2017-04-11(Tue)

てるみくらぶ破産 "格安時代"終えんの始まりか

被害の大きさは深刻  旅行代金の弁済、制度見直し着手 国交相

旅行代金の弁済、制度見直し着手 国交相
 石井啓一国土交通相は7日の記者会見で、旅行会社「てるみくらぶ」の経営破綻を受け、客が前払いした旅行代金を供託金から弁済する制度の見直しに着手すると明らかにした。観光庁が月内にも有識者会議を設置し、弁済額の引き上げや、旅行会社の経営状況を把握する体制の在り方などを議論する。
 弁済制度は、旅行会社が日本旅行業協会などにあらかじめ一定額を供託し、経営破綻した際の前払い代金を補償する仕組み。てるみくらぶが前払いを受けた代金は約100億円あるが、現行制度では最大でも1億2千万円しか支払われないため、弁済率は1%程度にとどまる見通しだ。
(日本経済新聞)

てるみくらぶ、異常過ぎた「赤字販売」の結末 
債務超過125億円に粉飾、無謀だった拡大戦略
----同業よりもツアーが10万円安かった
同社は3月27日、東京地方裁判所に破産を申し立てた。負債総額は151億円。東京商工リサーチによれば、その後のグループ会社の破綻も含めれば、関連の負債総額は214億円に達する。
同業他社の首脳は「もはや誰もやらない安値販売をやっていた。最後は航空券の仕入値を割る価格だった」と指摘する。

----てるみくらぶの資産にはクレジットカード会社からの未収入金約8億円などが残っているが、これは担保権を設定している金融機関などが優先的に回収するため、被害にあった一般顧客へはほとんどまわらない。
一般顧客の救済はJATA(日本旅行業協会)への供託金を原資に行われる。その額は1.2億円で、一般顧客約100億円の債務に対して、弁済率は1%程度にとどまる。
「この10年間で破綻した旅行会社は45社あるが、弁済率はほぼ100%。てるみくらぶだけが異例なケース」(旅行業界関係者)という声もあるが、顧客の保護が十分だったのか、今後検討の余地があるだろう。
(東洋経済オンライン)




以下引用


トラベルニュースat-(17/04/11)
"格安時代"終えんの始まりか― てるみくらぶ破産、被害の大きさは深刻
海外格安旅行会社の「てるみくらぶ」と関連旅行会社の「自由自在」は3月27日と30日に、それぞれ東京地裁から破産手続き開始の決定を受けた。負債総額は151億円と34億円で、債権者の多数は旅行代金を支払い済みの旅行申込客が占める。
このうち、てるみくらぶでは、旅行申し込み件数が約3万6千件、旅行者数で8―9万人分の、支払い済みの旅行代金は99億円に及ぶ。
両社ともJATA(日本旅行業協会)の会員で、弁済業務保証金制度による弁済限度額はてるみくらぶが1億2千万円、自由自在が7千万円。いずれも負債総額を大幅に下回る。
JATAではウェブサイトのトップページに「てるみくらぶ、自由自在に関するご案内」を掲示し、弁済保証金の認証申し出の手続きについて紹介している。認証申し出を受けた上で、JATAからの書面の発送は6月中旬を予定している。
てるみくらぶの顧客は関西にも多かった。JATA関西支部と同じにビルに入居している全国旅行業協会大阪府支部、協同組合大阪府旅行業協会にも、てるみくらぶで旅行を申し込んだという消費者が何人も訪れたり、電話をかけてきたという。被害の大きさ、深刻さがうかがい知れる。


