2017-02-23(Thu)

アスクル火災 なぜ長引いた 防火対策問いたい

---大型物流拠点を確保するとの名目で道路建設が進められてきた
---ネット通販の拡大で、都市部の高速道路周辺では今回のような倉庫が増えている。
---そもそも大型倉庫を作るにあたって、規制当局の対応が適切だったどうかも争点となる 



◇アスクル火災 防火対策問いたい 穀田氏「国会でも議論」
----日本共産党の穀田恵二国対委員長は22日の国会内での記者会見で「火災原因の究明とともに防火対策がどうなっていたのかが問われる。重大問題として関心を持っている。国会でも議論する必要がある」と述べました。
 
穀田氏は、事件の全体像をみる必要があるとし、大型物流拠点を確保するとの名目で道路建設が進められてきたことに言及。各地で大型物流拠点が建設されるなかで、消防庁はじめ行政がどのような対策をとってきたのか、大型倉庫の防火対策基準はどうあるべきかについて国会で議論すべきだと主張しました。
(しんぶん赤旗 2017年2月23日)


◇アスクル火災なぜ長引いた 住民「家の中、すすだらけ」
----三芳町は一時、周辺6世帯16人に避難勧告を出し、県によると3世帯10人がホテルなどに避難した。近くの主婦(50)は、ぜんそくをもつ小学5年の長女(11)を同級生宅に泊まらせた。「黒煙で、家の中にいても鼻の中が真っ黒。のどの痛みや吐き気、頭痛もあった。家の中はすすだらけで、布団も買い替えようか考えている」と話した。煙のため、ずっと家にいたという男性は「(火災まで)倉庫の中で何を扱っているか、何も知らなかった。地域に会社をもっと開放してほしい」と話す。
 
----総務省消防庁によると、倉庫には、消防法施行令でこの規模の倉庫に設置が義務づけられている消火器、屋内・屋外消火栓、自動火災報知設備、誘導灯が備わり、1階の一部にはスプリンクラーも設置されていたという。なぜ燃え広がったのか。
 
消防によると、窓や出入り口などが少なく、延焼部分に直接注水するのが困難だった。一時500度にもなる熱気や有毒ガスが立ち込めたり、崩落の危険が増したりしたことで倉庫内に入るのも難しかったという。

----大型倉庫の火災は過去にもある。1991年には東京都足立区の靴の倉庫が4日間燃え、靴やサンダルなど150万足が焼けた。ネット通販の拡大で、都市部の高速道路周辺では今回のような倉庫が増えている。
 (朝日新聞 2017年2月23日)


◇火災のアスクル倉庫、何が間違っていたのか 最先端の物流センターに潜んでいた死角
----「防火シャッター設置などの設備面に加え、避難訓練などについても、法令に基づいて実施していた」(同社)。「ロジパーク」という言葉通り、作業員の無期雇用や健康に配慮した食事提供、センターの壁面緑化にも率先して取り組んでいた。

それでも事故は防げなかった。在庫品も含め、ロジパーク首都圏の大半が焼損してしまったこともあり、今回の損失は数十億円規模に上りそうだ。

最先端のセンターのどこに死角があったのか。そもそも大型倉庫を作るにあたって、規制当局の対応が適切だったどうかも争点となる。
詳細は鎮火後の検証を待たなければならないが、その内容はアスクルだけでなく、物流業界全体にとっても大きな影響を与えそうだ。
(東洋経済オンライン 2017年02月22日)




