2017-03-21(Tue)

福島原発事故 賠償判決 (3) 国と東電の責任認めた意義重い

東電は重く受け止めよ にも突きつけた重い責任  重大な東電の「過失」

<各紙社説>
中国新聞)国・東電に賠償命令判決 「責任」重く受け止めよ (3/19)
愛媛新聞)原発事故集団訴訟判決 国と東電の責任認めた意義重い (3/19)
徳島新聞)原発避難者勝訴 国と東電の責任は重い (3/18)
高知新聞)【原発事故訴訟】重大な国と東電の「過失」 (3/18)

西日本新聞)原発賠償判決 国・東電は重く受け止めよ (3/19)
熊本日日新聞)原発事故訴訟判決 国にも突きつけた重い責任 (3/19)
南日本新聞)[原発避難者判決] 国と東電は責任痛感を (3/19)
琉球新報)原発避難者訴訟 国と東電の責任は明白だ (3/19)




以下引用



新聞 2017/3/19
社説:東電に賠償命令判決 「責任」重く受け止めよ


 福島第1原発で起きた、原子力災害では内最悪の事故。その責任が、事業者の東京電力にも規制する立場のにもないというのは、無理があるだろう。事故による避難者が損害賠償を求めた訴訟の判決で、前橋地裁が、東電の責任を認めたのは当然と言える。
 争点の一つは、東日本大震災レベルの巨大津波が予測できたかどうかだった。は2002年に福島沖でも津波地震が起きるとの「長期評価」を発表した。それに基づき東電は08年に津波が敷地の地盤面を上回る高さになると試算した。それらを論拠に判決は「予測はできた」とする踏み込んだ判断をした。
 さらに、地下に置かれていた配電盤を高台に置くなどの対策を取っていれば、巨大津波でも配電盤は浸水せず原子炉は冷却できたから事故は防げたと指摘した。国には、規制権限を使って東電に対策を取らせておけば事故は防げたとして責任を認めた。求められる役割を十分果たしていなかったというのだ。
 長期評価について、国や東電は「地震学者の間で異論があった」「一つの仮説」などと軽視していた。疑問の残る対応だ。可能性は低くても、ひとたび事故が起きれば広範囲に、しかも長期間にわたって影響を及ぼすのが、原発の特徴だ。それだけに安全面を最優先して慎重に対応する必要があったはずだ。長期評価を基に試算までしたのに生かさなかったのは、自覚が乏しかったと言えそうだ。そもそも放射性物質を扱う資格がなかったのではないか。
 判決の重みをどう受け止めるのか、国や東電は問われている。巨大津波の恐れが指摘され試算した時、なぜ対応しなかったのか。安全よりコストを優先させたのか。今後の教訓として生かすため、そうした経緯を明らかにすることが不可欠だ。
 賠償額についての判断には、原告の間に不満もあるようだ。自主避難者を含め、原子力損害賠償法に基づく賠償金が既に支払われているとはいえ、判決が認めた額は請求額を大幅に下回っているからだ。受け取れる人も原告の半数以下にとどまる。ただ、将来の健康不安や失業・転校、家族との別離など慰謝料を考える要素を示して、一人一人を見て判断する独自の枠組みを打ち出した点は評価したい。
 折しも今月末、福島県による自主避難世帯への住宅の無償提供が打ち切られる。避難者への補償や支援は今のままで十分か、その在り方も含めて、議論を深める必要がある。
 同様の集団訴訟は、広島や岡山両地裁を含め、全国で30件近くある。初めて出された今回の判決は踏み込んだ考え方も示した。今後も、事故の原因や責任に厳しく迫る判決を望みたい。
 今回の判決で強調された「人災」という側面は、以前も指摘されている。国会に設けられた事故調査委員会である。津波のリスクについて国や東電が「認識していながら対策を怠った」とした上で、事故の根源的原因は「人災」だと結論づけた。
 ところが、国会は事実上それを放置している。なぜ福島で事故は起きたのか、責任は誰にあるのか。さらには、各地で原発再稼働への道が開かれつつある中、エネルギー政策はどうあるべきか。判決を機に、じっくり考えるきっかけにしたい。
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(愛媛新聞)2017年3月19日(日)
社説:原発事故集団訴訟判決 国と東電の責任認めた意義重い


