2017-04-02(Sun)

国鉄民営化30年 地域格差の是正求める

地方鉄道 広がる廃線、増える廃線予備軍  国は「協力や助言」だけでいいのか?

<各紙社説・主張>
北海道新聞)国鉄民営化30年 地域格差の是正求める(4/2)
西日本新聞)JR発足30年 「光と影」検証し将来像を(3/31)
徳島新聞)JR四国発足30年 私たちの鉄道を残す道は (3/31)
熊本日日新聞)JR九州30年 「地域の足」確保へ英知を(3/28)
しんぶん赤旗)「国鉄民営化」30年 国民の足は守られているのか(3/27)


朝日新聞) JR、30年の変容 駅ビル・カード…都市で攻勢(4/2)
 JR7社が1日、誕生から30年を迎えた。赤字で行き詰まった国鉄を分割・民営化し、サービス意識が向上。駅ビル、ICカード、豪華列車といった事業も消費者の支持を得た。半面、地方ではローカル線の廃止が続く。光と影が際立ってきている。

NHK)JR30年 国土交通相「地方路線の今後が課題」(3/31)
----石井国土交通大臣は、1日で発足して30年となるJR各社について、利便性が高まるなど民営化の効果があらわれている反面、各地で路線の維持が厳しくなっているとして、今後、JRや自治体とともに地域の公共交通の在り方を考えていく必要があるという認識を示しました。

----JR各社の発足から1日で30年となることについて、石井国土交通大臣は閣議のあとの会見で、「民営化でサービスの信頼性や快適性が向上し、7社のうち4社が完全民営化されるなど、国鉄改革の目的を果たしつつある」と述べました。
 
そのうえで、「30年が経過するなかで、地域の人口減少やマイカーなどの交通手段の発達に伴い、路線によっては輸送人員が大きく減少し厳しくなっている。こうした地域では公共交通の在り方を自治体やJRが中心となって議論することが必要で、国も協力や助言を行う」と述べ、地域の路線を今後どうしていくのか、JRはじめ関係者が考えていく必要があるという認識を示しました。

時事通信 )光と影の国鉄民営化30年=JR4社上場、北海道は危機―増える廃線予備軍(3/29)
----1987年4月1日の旧国鉄分割民営化JR7社が発足して30年。
 親方日の丸の無責任体質から利益追求路線に転じ、4社が株式を上場した。一方、JR北海道は旧国鉄さながらの危機に直面し、地方では「廃線予備軍」が増える。民間企業としての経営とインフラを担う使命との両立は困難な局面に差し掛かっている。

時事通信)人口減少で広がる廃線=地方路線、県負担で存続も―国鉄民営化30年(3/29)
 JR各社の発足から30年を迎える中、人口減少が進む地方で廃線の動きが広がっている。