以下引用



しんぶん赤旗 2017年2月23日(木)
アスクル火災 防火対策問いたい 穀田氏「国会でも議論」


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-23/2017022314_01_1.html
 インターネット通販大手アスクルの物流倉庫(埼玉県三芳町)で16日から火災が続いていた問題で、日本共産党の穀田恵二国対委員長は22日の国会内での記者会見で「火災原因の究明とともに防火対策がどうなっていたのかが問われる。重大問題として関心を持っている。国会でも議論する必要がある」と述べました。
 穀田氏は、事件の全体像をみる必要があるとし、大型物流拠点を確保するとの名目で道路建設が進められてきたことに言及。各地で大型物流拠点が建設されるなかで、消防庁はじめ行政がどのような対策をとってきたのか、大型倉庫の防火対策基準はどうあるべきかについて国会で議論すべきだと主張しました。
消火活動はなぜ長期化 田村貴議員質問
 日本共産党の田村貴昭議員が21日の衆院総務委員会で、消火活動の長期化の原因を質問。高市早苗総務相は、倉庫内部が棚などによって複雑な構造になっていることや、建物が巨大で燃焼物に直接放水できないことを説明しました。
 田村氏は、近隣住民に対する避難勧告に加え、煙やすす、においが住民生活に深刻な影響を与えていると指摘。万全の対策とともに国会に対する情報提出を求めました。


朝日新聞 2017年2月22日12時55分
菅長官、アスクル消火長期化に「反省すべき点多々ある」
■菅義偉官房長官
 (埼玉県三芳町の通販会社「アスクル」の物流倉庫の火事で、鎮圧まで6日かかったことについて)倉庫は防火シャッターなど、複雑な構造になっていて、建物内部での継続的な消火活動が困難だった。さらに外壁には小さな開口部しかなく、建物が非常に大きく、燃焼物に直接放水できなかった。19日に2回の爆発が発生し、20日にも小さな爆発が発生し、一時退避が必要であった。
 こうしたことから消火活動に長時間を要したが、反省すべき点が多々あると思っている。なぜこのように長期化したかを徹底して調査し、二度とこうした長引くことがないように備える必要がある。(記者会見で)
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朝日新聞 2017年2月23日05時00分
(ニュースQ3)アスクル倉庫火災、6日間も延焼なぜ?
アスクル火災なぜ長引いた 住民「家の中、すすだらけ」