東洋経済オンライン 2017年04月11日
てるみくらぶ、異常過ぎた「赤字販売」の結末
債務超過125億円に粉飾、無謀だった拡大戦略
「今年1月にメルマガで送られてきた商品を見て、あまりの安さに目を疑った」。10年近く、てるみくらぶで海外旅行のツアーを利用してきた40代の女性はこう語る。
この女性が予約したのは、バルト3国やポーランドをめぐる8日間のツアー。成田空港発着で添乗員も同行する。5月中旬の出発で価格は2人で約28万円だった。「他社なら1人分の価格。今思えば、安すぎた」。
クレジットカードで母親と2人分の代金を1月末に支払った。その後、10月に催行される英国の湖水地方をめぐるツアーにも料金の安さからいったん予約した。だが、予約の翌日に現金で一括振り込みという条件を見落とし、これは自動的にキャンセルになった。
「(母親との旅行だったので)友達を巻き込まなかったのが不幸中の幸い」と、その女性はいう。だが被害額は約28万円。決して少なくない。
同業よりもツアーが10万円安かった
業界内でさほど知名度が高くなかった旅行会社てるみくらぶが、突然話題を集めたのは3月24日のこと。同社が顧客に対して「チケットが使えなくなる可能性がある」とメールを送ると、SNSを通じて一斉に情報が拡散した。
結局、同社は3月27日、東京地方裁判所に破産を申し立てた。負債総額は151億円。東京商工リサーチによれば、その後のグループ会社の破綻も含めれば、関連の負債総額は214億円に達する。
同業他社の首脳は「もはや誰もやらない安値販売をやっていた。最後は航空券の仕入値を割る価格だった」と指摘する。冒頭の女性も、「他社に比べて東南アジアで1万円、欧州方面では10万円も安かった」と振り返る。
破綻の理由は何だったのか。てるみくらぶがネットで海外旅行のツアー販売を本格化した2000年代中頃、空の旅といえば「ジャンボジェット」の愛称で親しまれたボーイング「747」を中心として大型飛行機だった。加えてハワイやグアム、サイパン、バリといったリゾート地域にも多くの路線が開設されていた。
こうした路線の搭乗率を少しでも上げるため、日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)といった航空会社は航空券を安売りし、旅行会社が安いツアーを大量に企画した。だがこうした時代はとっくに終わっていた。
→次ページ売上高200億円に対し、赤字は36億円
2010年、JALは経営破綻し、不採算路線を絞り込んだ。ANAも座席数が500を超えるB747より座席数が少ない「B777」や、さらに座席数を250席前後まで絞り「旅行会社キラー」(業界関係者)ともいわれる「B787」などを次々と導入。単価を上げても座席を埋められる戦略にシフトし、収益性の確保を強烈に進めた。
てるみくらぶが異質だったのが、それでも安売りをやめないことだった。そもそも、旅行業界は参入障壁が低く、差別化が難しい。最大手のJTBでも営業利益率1.2%、HISでも旅行事業は1.9%に過ぎない。
安売りだけが差別化だった

てるみくらぶが顧客に送っていた会員誌。編集・制作を請け負っていた会社も倒産した(被害者提供)
HISがハウステンボスやホテルなど周辺事業へ、JTBや近畿日本ツーリストが地域振興やスポーツ旅行へ進出し多角化しているのに対し、てるみくらぶは徹底的に安売りをするという"差別化"路線を突き進んだ。
そして被害者数が8〜9万人と膨れあがったのは、てるみくらぶの”悪あがき”の影響が大きい。
旅行業界の場合、顧客から受け取った現金を資産側に、負債側には前受金を計上してBSを調整する。旅行業界関係者によれば、前受金は売上高の通常1~2カ月程度になるという。
てるみくらぶの場合、関係者向けに公表していた2016年9月期決算は、売上高195億円、BSは純資産が4.6億円(自己資本比率7%)の資産超過だ。この時点の前受金は17億円程度で、同業他社と比べて、さほど違和感はない。
だが、裁判所に提出された文書によれば、この決算書は粉飾された疑いが濃厚だった。決算書で資産側の未収収益22億円、負債側の前受金17億円とされていたものは、あくまで「財務アドバイザーによる試算」とされた項目によれば、未収収益は実態が不透明で2億円に、前受金の実態は70億円で、74億円の債務超過だったという。
さらに売上原価や販管費も過少計上し、営業黒字に見せかけた対外的な説明用のほか、税務署提出用の決算書を作成。ただ実態は大きな営業赤字で、税務署提出用の資料ですら、内部の管理システムの数字と乖離していた。2016年9月期時点で15億円、2017年10月から破綻までに36億円の赤字を垂れ流していた可能性がある。
資金繰りに詰まったのに、他社よりも価格的魅力の大きい欧州やクルーズといった商品を売ることで、資金を集めて、次の旅行手配料や広告費に費やしてしまう。まさに自転車操業を行っていたわけだ。
→次ページ弁済率はわずか1%
すでに2月末時点で取引先への支払いが滞っていたが、メインバンクの三井住友銀行から3月上旬に2.2億円、同中旬に1.7億円の緊急融資を受けている。
だが、それでも3月23日には航空会社への発券費用が支払えず、破綻に追い込まれた。同日時点で、前受金は100億円まで膨張、125億円の債務超過だった。
真相は明らかになるのか
てるみくらぶの資産にはクレジットカード会社からの未収入金約8億円などが残っているが、これは担保権を設定している金融機関などが優先的に回収するため、被害にあった一般顧客へはほとんどまわらない。
一般顧客の救済はJATA(日本旅行業協会)への供託金を原資に行われる。その額は1.2億円で、一般顧客約100億円の債務に対して、弁済率は1%程度にとどまる。
「この10年間で破綻した旅行会社は45社あるが、弁済率はほぼ100%。てるみくらぶだけが異例なケース」(旅行業界関係者)という声もあるが、顧客の保護が十分だったのか、今後検討の余地があるだろう。
今回のてるみくらぶの破綻を受けて同業の首脳は「彼らの顧客はざっと年間で20万人ほどだろう。赤字販売の業者がいなくなって(競争環境は)正常化に向かうのではないか」という。
破綻申立書によれば、決算確定や財産分与などは11月上旬に東京地方裁判所で行われる。この場で真相は明らかになるのか。8~9万人ともされる被害者が楽しみにしていた旅行が催行されないのは確かだ。


