2017-04-06(Thu)

国鉄分割民営化30年 切り捨ては改革でない

地方路線維持に戦略を 路線維持へ地域一体で知恵絞れ


<各紙社説・論説>
愛媛新聞)JR発足30年 路線維持へ地域一体で知恵絞れ (4/6)
日本経済新聞)発足30年迎えたJRの課題 (4/5)
佐賀新聞)国鉄分割・民営化30年 地方路線維持に戦略を(4/5)
東京新聞)JR発足30年 切り捨ては改革でない(4/4)
毎日新聞)JR誕生から30年 鉄道をもう一度考える時(4/3)




以下引用



愛媛新聞 2017年4月6日(木)
社説:JR発足30年 路線維持へ地域一体で知恵絞れ


 1987年の国鉄分割民営化JR四国など7社が発足してから、今月で30年を迎えた。
 民営化に際し、1日1キロ当たりの輸送人員が4千人未満の路線は原則廃止となったが、30年たった今は全国のJR路線のうち半分がこれに該当するとされる。人口減が急速に進む地方では、ローカル線の維持が難しくなってきている。生活に欠かせない「足」を将来にわたりどう守っていくのか。民営化の結果を検証し、新たな改革に取り組んでほしい。
 JR四国は、発足当初こそ瀬戸大橋の開通効果で鉄道運輸収入は堅調だった。だがバブル崩壊による経済低迷と軌を一にするように収入が減少し、2015年度はピーク時の6割の233億円にまで落ち込んだ。ただ民営化前から苦戦は想定内。国は2082億円の経営安定基金を分配し、運用益で鉄道事業の赤字を穴埋めする仕組みを設けたが、低金利で目算は外れた。国の追加支援を受け最終黒字を維持している状況で、基金頼みの構造は今も変わらない。
 JR四国は「廃線は考えていない」と一貫して否定する。鉄道網の一部を欠けば利便性が悪化し、客離れが進むとの考えからだ。その代わりに便数削減や駅の無人化で経費節減を図ってきた。さらに今夏は路線別の収支状況を初めて公表し、路線維持に向け自治体などと協議を始める。支援の在り方が焦点となろうが、自治体側にも財政的な余裕はない。地域振興に鉄道を組み込んだ活性策など、一体となって知恵を絞る必要がある。
 自立経営の早期確立のために先月末には鉄道以外の事業の強化も打ち出した。マンションやビジネスホテル開発を四国内外で拡大する方針だ。近年は資金不足で鉄道橋の補修遅れや車両の老朽化による故障が頻発し、安全性の信頼を揺るがす事態もあった。多角化による経営安定は欠かせないが、最も大切な鉄道の安全輸送という責任と使命を果たさねばなるまい。
 JR各社の明暗は分かれた。ドル箱の東海道、山陽新幹線などを保有する東日本、東海、西日本は1990年代に株式上場を果たした。一方で、四国、北海道、九州の「三島会社」のうち、九州は首都圏でのホテル開発などで成功し、昨年上場。経営難の北海道は路線の半分が維持困難として、廃線や運賃引き上げを提案している。将来、四国でも同様の事態が起こるのではないかとの懸念は拭えない。
 そもそもJRの鉄路は、旧国鉄時代に築いた国民共有の財産であり、巨額債務の返済にも税金が充てられた。JRグループ全体として大都市の恩恵を地方に還元する視点も必要だろう。国の姿勢も問われる。「地方創生」を掲げながら、リニア中央新幹線に数兆円の財政投融資を決めた。地方軽視とのそしりは免れまい。国は地域の公共交通の課題解決をJRや地方に任せきりにするのではなく、積極的に関わる必要がある。
ページのトップへ戻る



日本経済新聞 2017/4/5付
社説:発足30年迎えたJRの課題


 旧国鉄分割民営化で誕生したJR各社が今月、発足30年を迎えた。旧国鉄では労使対立による運行の遅延が頻発し、末期には毎年1兆~2兆円もの赤字を垂れ流した。それに比べJR各社は経営の自主性や健全性を取り戻し、財務体質や乗客へのサービス水準は大幅によくなった。
 だが30年を経て新たな課題も浮上している。なかでも差し迫っているのは、乗客が減り続ける地方ローカル線の存廃問題だ。
 JR北海道は昨年11月に、同社の路線網の約半分に当たる13線区1237キロメートルを「当社単独では維持することが困難」と発表した。線路などのインフラ部分を自治体などが保有する方式やバス転換を検討し、利用者や沿線自治体に理解と協力を呼びかけている。
 JR四国の置かれた状況も厳しい。東日本など他のJR各社も、個別線区でみれば多数の赤字路線を抱えている。
 鉄道の特性は一度に大量の人や貨物を運べることだ。線路の敷設や保守に要する固定費は高いが、大量輸送によって1人当たりの単価が下がり、二酸化炭素の排出削減などにもつながる。
 逆に利用者が少ないと大きな赤字が避けられない。わずかな人数を大型の鉄道車両で運ぶより車やバスで運んだ方が、環境面でも負荷の小さい状況があり得る。
 さらに赤字が続けば線路などの保守管理費や耐震投資の原資を捻出できず、鉄道の基本である「安全」が揺らぐ恐れさえある。
 こうしたことから、人口のまばらな地域ではバスなど他の輸送手段を活用し、地域の公共交通を持続可能な形で再構築することを真剣に検討する必要がある。
 東日本大震災で被災したJR東の気仙沼線と大船渡線は、鉄道の復旧ではなく専用道を走る高速のバスサービスを導入し、地元のニーズに合わせて病院や高校を経由する路線を用意した。
 JR各社は地域社会としっかり向き合い、人口減少時代に適合したあり方を構想してほしい。
ページのトップへ戻る



