も含め、地域における検討が必要」と言及した。JRの危機的な経営状況に対する国の抜本的な支援が不可欠との認識も示した。



NHK 北海道 2017年01月30日 19時02分
鉄道のあり方 報告書案まとまる

鉄道路線のあり方を検討してきた道のワーキングチームは、札幌市と中核市を結ぶ路線は維持すべきだとした一方、収支が厳しい路線はバスなどとの役割分担も含めて地域で検討すべきだとした報告書案をまとめました。
 JR北海道の路線見直しを受けて道が設けた学識経験者や自治体などでつくるワーキングチームは、去年11月から道内の鉄道路線のあり方について議論を続け、30日、4回目の会合を開いて報告書案をまとめました。
 それによりますと、維持すべき路線として、石北線を念頭に、札幌市と中核都市などとを結ぶ路線とロシアの極東地域との交流拡大の可能性がある宗谷地域を結ぶ宗谷線を挙げています。
 一方で、収支が極めて厳しい路線は、バスといったほかの交通機関との役割分担も含め、国や道とともに地域で検討すべきだなどとし、道の果たすべき役割としてはJRへの国の追加支援が平成30年度に終わることから、それ以後の資金対策を改めて国に要請することなどを挙げています。
 ワーキングチームの座長で北海道大学の岸邦宏准教授は、「検討結果を踏まえ、自治体がそれぞれの地域で鉄道の必要性について速やかに協議を始めていくことが必要だ」と述べました。


毎日新聞2017年2月2日 地方版
揺れる鉄路
報告書案で意見交換 道市長会と道「どの市も危機感」 /北海道

道内27市の市長らが参加した意見交換会=札幌市中央区で
 道市長会は1日、道の有識者会議「鉄道ネットワークワーキングチーム」がまとめた報告書案について道側から説明を受け、意見交換した。
 札幌市で開かれた会合には、道内35市のうち27市の市長らが参加。非公開で、ワーキングチームの一員だった市長会長の菊谷秀吉・伊達市長は終了後に「どの市も危機感を持っており、温度差はなかった。各自治体が鉄道問題の認識を共有できたのは成果だ」と述べた。
 報告書案は、JR北海道が「単独で維持困難」な10路線13線区(区間)を公表したのを受けて1月30日に示された。
 その中で「宗谷地域の路線を維持することが必要」という見解が示されたことについて、工藤広・稚内市長は「我々がこれまで主張していたことが、少しなりとも理解をいただいたのかという思いがある」と評価。一方で具体的な言及がなかった根室線の滝川-富良野間にある赤平市の菊島好孝市長は「(路線維持は)市単独でできることではない。みんなの意見を聞いて取り組まないといけない」と語った。【野原寛史、酒井祥宏、藤渕志保】


毎日新聞2017年1月31日 地方版
JR北海道
鉄道ネット最終案 国や道支援に期待も 自治体側「我々も整理し議論」 /北海道

札幌と中核都市を結ぶ路線にあたるJR石北線と特急オホーツク=北見市で
 30日に道の有識者会議「鉄道ネットワークワーキングチーム」が会議で取りまとめた報告書の最終案は、札幌と中核都市間の路線維持や地元協議に国や道が参画すべきだという方針が示され、関係自治体の首長から期待の声も上がった。JR北海道が沿線自治体に負担を求める「上下分離」に否定的に見解を示す一方、同社の経営再生には国による抜本的支援が不可欠と結論づけた。
 報告書案は、収支が極めて厳しい線区(区間)について、地域交通のあり方についての検討に参画が必要だとするなど、道に対して一定の責任を果たすことを求めている。
 JR北には、駅やダイヤ見直し、運賃値上げなどの検討について、詳細な情報公開を求めた。一方で「線区見直しや地域の協力だけでは経営再生は難しい」として、国による抜本的な支援が不可欠だと指摘。その具体例として、青函トンネルの維持コスト軽減や老朽設備更新費、増収への戦略的支援を挙げた。また現行の国の支援が終了する2019年度以降についても新たな支援を求めていくべきだとしている。
 JR北を代表して会議に出席した小山俊幸常務は「上下分離にこだわっているわけではない。収入を確保し、不足分を地域とどう負担できるか、国や道に支援を求めていけるかを、幅広く議論したい」と述べた。
 道市長会長の菊谷秀吉・伊達市長は「2月1日の市長会で内容を報告したい。お願いするばかりではなく、我々も整理して議論していくのが大事と思った」と話した。【野原寛史、酒井祥宏】
根室市長、日露と共同経済活動で「鉄道絶対不可欠」
 報告書案で北方領土隣接地域について「共同経済活動等の展開が期待される中、鉄道の役割を十分考慮することが必要」とされたのは、釧路-根室間のJR根室線を指すとみられる。長谷川俊輔・根室市長は「日露で共同経済活動が始まろうとしているときで、平和条約締結となれば物流も飛躍的に伸び鉄道は絶対に不可欠となる。そのあたりを考慮してくれたのだと思う」と歓迎した。
 JR日高線(苫小牧-鵡川間)と室蘭線(岩見沢-沼ノ端間)の2路線が「単独では維持困難」とされた苫小牧市の粟野茂・まちづくり推進室長は道に積極関与を求める内容に「JR北と自治体が直接やり取りする問題ではないと思っていた。国や道が協議に参画することになれば、市としてもありがたい」と話した。
 一方、北見市の辻直孝市長は「だいたい我々が言ってきたことを踏まえている印象で、特に予想を超えたものではない」と冷静に受け止める。報告書案の内容から北見市を通る石北線は維持されるとの見方が出ているが「安心も否定も肯定も、今は言える段階ではない。道は報告書の中身を検討した上で方向性をきちんと打ち出し、国に向けても取り組みを進めてほしい」と語った。【本間浩昭、山田泰雄、福島英博】
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JR北海道「単独維持困難線区」を巡る経緯◇
2016年 7月 JR北が単独維持困難な路線を秋口にも公表する方針を発表
      8月 夕張市が石勝線夕張支線の廃止を提案しJR北と合意
         相次ぐ台風で道東や道北の路線に被害。この影響で公表を延期
     10月 道がワーキングチーム設置方針を発表
     11月 JR北が10路線13線区を単独維持困難と公表
         道のワーキングチームが初会合
     12月 JR北が日高線の鵡川-様似間の廃止方針を沿線自治体に提案
  17年 1月 道のワーキングチームが報告書まとめる