以下引用



北海道新聞 2017/04/02 08:55
社説:国鉄民営化30年 地域格差の是正求める


 国鉄分割民営化で旅客6社と貨物1社のJRグループが発足し、きのうで30年となった。
 採算度外視の投資、不安定な労使関係などが原因で37兆円の累積債務を抱えた国鉄は、JRに生まれ変わって地域密着型の経営に転換。東日本、東海、西日本、九州の4社が上場を果たした。
 しかし、7社の経営格差は当初の想定以上に拡大し、国民は公共交通サービスを等しく受けられなくなっている。
 最大の被害者は、10路線13区間を単独で維持できないと発表したJR北海道の沿線住民だろう。
 国には分割民営化の制度設計を行った責任がある。地域格差を放置せず、改革の問題点を検証して必要な支援措置を講じるべきだ。
 JR旅客6社のうち、三大都市圏を営業基盤とする本州3社と、赤字路線の多い北海道、四国、九州の「三島会社」との格差は、発足当初から懸念されていた。
 このため国鉄債務14兆円の返済を本州3社と貨物に義務付ける一方、三島会社には計1兆3千億円の経営安定基金を渡し、運用益で赤字を埋める仕組みができた。
 問題は、こうした三島会社支援策が、その後の金利環境の変化で、本州3社に有利な仕組みに変質してしまったことにある。
 30年前に年7・3%を想定した長期金利はいまや0%となり、三島会社の経営安定基金の運用は厳しくなった。逆に借金返済は容易になり、本州3社の長期債務残高は約6兆円とほぼ半減した。
 黒字確保を焦ったJR北海道は安全投資を削り、事故を続発させた。一義的な責任は会社にある。ただ国も、30年で4千億円規模に及んだ運用益不足を十分手当てしてこなかった責任は免れない。
 忘れてならないのは、旧国鉄の鉄路は国民の共有財産であり、国鉄改革も国民の協力なしには実現しなかったということである。
 JR発足時、約5万3千人の国鉄退職者を全国の自治体や民間が受け入れ、国鉄債務の3分の2は実質的に国民負担となった。
 負担の公平性に鑑みれば、JR北海道の路線撤退を道民が簡単に容認しないのは当然だ。
 安倍政権は昨年、JRの設備投資は自前で行う原則を曲げ、JR東海のリニア建設に3兆円の公的資金投入を決めた。上場したJR九州には、本来禁じられている経営安定基金の取り崩しを認めた。
 JR北海道の危機に限って国が「地域が考える問題」などと無関係を装うことは許されまい。
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西日本新聞2017年03月31日 10時42分
社説: JR発足30年 「光と影」検証し将来像を


 JR7社が発足して、あす4月1日で30年となる。
 37兆1千億円に上る巨額の負債を抱え、旧国鉄が解体されたのは1987年のことだ。分割・民営化で誕生したJR旅客6社とJR貨物は自立的経営に転じ、サービスの向上や経営の多角化を積極的に進めてきた。
 その半面、JR7社間の経営格差も顕在化した。リニア中央新幹線建設や海外事業に乗り出すJRがあれば、赤字ローカル線の維持すらままならないJRもある。
 振り返れば、人口減少や地方の衰退、高速道路網の整備など、鉄道への逆風が強まる30年でもあった。少子高齢化の進展で鉄道を巡る経営環境は今後さらに厳しさを増すと予想される。
 いま一度、分割・民営化の「光と影」を検証するとともに、将来的な日本の鉄道網の在り方を総合的に検討すべきではないか。
 ●旧国鉄とは隔世の感
 国鉄の分割・民営化は総じて成功だったとする見方が強い。駅舎の建て替えや車両の更新が進み、職員の接客態度も改善された。商業施設が入居する都市の駅ビルは再開発の起爆剤となっている。
 経営指標も改善した。国鉄時代の末期は国が毎年6千億円もの補助金を投入しても1兆円超の赤字を計上するありさまだった。
 今やJR7社の経常黒字は計約1兆1千億円(2015年度)に及ぶ。サービス意識の欠如や相次ぐ運賃値上げ、労使対立とストライキによるダイヤの混乱など、国民の批判を浴びた旧国鉄時代とはまさに隔世の感がある。
 一方で分割・民営化がもたらす問題もあらわになってきた。その象徴がJR7社間の経営格差だ。
 首都圏が地盤のJR東日本、東海道新幹線を運行するJR東海、関西圏の路線や山陽新幹線を持つJR西日本-の本州3社は高収益の上場企業として「快走」する。
 それに続くのが九州新幹線を擁し、経営多角化にも挑んで昨年上場を果たしたJR九州だ。JR貨物もトラック運転手不足などを追い風に営業攻勢に転じている。
 対照的に、管内の人口減が続くJR四国、JR北海道は苦戦が続く。JR北海道は昨年11月、道内10路線13区間を単独では維持が困難と発表し、廃止や費用負担などの協議を地元に呼び掛けた。「明」と「暗」のコントラストはあまりにも鮮明である。
 こうした格差が生じた背景には各社の経営力の差もある。しかし、より大きいのは旧国鉄から引き継いだ営業基盤と資金の運用環境の激変という要因だ。分割・民営化時、JR7社が公平になるように、稼げる営業基盤が割り振られた本州3社は売上高の4~5倍の負債を背負わされた。他方で赤字在来線の多い北海道、四国、九州の三島会社には各数千億円の持参金「経営安定基金」が与えられ、その運用益で鉄道事業の赤字を補填(ほてん)する枠組みが用意された。
 巨額の借金を負わされた本州3社は、好調な収益で順調に借金を返す一方、経営安定基金の運用益に依存する三島会社は、分割時で7~8%あった運用金利が著しく低下し、目算は大きく狂った。
 初期の条件設定に問題はなかったか。運用益の激減は国の金融緩和の結果であり、地方活性化は国の政策目標だ。将来的に国の制度的な支援の拡充が必要かどうか、この制度設計の妥当性に立ち返って検証する必要もあろう。
 ●地域活性化の視点で
 そして今、必要なのは次世代の日本の鉄道網を巡る議論だ。既存の新幹線に整備新幹線、リニア中央新幹線、そして在来線を含めて幅広く検討したい。
 とりわけ喫緊の課題は赤字ローカル線の扱いだ。1日1キロ当たりの旅客数が2千人未満の路線は北海道には7路線、四国には3路線、九州にも7路線ある。
 まず、JR各社にはローカル線は重要な地域のインフラであり、その維持はCSR(企業の社会的責任)だと再確認してもらいたい。分割・民営化を推し進めてきた国も傍観は許されない。
 沿線の自治体と住民には地元の路線を地域活性化に役立てる発想で存続に知恵を絞ってほしい。
 地域を結ぶ鉄道の使命や役割とは何か。存続に必要な採算性や費用負担の問題をどのように解決していくか。JR発足30年の節目に改めて考えたい。
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徳島新聞 2017年3月31日付
社説: JR四国発足30年 私たちの鉄道を残す道は



