2017-04-07(Fri)

「共謀罪」審議 国会がおかしい なぜ優先か

法案の必要性問われる  政権の体質が見える  

<各紙社説>
朝日新聞)「共謀罪」審議 政権の体質が見える(4/7)
毎日新聞)「共謀罪」きょう審議入り まず政府の変節をただせ(4/6)
北海道新聞)国会がおかしい なぜ「共謀罪」が優先か(4/7)
信濃毎日新聞)共謀罪法案 与党は強引に進めるな(4/5)
京都新聞)「共謀罪」審議  法案の必要性問われる(4/7)

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案
  http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00142.html
要綱 http://www.moj.go.jp/content/001221004.pdf
法律案 http://www.moj.go.jp/content/001221006.pdf
理由 http://www.moj.go.jp/content/001221007.pdf
新旧対照条文 http://www.moj.go.jp/content/001221008.pdf






以下引用



朝日新聞 2017年4月7日(金)付
社説:「共謀罪」審議 政権の体質が見える


 犯罪を行わなくても、計画の段階で処罰する「共謀罪」を広範囲に導入するための法案の審議が、衆院で始まった。性犯罪の厳罰化を柱とする刑法改正案を優先するべきだという声を、政府・与党が押しきった。
 「魂の殺人」といわれる性犯罪に国はもっと厳しく臨むべきだ――。被害者だけでなく、裁判員裁判の判決などを通して明らかになっている大方の声だ。
 それを後回しにして、人権を大きく制約しかねない法律の制定に突き進む。人々の思いと政権との間にあるギャップを象徴する国会運営となった。
 これまで政府は、重い刑が定められている600超の犯罪すべてに共謀罪を設けなければ、組織犯罪対策のための条約に加盟できないと主張してきた。ところが審議入りした法案では277になっている。
 これについて岸田外相は「今回は取り締まる対象団体を『組織的犯罪集団』に限ると明記し、犯罪の類型も、そうした集団の関与が現実的に想定されるものに絞った」と答弁した。
 明らかなまやかしだ。
 過去に3度廃案になった共謀罪法案でも、政府は「対象となるのは組織的犯罪集団に限られる」と説明してきた。外相や首相が知らないはずがない。
 団体の要件を厳格化したと事実と異なる説明をし、過去の見解との間に食い違いがないように装いながら、国民を誤った理解に導く。あざとい答弁だ。
 条約をその時々で都合よく解釈し、目的のためならば積み上げてきたものを無視する。長年の憲法解釈を一片の閣議決定で覆し、安保法制を制定した際にみせた政権の体質が、ここにも表れている。今後の答弁をどうやって信頼せよというのか。
 277という数にも疑問符がつく。処罰範囲が広すぎるとの批判を受け、07年に自民党内で対象を150前後に抑える考えがまとまった。正式決定には至らなかったが、法務、外務両省の幹部も交えて検討した案だ。
 当時の議論と今回の法案には大きな溝がある。対象犯罪をこれからの修正協議の材料に使おうという思いが潜むとすれば、誠実な態度とは言えまい。
 多くの国民が危惧をおぼえるのは、法案自体がかかえる問題に加え、白を黒と言いくるめる政権、そして捜査や治安のためと称し、違法・脱法行為をくり返してきた捜査当局に対する根深い不信があるからだ。
 「成案を得てから」として、この2カ月余、質問から逃げ続けてきた政府、とりわけ金田法相の姿勢と能力が問われる。
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毎日新聞2017年4月6日 東京朝刊
社説:「共謀罪」きょう審議入り まず政府の変節をただせ