毎日新聞2017年1月31日 北海道朝刊
JR北海道
「維持困難」 中核都市間、路線維持を 道有識者会議、6分類を提示

JR北海道が単独維持困難と公表した線区
 北海道の鉄道網のあり方を議論する道の有識者会議「鉄道ネットワークワーキングチーム」(座長=岸邦宏・北海道大大学院准教授)は30日、道庁で会合を開き、札幌と中核的な都市間を結ぶ路線を「維持すべきだ」などとする報告書案をまとめた。国境や北方領土に隣接する地域の路線の重要性も指摘した。
 有識者会議は、JR北海道が全路線の約半分に当たる10路線13線区(区間)について「単独で維持困難な路線」と公表したことを受けて設置された。報告書案によると、道内全路線を▽札幌と中核都市間▽広域観光▽国境・北方領土隣接地域▽広域物流▽地域の生活▽札幌圏--の六つに分類して議論するよう提案。その上で「札幌と中核都市間」について「引き続き維持されるべきだ」とし、「国境・北方領土隣接地域」については「(ロシア極東と接する)宗谷地域は引き続き維持することが必要」「北方領土隣接地域は十分考慮が必要」と重要性に言及した。
 岸座長は会合後、「個別線区の(存廃の)結論を出すのが目的ではない」と述べ、10路線13線区がどの分類に当たるかを明らかにしなかった。
 「札幌と中核都市間」は、オホーツク地方の中核都市・北見と札幌を結ぶ石北線(新旭川-網走)を、「国境・北方領土隣接地域」は宗谷線(名寄-稚内)や根室線(釧路-根室)を想定しているとみられる。
 また、報告書案は「道内自治体の厳しい財政状況を踏まえると、費用負担を自治体に求めることは現実的に困難」として、鉄道施設を自治体などが保有する「上下分離」方式に否定的な見解を示した。
 2月7日に高橋はるみ知事に提出される。一部の沿線自治体は道の方針を基にJR北と協議する考えで、岸座長は「道のビジョンを踏まえ、各地域が鉄道の必要性について速やかに協議を始めることが求められる」と述べた。【野原寛史、酒井祥宏】
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 ◆路線6分類の考え方
札幌と中核都市間の路線
 都市機能が集積する札幌と中核都市をつなぐ路線は、高規格幹線道路の整備状況を踏まえ、引き続き維持されるべきだ
広域観光路線
 観光客の回遊を支える鉄道網の役割は大きいが、観光利用だけで維持していくことは難しく、地域において運行のあり方を検討することが必要
国境・北方領土隣接地域の路線
 宗谷地域は、今後のロシア極東地域との交流拡大の可能性を踏まえ、引き続き維持することが必要
 北方領土隣接地域は、共同経済活動が期待される中、鉄道の役割を十分考慮することが必要
広域物流路線
 食料供給地域である北海道にとって鉄道貨物輸送の果たす役割は重要であるが、輸送実績や鉄道施設の負担も考慮し、総合的に検討することが必要
地域の生活路線
 収支が極めて厳しい線区については、ほかの交通機関との役割分担も含めた最適な地域交通のあり方について、事業者や国、道の参画のもと地域における検討が必要
札幌圏の路線
 収益増を図り、道内全体の鉄道網維持に資する役割を果たしていくことが必要
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 ◆JR北海道が単独維持困難とした線区
       路線名     区間            営業キロ
 <1>   札沼線     北海道医療大学-新十津川  47.6
 <2>   根室線     富良野-新得        81.7
 <3>   留萌線     深川-留萌         50.1
---------------------------------
 <4>   石勝線夕張支線 新夕張-夕張        16.1
---------------------------------
 <5><6>日高線     苫小牧-鵡川-様似    146.5
 <7>   宗谷線     名寄-稚内        183.2
 <8>   根室線     釧路-根室        135.4
 <9>   根室線     滝川-富良野        54.6
<10>   室蘭線     沼ノ端-岩見沢       67.0
<11>   釧網線     東釧路-網走       166.2
<12>   石北線     新旭川-網走       234.0
<13>   富良野線    富良野-旭川        54.8
 ※<1>~<3>は廃止・バス転換を検討。<4>は廃止で合意ずみ。<5>~<13>は上下分離を軸に検討。日高線は鵡川-様似が災害で運休しており、廃止・バス転換が提案された。営業キロは苫小牧-様似。