 国鉄の分割・民営化に伴いJR四国が1987年に発足してから、4月1日で30年を迎える。
 高徳線で新型列車を投入して時間を短縮する高速化事業を行うなど、4県でサービスと競争力の向上に力を注いできた。
 それでも、高速道路の延伸の影響は大きく、鉄道利用者は減少傾向にある。鉄道運輸収入は96年度の370億円がピークで、2015年度は233億円となった。
 交通インフラが乏しい四国では、鉄道は基幹的交通手段であり、通勤・通学やビジネスに欠かせない。お年寄りや学生にとってはかけがえのない生活の足である。
 経営環境が厳しいことは分かるが、今後も鉄道路線を維持してもらいたい。
 かねて、一部路線を将来的に廃線する可能性に言及していた半井真司社長(三好市出身)は、路線ごとの収支を初めて公表する考えを示した。自治体などの懇談会を立ち上げ、路線の維持に関して、議論する際の判断材料にする。
 半井氏は「廃線してもそれほど収支の改善は期待できない。廃線ありきではなく、路線をどう生かせるかを協議する」という意向だ。
 鉄道は定時性に優れ、大量輸送が可能な利点を持つ。災害などの際には道路の代替手段としても有効である。住民も路線の特性と現状について理解を深め、支援の在り方を含めて知恵を絞る時だ。
 もともと経営基盤が弱いJR四国は、民営化時に設けられた2082億円の経営安定基金の運用益で収入不足を補う枠組みになっているが、低金利下では運用益が想定を下回っている。
 安定した収益の確保を目指し、グループで多角的な事業を展開したのは当然だろう。
 1998年の明石海峡大橋開通の際には、四国と関西を結ぶ高速バス事業を推進した。JR四国バスの2015年度の高速バス乗車人数(共同運行会社分含む)は、前年度比1・6%増の288万人余りに上る。
 人口減少が進む四国では鉄道、バスとも、需要の開拓に限度がある。外国人観光客を含めて四国外からの来訪者を増やすことが不可欠だ。4県と一体となった誘客活動をさらに強めるべきだ。
 この30年、JR四国は徳島駅や高松駅を建て替え、ホテルやショッピングセンターを開業するなど、地域のにぎわいづくりにも貢献してきた。
 本県では、踏切の渋滞解消やまちづくりに役立つ徳島市周辺の鉄道高架事業の取り組みが課題となっている。
 過去には、香川県の高徳線沿線の大規模宅地開発で、多数が売れ残ったこともある。
 これらの経験を踏まえながら収益を確保し、安定した経営の下で人の移動を支え、地域に貢献してほしい。
 よりよい形で鉄道を次の世代に引き継げるよう、日ごろから積極的な利用を考えてはどうだろう。
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熊本日日新聞2017年03月28日
社説:JR九州30年 「地域の足」確保へ英知を