佐賀新聞 2017年04月05日 05時00分
論説:国鉄分割・民営化30年 地方路線維持に戦略を


 国鉄が分割・民営化されて30年を迎えた。JR旅客6社のうち東日本、東海、西日本、九州の4社は、政府が株式を全て市場で売却し完全民営化した。特に九州は本業の鉄道収入よりも、不動産や物販の収入が上回るという多角経営の結果だ。
 新幹線は「のぞみ」の営業運転などによってスピードアップし、九州や北陸、北海道の各線も開業した。Suica(スイカ)などICカードが導入され、「駅ナカ」と呼ばれる商業施設も充実している。確かに民営化の成果が上がっているように映る。
 国鉄が解体された理由には、親方日の丸の無責任体質の見直しに加えて、政治家の圧力で赤字路線の建設も求められた「我田引鉄」からの脱却があった。民営化によって経営に政治が介入する余地を減らしたことは評価できるだろう。
 だが裏には、旧国鉄が抱えていた長期債務のうち24兆円を国が承継し国民負担となったことや、JR発足の際に多くの国労組合員らが不採用となった採用差別問題があったことは、負の側面として忘れてはいけない。
 民営化後も新たな課題はある。整備新幹線の建設は、営業主体のJRの同意が前提だ。このため新幹線に並行する在来線のうち赤字区間は、JRの経営に悪影響を与えないためとしてJRから経営分離され、地元の道県が出資した第三セクターに運営が任されている。
 建設を熱望する地元自治体は、建設費の支払いに加え、三セクの運営という二重の負担を余儀なくされる。結果、東北本線など国土の骨格となる路線の一部が三セクに任されている。
 このため、災害時の迅速な復旧が可能かといった懸念もある。負担なしに整備された東海道新幹線などとの公平を考えれば、自治体負担を見直すべきではないか。
 JRに一定の公共性が求められるのは言うまでもない。多角経営といっても独り勝ちでは困る。商店街など駅周辺と駅ナカとのバランスにはさらに配慮すべきだ。駅が地域の核施設であることも意識し、病院や保育園を併設するといった街づくりにも期待したい。
 この30年、日本の人口は頭打ちとなり減少に転じた。今後、現在の1億2600万人から、2050年には9700万人になると推計され経営環境は急激に悪化する。JR北海道が昨年11月、全路線の半分に当たる区間について「単独では維持が困難」と表明したように、JR各社にとって赤字路線の維持は喫緊の課題である。
 この状況で、国民の足である鉄路を守るためには、国や沿線の自治体、鉄道事業者らが一体となって地域の交通を維持する戦略をつくるべきだ。
 現在、離島住民の日常生活に不可欠な船や飛行機の運航や、バスの運行については、生活交通の確保を理由に国から補助金が出ている。
 一方、鉄道の運行は、バスのような最終的な交通手段ではないとして補助金は出ていない。このため、鉄道施設を地元自治体が所有する「上下分離」した後、安全性の向上のため国が支援する方法を使っている。
 自治体の負担や手間を考えれば、上下分離ではなく、一定の条件でJRの運行の赤字を穴埋めするような支援も検討すべきだ。地域を維持するための発想の転換が待たれている。(共同通信 諏訪雄三)
ページのトップへ戻る