朝日新聞デジタル2017年1月31日09時10分
《岐路の鉄路》道の作業部会 報告書案
JR北海道が「単独では維持困難」とする区間
 ■石北線や宗谷線、想定 都市間・国境周辺の路線は維持明記
 JR北海道の路線網縮小への対応について議論してきた道の有識者会議(鉄道作業部会)は30日、報告書案をまとめた。札幌と中核都市を結ぶ路線と、ロシアとの国境周辺地域の路線を「維持すべきだ」と明記。JRが「単独で維持困難」とした13線区のうち、石北線や宗谷線を想定した形だ。一方、収支が極端に厳しい線区はバスなど他の交通機関との役割分担を含め地域での検討を求めた。
 ■上下分離は「困難」
 報告書案は、北海道新幹線の札幌延伸予定の2030年ごろの路線網を念頭に、(1)札幌と中核都市をつなぐ(2)観光ルート(3)日ロ国境や北方領土の周辺(4)物流ルート(5)地域路線(6)札幌都市圏――に6分類。このうち、(1)は道都の札幌と中核都市を結ぶことから「維持されるべき」、(3)はロシアとの経済交流の可能性を踏まえ「維持することが必要」と位置づけた。
 個別路線名は明示していないが、「単独維持困難」の13線区で(1)は石北線、(3)は宗谷線が該当する。
 一方、(5)は収支が極めて厳しい線区は他の交通機関との役割分担などを地域で検討する必要があると、鉄道以外の選択肢も促した。
 JR北が提案している、線路などの維持管理費を自治体に負担してもらう上下分離方式は、「費用負担を求めることは現実的に困難」とした。国による抜本的な支援が不可欠として、JR貨物からJR北に支払われる線路使用料の値上げや、分割民営化時にJR北へ与えられた約7千億円の基金の積み増しなど、国への要請を道に求めた。
 報告書は来月7日に高橋はるみ知事に提出される。有識者会議の座長を務める岸邦宏・北海道大大学院准教授は会議後、「これを踏まえ、自治体がそれぞれの地域で鉄道の必要性の協議を速やかに始めることが求められる」と述べた。
 ■自治体協議、なお不透明
 昨年11月の「維持困難路線」の公表後、JR北は沿線自治体と存廃協議をする方針を示したが、自治体の反発で協議入りは難航。批判の矛先は道庁にも向かい、作業部会を設置後も、道の考え方や論点整理を示すよう求める声が強まっていた。
 作業部会は個別路線の存廃の是非には触れないとしてきたが、報告書では、石北線などの「維持線区」と、乗客が極端に少ない線区の位置づけの表現に差をつけた。ある幹部は「道としてどの線区を残したいか、事実上分かってもらえる内容。一般論でなく、ある程度踏み込む必要があった」と話す。
 JR北は「何もしなければ(国の財政支援が切れる)2019年度中に厳しい経営状況となり安全運行ができなくなる」と窮状を強調してきた。会議の委員でもある小山俊幸常務は30日、「路線ごとに状況を説明する機会を設けさせていただきたい」と報告書を共通認識として、自治体との協議を加速させたい考えを示した。
 だが、道市長会長の立場で作業部会に加わった菊谷秀吉・伊達市長は「(首長の)みなさんがこの案ですべてケリがつくか。自治体が納得するかどうかは分からない」と話し、自治体によって対応が分かれる可能性があるとの見方を示した。
 (花野雄太、上地兼太郎、光墨祥吾)
 ■鉄道作業部会の報告書案の骨子(鉄道網のあり方)
(1)札幌市と中核都市などをつなぐ路線→維持するべきだ
(2)広域観光ルートを形成する路線→地域で検討
(3)国境周辺地域や北方領土隣接地域の路線
 (宗谷地域)→維持することが必要
 (北方領土隣接地域)→鉄道の役割を十分考慮すべきだ
(4)広域物流ルートを形成する路線→総合的に検討
(5)地域の生活を支える路線→地域で検討
(6)札幌市中心の都市圏の路線→道内全体の鉄道網維持に資する役割を果たすことが必要



日本経済新聞 地域経済2017/1/31 2:19
JR路線見直し、道有識者会議が報告書案公表 国の抜本的支援求める 
宗谷・石北線の維持想定/国の貸付金返済猶予…