 国鉄分割・民営化で、JR九州が誕生して4月で30年を迎える。地域交通を担い、街づくりでも重要な役割を果たす公共性の高い企業の節目だ。地域と企業の関係を見つめ直す機会としたい。
 JR九州は、2016年10月に北海道、四国を含む「三島会社」で初めて株式上場した。原動力となったのが、駅ビルやマンション開発など事業の多角化だ。発足当初は収入の大部分を鉄道事業に頼っていたが、今では鉄道以外が半分を超えるまでに拡大した。
 熊本では、21年春の開業を目指す熊本駅ビルの建設計画が本格化してきた。商業施設中心の大型複合ビルで、博多駅に次ぐ規模となる。熊本駅周辺は、県都の玄関口として「寂しい」と言われ続けてきただけに、にぎわいづくりへの期待は大きい。中心市街地との競合が課題だが、地元と協力し、相乗効果をもたらしてほしい。
 鉄道事業も、九州新幹線の全線開業をはじめ、この30年で様変わりした。豪華寝台列車「ななつ星in九州」に代表される観光列車の投入や、車両や弁当に特産品を使うなど、地域と連携した観光振興の取り組みは評価できる。
 ただ、在来線の多くは乗客離れが続き、鉄道事業は赤字から抜け出せないままだ。
 JR九州は合理化のため、駅の無人化を進める。日豊線では、特急の一部に車掌を乗せない「ワンマン運転」も導入した。同社は否定するが、不採算路線の廃線の危機もささやかれ始めた。
 JR北海道は16年11月、在来線の約半分の区間が「単独では維持困難」として、バス転換や運賃値上げ、鉄道存続の費用負担を沿線自治体と協議すると発表した。乗客数の低落傾向は九州も同じで、人ごとではない。
 人口減少が進み、地方路線の維持はますます難しくなると予想される。合理化するとしても、安全はおろそかにできない。収支の改善には限界があるだろう。廃線となれば、住民生活への影響は避けられない。地域全体で課題を共有し、将来に備えるべきだ。
 「地域の足」をどう確保するか。鉄道の存廃だけでなく、バスや道路網を含めた多角的な検討が必要だ。官民で英知を集め、効果的な方策を導き出したい。
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しんぶん赤旗 2017年3月27日(月)
主張:「国鉄民営化」30年 国民の足は守られているのか