東京新聞 2017年4月4日
【社説】JR発足30年 切り捨て改革でない


 JR七社の発足から三十年を迎えた。首都圏や大都市の利便は高まった半面、路線減少や駅の無人化が進む地方はむしろ切り捨てに近い。分割民営化の弊害を検証し、新たな改革を目指すべきだ。
 無責任・非効率な経営で借金の山を築いた旧国鉄は、再建の切り札として北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州の旅客六社と貨物に分割民営化された。解体時の債務は三十七兆円を超えた。
 発足から三十年たった今、成果はどうか。JRグループ全体でみれば、売上高は発足直前の三・二兆円から六・八兆円に倍増。経常損益も一・八兆円の赤字から一・一兆円の黒字へと大幅改善した。民間企業として意識改革がなされ、サービスも向上したといえる。
 しかし、黒字化は当然といえば当然だ。もうからない路線は整理し、駅員のいない無人駅を激増させるなど効率化を優先させたからだ。過疎化や地方衰退、大都市への集中を助長した面は否めない。
 七社全体では黒字でも、会社別にみると実態はまるで異なる。経常利益のうち東日本、西日本、東海の本州三社で実に九割以上を占める。大規模な需要を見込める大都市圏や東海道新幹線というドル箱のおかげである。
 一方の北海道、四国、九州の三島会社は、最初から鉄道事業の赤字が分かっていた。だから持参金(経営安定基金)を分配され、その利子収入で損失を穴埋めする方式がとられた。だが当時7%以上だった金利はバブル崩壊後に大幅低下し、目算は狂った。この決定的な環境変化に対応して国は抜本改革に手をつけるべきだった。
 JR北海道は自社単独では現在の路線の半分も維持できない苦境にある。このままでは経営格差を生んだ分割の失敗と、ユニバーサルサービスより利益優先という民営化の負の側面が強いとの評価にならざるを得ない。
 公共交通の社会的価値は経済性だけでは測れないことは言をまたない。不採算でも地域にとっては必要な鉄道網はあり得る。当然バスや乗り合いタクシーなどへの転換も選択肢になろう。
 JR各社は国鉄債務の整理に血税が使われたことや地域独占が認められている公益性をいま一度かみしめてほしい。各社の利益の一部をプールして赤字穴埋めに充てるなどの対策を検討してほしい。
 政府も地方創生を掲げるならJRや自治体任せにせず地域交通の解決に関わるべきではないのか。
ページのトップへ戻る



毎日新聞2017年4月3日 東京朝刊
社説:JR誕生から30年 鉄道をもう一度考える時


 国鉄が115年の歴史に幕を下ろし、分割・民営化でJRが発進してから丸30年となった。
 旅客6社と貨物1社に分かれ、「地域密着の鉄道」「経営効率化によるサービス向上」を目指してきた。政治が経営の判断を握り、無責任体質の中で借金の山を築いた「お国の鉄道会社」が、民間企業として意識改革に取り組んだ成果は大きい。
 切符にハサミを入れていた改札は自動化され、電子マネー機能を持ったIC乗車カードが登場、今ではスマートフォンを改札機にかざし乗車できる。駅構内の商業スペース・駅ナカや、近代的な駅ビルなど、都市を中心に駅の姿も大きく変わった。
 しかし、この間の変遷はJR会社ごとに大きく異なる。東京、大阪という2大都市圏を新幹線で結ぶJR東海は、何兆円もの資金を投じリニア中央新幹線の建設にまい進する。
 一方、過疎化が特に深刻なJR北海道は、全線路の約半分が、単独での維持は困難と見られ、民営化後最大のリストラに直面している。
 分割で生じた地理的優位性の差に追い打ちをかけたのは、金利の大幅な低下だ。経営体力のある本州の3社(JR東日本、西日本、東海)は、借金の金利負担が急減する恩恵を受けた。反対に、体力の弱い3島会社(JR北海道、四国、九州)は、鉄道事業の赤字を穴埋めすべく設けられた経営安定基金の運用益が、見込み通りに得られなくなった。
 JR各社の格差は、ますます拡大するかもしれない。だが、鉄道が直面する課題は、黒字会社であっても無関心ではいられないはずだ。
 旅客各社は、鉄道業務以外での収益力向上を図りつつ、鉄道事業のあり方を根本から見つめ直す時に来ている。利用者の減少により、「長距離の大量輸送」という鉄道の強みが生かされなくなった地区では、バスや乗り合いタクシーなどへの切り替えも検討したらよい。
 それは必ずしも「地域密着」と矛盾するものではない。その土地に適した乗り物のかたちを、地元の活性化と一体で考えていく必要がある。
 高齢化や人口減少が進んでも成長をあきらめることはない。国外からの旅行者をさらに呼び込むためにも、異業種や外国からの人材を、幅広く活用していってほしい。
ページのトップへ戻る


/////////////////////////////////////////////////

関連記事

テーマ : 政治・時事問題
ジャンル : 政治・経済

tag : 国鉄 分割民営化 30年 切り捨て 改革 JR 路線維持

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

プロフィール

ajimu-ra

Author:ajimu-ra

カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最近の記事
リンク
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ(タブ)
RSSフィード
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カテゴリー
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
FC2ブログランキング
↓↓クリックお願いします↓↓

FC2Blog Ranking

ブログ内検索
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

フリーエリア
blogram投票ボタン