 北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道事業見直しについて議論する道の有識者会議は30日、2030年ごろの道内鉄道網のあり方に関する報告書案の概要を正式公表した。宗谷線や石北線を念頭に維持すべき路線を指摘したほか、JR北海道の経営改革に向けた国の抜本的な支援策を求めた。道は今後、報告を受けて国への対応方針をまとめる。報告書案には国の制度改正を含む支援内容も含まれ、国と道による激しい交渉が始まるとみられる。
 報告書案では道内鉄道網を6つに分類し、札幌市と中核都市をつなぐ路線は「引き続き維持されるべきだ」と明記した。宗谷線(名寄―稚内間)と石北線(新旭川―網走間)の維持を想定している。また、根室線(釧路―根室間)を念頭に、北方領土隣接地域は「鉄道の役割を十分考慮することが必要」と指摘。その他は踏み込んだ表現は避け、地域ごとの協議に結論を委ねた。
 鉄道ネットワークワーキングチーム座長の岸邦宏北大大学院准教授は同日の記者会見で、道内の鉄道路線のあり方について「(報告書をもとに)国や道と地域が一緒になって考えていく」との見解を示した。
 ただ議論の先行きは見通せない。最大の課題となるのは国と道の交渉だ。報告書案ではJR北海道の経営改革の「抜本対策」として、踏み込んだアイデアを列挙した。JR貨物から受け取る線路使用料の引き上げ、青函トンネルの負担金軽減、鉄道施設の老朽化対策などに加え、資金繰り改善のための国の貸付金の返済猶予・免除まで盛り込み「要求できる最大限のメニューを突きつけた」(有識者委員)。
 報告書案は国によるJR北海道への支援強化の必要性を強調した。その背景には、道内の自治体や有識者にJR北海道の経営責任の一端は国にあるとの意見が根強いことがある。国鉄の分割民営化の際に国が用意した経営安定基金の運用益が低金利で減少。本来手にできる資金が不足した結果、施設の維持管理などに支障が生じたとの見方だ。
 そもそもJR北海道が鉄道事業の見直しに突き進んだ要因が資金不足にある。道と沿線自治体のいずれも赤字路線を支える財政的な余裕はない中、「最終的には誰が資金を出すか」(自民党ベテラン道議)という政治テーマに発展しつつある。
 今回の報告書案について国土交通省関係者は「個別線区の維持を想定するなら道も資金面で責任をとるべきだ。国に責任を押しつけるのは乱暴だ」と語気を強める。
 道内では複数空港の一括民営化によって航空網の拡大を目指す「攻め」の交通政策が本格的に動いている。人口減を見据えた鉄道網の構築は「守り」の要素が色濃い。道幹部は「この報告書がスタートラインになる」と意気込む。攻守のバランスを取りながらどう着地点を探るか、道の政治力も問われる。
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日本経済新聞 2017/1/31付
自治体との議論、進展も JR北、報告書案をたたき台に
 道の作業部会が30日の最終会合で国の抜本的な支援が不可欠との考え方を打ち出したことは、線区維持を巡って沿線自治体と対立を深める北海道旅客鉄道(JR北海道)にとってもプラス材料だ。昨年11月の見直し対象線区の公表後、JRから高額な維持費を求められるのを警戒し、多くの沿線自治体が議論の土俵にすら上がっていない。たたき台が出来たことで、議論が動き出す可能性がある。
 例えば、JR北海道は日高線の鵡川―様似間の運転再開の条件として年間13億円強の負担を自治体に要求。これに対して自治体が強く反発するなど、コスト負担を巡って議論が足踏みした。
 JR北海道は施設などを自治体側が保有して運行する「上下分離方式」も提案。日高線を巡る経緯を目の当たりにした他の線区の沿線自治体も態度を硬化させた。同社によると、現時点で日高線以外で鉄路の維持について協議入りできているのは、すでに廃線で合意した夕張(石勝)線のみという。
 今回の報告書案はJR北海道に対する国の支援の必要性を強調している。費用を負担するのがJRか自治体かという二者択一の議論にならなければ、路線維持のための知恵も出し合いやすくなる。
 作業部会のメンバーでもある同社の小山俊幸常務は会合終了後、「我々も決して上下分離にこだわっているわけではない。どうやってコストを下げられるか、国や道にどういう支援を求められるかについて、地域の特徴に合わせて議論したい」と説明。作業部会が方向性を出したことによって、自治体との協議が前進しやすくなるとの見方を示した。


朝日新聞デジタル2017年1月30日09時11分
《岐路の鉄路》都市間と国境周辺、重視
■道の部会、近く報告書 路線網見直し
 JR北海道の路線網見直し方針をめぐり、道が設置した有識者会議の作業部会が近くまとめる報告書に、札幌と中核都市を結ぶ路線と、ロシアとの国境周辺地域の路線を重要な路線と位置づける方向で調整していることが分かった。具体的な線区を明記しないが、JR北が「単独では維持困難」とする10路線13区間では、石北線や宗谷線などを想定しているとみられる。
 「鉄道ネットワークワーキングチーム」(座長・岸邦宏北大大学院工学研究院准教授)は有識者やJR北、首長らで構成。路線網のあり方について、中核都市間や、国境または北方領土に隣接など6分類し、役割や課題を議論してきた。
 30日の最終会合で提示する報告書案では、(1)札幌市と中核都市などを結ぶ(2)広域観光(3)国境周辺・北方領土隣接地域(4)広域物流(5)地域生活路線(6)札幌都市圏と分類し、(1)は大量輸送、(3)はロシアとの交流の拡大を見据え、「維持が必要」「役割を十分考慮すべきだ」と維持を優先する方向とする。具体的な路線名を明示しないが、13線区では石北線や宗谷線を想定したものとみられる。(2)と(5)については「地域で検討する」といった表現にする。
 維持管理費などを自治体が負担する上下分離方式をJR北が提案していることには、沿線自治体の財政状況が厳しいとして否定的な意見を示す方向だ。このほか、老朽施設対策や資金繰りなど、国によるJR北の経営支援の必要性なども盛り込む。
 報告書は2月中に高橋はるみ知事に提出され、JR北と沿線自治体が路線存続を協議する際の議論の枠組みに影響することになる。