 埼玉県三芳町の事務用品通販大手「アスクル」の物流倉庫で起きた火災は、出火から6日後の22日、ようやくほぼ消火された。なぜこれほど長引いたのか。▼経済面=業績影響見通せず
 ■4万平方メートル超焼失
 「本当に申し訳ありません。初期消火の段階で止められなかった」。22日午後、アスクルの岩田彰一郎社長は、火災が起きた倉庫の近くで報道陣に頭を下げた。
 入間東部地区消防組合によると、火災は16日午前に発生。岩田社長らによると、出火場所とされる1階の北西側角付近は、使用済みの段ボールを置いておく場所で火の気はないという。
 倉庫内では当時、400~500人が勤務しており、男性従業員2人が熱い煙を吸って病院に搬送された。火は2、3階へ燃え広がり、22日午前9時半にほぼ鎮火するまでに、鉄骨3階建て倉庫の延べ床面積約7万平方メートルのうち、約4万5千平方メートルが焼けた。パソコンや文房具、洗剤など約7万種類が保管されていたという。
 ■周辺16人避難勧告
 三芳町は一時、周辺6世帯16人に避難勧告を出し、県によると3世帯10人がホテルなどに避難した。近くの主婦(50)は、ぜんそくをもつ小学5年の長女(11)を同級生宅に泊まらせた。「黒煙で、家の中にいても鼻の中が真っ黒。のどの痛みや吐き気、頭痛もあった。家の中はすすだらけで、布団も買い替えようか考えている」と話した。
 総務省消防庁によると、倉庫には、消防法施行令で設置が義務づけられている消火器、消火栓、自動火災報知設備が備わり、一部にはスプリンクラーも設置されていたという。なぜ燃え広がったのか。
 ■窓少なく注水困難
 消防によると、窓や出入り口などが少なく、延焼部分に直接注水するのが困難だった。一時500度にもなる熱気や有毒ガスが立ち込めたり、崩落の危険が増したりしたことで倉庫内に入るのも難しかったという。
 建物の特性も影響した。広い倉庫の随所に商品棚があり、食用油や紙類など燃えやすい物も多かった。19日未明には3階にあったスプレー缶に引火したとみられる爆発、20日午後にも破裂音がして、消火を妨げたという。
 大型倉庫の火災は過去にもある。1991年には東京都足立区の靴の倉庫が4日間燃え、靴やサンダルなど150万足が焼けた。ネット通販の拡大で、都市部の高速道路周辺では今回のような倉庫が増えている。
 東京理科大学の池田憲一教授(耐火構造)は「そもそも可燃物が多く、窓が少ない倉庫の火災は、長期化が宿命だ。火災の感知や初期消火など、消火活動の基本を改めて確認することが大切」という。「火災感知設備の増強、初期消火のためのスプリンクラー強化、消火ロボットの普及などで火災を防ぐことはできる。ただ、耐火設備を万全にすればそれだけコストがかかる。消防や防災の専門家、経営者、倉庫の管理者で、どこまで備えるかを議論することが重要だ」
 (小笠原一樹、佐藤祐生、木村司)
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朝日新聞 2017年2月22日21時39分
アスクル倉庫、出火元付近に段ボール 食用油も保管
炎上するアスクルの倉庫=16日、埼玉県三芳町、本社ヘリから
 埼玉県三芳町上富の事務用品通販大手「アスクル」の物流倉庫の火災は、発生から6日たった22日午前9時半ごろにほぼ消し止められた。消防によると、鉄骨3階建て倉庫の延べ床面積約7万平方メートルのうち、約4万5千平方メートルが焼けた。
 火災は16日午前9時15分ごろ発生。アスクルによると、出火場所とされる1階北西側角付近には、使用済みの段ボールが置かれ、「普段は火の気の無い場所」。火は2階、3階へ燃え広がった。
 入間東部地区消防組合によると、倉庫は窓などの開口部が少なく、直接注水できなかったうえ、煙や有毒ガスが立ちこめて温度が一時500度に。食用油や紙など燃えやすい物も多かった。崩落の危険が増し、内部での活動が難しかったという。完全な鎮火に向け、新たに壁を重機で壊し、光取りの穴を開けて消防隊員が入って放水した。作業終了のめどは立っていない。
 現場近くで会見した岩田彰一郎社長は「多くの方にご迷惑をおかけした」と謝罪した。一部の従業員が、消火活動中に2階ロッカーに荷物を取りに戻っていたことも判明。岩田社長は「安全管理上良くない。当社の判断だったが、適切だったか検証したい」と述べた。
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朝日新聞 2017年2月22日20時25分
アスクル「月内に配送の正常化を」 業績影響は見通せず