 「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案がきょう衆院本会議で審議入りする。
 国際組織犯罪防止条約の締結に当たって、法案が必要不可欠なのかどうか。そこが最大の焦点であり、政府と主な野党の対立点でもある。
 見解が対立するのは、政府の従来の説明に一貫性がないからだ。
 条約は締結国に4年以上の懲役・禁錮の刑を定める重大犯罪について、共謀罪などの法整備を求めている。対象犯罪数は600超で、減らすことはできないと政府は説明してきた。だが、今回の法案では対象犯罪数を277と、半分以下にした。
 外務省の担当者は先月の自民党法務部会で、対象犯罪を減らせないとしてきた理由について、条約を締結できないリスクを重く見たからだと釈明したという。
 なぜそうした判断になったのか。国会は厳しくただすべきだ。
 もともと条約は各国の事情に応じた法整備を認め、一部の内容を見送って締結もできる。また、殺人予備罪など70を超える重大犯罪で、今でも未遂以前の行為が例外的に処罰できる。ゆえに、条約は現行法で締結できるというのが野党の主張だ。
 政府は根幹部分の説明が変節した経緯を真摯(しんし)に語るべきだ。過去の国会答弁との矛盾を国会がただすことが議論のスタートラインだ。
 その上で、野党の主張では条約締結ができないというならば、それを証明する責任は政府にある。
 対象犯罪を減らしても条約締結が可能ならば、277という対象の妥当性も当然議論すべきだ。政府が強調するテロ対策とは無縁に思える罪名も多く含まれている。
 「共謀罪」法案は、捜査機関の対応次第では、国民の心の内までが監視対象になる危険性がある。その不安が払拭(ふっしょく)できるかどうかも審議の焦点だろう。
 処罰の対象となる組織的犯罪集団の定義は難しい。また、計画だけでなく実行準備行為を要件とする点で、廃案になった過去の共謀罪と異なると政府は強調するが、何が準備行為かを捜査側が拡大解釈する余地はないのか。
 課題は山積している。さまざまな懸念を解決する国会の責任は重い。
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北海道新聞 2017/04/07 08:55
社説:国会がおかしい なぜ「共謀罪」が優先か


 「共謀罪」の構成要件を変更しテロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案がきのう、衆院本会議で審議入りした。
 野党側は、性犯罪の罰則強化などを盛り込んだ刑法改正案の審議が先決と主張して抵抗したが、与党側が押し切った形だ。
 だが「共謀罪」法案は、テロ対策を口実に摘発の網を犯行前に広げ刑法の体系を揺るがすものだ。数の力による成立は認めがたい。
 一方で学校法人「森友学園」をめぐる疑惑は、与党側が新たな参考人招致や証人喚問を認めず、国会での究明が頓挫している。
 国民の疑問は棚上げし、賛否の割れる法案の審議を急ぐのでは、「国民の代表機関」とは呼べない。国会は責務を自覚すべきだ。
 安倍晋三首相はきのうの答弁で、国際組織犯罪防止条約の締結のため「必要な国内法を整備することが必要不可欠だ」と強調し、法案の早期成立を求めた。
 だがこの条約は各国の事情に沿った法整備を認めている。現行法でも締結は可能と指摘され、今回の法案は必要性自体が疑われる。
 にもかかわらず与党側は、審議入りを急ぐため前日の法務委員会開会を委員長の職権で決めた。特定秘密保護法や安全保障関連法に続いて、数の力で異論を押さえ込もうという姿勢が透けて見える。
 審議入りした以上、野党は今後の質疑で問題点を洗い出し、危険性を国民に示してほしい。
 一方、森友学園の問題ではこのところ、大阪府と大阪市が補助金の不正受給の疑いで学園の幼稚園を調査するなど、学園側に対する追及ばかりが目に付く。
 自民党は籠池泰典(かごいけやすのり)前理事長の偽証罪での告発も検討するという。
 学園側の手続きに法的な問題があるならもちろん解明が必要だ。籠池氏の証言もすべてが真実と受け止められるのか疑問も残る。
 だが問題の根幹にある小学校用地の売却額の減額と認可に関わる不透明な経緯は、学園側の意向だけでは成立しない。責任を学園に押しつけて幕引きを図るなら、まさしくトカゲのしっぽ切りだ。
 東日本大震災後の農地復旧工事で、天下りした農水省OBが関わる談合が行われていた疑惑も浮上した。福島原発事故の自主避難者を切り捨てるかのような今村雅弘復興相の発言も見過ごせない。
 巨大与党と高い支持率に寄りかかった政権の慢心が、国政の健全な運営をゆがめてはいないか。国会は各委員会で、すべての疑問を徹底的に追及してほしい。
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信濃毎日新聞 (2017年4月5日)
社説:共謀罪法案 与党は強引に進めるな