日本経済新聞 2017/1/28 7:01
道の有識者会議が報告書案 宗谷・石北線の「維持」想定
 北海道旅客鉄道(JR北海道)による鉄道事業見直しを受け、道の有識者会議がまとめる鉄道網のあり方に関する報告書案の内容が27日、分かった。中核都市間をつなぐ路線について「引き続き維持されるべきだ」と指摘。路線名を明示しないが、JR北海道が維持困難とする線区のうち宗谷線と石北線の維持を想定しているようだ。沿線自治体が施設などを所有する「上下分離方式」の導入については否定的な見解を示した。
 報告書案は、危機的な経営状況にあるJR北海道の再生に向けた国の積極的な支援の必要性も強調。鉄道事業で赤字額が年400億円に上る状況のなか、「国の抜本的な対策が不可欠」と制度改革を含めた支援策を求めた。
 JR北海道は昨年11月18日、単独で維持が難しい10路線13線区を公表。道は知事の諮問機関である北海道運輸交通審議会の鉄道作業部会(座長・岸邦宏北大大学院准教授)で、この問題について議論を重ねてきた。
 作業部会は今月30日に開く最終会合で報告書の概要をとりまとめ、2月に岸座長が高橋はるみ知事に提出する方針。道はこれを受け、国に対するJR北海道の支援策拡充の要請など対応方針を検討する。
 報告書案によると、北海道新幹線が札幌まで延伸する2030年ごろの鉄道網のあり方について、(1)札幌市と中核都市をつなぐ路線(2)広域観光ルート(3)国境周辺・北方領土隣接地域(4)広域物流ルート(5)地域生活路線(6)都市圏路線――の6つに分類。
 このうち(1)は広大な道内の大量・高速輸送を担う公共交通機関として「引き続き維持されるべきだ」と指摘した。同作業部会は個別路線の存廃については明示しない立場で、報告書案にも具体的な路線名は明記していない。ただ、関係者の話などによると、現状維持の対象として、宗谷線(名寄―稚内間)と石北線(新旭川―網走間)を想定しているようだ。
 (3)では、ロシア国境に近い宗谷地域について、今後のロシア極東との交流拡大の可能性を踏まえ「引き続き鉄路の維持を図る必要がある」と指摘。さらに北方領土隣接地域についても、北方領土の共同経済活動の展開を見据え「鉄道の役割を十分考慮する必要がある」と示した。念頭にあるのは根室線(釧路―根室間)とみられる。
 JR側は事業見直しで、沿線自治体が施設などを所有し、運営をJRが担う「上下分離方式」も提案している。沿線自治体側は強く反発しており、報告書案も否定的な見解を提示。鉄道施設の更新に多額の費用を要するため「道内自治体の厳しい財政状況を踏まえると、自治体に負担を求めることは現実的に難しい」と指摘した。
 道の役割についても明記。鉄道やバス、航空など公共交通ネットワーク全体の将来像をまとめるため、道が主導的な役割を果たすよう求めた。


日本経済新聞 2017/1/28付
国の抜本策、必要性強調 無利子貸付返済の猶予など
 報告書案はJR北海道の経営改革の方向性も示した。国鉄分割民営化の際に国が用意した経営安定基金の運用益が減少し、巨額の経常赤字が発生していることから「線区の見直しや地域の協力、支援だけでは経営再生の実現は難しく、国による抜本的な対策が不可欠」と強調した。
 具体的な国の支援策として、JR貨物から受け取る線路使用料の積み増しや年間2億~3億円とされる青函トンネルの使用料や維持経費の負担軽減などを挙げた。
 レールのデータ改ざんなどを受け、JR北海道は「安全投資と修繕に関する5年計画」で国から1200億円の支援を受けている。今後、無利子貸付の返済が始まると資金繰り悪化が予想されるため、返済猶予や免除などを国に求めるべきだとした。
 JR北海道に対してもさらなる経費節減への努力などを要求。運賃引き上げの必要性にも触れたが、「沿線自治体や利用者の理解と協力を得られるよう徹底した情報公開と丁寧な協議が必要」と丁寧な対応を求めた。