 国鉄が分割民営化され、北海道・東日本・東海・西日本・四国・九州・貨物の七つのJRグループ会社が発足して4月1日で30年となります。いまJRは国民が願う公共交通・輸送機関としての役割を果たしているでしょうか。
加速する廃線・無人駅化
 全額政府出資の公共企業体・日本国有鉄道(国鉄)は1987年に解体されました。JR7社に分割され、「債務」は「清算事業団」に継承され、大量の現役労働者が不当解雇されました。
 「“赤字解消の特効薬”どころか、北海道・四国・九州の各旅客会社、貨物会社など次から次へと新しい赤字会社をつくりだす」「もうけ本位の営利主義をとるために、ローカル線はもとより、赤字であれば幹線でさえも切り捨てられる」―これは国鉄分割民営化法案が国会審議中の86年秋に日本共産党が発表した国民への呼びかけです。JR30年の経過は、残念ながらこの警告が裏付けられました。
 利益追求を優先する民営化の下で、「国民の足」は脅かされる事態となっています。2000年度以降、全国で廃線となったのは39路線771・1キロに上ります。きびしい経営状況にあるJR北海道はとりわけ深刻です。昨年11月、10路線13区間(1237・2キロ)を自社単独で維持できないと発表したことは道民に衝撃を与えました。全区間の半数が廃線の危機にひんする中、廃線予定路線の沿線自治体では、高齢者の病院通いや高校生の通学に困難をもたらし、地域経済にも大きな影響を与えるとして、首長をはじめ地域ぐるみで反対の声が上がっています。
 麻生太郎財務相は今年2月の国会で「国鉄を7分割して黒字になるのは(東海、東日本、西日本の)三つで他のところは(黒字に)ならないと当時からみんな言っていた」と答弁しました。当時、“ローカル優先のサービス”“ご安心ください”とさんざん宣伝していたのは自民党ではないのか。無責任きわまる姿勢です。
 安全はどうか。民営化後、「重大な人的被害を生じた運転事故」は11件も発生しています。死者107人負傷者562人という大惨事となった福知山線脱線事故では、JR西日本の「企業体質」が大問題になりました。私鉄との競争に勝つためのスピードアップと過密ダイヤが事故の要因になったのではないかなど「安全より利益を優先する」姿勢が批判されました。
 「無人駅化」の加速は利用者、住民に不安を広げています。JR北海道と四国は75%、西日本は56%、東日本と九州は半数の駅が無人化されています。大幅な人員削減と一体で、安全とサービスを低下させることは許されません。
検証と見直しこそ必要
 JR北海道、四国、九州、貨物は鉄道事業ではマイナスの営業利益が続く一方、東海は5500億円超もの巨額な利益をあげるなど「二極化」は顕著です。安倍晋三政権は、いびつな構造を放置したまま、“廃線危機”の北海道にはまともな支援をせず、東海のリニア事業に3兆円もの公的資金を投じようとしています。あまりにも逆立ちしています。「JR30年」の検証・改革こそ必要です。鉄道、バス・自動車、航空機などを含め交通政策を抜本的に見直し、国民に交通・移動の権利を保障する政治への転換が求められます。
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朝日新聞 2017年4月2日
JR、30年の変容 駅ビル・カード…都市で攻勢