 東京電力だけでなく、国の責任をも認めた画期的な判決といえる。東電福島第1原発事故で群馬県などに避難した住民らが損害賠償を求めた集団訴訟で、前橋地裁は国と東電に賠償を一部命じるとともに、安全対策を怠ったとして対応を厳しく批判した。両者は「想定外」との主張が明確に否定されたことを、重く受け止めねばなるまい。
 焦点は、巨大津波を予見して事故を回避できたかどうかだった。判決が重視したのは、2002年に政府がまとめた長期評価だ。三陸沖などで、マグニチュード8級の地震が30年以内に20%の確率で発生するとした評価を「合理的」と認定。東電が08年に最大15.7メートルの津波を試算したことを踏まえ、「実際に予見していた」と結論付けた。「可能かどうか」を飛び越えた判断に強い思いがうかがえる。
 さらに国に対しては、東電の自発的な津波対策が期待できない状況を把握していたとし、規制権限に基づいて対策を取らせるべきだったと断じた。最終的な責任は事業者が負うとの主張を一蹴し、同等の責任を認めた意義は大きい。事故の責任の所在が曖昧なまま次々に再稼働を進める姿勢を、国は真摯(しんし)に省みる必要があろう。
 判決は、甚大な被害をもたらす原発事故の特性に鑑み、最大限の安全対策が必要とした。その上で、高台に配電盤を設置したり電源車を配備したりするなどの津波対策は容易だったとも指摘。東電ができることをしていれば、あるいは国がさせていれば事故は防げたのだから、双方に過失責任があるという論理の組み立ては、多くの国民の理解を得られるに違いない。
 福島県内外では今も8万人近くが避難を続けており、全国で提訴された集団訴訟は約30件、原告の総数は約1万2000人に上る。松山地裁でも愛媛に避難している10世帯25人が損害賠償を求めている。各地の原告から、今回の判決の波及を望む声が聞かれるのは当然だ。
 前橋地裁は137人からの計15億円の賠償請求に対し、62人に計3855万円を認めた。東電から支払われた賠償金を差し引くなど、厳しい算定に不満な原告もいるだろう。しかし判決は、「ふるさとの喪失」「将来への不安」「転校」など独自の基準を示し、個々の事情に寄り添ってもいる。国と東電も、救済策の見直しなど柔軟な支援の検討に努めてもらいたい。
 一方、事故の真相究明は刑事裁判でこそ進むとの期待は根強い。旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴されて1年以上が過ぎたが、初公判のめどが立たない現状がもどかしい。速やかに審理を開始し、津波対策が講じられなかった理由や安全軽視の企業風土など、背景を明らかにするよう求める。
 今回の判決は、福島の事故を「人災」と認めたに等しい。国と東電はもちろん、他の原発事業者も、司法からの警告を肝に銘じなければならない。
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徳島新聞 2017年3月18日付
社説:原発避難者勝訴 国と東電の責任は重い



 巨大津波の予見は可能で、事故は防げた-。「国の賠償責任を認める」「一部勝訴」と書かれた垂れ幕を、東京電力福島第1原発事故の避難者はどんな思いで見ただろう。
 福島県から群馬県などに避難した137人が、国と東電に計約15億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、前橋地裁はきのう、双方の賠償責任を認め、うち62人に計3855万円の支払いを命じた。
 原告側弁護団は「原発の津波対策を巡る訴訟で国と東電の過失が認められたのは初めて」とした。
 画期的な判決といえる。東日本大震災から6年が経過した今も、原発事故の責任の所在は曖昧なままだ。国と東電は、今回の判断を重く受け止めなければならない。
 原告は避難指示区域に住んでいた76人と区域外からの自主避難者ら61人である。「生活基盤を失い、慣れない土地で精神的苦痛を受けた」として1人当たり1100万円の慰謝料などを求めていた。
 裁判では、国と東電の過失の有無や、国の指針に基づく東電の賠償水準の妥当性が焦点となった。
 最大の争点は、巨大津波の襲来を予測できたかどうかである。
 政府の地震調査研究推進本部は「福島沖を含む日本海溝沿いでマグニチュード(M)8級の津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生する」との長期評価を2002年7月にまとめていた。
 判決は、その数カ月後には巨大津波の予見が可能だったとした。東電が配電盤を高台に設置するなどの対策を取っていれば事故は発生しなかったと指摘した。
 国については、規制権限に基づいて、東電に対策を取らせるべきだったのに怠ったとした。
 国と東電は、長期評価について「専門家の間でも異論があり、科学的知見が確立していなかった」とし、巨大津波の予見可能性を否定。対策を取っていても事故は防げなかったと主張していた。
 判決では、賠償が認められたのは62人で、1人当たり7万~350万円だった。
 地裁は、東電の安全に対する姿勢を厳しく批判した。安全よりも経済的合理性を優先させたと評されてもやむ得ないような対応だったとし「特に非難に値し、慰謝料増額の要素とすべきだ」と断じた。
 原発事故の避難者らによる集団訴訟は、少なくとも20地裁・支部で約30件に上る。多くは国と東電の過失を追及し、慰謝料を求める内容だという。
 年内には数件の判決が言い渡される見通しだが、今回の判決はその先駆けとなるものであり、影響を与えよう。
 原発の再稼働を巡って、国と電力会社は積極的な姿勢を続けている。
 福島県には避難指示が出たままの地域が残る。戻りたいのに戻れない、帰りたいのに帰れない人たちの思いに応えていかなければならない。
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高知新聞 2017.03.18 08:05
社説:【原発事故訴訟】重大な国と東電の「過失」