日本経済新聞 2016/12/27 7:01
問われる道内鉄道網 JR北と沿線自治体が存廃協議へ
 2016年は北海道の鉄道にとって大きな転換点となった。3月に道内初の新幹線が開業する明るい話題に沸く一方、道内鉄道網は台風被害の爪痕も深く残るなか、北海道旅客鉄道(JR北海道)による見直し案も示された。17年はJR側と自治体による存廃を巡る協議の行方に注目が集まる。北海道新幹線の利用者数は当初予想を上回る状況だが、開業効果が薄れるとされる2年目以降の正念場を迎える。
 11月18日、JR北海道は自社だけでは維持できない10路線13線区を示した。利用の少ない線区を混雑度によって3種類に分類。輸送密度(1キロメートルあたりの1日の平均輸送人員)が200人未満と極端に利用が少ない留萌線の深川―留萌間(50.1キロメートル)など3つの線区は大量輸送向けの鉄道の役目は終了したとして、廃止・バス転換を自治体に提案した。
 宗谷線の名寄―稚内(183.2キロメートル)など同200人以上2000人未満の8つの線区は観光客や貨物列車の利用も多いことから存続が前提。ただ、今後は使用開始から100年前後たつ土木構造物の更新に巨額の費用が見込まれることから、島田修社長は「利用促進やコスト削減など、地域と力を結集した議論が欠かせない」と話す。上下分離も選択肢の一つだ。
 JR北海道は線区ごとに沿線自治体と協議会を作り、廃止やコスト削減などを話し合いたい考え。一方、11月の線区公表を待たずに石勝線の新夕張―夕張間(16.1キロメートル)の廃止をJR側に逆提案した夕張市を除く自治体は、総じてJRと地元だけの協議に否定的な反応だ。
 実はJR側も、道が協議に加わることを歓迎する。ところが道は、JRの事業見直し問題を専門に扱う作業部会が17年1月末までに示す道内の鉄道網のあり方で、個別線区の存廃の是非には触れない方針だ。北海道教育大学の武田泉准教授は「道とすると存廃を巡る責任を取りたくないのが本音だろう。財政負担なども生じるため『火中のクリを拾いたくない』という心境では」と指摘する。
 沿線自治体は国や道の関与を強く求めている。今月19日に道が開催した交通政策に係る振興局長会議でも「まず道が全体の交通体系を示してほしい」(上川)などの要求が相次いだ。
 北海道新幹線の4~11月の利用者数は1日当たり約7300人と、前年同期の在来線の約1.8倍で推移している。乗車率も37%と同社が開業前に予想していた26%を上回った。ただ、道内観光の閑散期である11月単月は26%と低迷した。開業特需が見込めない2年目はネット予約の利便性向上など、潜在需要の掘り起こしにも力を注ぐ。

日本経済新聞 2016/12/27付
個別線区、道も交え議論 島田修社長に聞く 全体と並行協議
 ――今年は鉄道事業見直しに着手しました。
 「台風被害などで見直し対象となる線区の公表が遅れたが、議論のスタートを切ることができたことは一歩前進だ。もっとも、まだ当社の考え方を申し上げた段階。様々な意見があるので納得いただける状況ではないと思う」
 ――経済合理性を重視するJR北海道と生活の足にこだわる沿線自治体では議論がかみ合わないのでは。
 「経済性だけを理由に鉄路を残すことを否定しているわけではない。ただ、そのために必要な維持費をすべて当社に賄えというのはおかしいのではないか」
 「赤字の規模によって解決策のレベルが変わるため、まず赤字をどこまで小さくできるかから議論すべきだ。利用促進策や設備のスリム化など全国の地方鉄道で取り組んできた多くの事例がある。沿線自治体側との協議で、上下分離方式の議論の前に全国の事例を生かしていくべきだ」
 ――北海道の有識者会議は道内鉄道網のあり方を来年1月末をめどに示す方針です。日高線の一部を廃止する12月の提案は拙速との印象があります。
 「日高線は過去1年間に6回の協議を積み上げてきている。事業者として責任ある回答を求められたため、少しでも早い方がいいということで年内に回答した。一連の事業見直しのスケジュールとは別物だ」
 ――道民は両者が別物という見方はしていません。
 「事実として両者は別物だが、大きな流れの中でそのように受け止められてしまうのはやむを得ない。日高線の協議の過程は関係者しか詳しく知らず、それ以外の人が理解できないのは致し方ないと思う」
 ――個別の線区に関する協議はJR北海道と沿線自治体だけでなく道も参画すべきでは。
 「道が一定の方向付けをすることは我々も望んでいる。道の有識者会議の作業部会で個別線区の話はしないという整理がなされたが、本来は個別の議論をするのが理想だ。特急列車が走る宗谷線や石北線と、観光で支えられている富良野線や釧網線は性格が異なり、全体論では解決できない問題があるためだ。全体論をまとめる上でも個別の議論は必要。今後は線区ごとの沿線自治体との協議会で各論の議論も並行して進めなければならない」
(聞き手は小山隆史)

