2017-03-20(Mon)

福島原発事故 賠償判決 (2) 「人災」と認めた判断は重い

東電の責任を断じた 事故の本質突いた判決 安全軽視戒める判決だ

<各紙社説・論説>
秋田魁新報)原発避難者訴訟 安全軽視戒める判決だ (3/18)
福島民友)原発避難者訴訟/「人災」と認めた判断は重い (3/19)
福島民報)【原発避難賠償判決】人災認めた意義大きい (3/18)
新潟日報)原発避難者訴訟 責任認めた画期的判決だ (3/18)

信濃毎日新聞)福島訴訟判決 過失の認定に向き合え (3/18)
福井新聞)前橋原発訴訟判決 「人災」の指摘受け止めよ (3/18)
京都新聞)原発避難者訴訟  事故の本質突いた判決 (3/18)
神戸新聞)原発避難判決/国と東電の責任を断じた (3/18)




以下引用



秋田魁新報 2017年3月18日 10時29分
社説:原発避難者訴訟 安全軽視戒める判決だ


 東京電力福島第1原発事故を受け福島県から群馬県などに避難した住民が東電に計約15億円の損害賠償を求めた訴訟で、前橋地裁は「津波は事前に予測でき、事故を防ぐことは可能だった」として双方の過失を認め、計3855万円の賠償を命じる判決を言い渡した。
 全に避難した住民約1万2千人が各地で起こした約30件の同種集団訴訟で最初の判決。原告側によると福島第1原発事故を巡り、裁判で東電の過失が認められたのは初めてといい、「極めて大きな意味がある」と評価した。
 事故から6年たった今も、福島県では約8万人近くが県内外で避難生活を続けるなど、事故による経済的、精神的影響は計り知れない。対策を講じていれば事故は防げた、という判決の指摘は重い。東電も真摯(しんし)に受け止めなければならない。
 群馬の原告は避難指示区域に住んでいた人と区域外からの自主避難者合わせて137人。「生活基盤を失い、慣れない土地で精神的苦痛を受けた」として1人当たり1100万円の慰謝料などを求めた。
 訴訟の焦点だったのは、東電が巨大津波の来襲を予測できたかどうか。政府の地震調査研究推進本部が2002年に示した地震規模などの長期評価を基に東電が試算したところ、津波の高さは海抜10メートルの原発建屋の敷地を上回るとの結果が出た。だが東電も、長期評価には学者の中にも異論があり科学的知見として不十分で、巨大津波は想定外だったと主張した。
 判決は、長期評価を基に巨大津波の予測は可能で、東電は原発建屋の地下にあった非常用電源設備を上階に移すなど対策を講じることができたと認定。国に対しても規制権限に基づき東電に対策を取らせていれば事故は防げたとして過失を認めた。さらに、東電は安全性より経済的合理性を優先させたとし「特に非難に値する」と指摘した。
 原告は慰謝料請求により、国の指針に基づく東電の賠償水準が妥当なのかを問い掛けた。賠償が認められたのは62人で、1人当たり7万~350万円。個々の事情を認定し、指針とは別に慰謝料額を算定しており、今後の賠償に影響を与えそうだ。
 今回の判決は、国会事故調査委員会が12年にまとめた報告書を思い起こさせる。事故調は、福島第1原発は地震や津波などによる過酷事故への対策が不十分で、国の規制当局、東電経営陣が組織の都合などで対策を先送りしたことが事故の原因と分析。「事故は人災で、国と東電には、人々の命と社会を守るという責任感の欠如があった」と指摘している。
 東電は柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を目指しているが、判決で指摘されたような経済的合理性優先の姿勢は改まっているのか。全国で原発の再稼働を進める国と共に、安全を守る責任感が厳しく問われている。
ページのトップへ戻る