 東京電力の福島第1原発事故によって人生を狂わされた人たちの、苦しみに寄り添った判決である。
 原発事故で福島県から群馬県などに避難した住民ら137人が東電と国に計約15億円の損害賠償を求めた訴訟で、前橋地裁は津波対策で両者に過失があったとして計3855万円の賠償を命じた。
 東電は2002年には想定を上回る大津波の襲来を予見できたとし、国は規制権限を行使して東電に対策を講じさせるべきだった、と判断した。市民感覚から言っても明快な判決ではないか。
 最大の焦点は、巨大津波を予見し事故を回避できたかどうか。
 東電は、政府の地震調査研究推進本部が02年にまとめた長期評価で示した巨大地震が起きた場合、津波が高さ10メートルの原発敷地を上回るとの試算結果を得ていた。
 これを踏まえ判決は、東電は巨大津波の予見が可能だった▽簡単な対策で事故を防げたのに、安全より経済的合理性を優先させた―と結論づけた。長期評価は科学的知見として不十分との反論も、「そもそも規制権限がなかった」とする国の主張も退けている。
 東電や国には厳しい内容だが決して特異なものではない。
 国会の事故調査委員会も今回と同様の理由を挙げて、「自然災害ではなく明らかに人災だ」と指弾した。国際原子力機関(IAEA)も福島第1原発事故に関する報告書で、東電は対策を怠り国も迅速な対応を求めなかった、と総括している。
 事故当時の東電の経営陣3人は現在、業務上過失致死傷罪で強制起訴されている。市民で構成する検察審査会が、検察の不起訴処分に納得せず「起訴すべきだ」と議決した。それもやはり「大津波が来る危険性を予見しながら、対策を怠っていた」との判断からである。
 世界を震撼(しんかん)させた深刻な事故であるにもかかわらず、誰も責任を問われないのはなぜなのか。この疑問は被災者のみならず、多くの国民が抱いているものだろう。
 こうした点で今回、司法が初めて国と東電の過失や賠償責任を認めたことは極めて重い意味を持とう。
 一方で、賠償が認められたのは原告のうち62人。判決は「単なる不安感にとどまらない程度の危険を避けるために、引っ越したと言えるかどうかが重要だ」とし、被ばく想定線量や年齢、性別などに照らして検討したという。
 原発事故さえなければ全員が、福島で平穏な生活を送れていたはずである。低線量被ばくが健康に与える影響も分からない部分がある。それだけに例えば、避難指示区域外からの自主避難者だからといって、安易に「切り捨てる」ようなことはあってはならない。
 判決を受けて国や東電はいま一度、被害者救済の在り方を見直すべきだ。生活基盤を奪われた一人一人に誠実に向き合う。それが原発を推進してきた者の責務である。
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西日本新聞 2017年03月19日 10時43分
社説:原発賠償判決 国・東電は重く受け止めよ