日本経済新聞 2016/12/27付
回顧と展望(2)JR路線見直し 問われる道内交通体系、新幹線の陰で不採算にメス
 2016年は北海道の鉄道にとって大きな転換点となった。3月に道内初の新幹線が開業する明るい話題に沸く一方、道内鉄道網は台風被害の爪痕も深く残るなか、北海道旅客鉄道(JR北海道)による見直し案も示された。17年はJR側と自治体による存廃を巡る協議の行方に注目が集まる。北海道新幹線の利用者数は当初予想を上回る状況だが、開業効果が薄れるとされる2年目以降の正念場を迎える。
 11月18日、JR北海道は自社だけでは維持できない10路線13線区を示した。利用の少ない線区を混雑度によって3種類に分類。輸送密度(1キロメートルあたりの1日の平均輸送人員)が200人未満と極端に利用が少ない留萌線の深川―留萌間(50.1キロメートル)など3つの線区は大量輸送向けの鉄道の役目は終了したとして、廃止・バス転換を自治体に提案した。
 宗谷線の名寄―稚内(183.2キロメートル)など同200人以上2000人未満の8つの線区は観光客や貨物列車の利用も多いことから存続が前提。ただ、今後は使用開始から100年前後たつ土木構造物の更新に巨額の費用が見込まれることから、島田修社長は「利用促進やコスト削減など、地域と力を結集した議論が欠かせない」と話す。上下分離も選択肢の一つだ。
 JR北海道は線区ごとに沿線自治体と協議会を作り、廃止やコスト削減などを話し合いたい考え。一方、11月の線区公表を待たずに石勝線の新夕張―夕張間(16.1キロメートル)の廃止をJR側に逆提案した夕張市を除く自治体は、総じてJRと地元だけの協議に否定的な反応だ。
 実はJR側も、道が協議に加わることを歓迎する。ところが道は、JRの事業見直し問題を専門に扱う作業部会が17年1月末までに示す道内の鉄道網のあり方で、個別線区の存廃の是非には触れない方針だ。北海道教育大学の武田泉准教授は「道とすると存廃を巡る責任を取りたくないのが本音だろう。財政負担なども生じるため『火中のクリを拾いたくない』という心境では」と指摘する。
 沿線自治体は国や道の関与を強く求めている。今月19日に道が開催した交通政策に係る振興局長会議でも「まず道が全体の交通体系を示してほしい」(上川)などの要求が相次いだ。
 北海道新幹線の4~11月の利用者数は1日当たり約7300人と、前年同期の在来線の約1.8倍で推移している。乗車率も37%と同社が開業前に予想していた26%を上回った。ただ、道内観光の閑散期である11月単月は26%と低迷した。開業特需が見込めない2年目はネット予約の利便性向上など、潜在需要の掘り起こしにも力を注ぐ。


日本経済新聞 2017/1/25付
「慎重、丁寧な対応を」 道議会、JR北海道に 鉄道見直しで
 北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道事業見直しを巡って、道議会の新幹線・総合交通体系対策特別委員会は24日、JR北海道と初めて意見交換した。JR北海道が単独で維持困難とした路線について、同委員会は地域の実情を踏まえて慎重に対応するよう求めた。
 会合は非公開で行われた。長尾信秀委員長(自民・道民会議)が冒頭で事業見直しに触れ「進め方によって道の公共交通ネットワークの維持に重大な影響を及ぼす」と指摘し、「地域の意見や実情を踏まえた慎重かつ丁寧な対応と十分な協議が不可欠だ」と強調した。
 JR北海道からは小山俊幸常務らが出席し、経営状況などを説明した。
 長尾委員長は会合後、報道陣に対して「(JRの経営が)厳しい状況だとあらためて感じた。JRも(丁寧な協議が)大事だと十分認識しているのでそういう方向で進むだろう」と述べた。


******************************
朝日新聞デジタル2017年1月30日05時00分
(てんでんこ)線路は続く:20 JR北海道〈上〉
会見するJR北海道の島田修社長(右)ら=2016年11月18日、札幌市中央区
 ■廃線か経費負担か。突きつけられた自治体に動揺が走った。
 「親方日の丸の国鉄は、赤字垂れ流しの経営破綻(はたん)を招いた。自主自立の経営はどうあるべきか考えたい。第二の国鉄はつくらない」
 札幌市にあるJR北海道本社。12日の定例会見で島田修(しまだおさむ)社長(58)は、国鉄分割民営化からの30年を、こう振り返った。
 JR北は昨年11月18日、全路線の約半分にあたる10路線13区間(1237・2キロ)を「自社だけでは維持困難」として公表した。4区間はバス転換を検討し、他は運賃値上げや運行費用の地元負担で存続を模索する。最終手段として、線路などの設備は自治体が維持費用を負担し、JR北は列車の運行に専念する「上下分離方式」も視野に入れている。
 1987年に分割民営化された旅客6社のうち、鉄道事業の赤字が見込まれる北海道・四国・九州の3社は「3島会社」と呼ばれる。国から渡された「経営安定基金」の運用益で赤字を埋めた。
 道内の高速道路は30年間で6・5倍に延び、人口の札幌一極集中も進み、ローカル線の乗客は減り続けた。除雪費や気動車の暖機運転の燃料費など寒冷地特有のコストも経営を圧迫する。2016年度の経常赤字(単体)は過去最大の235億円が見込まれる。
 赤字路線を維持するために、安全対策や設備更新が後回しになり、事故も起きた。11年に特急列車が脱線・炎上するなど事故が頻発、線路の検査データ改ざんなど不祥事も続き、社長経験者2人が自殺した。
 主にローカル路線を走る気動車約200両の平均使用年数は32年(昨年3月末時点)。05年のJR宝塚線(福知山線)脱線事故後に設置が義務化された新型ATS(自動列車停止装置)も全路線の6割が未設置だ。
 経営再建と安全運行徹底のため、国の主導で会長や副社長がJR東日本から送り込まれた。国は安全対策の追加支援金として1200億円も充てるが、このうち900億円は返済が必要だ。他の借金もあり、このままでは19年度末には借金が1500億円を超す。
 大半の自治体は、突然、廃線か経費負担かを突きつけられて動揺が走った。そんな中、一人の首長が意を決して道庁に向かった。
 (上地兼太郎)