福島民友 2017年03月19日 08時36分
社説:原発避難者訴訟/「人災」と認めた判断は重い


 東京電力福島第1原発事故で本県から群馬県などに避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた訴訟の判決が前橋地裁であった。
 地裁は、国と東電が巨大津波を予見でき、原発事故を防ぐことができたにもかかわらず安全対策を怠ったとして過失を認め、両者に賠償を命じた。
 原発事故を巡る裁判で、東電だけでなく国の責任が初めて認められた。全国各地で起こされた同様の訴訟の中で最初の判決だった。
 万一の事態に備えて、常に安全側に立って万全を期すべきだとする裁判所の判断は重い。
 裁判は、政府が2002年に発表した、本県沖などで巨大地震が発生する可能性を示した長期評価を基に、国と東電が津波到来を予測できたかどうかが争点だった。
 判決は、長期評価は地震学者の見解をまとめたものであり、「合理的」と評価した。その上で東電は津波が到来する可能性を知りながら、安全より経済的な合理性を優先させたなどと断じた。
 国に対しては、国は事故前から津波対策に取り組んでおり原発事故を未然に防ぐことが期待されていたが、東電に津波対策を命じなかったとして、原発事故に東電と同等の責任があると結論づけた。
 原発事故が発生すれば、その被害は原発周辺にとどまらず広い範囲に及び、事故の収束は困難な道のりになる。本県では、事故から6年が過ぎた今も、8万人近くの住民が県内外で避難生活を続けている。
 前橋地裁の判決が第1原発事故の影響の大きさを考慮したのは間違いない。国や電力会社は事故の発生を念頭に入れて、原発施設だけでなく住民の安全確保を含めて不断の努力が求められる。
 同様の民事訴訟は少なくとも全国の20地裁・支部で約30件を数え、原告総数は約1万2千人。避難に伴う精神的苦痛や、ふるさとを失ったことに対する慰謝料だったり、事故前のレベルに放射線量を戻す原状回復だったりと請求内容はさまざまだ。東電や国の責任の所在が曖昧なまま時間が過ぎていくことに対する不満ややりきれなさの表れにもみえる。
 福島第1原発事故の予見可能性を巡っては、東京地検が巨大津波を予測できなかったとして、刑事告訴された東電の元会長らを2度不起訴処分にしたが、検察官役の指定弁護士が検察審査会の議決に基づいて業務上過失致死傷罪で強制起訴している。
 今回の前橋地裁判決がこれらの訴訟に影響を与えるのかどうか。注視していかなければならない。
ページのトップへ戻る



福島民報 2017/03/18 09:21
論説:【原発避難賠償判決人災認めた意義大きい(3月18日)


 東京電力福島第一原発事故の影響で福島県から群馬県などに避難した住民らが、東電と国に損害賠償を求めた訴訟の判決で前橋地裁が17日、津波対策で両者に過失があったとして賠償を命じた。事業者である東電が対策を怠り、規制権限のある国が責務を果たさなかったとして、裁判所が原発事故を人災と認めた意義は大きい。県民全てが被災者とも言える本県にとって当然と感じる判決だ。
 全国の避難者らによる約30件の同種集団訴訟で最初の判決であり、今後の判断にも影響を与えるとみられる。
 判決は政府の地震調査研究推進本部が平成14年にまとめた長期評価で事故の予見が可能となり、20年には東電が実際に予見していたと指摘。特別な許可で扱う原子力事業者の責任があるにもかかわらず、経済的合理性を安全性に優先させたとして「特に非難に値する」と批判した。
 国に対しても、東電が長期にわたり自発的対応に動かないのを認識しながら、規制権限を行使しなかったのは著しく合理性を欠くと指摘。責任も事業者である東電に比べて補充的ではなく同等と見て、慰謝料額を同額とした。
 原発事故を巡って国際原子力機関(IAEA)は平成27年に公表した報告書で、東電や国は巨大津波の危険を認識しながら実効的な対策を怠ったと総括した。その他の調査や研究でも、東電などは北海道南西沖地震やスマトラ沖地震の津波被害などから、従来の想定を超えた津波が日本の原発を襲う可能性があり、過酷事故につながる可能性を認識していたという指摘が出されている。
 危険性を認識しながら縦割りの組織は安全に関する情報や対応を共有せず、面倒な意思決定を先送りし、立地地域の住民の安全より経済的合理性を優先させた。こうした判断や対応は事業者と国がなれ合いの構図だったからだろう。強く反省するべきだ。
 原発事故の刑事責任については告訴・告発された東電元会長らを東京地検が二度、不起訴処分としたが昨年2月、強制起訴されている。刑事責任立証のハードルは高いが、危険を知りながら放置していた責任は今後も追及されなければならない。
 判決は原告の生活場所の選択など自己決定権を含む「平穏生活権」を認めた。裁判長らが県内にある原告の自宅を訪れ、原発事故の現場を直接、目にした経験は大きな判断材料になったはずだ。こうした当然の権利の侵害を県外の人々にも知ってもらわなければならない。(佐久間順)
ページのトップへ戻る