 司法が巨大津波は予見できたと認めた。「想定外だった」という主張が一蹴された国と東京電力は判決を重く受け止めるべきだ。
 東電福島第1原発事故で福島県から群馬県に避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟で、前橋地裁は国と東電に対し原告137人のうち62人に計3855万円を支払うよう命じた。
 原発の津波対策を巡る訴訟で国と東電の過失が認められたのは初めてのことだ。同様の訴訟は九州を含め全国で約30件に及び、今回はその最初の判決だった。
 最大の争点は、福島沖での大地震と大津波の予見可能性があったかどうか-だった。
 判決は、政府の地震調査研究推進本部(地震本部)が2002年に発表した長期評価を重視した。「福島沖を含む日本海溝沿いでマグニチュード8級の津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生する」という内容である。政府は規制権限に基づいて東電に津波対策を取らせるべきだったのに、それを怠ったと過失を認定した。
 また、東電は政府の長期評価に基づいて08年には原発設備を浸水させる高さの津波を実際に予見していたと踏み込み、大津波を「想定外」とした東電を批判した。さらに配電盤の高台設置などで事故は容易に回避できたとして「経済的合理性を安全性に優先させた」と断じた。鋭い指摘である。
 そもそも国が長期評価を「確立した知見とは言えない」と裁判で主張したことには疑問を禁じ得ない。地震本部は阪神大震災を教訓に設置された専門機関である。現段階では不可能とされる予知に代わって地震発生確率を計算し、防災に役立てるのが長期評価だ。国は長期評価の信頼性を自ら否定していることになりはしないか。
 原発が国策として推進されてきたことを踏まえ、判決は「国の責任が東電と比べて補充的とは言えない」と指摘した。重い警告である。過酷事故が起きれば甚大な被害は広域的かつ長期に及ぶ。発生から6年が経過した福島の教訓をかみしめた判決ともいえよう。
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熊本日日新聞 2017年03月19日
社説:原発事故訴訟判決 国にも突きつけた重い責任


 原発事故を巡る裁判で、国や東京電力の責任が初めて認められた。東電福島第1原発事故で福島県から群馬県などに避難した住民らが国と東電に15億円余りの損害賠償を請求した訴訟の判決で、前橋地裁は津波対策で両者に責任があったとして計3855万円の賠償を命じた。
 判決は、国と東電が「想定外」と繰り返してきた津波に関する主張を否定。事故から6年、依然として多くの人たちが避難生活を余儀なくされている中、法的責任を明確にした画期的判断といえる。
 原告は避難指示区域に住んでいた76人と区域外から自主避難した61人。巨大津波を予見し事故を回避できたかが主な争点となった。
 原告側は、政府の地震調査研究推進本部が2002年に発表した長期評価で「福島沖でマグニチュード8級の津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生する」と予測し、これに基づき東電は08年に想定津波を最大15・7メートルと試算したのに、対策を怠ったと主張。さらに国は東電に対策を講じさせるべきだったと指摘した。
 東電と国は、長期評価は科学的知見として不十分で、予見可能性はなかったと反論。さらに国は「原告側が津波対策として主張する防潮堤の設置などの基本設計を東電に変更させる規制権限がなかった」と主張していた。
 地裁判決は、ほぼ原告側の主張に沿った判断を示した。長期評価は合理的と断定し、東電は08年の試算までに津波の到来を実際に予見していたとした上で、配電盤などを高台に設置するといった対策を講じていれば事故は発生しなかったと述べた。しかも、こうした津波対策は「期間や費用の点からも容易だった」と強調し、これを怠った東電を非難した。
 さらに国に関しても「原子力災害を未然に防止することが強く期待されていた」と指摘。「規制権限を行使すれば、本件事故を防ぐことは可能であった」として、最終的な責任は東電が負うとの主張を一蹴した。
 今回の判決でもう一つ注目したいのは、既存の補償枠組みにとらわれず「ふるさとの喪失」「転校」「将来の不安」など、多様な苦しみに目を向けた独自の基準を示したことだ。慰謝料を算定する上で東電の事実上の過失を認定し、「慰謝料増額の要素とすべきだ」とした。国についても国家賠償法上の過失を認めるなど、避難者たちの苦しみに寄り添う姿勢がうかがえる。
 原発事故の避難者らによる集団訴訟は少なくとも20地裁・支部で約30件あり、原告総数は約1万2千人。避難に伴う精神的苦痛に対する賠償や、放射線量を事故前に戻す原状回復を求める訴訟など、請求内容はさまざまだ。
 国と東電は「事故を防ぐことは可能であった」とした今回の判決を重く受け止めるべきだ。電力業界からは原発再稼働への影響を懸念する見方もあるが、再稼働に突き進むことより、すべての避難者を救済することが先決だ。
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南日本新聞 ( 2017/3/19 付 )
社説: [原発避難者判決] 国と東電は責任痛感を