朝日新聞デジタル2017年1月31日05時00分
(てんでんこ)線路は続く:21 JR北海道〈中〉
新ひだか町長が道政記者クラブに持参した文書。現在のJR北海道の状況は、分割民営化時に起因すると訴える
 ■「公共交通の使命とは何か」。未来の全国の問題として町長は訴えた。
 昨年11月26日、北海道庁2階の道政記者クラブを一人の男性が訪れた。白髪交じりのオールバック、鋭い眼光。土曜日の午後、人気の少ないクラブで、男性は居合わせた地元紙記者に報道各社あての文書を託した。
 「JR北海道について」と題した文書は、1987年の国鉄分割民営化後のJR北海道について「わが身を守ることに必死で、公共交通の本分としての使命を考える余裕がなく、結果として今日のような魅力のない鉄路となった」と分析。そして、訴えた。
 「元々(の要因)は29年前の民営化にある。よって国の支援策がなければならない」
 執筆・持参したのは新ひだか町長の酒井芳秀(さかいよしひで)(72)。地元を走るJR日高線の鵡川(むかわ)―様似(さまに)間(116キロ)は一昨年来、高波や台風で海岸線の一部の路盤が流され不通のままだ。
 「文書持参は直訴のようなもの。広く知ってもらい、国や道を動かしたかった」
 日高線沿線7町は、JR北と約1年間、6回の協議を重ねた。JR北は「持続的な運行を維持できる仕組みの構築」を復旧工事の条件に掲げた。7町は利用促進策を示して着工を求めたが、協議は平行線をたどった。
 JR北は同区間の収支差額と維持費用を年間16億4千万円とし、このうち13億4千万円を地元が負担するか、施設を地元が保有、JRが運行する上下分離方式の選択を迫った。
 いずれを選んでも1町あたりの年間支出は約2億円。重すぎる負担だった。7町は、昨年11月7日の6回目の協議で「いずれも受け入れ困難」と回答。JR北に「公共交通を担う立場として日高線をどうするのか。責任ある回答を求める」と問いかけた。
 JR北が日高線を含む単独維持困難な路線を公表したのは11日後の11月18日。12月21日には、7町に対し「路線を廃止し、バスなどへの転換を協議したい」と回答した。
 酒井は言う。「財政負担が避けられない以上、JRと沿線自治体では問題を解決できない。国や道の積極的な関わりと支援が必要だ。私たちの問題は未来の全国の問題。あしき先例にはなれない」
 路線存続に向けて強い姿勢で臨むのは日高線沿線の自治体だけではない。協議の場を求めるJR北に対し、沿線からは拒否や反発の声が相次ぐ。一方で、自ら廃線を提案し、着実に歩を進める首長がいた。
 (長谷川潤)
 (No.205)


朝日新聞デジタル2017年2月1日05時00分
(てんでんこ)線路は続く:22 JR北海道〈下〉
条件付きで廃線を提案した鈴木直道夕張市長(左)と協力を約束した島田修JR北海道社長=2016年8月17日
 ■「攻めの廃線」。住民の足を守るため、夕張市長は動いた。
 「座して待つのではなく、攻めの廃線」
 昨年8月8日夕方、札幌市のJR北海道本社。報道陣を前に、夕張市長の鈴木直道(すずきなおみち)(35)は、落ち着いた口調で語った。
 鈴木はJR北社長の島田修(58)を訪ね、石勝線夕張支線(16・1キロ)の廃線を市から提案し、「知恵を出し合い、地域公共交通のモデルを作っていきたい」と呼びかけた。
 夕張市は全国唯一の財政再生団体だ。炭鉱の閉山とともに衰退し、観光に投資した借金が膨らみ財政破綻(はたん)した。借金は353億円に達し、現在、市税収入が年8億円のまちが毎年26億円の借金を返済している。市政は事前に定めた財政再生計画に従って進められ、わずかな計画変更にも国の承認が必要だ。
 前代未聞の自治体からの廃線提案。「失うものがないからできる」「思いつきで動かないでほしい」。影響を心配した他の赤字路線沿線の反応を鈴木は否定する。
 「タイミングをずっと待っていた」
 廃線提案の10日前、JR北は秋口にも単独で維持困難な路線を公表すると発表した。鈴木は「夕張支線は間違いなく含まれる」と判断。そして、動いたのだ。
 鈴木は元東京都職員。応援職員として来た時の働きや人柄を見込まれて地元から推され、2011年に30歳で初当選した。借金と制約に縛られながら、今年で財政破綻から10年を迎える。「借金返済ばかりではまちの将来はない。反転攻勢が必要だ」
 その目玉が「コンパクトシティー」の実現だった。点在する都市機能を集めて、効率的なまちに再生する。必要な交通機能の検討や実験も進めてきた。まちづくりの核となる交通の方向性が定まらずに計画は進まない。市はバスを軸とした交通体系作りに踏み出した。
 廃線提案に鈴木は三つの条件を付けた。(1)公共交通見直しへの協力(2)無償譲渡も含めたJR施設の有効活用(3)市への人材派遣。早い段階で手を挙げ、少しでも有利な条件を引き出したい。そんなねらいもあった。
 提案の9日後、同市を訪れた島田は「最大限の協力をしたい」と答えた。
 鈴木は言う。「鉄道の存廃問題では鉄道を守ることばかりが目的化しがちだが、一番に考えなければいけないのは市民の足をいかに守るか。足踏みしている時間はない。JRが潰れれば、何も守れなくなる」(長谷川潤)
 (No.206)

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