 JR7社が1日、誕生から30年を迎えた。赤字で行き詰まった国鉄を分割・民営化し、サービス意識が向上。駅ビル、ICカード、豪華列車といった事業も消費者の支持を得た。半面、地方ではローカル線の廃止が続く。光と影が際立ってきている。
 「最も忙しい駅」のギネス世界記録もある新宿駅。JRの列車がタタタンと行き交うホームの下にいま、巨大空間ができている。駅の東西を幅25メートルほどの通路で結び、人々の往来を便利にするための工事だ。暗がりの中、古代神殿のような太い支柱が並ぶ。
 JR東日本が115億円を投じ、東京五輪・パラリンピックの2020年ごろに通れるようになる。「訪日客も大勢来る時代、世界の玄関口としてふさわしい駅にしたい」。山中智文・東京工事事務所新宿工事区副区長は意気込む。
 駅南口には昨春、JR東の新ビルができた。商業施設ルミネの新業態「NEWoMan(ニュウマン)」に入る衣料品店や飲食店では、ICカード「Suica(スイカ)」をレジでかざして買い物する人たちも目立つ。
 好立地の駅ナカ、駅ビルで集客し、ICカードで囲い込む――。運輸以外を伸ばすビジネスモデルは他社も進める。JR東海は今月、名古屋駅前で3棟目の高層ビルを全面開業させる。JR北海道の札幌、JR西日本の大阪、JR九州の博多にも似た駅ビルが立つ。16年度、JR7社の運輸外収入は2兆円を超えた。国鉄末期の10倍だ。
 国鉄は、年1兆円超の赤字を続けて行き詰まった。乗客を車や飛行機に奪われ、収入確保のための値上げでさらに逃す悪循環。労働組合も労働強化に抵抗してストなどを繰り返し、拍車をかけた。
 1987年の民営化で、国鉄時代は「民業圧迫」として制限されていた不動産業や旅行業が自由になった。旅客鉄道は地域6社に分割され、硬直的な全国一律サービスは見直した。JR貨物も含めた7社が、互いにライバルになって競うことも期待された。車両速度、接客、トイレの美しさまで張り合った。通勤圏を中心に乗客は戻り、JR東、西、東海、九州は上場も果たした。
 一方、職員年金も含めて37・1兆円あった国鉄債務は返済途上だ。民営化時、JR東、西、東海、貨物が15兆円近くを実質的に引き受けた。残りは国鉄が持っていた土地の売却などで返そうとしたが、バブル崩壊で計算が狂った。98年、24兆円を国の借金にして、税金で返し始めた。15年度末で17・8兆円に減ったが、完済は58年度の予定。まだ40年以上かかる。
 JR4社は着実に返してきた。昨年9月末での長期債務は計7兆円ほどだ。
 巨額投資をする会社も出ている。JR東海は14年末、「健全経営は維持できる」と判断し、建設費9兆円のリニア中央新幹線を着工した。27年に品川―名古屋間で開通し、新大阪延伸も計画中だ。柘植康英社長は今年2月の記者会見で語った。「国鉄終盤のどん底でチャンスをもらい、そこそこの使命は達成できた。次の30年、リニアの課題、海外展開の目標もある。改めてのスタートだ」
 (石山英明、内藤尚志)
 ■ローカル線廃止が加速
 江(ごう)の川沿いの山あいを走り、広島県三次(みよし)市と島根県江津(ごうつ)市を結ぶJR三江(さんこう)線(108・1キロ)。3月下旬、川平駅(江津市)では1930年の開業時に植樹した桜が木造駅舎前でつぼみを膨らませていた。
 近所の餅田美代子さん(75)は列車音が時計代わりだ。生活の足のマイカーを「運転できなくなったら三江線」と考えていたが、JR西日本は来年3月末の廃線を決めた。14年度の列車1本あたりの平均乗客数は5・3人だった。
 廃線後のバス運行を地元自治体などが協議中。ただし、いまの路線バスは川の右岸を走る。三江線が通る左岸の住民は使いづらい。餅田さんは思う。「生活がすごく不安」
 すでにJRのローカル線廃止は続く。14年には岩泉線(岩手県)と江差線の木古内―江差(北海道)、16年には留萌線の留萌―増毛(同)がなくなった。
 「国鉄が…あなたの鉄道になります」「民営分割 ご安心ください」「ローカル線(特定地方交通線以外)もなくなりません」
 民営化前、自民党が出した新聞広告はうたっていた。沿線人口が少なく、鉄道事業の黒字が見込めないJR北海道、四国、九州に計約1・3兆円の「経営安定基金」を分配。年7%超の運用益で赤字を埋めるつもりだった。
 だが、バブル経済がはじけた。金利低下で運用益は想定割れした。政府の交通政策は道路優先で、17年度予算では道路の年約1・7兆円に対し、鉄道は0・1兆円。鉄道の7割超は北海道、北陸、九州新幹線の建設費に回る。
 ローカル線は厳しさを増す。JR北海道は15年度、鉄道事業が482億円の赤字だった。昨年11月に「全路線の半分が自力で維持できない」とし、バスへの転換などを提案し始めた。JR間の体力差について、麻生太郎財務相は今年2月、国会で「黒字のJR東日本と北海道の合併とか、JR四国と西日本とを合併させるとか、いろんなアイデアは出る」などと述べた。
 都心の列車や新幹線のもうけでローカル線を支えてきたJR東、西、東海の3社も安泰ではない。地方の人口減は進む。JR東の冨田哲郎社長は「5年、10年後には、線区廃止などの議論を始める場面も出てくるだろう」と話す。
 安全面も課題だ。JR西は05年に宝塚線(福知山線)で脱線事故を起こし、106人の乗客が亡くなった。東と東海もホームドア設置の遅れが指摘される。危険な踏切も全国に残り、テロやサイバー攻撃への対応も迫られている。
 (礒部修作、上地兼太郎)
 ■「運ぶ」使命、磨け 曽根悟・工学院大特任教授(鉄道工学)
 国鉄分割民営化は成功だった。ただ、「光」と「影」の両面がある。もっと成功できたはずだ。
 サービスが向上し、過酷な事故も起きたが総じて安全性は高まり、他国より桁違いに事故は少ない。これらは利用者が受けた「光」の部分だ。
 一方、ローカル線の苦境は「影」だ。JR北海道は当初、苦しいローカル線が一番少なかった。経営安定基金の運用益が減って存廃論議につながっているが、国は早い段階で手を打てなかったか。
 乗客をスムーズに流す本業の力も、まだ私鉄に負けている。輸送で障害が出ると、JRは運転再開まで時間がかかりがちだ。朝の山手線は国鉄時代より本数が少ない。新宿駅は非常に混む。私鉄が素早く再開し、早朝から特急を出し、駅も乗降分離で混まない工夫をしているのとは対照的だ。
 民営化したが、私鉄化できていない。それがいまのJRだ。いま一度「運ぶ」という本業の品質向上を望みたい。
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NHK 3月31日 12時22分
JR30年 国土交通相「地方路線の今後が課題」