消火活動のため、壁に大きな穴が開けられた物流倉庫の前で取材に応じるアスクルの岩田彰一郎社長=22日午後1時、埼玉県三芳町、石橋亮介撮影
 オフィス用品通販最大手、アスクルの物流倉庫(埼玉県三芳町)で起きた火災がほぼ消し止められた22日、同社の岩田彰一郎社長が倉庫の敷地内で記者団の取材に応じ、2月中に配送の遅れを正常化させたいとの考えを示した。
 火災発生から7日目。岩田氏は、窓ガラスが割れ、焦げた臭いが漂う倉庫を背に「多くの関係者に、大変ご心配とご迷惑をおかけした」と謝罪。「二度とこのようなことが起こらないように努力してまいりたい」と述べた。
 オフィス向け通販「アスクル」は北関東など5県で、個人向け通販「LOHACO(ロハコ)」は東日本全域で現在、配送が1~2日遅れになっている。とくにロハコはこの倉庫が東日本唯一の拠点で、火災の影響が大きい。横浜市の物流倉庫を代替拠点にし、一部の商品を横浜からの配送に切り替えているが、それでも3万種類ほどが品切れの状態だ。
 岩田氏は、横浜に商品を集約することで配送の遅れを月内に正常化させたいと説明したが、被害状況の調査や被害額、倉庫の撤去・再建費用、品切れ・配送の遅れによる売り上げへの影響などは明らかにしなかった。後日記者会見を開く予定だが、業績への影響は見通せないままだ。
 今回の火災を受けて、大阪府内に建設中の物流倉庫について、「安全性を高めるよう指示している」という。今年12月の稼働予定が遅れる可能性もある。
 ロハコに化粧品などを納めている資生堂の魚谷雅彦社長は20日、記者団に対し、「取扱高も急速に大きくなっており、必要な商材は横浜市に緊急でお届けする」と述べ、全面的に支援する姿勢を示している。
 個人向け通販のライバル、アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は22日、日本記者クラブの会見で「今回の火災でどういう教訓があるかは、原因を見ながら検討したい」と話した。菅義偉官房長官も同日午前の記者会見で「検証して二度と長引くことがないように備える必要がある」とコメントした。(石橋亮介、栗林史子)
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日本経済新聞 2017/2/23 0:38
アスクル、倉庫火災鎮圧も消せない不安 利用者流出も
 埼玉県三芳町にあるアスクルの物流倉庫で発生した火災は22日午前、ほぼ火が消し止められた鎮圧状態となった。報道陣の取材に応じた岩田彰一郎社長は配送に遅れが生じているインターネット通販について、「月内の正常化を目指す」と語った。ただ、配送を巡るサービス競争が厳しさを増すなか、一部の利用者が他社に流れる動きが出ている。成長途上の個人向け事業にとっては大きな痛手となりかねない。
 「申し訳ありませんでした」。火災のあったアスクルロジパーク(ALP)首都圏で取材に応じた岩田社長は冒頭、深々と頭を下げた。
 延べ床面積7万2000平方メートルのうち、4万5000平方メートルを焼いた今回の火災は16日午前に発生した。丸6日が経過した時点で法人向けサービス「アスクル」の配送はほぼ通常通りに復旧したものの、個人向けの「ロハコ」では最大2日の遅れが続く。今後、横浜市内にある倉庫の在庫商品を積み増すなどし、大半の商品で早期に遅れを解消する計画だ。
 オフィス用品を扱うアスクルに次ぐ事業を育てるため、ロハコを立ち上げたのは2012年。ALP首都圏はロハコの配送サービス強化を目的として、13年7月に開設した。約200億円を投じた倉庫には最新の梱包ロボットなどを導入。顧客の争奪戦が激しい個人向け通販にあって、ロハコは1月も売上高が前年同月比42%増の37億円と成長が続いていた。
 それだけに配送の混乱は長引くほど影響も大きくなる懸念がある。
 法人向けで競合する大塚商会やコクヨが「現時点では影響がない」とする一方、個人向けサービスを手掛ける大手事業者には「この数日、文具や日用品などの注文数が明らかに増えている」との声がある。ロハコの利用者の注文が流れているとの見方は多く、実際、ネット上では「遅れはいつまで続くのだろうか」といった消費者の書き込みも目立つ。
 個人向けでは現在、大手を中心に継続利用を促す取り組みが相次ぐ。アマゾンジャパン(東京・目黒)はスピード配送に加え、動画や音楽などの会員サービスも提供。楽天は「楽天市場」などグループのサービスで利用できるポイントの付与率を高めている。他社のサービスにいったん流れた顧客を呼び戻すのは難しくなりつつある。