新潟日報 2017/03/18
社説:原発避難者訴訟 責任認めた画期的判決だ


 国と東京電力の過失を初めて認め、法的責任を明確にした画期的な判決といえよう。
 東京電力福島第1原発事故の影響で福島県から群馬県などに避難した住民ら137人が、国と東電に損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、前橋地裁であった。
 判決は「巨大津波の予見が可能で、事故は防げた」と判断し、国と東電に計3855万円の支払いを命じた。
 同様の集団訴訟は新潟地裁を含め約30件あり、今回が最初の判決だった。他の訴訟に与える影響も少なくないのではないか。
 訴訟は、避難指示区域に住んでいた76人と区域外から自主避難した61人が、「精神的苦痛を受けた」などと計約15億円の損害賠償を求めていた。
 焦点だった巨大津波を予見し事故を回避できたかということについて判決は、東電は遅くとも2002年に津波の予見が可能だったと判断した。
 国も規制権限に基づき東電に対策を取らせていれば事故を防げたと指摘し、責任は補充的なものではなく、東電と同等と結論付けたのである。
 原告側の主張に沿い、事故は「人災」との側面を強調したといえるだろう。
 原告側が大津波の予見可能性の根拠としていたのが、政府の地震調査研究推進本部が02年にまとめた「長期評価」だ。
 「福島沖を含む日本海溝沿いでマグニチュード8級の津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生する」というものだ。
 国と東電は長期評価は科学知見が確立していなかったと反論していたが判決は「合理的」とした。
 その上で評価の数カ月後には津波の予見が可能だったと、東電の対応遅れを批判したのである。
 防潮堤の設置などの基本設計を東電に変更させる規制権限がなかったとの国の主張も退け、規制権限を行使しなかったのは「著しく合理性を欠き違法」だと断じた。
 一方で賠償が認められたのは原告137人中62人で、1人当たり7万~350万円だった。
 事故に伴うさまざまな損害のうち、慰謝料に絞って1人当たり1100万円の支払いを求めた原告側とは開きがあった。
 とはいえ、東電は安全性よりも経済的合理性を優先させたとし「特に非難に値し、慰謝料増額の要素とすべきだ」と指摘したことは重いといえよう。
 集団提訴している約30件の原告総数は約1万2千人で、このうち新潟地裁の原告は239世帯の807人に上る。
 新潟地裁の原告本人尋問では、男女3人が放射線の不安や家族離ればなれの生活、経済面での苦痛などを涙ながら訴えている。すべての避難者の思いだろう。
 国や東電は今回の判決を重く受けとめ、避難者が生活を再建できるよう、賠償の在り方を見直すべきではないか。
 今回と同様な判決が続けば、再稼働に突き進む国と電力会社の姿勢に影響を与えるのは必至だ。国の原子力政策が問われている。
ページのトップへ戻る



信濃毎日新聞 (2017年3月18日)
社説:福島訴訟判決 過失の認定に向き合え


 生活基盤を奪われた原発事故の被災者と、国民の疑問に寄り添った意義のある判決だ。
 東京電力福島第1原発の事故の避難者137人が、国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟である。前橋地裁が「巨大津波の予見は可能で事故は防げた」として国と東電の過失を認め、計3800万円余の賠償を命じた。国と東電の過失が裁判で認められたのは初めてのことだ。
 事故から6年が経過しても、約8万人が避難したままだ。事故処理費は21兆円を超える見通しだ。それなのに事故の責任は不明確なまま放置されている。
 避難者による集団訴訟は約30件起こされている。判決は他の訴訟にも影響を与えよう。
 事故を二度と起こさないためには、原因を究明し責任を明確にすることが必要だ。国と東電は判決に真摯(しんし)に向き合い、対策が不十分だったことを認めるべきだ。
 国の指針に基づく慰謝料は、避難指示区域からの避難者で月額10万円などだ。避難指示が解除された地域の住民は来年3月で打ち切られる。慰謝料の額や支払期間も再検討する必要がある。
 訴訟の争点は▽巨大津波を予見し、事故を回避できたか▽東電の賠償水準は妥当か―などだった。
 鍵を握ったのが、政府地震調査研究推進本部が2002年にまとめた地震予測の長期評価だ。東電がそれを基に08年に実施した試算で、海面から10メートルの原発敷地を上回る津波が来るとの結果が出た。
 判決は、長期評価の数カ月後には津波の予見が可能だったと判断し、対策を取らなかった過失を認めた。国に対しても「東電に回避措置を講じさせていれば事故を防げた」と判断した。
 原発が事故を起こせば多大な影響が出る。万が一を想定した対策が欠かせないのに東電と国は怠った。判決はまっとうだ。
 02年の長期評価をまとめた島崎邦彦・原子力規制委員会前委員長代理は、関西電力大飯原発について、関電が地震想定を過小評価していると指摘している。
 それなのに規制委は「(指摘内容は)専門家の間で知見が固まっていない」として、再稼働を認めている。規制委の見解は、東電が今回の訴訟で長期評価に対して主張した内容とほぼ同じだ。
 判決は「東電は安全より経済合理性を優先させた」と断罪した。他の電力会社、規制委も同様ではないか。想定できる災害に対する万全の対策が取れているのか。全原発を検証するべきである。
ページのトップへ戻る