石井国土交通大臣は、1日で発足して30年となるJR各社について、利便性が高まるなど民営化の効果があらわれている反面、各地で路線の維持が厳しくなっているとして、今後、JRや自治体とともに地域の公共交通の在り方を考えていく必要があるという認識を示しました。
JR各社は、巨額の債務を抱えて経営が行き詰まった旧国鉄を分割・民営化して、昭和62年4月1日に発足しました。
 JR各社の発足から1日で30年となることについて、石井国土交通大臣は閣議のあとの会見で、「民営化でサービスの信頼性や快適性が向上し、7社のうち4社が完全民営化されるなど、国鉄改革の目的を果たしつつある」と述べました。
 そのうえで、「30年が経過するなかで、地域の人口減少やマイカーなどの交通手段の発達に伴い、路線によっては輸送人員が大きく減少し厳しくなっている。こうした地域では公共交通の在り方を自治体やJRが中心となって議論することが必要で、国も協力や助言を行う」と述べ、地域の路線を今後どうしていくのか、JRはじめ関係者が考えていく必要があるという認識を示しました。
JR西日本「鉄道再生と安全の30年だった」
旧国鉄の分割・民営化から30年となることについて、JR西日本の来島達夫社長は定例の記者会見で、「旧国鉄時代の全国一律運営が限界を迎え、債務が膨れ上がるという状況から鉄道を再生させるために、さまざまな手を打ってきた30年だった。同時に、JR福知山線の脱線事故もあり、鉄道の安全をもう1度原点から考える期間でもあった」と振り返りました。
 そのうえで、「今後は人口減少が進む中で、減少の速度が速い地域での交通をどうしていくのか、地元の自治体と一緒になってその在り方を考えることが求められてくると思う」と述べました。
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時事通信 3/29(水) 12:35配信
光と影の国鉄民営化30年=JR4社上場、北海道は危機―増える廃線予備軍