 ネット通販では物流機能を外部企業や出店事業者に任せる例が多い。一方のアスクルは17年末にも大阪府吹田市で100億円以上を投じる新たな倉庫の開設を計画するなど独自の物流網の構築に積極投資を続けてきた。
 スピード配送や到着時間の通知といった独自のサービスを顧客獲得の強みとしてきたアスクルにとって、中核拠点であるALP首都圏で起きた火災は抱え込んだリスクの大きさを浮き彫りにする結果となった。「明日、来る」で定着してきたブランドの信頼回復に向けては追加の安全対策という負担が必要になる可能性もある。(諸富聡)
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日本経済新聞 2017/2/22 10:48 (2017/2/22 15:27更新)
復旧費用や顧客流出…アスクル火災鎮圧、消えぬ不安
 インターネット通販アスクルの物流倉庫(埼玉県三芳町)の火災で、入間東部地区消防は22日午前、火災を鎮圧したと発表した。火災発生から6日が経過し、ようやく収束に近づきつつある。東京株式市場ではアスクルの株価が一時、前日比2%高と5日ぶりに反発した。
■株価は反発
火がほぼ消し止められ、鎮圧状態となったアスクルの物流倉庫を見る関係者ら(22日午前、埼玉県三芳町)=共同
 火災が発生した物流倉庫「アスクルロジパーク首都圏」は、法人向け通販サイト「アスクル」や消費者向けの「ロハコ」で扱う商品約7万点を首都圏をはじめとする東日本地域に配送する中核の物流拠点。16日朝に火災が発生し、これまでに延べ床面積約7万2千平方メートルのうち約4万5千平方メートルが焼けた。
 倉庫内部は高温で、白煙が立ち込め、消火作業の妨げになっていた。外部からの注水を進めるため外壁に新たな穴を開けるなど消防作業が続けられていた。
 現時点では、ほぼ火が消し止められた「鎮圧」状態となり、周辺の6世帯に出ていた避難勧告も午前11時に解除された。ただし、すべての火種がなくなる「鎮火」状態には至っていない。
 アスクルの株価は「鎮圧状態にある」と伝わると一時、3340円と前日終値よりも2%上昇した。ただ、終値は同0.2%高の3285円と、火災発生前の15日終値と比べると1割安いまま。火災が鎮火に向かってもアスクルの経営上の不安の種は残り、反発の勢いは限定的になっている。
■「他社への乗り換え」の恐れも
 不安材料の一つが、火災による直接的な被害額。「アスクルロジパーク首都圏」は2013年夏に約200億円を投じて設けた大型物流拠点で、復旧費用などは現時点では見通せない。
 もう一つは、ネット通販のライバルとの競争への影響だ。アマゾンジャパンや楽天などと配送などのサービス競争が激しくなっている。今回の火災では一部で商品の配送の遅れや在庫切れが発生しており、利用者が他社のサービスに乗り換える動きが出てもおかしくはない。
 最後に、今回の火災を踏まえた対策づくりも急務だ。火災の原因を究明し、再発防止のための対策を講じる必要がある。火災で焼けた倉庫の復旧だけでなく、他の物流施設すべてで商品在庫の保管方法の変更や消防対策などを検討することが課題になりそうだ。
 アスクルの岩田彰一郎社長は22日午後、火災鎮圧を受けて会見し、「地元に住んでいる方や自治体、取引先、お客様、関係者の皆様にご迷惑をおかけしました」と謝罪した。一部地域で配送に遅れが生じているが、「月内にサービスを正常化したい」と述べた。
 アスクルは業績への影響を精査中。3月16日に予定していた2016年12月~17年2月期の決算発表は延期すると発表している。
(富田美緒、諸富聡)
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産経ニュース 2017.2.23 10:45
【アスクル火災】ようやく鎮圧 「もう燃えないで」「よかった」住民安堵 会社側、月内にも説明会
放水用の穴が開けられた物流倉庫の前で陳謝するアスクルの岩田彰一郎社長=22日、埼玉県三芳町上富(川上響撮影)
 火災発生から6日後にもたらされた「鎮圧」の知らせに、住民からは安堵(あんど)の表情がこぼれた。埼玉県三芳町上富の通販会社「アスクル」の物流倉庫で16日に起きた火災。同社の岩田彰一郎社長は22日、倉庫前で陳謝し、月内にも住民説明会を開くことを表明した。一方、消防によると火元は倉庫1階の北西側とみられ、県警は鎮火を待って出火原因を捜査する。(川上響)
                    ◇