福井新聞 (2017年3月18日午前7時30分)
論説:前橋原発訴訟判決 「人災」の指摘受け止めよ


 【論説】あの原発事故は「人災」―。司法はそう断じた。
 東京電力福島第1原発事故で福島県から群馬県などに避難した住民らが国と東電に計15億円の損害賠償を請求した訴訟の判決で、前橋地裁は双方に過失があったと認め、低額ながら計3855万円の賠償を命じた。
 未曽有の過酷事故を起こした法的責任を明確にし、過失責任を初めて認めた画期的な司法判断だ。同様の集団訴訟は全国で少なくとも20地裁・支部で約30件、原告総数は約1万2千人とされる。今後の訴訟のみならず原発の安全規制のあり方にも影響を与えそうだ。
 訴訟における最大の注目点は、巨大津波の到来を予測できたかだった。
 判決で原道子裁判長は、政府の地震調査研究推進本部が2002年7月にまとめた長期評価で「福島沖を含む日本海溝沿いでマグニチュード8級の津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生する」と予測していたことを重視。巨大津波の予見は可能として、東電は対策が遅れたと判断した。国についても、規制権限に基づき東電に結果回避措置を講じさせていれば事故は防げたと指摘した。
 判決はほぼ原告側の主張に沿ったものだ。国と東電は政府の長期評価に関し「専門家の間でも異論があり、科学的知見が確立していなかった」として予見可能性を真っ向から否定した。
 これに対し、判決は長期評価は「地震学者の見解を最大公約数的にまとめたもの」として「考慮すべき合理的なもの」とした。さらに「配電盤などを高台に設置するといった対策を講じていれば、事故は発生しなかった」と指摘した。
 この予見可能性を科学的な知見に基づいて客観的に判断することは難しい。東京地検は巨大津波を予測できなかったとして、刑事告訴された東電の元会長を2度不起訴処分としている。しかし、検察官役の指定弁護士が検察審査会の議決に基づいて業務上過失致死傷罪で強制起訴している。
 判断が割れる中で、万一深刻な事故が起きれば甚大な被害に直面するという事実をどう見据えるかだ。
 「過酷事故は起きない」という「安全神話」の果てに想定外の事故が起きたのではなかったか。炉心溶融で大量の放射性物質を広範に拡散させても、国も東電も責任を問われないのは「文明の矛盾」である。「仮に対策を講じていても、事故は回避できなかった」との反論は首肯できない。
 判決は原発事故の特異性を考慮し、一方的に被害者となる住民に寄り添った判決といえる。国の責任について「補充的なものでなく、東電と同等」と結論付けた点も注目に値する。
 いまだ責任の所在が曖昧なまま賠償や復興が進められ、政府の原発推進姿勢がより鮮明になっている。それに対し、司法の姿勢は原発の運転差し止めを命じる判断を示すなど厳しさを増している。リスクの多い災害列島における原子力行政や原子力規制のあり方を、住民目線で見直す必要性を今判決は突き付けたのだ。
ページのトップへ戻る