 共謀罪は憲法や刑法の根本原則を逸脱し、刑罰の枠組みを一気に押し広げる。プライバシーや内心に公権力が踏み入ってくる恐れが大きい。政府、与党は強引に審議を進めてはならない。
 自民、公明両党が共謀罪法案を6日に衆院で審議入りさせることで合意した。今国会で成立させるため、先に提出されていた法案を後回しにして審議するという。
 そもそもなぜ導入しなければならないのか。法案提出前、政府が答弁を重ねるほど、肝心要のところがぐらついた。
 東京五輪に向けたテロ対策という「錦の御旗」は、ほころびが目立つ。当初、条文のどこにも「テロ」の文字はなかった。適用対象に「テロリズム集団」を加えたものの、何がテロやテロ集団にあたるかは書かれていない。
 国際組織犯罪防止条約を締結するために不可欠という政府見解も根拠は薄い。条約はマフィアなどによる国境を越えた経済犯罪への対応を主眼とする。テロ対策が本来の目的ではない。
 何より心配なのは、警察権限の歯止めない拡大につながらないかだ。処罰の条件とされた準備行為は「資金または物品の手配、関係場所の下見その他」と幅広い。
 例えば、銀行預金を引き出しただけで資金の手配とみなされかねない。それを準備行為と判断するには、常日頃から動向をつかみ、共謀を察知することが欠かせない。市民の活動や日常生活に監視の網が広がる恐れがある。
 共謀罪は、逮捕や捜索など強制力を伴う捜査を早い段階から可能にする。裁判所の審査があるから権限乱用の心配はないと政府は言うが、そうだろうか。
 沖縄では昨秋、米軍基地反対運動のリーダーが繰り返し逮捕、起訴され、勾留が5カ月にも及んだ。認めたのは裁判所である。歯止めになるとは考えにくい。
 プライバシーや内心の自由を守るため、憲法は刑罰権の乱用を防ぐ詳細な規定を置いている。思想でなく行為を罰することは、刑法の基本原則である。話し合っただけで処罰を可能にする共謀罪は、その意味を損なう。
 自民党は委員会審議を40時間程度とし、4月中に衆院を通過させる考えだ。特定秘密保護法や安全保障関連法のときのように、審議を尽くしたとして一方的に成立させることがあってはならない。
 法案の問題点を野党は徹底して追及し、本質をあぶり出してほしい。国民が厳しい目を向けていくことも不可欠である。
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[京都新聞 2017年04月07日掲載]
社説:「共謀罪」審議  法案の必要性問われる


 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が審議入りした。
 日本国憲法は「思想・良心の自由」や「表現の自由」を定めており、犯罪実行後の処罰を原則とするのが現行の刑法体系だ。それに重大な変更を迫る法律である。捜査機関が拡大解釈したり、市民団体に適用される懸念が拭えず、内心の自由が侵される恐れは強い。性急な審議で課題は解決できまい。
 にもかかわらず、政府は、国民の不安や疑問にこたえる誠実さに欠けると言わざるをえない。
 国会では先に提出された法案の審議を優先する原則があるが、性犯罪を厳罰化する刑法改正案を後回しにして審議入りを決めた。与党内でも難色を示していた公明党を自民党が押し切った形だ。なぜ成立を急ぐ必要があるのか。
 政府は、2020年東京五輪・パラリンピックを見据えたテロ対策として、国際組織犯罪防止条約を締結するためには「共謀罪」新設が必要と説明している。
 しかし、もともと条約の狙いはマフィアなどによる経済的な犯罪の撲滅である。政府は2001年の米同時多発テロ以降、条約がテロ対策の性格を帯びたと主張するが、03~05年に3度も国会に提出された「共謀罪」法案は、世論の強い反対で廃案になっている。
 今回も人権侵害を招きかねない本質的な危うさは同じだ。国民が受け入れやすい「テロ対策」という看板に替えただけではないか。
 条約との関係も疑問だ。政府は当初676の犯罪を対象としていたが、範囲が広すぎるとの批判を受けて277に絞り込んだ。
 政府は過去に、条約が4年以上の懲役・禁錮を定めた罪を対象にするよう求めているとして、対象犯罪は減らせないと答弁してきたはずだ。適用対象を「団体」から「組織的犯罪集団」に変更して対象を限定できたというが、納得のいく説明とはいえない。
 会社法や金融商品取引法などにおける民間の賄賂罪など条約の趣旨から対象にすべき犯罪が対象外になっているとの専門家の指摘もあり、ちぐはぐさは否めない。
 日本弁護士連合会などは、すでに組織犯罪集団による犯罪を取り締まる予備罪・共謀罪があることから新たな法律がなくても条約締結は可能だと指摘しており、法案の必要性自体に疑問符が付く。
 自民党は4月中にも衆院通過を目指しているというが、日程ありきは決して許されない。
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