 「火が家まで燃え広がってきたらどうしようと怖かった。鎮圧されてよかった」。近所に住むパート、斎藤幸子さん(76)は表情をゆるめた。倉庫前の県道は同日午前、交通規制が解除されたが、斎藤さんは「職場までこの道を使っているので、通うのが大変だった」と、この6日間を振り返った。
 同町教育委員会によると、現場に最も近い上富小では、火災の影響で20日に6人、21日に5人の児童が登校せずに自宅待機。近隣の小中学校3校でグラウンドでの体育や外遊びを禁止し、マスク着用での登下校を促していたが、避難勧告の解除を受けて通常に戻した。
 マスクをして集団下校していた上富小3年の男子児童(9)は「ずっとマスクをしていて、外でも遊べなかった。もう燃えないでほしい」と元気のない様子で話していた。
 アスクルの岩田社長は同日午後、倉庫前で取材に応じ、「できるだけ早く住民説明会を開催し、健康や環境への不安に対してきちんと答えて、少しでも安心してもらえるように努力したい」と述べた。同社は火災発生以降、近隣住民に水やマスクを配るなどの対応をしてきたという。
 消防によると、火元とみられる1階北西側には廃段ボールが積まれていたという。同日午前9時半の鎮圧でいったん消火活動を休止したが、数時間後から2階部分に立ち入り、活動を再開した。24時間態勢で作業し、鎮火後に消防と県警が合同で見分を行う。
 埼玉県消防防災課によると、昨年2月にも同県川口市の有機質肥料製造施設で出火から鎮圧まで1週間かかる火災があり、鎮火まで1カ月以上を要した。今回も長期にわたる可能性がある。
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日本経済新聞 2017/2/21 21:21
アスクル火災鎮火せず 物流競争、大型拠点に死角
 埼玉県三芳町の事務用品通販アスクルの倉庫火災は21日、発生から丸5日がたった。倉庫内の燃焼は収まりつつあるが、鎮火のめどは立っていない。窓や扉など開口部が少ない構造で消火活動が難航し、火災の影響で商品の配送に遅れも出ている。インターネット通販の拡大に対応した物流拠点の大型化が相次ぐなか、今回の火災は防火上の課題を浮き彫りにした。
 「経験したことがない規模で消火が追いつかない」。21日午後、現場で地元消防の担当者は焦りを募らせた。焦げた倉庫の窓からは灰色の煙が上がり続ける。近くで工務店を営む関野昭さん(74)は「臭いがひどく、喉が痛い」。自営業の女性(40)は「窓のサッシや通気孔をテープで塞いでも、煙が部屋に入ってくる」と嘆いた。
 地元消防によると、火災は16日午前、倉庫1階の段ボール置き場で発生した。当時、倉庫内には約500人の従業員がおり、2人が煙を吸って病院に搬送された。これまでに鉄骨3階建ての延べ床面積約7万2千平方メートルのうち、約4万5千平方メートルが焼けた。倒壊の恐れがあるとして周辺の3世帯10人が避難している。
 消防は17日、重機で外壁に穴を開けて内部に放水を試みたが、倉庫は縦約240メートル、横約100メートルの広さがあり、中央部分に十分に水が届かなかった。その後、スプレー缶に引火したとみられる爆発音が複数回発生し、中にいた消防隊員が屋外に一時退避する場面もあった。
 東京理科大の菅原進一教授(建築防災学)は「物流倉庫は広い空間に段ボールなどの燃えやすい素材が積み重なり、商品の品質管理や防犯のため窓が少ない。内部が高温になりやすく消火しにくい」と指摘。「大型倉庫の壁や鉄骨を耐火被覆で覆うなど防火対策を徹底しなければ、同じような火災が繰り返されるかもしれない」と話す。
 ネット通販各社は配送のスピード競争で優位に立つため、物流拠点の大型化を進めているが、今回の火災は大型拠点の機能停止の影響が広範囲に及ぶことを示した。
 アスクルによると、倉庫は主力サービスの法人向けサイト「アスクル」や消費者向けサイト「ロハコ」の商品約7万種類を東日本地域に配送する中核の物流拠点で、同社では最大規模という。
 火災の影響で同社は16日昼に注文受け付けを一時停止。16日夕に再開したが、横浜市など近隣拠点から代替配送をしているため、東日本全域で1~2日ほどの遅れが出ている。
 元東京消防庁消防官で防災アナリストの金子富夫氏は「大型倉庫は扱う商材や建物の構造から大規模火災のリスクがつきまとう。物流業者は1つの拠点が使えない場合には他の拠点でフォローする仕組みを整える必要がある」と話している。
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東洋経済オンライン 2017年02月22日
火災のアスクル倉庫、何が間違っていたのか
最先端の物流センターに潜んでいた死角