[京都新聞 2017年03月18日掲載]
社説:原発避難者訴訟  事故の本質突いた判決


 東京電力福島第1原発事故は人災、との判断を司法が初めて示した。福島県から群馬県に避難した人たちが起こした損害賠償請求訴訟で、前橋地裁がきのう、国と東電の過失を認める画期的な判決を出した。
 未曽有の原子力災害から6年、その法的責任は曖昧にされてきた。原告住民の訴えの核心は、国と東電の責任をはっきりさせ、現実を直視させて二度と事故を起こさせないことにほかなるまい。
 暮らしと故郷を奪われ、今も約8万人が県内外で避難生活を送っている。福島では、避難の長期化などが原因で亡くなる「震災関連死」が地震と津波で亡くなった人を上回っており、被害は現在進行形だ。
 巨大津波の予見可能性が最大の争点となった裁判で、前橋地裁は東電が政府の地震調査研究推進本部の長期評価に基づく試算で津波を予見していたとし、原発の安全性より経済的合理性を優先させたと断じた。まさに事故の本質を突いたと言えよう。
 東電が1年ほどで可能な電源車の高台配備やケーブルの敷設さえ行わず、規制当局から炉心損傷に至る危険を指摘されながら対策を怠ったとも厳しく批判。国に対しては、規制権限に基づき、東電に対策を取らせるべきだったのに怠ったと指摘した。
 原発事故は他の事故とは次元の異なる被害をもたらす。ゆえに最大限の安全対策が要ることを国と電力会社は改めて認識すべきだ。
 福島第1原発をめぐっては、事故の真相究明も不十分なままだ。昨年2月に東電の旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴されたが、公判開始の見通しはいまだ立っていない。一方で政府は今月末で自主避難者への住宅提供を打ち切り、原発周辺に出している避難指示を一部残して解除する。解除区域の住民への東電の慰謝料も遠からず終わる。
 帰りたくても帰れない、というのが多くの避難者たちの思いだ。取り返しのつかない被害をもたらした事故の原因も責任も曖昧な中で、人々が帰還に踏み出せないのは当然だ。政府の強調する「復興の加速」が、避難者を置き去りにし、被害の実相を風化させるものであってはならない。
 今回と同様の集団訴訟は京都地裁を含めて約30件あり、原告は1万2千人に上る。事故を繰り返さないために、原発の安全性や、再稼働を進める政府の姿勢を厳しく問い続ける必要がある。
ページのトップへ戻る



神戸新聞 2017/03/18
社説:原発避難判決/国と東電の責任を断じた


 福島第1原発事故から6年、国と東京電力の過失と賠償責任を断じる判決が出た。
 事故の影響で福島県から群馬県などに避難した住民ら45世帯137人が、国と東電に計約15億円の損害賠償を求めた訴訟で、前橋地裁は津波対策の過失を認め、両者に計3855万円の賠償を命じた。
 今なお避難を強いられている人々の声に耳を傾け、被害の深刻さを直視した判決と評価したい。
 原発事故による県内外への避難者は現在、約7万7千人に上る。このうち1万2千人余りが各地で、国と東電の過失を追及する裁判を起こしている。神戸、大阪、京都の各地裁でも審理が続く。
 故郷から引き離され、家族がばらばらになる。経済的に追い込まれ、先が見えない。心身が不調に陥る。「普通の生活を取り戻したい」「生きるために闘う」。各地の原告団に加わった住民たちは口々に訴える。神戸の裁判でもそうだ。
 その中で初の判決となった前橋地裁の判断は、司法が東電のみならず、国にも同等の過失があると初めて認めるものとなった。被ばくの恐怖や不安にさらされない平穏な生活を送る権利も認めている。
 地裁が重視したのは、2002年に政府がまとめた長期評価だ。福島沖を含む広い範囲で、マグニチュード8級の津波地震が30年以内に20%の確率で発生するとした。
 判決は、東電が評価を軽視して津波対策を採らず、国は規制権限を行使して東電を指導しなかったことを厳しく指弾した。東電の姿勢は、安全性より経済的合理性を優先したと言われてもやむを得ないとし、国の対応については「著しく合理性を欠き、違法だ」とまで述べている。
 原発事故は人災で、「想定外ではなかった」と認定したと言える。
 神戸地裁でも津波の予見が可能だったかどうかが、大きな争点になっている。今回の判決が各地の訴訟に与える影響は大きいだろう。
 避難者を避難指示区域の内外で区別しなかったことにも注目したい。
 国と東電は判決を重く受け止めなければならない。個々の事情に配慮することなく、支援や賠償を一方的に打ち切ろうとする姿勢を見直し、自主避難者を含めたすべての避難者を積極的に救済するよう方針を改めるべきだ。
ページのトップへ戻る

//////////////////////////////////////////////////////////////////

関連記事

テーマ : 政治・時事問題
ジャンル : 政治・経済

tag : 福島原発事故 原発 賠償判決 人災 東電

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

プロフィール

ajimu-ra

Author:ajimu-ra

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最近の記事
リンク
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ(タブ)
RSSフィード
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カテゴリー
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
FC2ブログランキング
↓↓クリックお願いします↓↓

FC2Blog Ranking

ブログ内検索
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

フリーエリア
blogram投票ボタン