 1987年4月1日の旧国鉄分割民営化JR7社が発足して30年。
 親方日の丸の無責任体質から利益追求路線に転じ、4社が株式を上場した。一方、JR北海道は旧国鉄さながらの危機に直面し、地方では「廃線予備軍」が増える。民間企業としての経営とインフラを担う使命との両立は困難な局面に差し掛かっている。
 ◇経営改善で利便性も向上
 旧国鉄は労使対立でストが頻発し、採算度外視の新線建設と過大な人件費で年2兆円近くの赤字を出していた。旧国鉄に関する債務は37兆円に膨らみ、当時の中曽根政権が改革に踏み切った。
 大都市圏と新幹線を抱えるJR東日本とJR西日本、JR東海の「本州3社」に続き、JR九州も昨年念願の上場にこぎつけた。経営改善は投資余力を生み、利便性も向上した。東海道新幹線は時速220キロから285キロに高速化。「1列車当たりの遅れは平均3.1分から0.2分になった」(柘植康英JR東海社長)。JR九州が豪華列車「ななつ星in九州」を投入、JR東海がリニア中央新幹線の建設を始めるなど、4社は順調だ。
 ◇在来線の大半は赤字
 「通学で利用している生徒もいるし、なくなるのは残念」。JR北海道石勝線夕張支線の夕張駅前で、ある市民はやりきれない表情を見せた。通勤・通学時間帯でも乗客の姿はまばら。同支線は廃止の方向で調整が進んでいる。
 赤字路線が多いJR北海道は昨年、全路線の約半分を単独で維持できないと表明した。島田修社長は「30年経過したが、(旧国鉄時代と)同じようなテーマにぶつかっている」と語る。
 国土交通省によると、民営化後に1142キロが廃線になった。今でも大都市圏の主要幹線を除けば在来線の大半は赤字。他社も人ごとではない。
 ◇明暗分けた低金利
 明暗を分けた要因の一つは、バブル崩壊後の超低金利だ。37兆円の債務のうち、15兆円近くを本州3社とJR貨物が負ったが、金利の低下で返済負担は減った。6割以上の債務は国が肩代わりし、たばこ特別税などの形で国民負担が生じた。
 一方、赤字路線を多く抱えるJR北海道、JR四国、JR九州の「三島会社」は1.3兆円の経営安定基金を渡され、運用益で赤字を埋めるはずだった。民営化時の想定は長期金利7.3%だが、金利低下で運用は悪化。不動産事業などの多角化に成功したJR九州を除き、経営は厳しい。
 JR7社合算の売上高は旧国鉄末期からほぼ倍増したが、JR北海道とJR四国は取り残されている。清水慎一・大正大地域構想研究所教授は、分割民営化について「それなりにうまくいったが、不採算でも地域振興には必要な鉄道網をどうするか。税金を投入してでも維持すべきかの合意形成を図る時期だ」と指摘した。 
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時事通信 3/29(水) 12:36配信
人口減少で広がる廃線=地方路線、県負担で存続も―国鉄民営化30年


 JR各社の発足から30年を迎える中、人口減少が進む地方で廃線の動きが広がっている。
 JR北海道は昨秋、全路線の約半分について「単独では維持困難」とする事業見直し方針を発表。広島県と島根県を結ぶJR三江線は2018年4月に廃止となる。一方、福島県会津地域を中心に走るJR只見線は、自治体が線路や土地を保有する「上下分離方式」の導入により運休区間を復旧させる方向だ。
 JR北海道は16年11月、全24線区のうち13線区(1237キロメートル)が「維持困難」と表明した。特に乗客が少ない線区は廃止してバスなどに転換することを提案。他の線区も上下分離や運賃値上げを検討し、それが難しい場合は他の交通手段への切り替えを探る考えを示した。
 同社は沿線自治体と話し合いを進めるため、協議会を各地で設ける意向。しかし、「存続が基本。まずは国に支援を求めるべきだ」と反発が強く、ほとんどの地域で手付かずとなっている。
 広島県三次市と島根県江津市を結ぶ三江線は、乗客の減少や、たびたび豪雨被害を受けたことを踏まえ、JR西日本が16年9月に廃止方針を発表した。沿線市町はバスなど代替交通の確保に取り組むことを決め、運営主体やルートについてJR側などと議論している。
 一方、福島県会津若松市と新潟県魚沼市をつなぐJR東日本管内の只見線は福島県内の一部区間が豪雨被害で不通となったが、同県が多くの財政負担をすることで復旧させる方針だ。上下分離方式の導入により線路や駅舎の管理、除雪の経費が毎年2億1000万円掛かる見込みで、7割を県、3割を会津地域の17市町村が受け持つ。
 県の担当者は「生活の足となっているのに加え、全国や海外から観光客が来ているので交流人口の拡大につなげたい。単なる一つの路線ではなく、地域のシンボルだ」と強調する。 
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