 事務用品通販大手アスクルの物流センター「ロジパーク首都圏」(埼玉県・三芳町)の火災は、2月16日の出火から5日を経た21日午後4時現在、なお鎮火していない。
 同センターは、関越自動車道の所沢インターチェンジまで車で10分、公共交通機関でも東武東上線・鶴瀬駅から車で約15分の好立地にある。地上3階建て、延べ床面積7万2000平方メートルの大型センターだが、21日現在で東京ドーム1個分に相当する約4万5000平方メートルが焼失してしまった。
土地代を含め約200億円を投資
 同センターはアスクルの全国に7つある物流拠点のうち、横浜などと並ぶ中核施設だ。2013年に稼働、アスクルは土地代も含めて約200億円を投じた。在庫は約7万品目を数え、首都圏だけでなく関東広域に出荷する。売り上げの拡大に伴い、失火前にはコンベアの増設も検討されていた。
 記者は失火直前の2月上旬に、同センターに取材に訪れていた。1階から3階までは総延長8.5キロメートルにも及ぶコンベアが張り巡らされ、次から次へと荷物が流れてくる。
 驚いたのが、多種多様な製品を平然と、そして見事に仕分けしていくことだ。同センターでは法人向けのオフィス事務用品と同時に、食品や日用品など個人向けの通販商品も扱う。アスクルは2012年に個人向けの通販「LOHACO」(ロハコ)を立ち上げ、現在では売上高が約500億円に手が届くところまできた。LOHACO事業の成長は、こうした高度な物流機能が支えている。
 ロジパーク首都圏では、「商品ピッキングの完全自動化」にも挑戦している。他社の物流センターでも、メーカーからの納入品を自動的に在庫として収納したり、それをピッキングして作業員の元に届ける「自動倉庫型GTP」と呼ばれる高度なシステムを導入しているところはある。だが、それでもピッキングなどには、人手がゼロになることはない。
アーム型ロボットが活躍
 アスクルの場合、このGTPに加え、高精度のカメラなどを使用した画像認識技術と最新のロボット技術を組み合わせて、「アーム型ロボット」に細かなピッキング作業を任せることに挑戦している。ロジパーク首都圏は”最先端の実験場”の位置づけで、その結果を見ながら、横浜のセンターにアーム型ロボットを実践配置してきた。
 能力は「熟練した作業者」にはまだ及ばないものの、完全自動化に向けてメドが経ちつつある状況だ。同社では将来的な可能性として、ピッキングを担う作業員が、ロボットの簡単な操縦やメンテナンス作業など、「より次世代の仕事」を担うようなロードマップも念頭に置いており、極めて先進的な戦略が張り巡らされていた。
 だが、最先端のセンターは「内部からの火災」にはもろかったことになる。16日、1階の段ボール置き場付近で発生したとみられる火災時、倉庫内では400人以上の従業員が作業していたというが、当初は「最新設備なのだから、初期消火が的確になされる」と思ったはずだ。だが、在庫商品の多い2、3階へと延焼した。
 コピー用紙などの可燃物が多いことや、外壁には窓口などの開口部分が少ないこともあり、消火活動は難航を極めた。19日には倉庫内のスプレー缶への引火が原因とみられる二度の爆発が発生、大半を焼損してしまった。現在は横浜の物流センターなどで機能を代替しており、 法人向けのネット通販は通常通り配送しているが、個人向けのLOHACOでは一部地域で最大2日程度の配送の遅れが生じている。
BCPには念を入れていたが・・
 決して自動化だけに邁進していたわけではない。2011年に起きた東日本大震災で仙台の物流センターや本社が被災した教訓を生かし、停電時にも連続で21時間発電が可能な自家発電設備を導入。大地震などの発生時には既存の別の物流センタ―の機能をカバーしたり、本社機能の移転にも対応できるようにするなど、BCP(事業継続計画)には念を入れていた。
 「防火シャッター設置などの設備面に加え、避難訓練などについても、法令に基づいて実施していた」(同社)。「ロジパーク」という言葉通り、作業員の無期雇用や健康に配慮した食事提供、センターの壁面緑化にも率先して取り組んでいた。
 それでも事故は防げなかった。在庫品も含め、ロジパーク首都圏の大半が焼損してしまったこともあり、今回の損失は数十億円規模に上りそうだ。損失については一定程度、火災保険でカバーされるものの、補てんされる範囲や金額については鎮火後の現場確認や調査終了後になる。そうした状況を受け、同社は3月16日に予定していた2017年5月期第3四半期の決算発表を延期した。
 最先端のセンターのどこに死角があったのか。そもそも大型倉庫を作るにあたって、規制当局の対応が適切だったどうかも争点となる。詳細は鎮火後の検証を待たなければならないが、その内容はアスクルだけでなく、物流業界全体にとっても大きな影響を与えそうだ。
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