 ひとたび原発事故が発生すれば甚大な被害をもたらす点を重く見た画期的な判決である。
 東京電力福島第1原発事故で、福島県から群馬県などに避難した住民らが国と東電に約15億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が前橋地裁で言い渡された。
 国と東電が「想定外」と繰り返してきた津波についての主張を否定し、「津波を防ぐことは可能だった」と両者の責任を認めて計3855万円の支払いを命じた。
 原発の津波対策を巡る訴訟で国と東電の過失が認められたのは初めて。両者は判決を重く受け止めるべきだ。
 全国で起こされている約30件の同種訴訟や、強制起訴された東電の旧経営陣らの刑事裁判などの行方に影響する可能性もある。
 争点の核心は津波の予見可能性だった。
 政府は2002年、「福島県沖を含む日本海溝沿いでマグニチュード8級の津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生する」とした長期評価を発表した。
 判決は、その数カ月後に国と東電は巨大津波を予見できたとし、東電は長期評価に基づき津波の高さを試算した08年には実際に予見していたと判断した。
 さらに配電盤を高台に設置するなどの措置は容易で、こうした措置を取っていれば事故は起きなかったと指摘した。
 安全よりも経済的合理性を優先させたことなどに関し、「特に非難に値する事実がある」と指弾したのは当然だろう。
 国については、07年8月に東電の自発的な津波対策が難しい状況を認識しており、規制権限に基づいて対策を取らせるべきだったのに怠ったとし、「著しく合理性を欠き違法だ」と認めた。
 賠償については、「ふるさと喪失」など5項目の要素を掲げて原告ごとの慰謝料額を算定した。
 ただ、判決で認められた賠償額は低く、納得できない原告も少なくなかろう。
 避難者への賠償は、国の指針や東電の賠償基準などの枠組みの中で進められてきた。それに納得できない多くの人が司法に期待して訴訟に踏み切っている。判決を機に、原発災害が重大な問題であることを今一度確認したい。
 事故から6年たつ。福島県内外では今も7万7000人が避難を余儀なくされている。
 ほぼ唯一の支援だった住宅の無償提供が今月末で打ち切られる自主避難者の暮らしは、特に厳しさを増すのは避けられない。
 国や東電は、被災者救援のための手だてを講じる責任がある。
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琉球新報 2017年3月19日 06:02
<社説>原発避難者訴訟 国と東電の責任は明白だ


 国と東京電力の責任を認めた判決は極めて妥当な判断だ。福島第1原発事故で福島県から群馬県などに避難した住民ら137人が国と東電に計約15億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、前橋地裁は「東電は巨大津波を予見しており、事故を防げた」と判断し、東電と安全規制を怠った国の賠償責任を認めた。原告のうち62人に計3855万円の支払いを命じている。
 判決は東電が2002年ごろには第1原発が津波に襲われる可能性を知り得たと認定した。予見可能だった時期がいつなのかは訴訟の最大争点だった。原告側は「02年~08年の間」と主張し、東電と国は「巨大津波は想定外だった」と真っ向から対立していた。
 政府の地震調査研究推進本部が02年に「福島県沖を含む太平洋側の日本海溝沿いでマグニチュード(M)8級の津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生する」との長期評価を公表していた。
 しかし東電も経済産業省の旧原子力安全・保安院も過去400年間に福島県沖で大地震が起きていなかったため、長期評価を考慮せず、津波対策を先送りにしてきた。
 東電は08年、長期評価に基づく試算をしていた。高さ10メートルの第1原発の敷地を大きく超える津波が襲来し、敷地南側では東日本大震災と同規模の最大15・7メートルが押し寄せるとの結果だ。すでに大津波を予見していたのだ。
 それなのに東電は試算結果を公表せず、何の対策も取らなかった。旧保安院に結果を報告したのは3年後の11年3月7日だ。その4日後に震災が発生し、大津波が押し寄せた。無為無策というほかない。
 原発事故はタービン建屋に給気口から津波が入り、非常用配電盤の浸水により核燃料の冷却機能が失われたために起きた。長期評価や試算結果を踏まえて、給気口のかさ上げ、配電盤や発電機を高台に設置するなどの対策が取られていれば事故は起きなかった。
 判決はこうした対応を安全より経済的合理性を優先させたと指摘し「特に非難に値する事実がある」と批判した。
 事故によって福島県から県内外に避難している人は現在でも約7万7千人に上る。判決で国と東電の責任が明白になった。原発再稼働に突き進む国と電力会社は判決を真摯に受け止め、脱原発へと政策転換を図るべきだ。二度と同じ過ちを繰り返してはいけない。
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