日本経済新聞 夕刊2017/4/7付
旅行代金の弁済、制度見直し着手 国交相
 石井啓一国土交通相は7日の記者会見で、旅行会社「てるみくらぶ」の経営破綻を受け、客が前払いした旅行代金を供託金から弁済する制度の見直しに着手すると明らかにした。観光庁が月内にも有識者会議を設置し、弁済額の引き上げや、旅行会社の経営状況を把握する体制の在り方などを議論する。
 弁済制度は、旅行会社が日本旅行業協会などにあらかじめ一定額を供託し、経営破綻した際の前払い代金を補償する仕組み。てるみくらぶが前払いを受けた代金は約100億円あるが、現行制度では最大でも1億2千万円しか支払われないため、弁済率は1%程度にとどまる見通しだ。
 石井氏は「事案の重大さに鑑み、さらなる消費者保護などの観点から検討しなければならない」と述べた。


NHK 4月7日 14時55分
てるみくらぶ経営破綻受け 代金弁済制度見直しへ 国交省
海外旅行の格安ツアーを手がける東京の旅行会社「てるみくらぶ」が経営破綻した問題で、利用客にわずかしか代金が弁済されない事態になっていることを受けて、国土交通省は、業界団体の保証金で代金を弁済する今の制度の見直しを検討することになりました。
東京の旅行会社「てるみくらぶ」は、先月、資金繰りに行き詰まり、東京地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けました。 
旅行会社が経営破綻した場合、支払われたツアー代金は業界団体の日本旅行業協会が「保証金」で弁済する仕組みがありますが、今回は、支払い済みの代金が99億円余りに上っているのに対して、保証金は全体の1%程度に当たる1億2000万円しかなく、利用客にはほとんど弁済されない見通しとなっています。
 こうした事態を受け、国土交通省は、今月中にも有識者からなるワーキンググループを設け、業界団体の保証金で利用客に代金を弁済する今の制度の見直しについて検討を進めることになりました。
 また、「てるみくらぶ」が、大量の予約を受け付けたまま破綻したことや、営業損益を黒字に見せる粉飾決算を行っていた疑いがあることから、旅行会社の経営状態を把握する新たな方法も検討していくことにしています。
 これについて石井国土交通大臣は記者会見で、「今はインターネットでパック旅行などを販売するというビジネスモデルに変わり、あまり会社の資産がなくても業務を拡大できるように変わってきた。そういう変化に応じて、旅行会社の監督の在り方も考えていかなければならない」と述べました。


日本経済新聞 夕刊2017/4/6付
ネット旅行予約ご用心 宿に泊まれず/返金トラブル
相談件数5年で2倍
 インターネットで予約する旅行を巡るトラブルが相次いでいる。相談は5年間で2倍に増え、予約したはずの宿に泊まれない事例などが目立つ。3月にはネット予約を中心に格安ツアーを展開した旅行会社「てるみくらぶ」(東京)が経営破綻、渡航先で宿泊を拒まれるケースも出た。手軽さが人気だが、専門家は「契約は慎重に進めて」と呼びかける。

 関東地方に住む60代の男性は、東南アジアへの旅行に合わせ、現地のホテル確保のため旅行予約サイトを利用した。
 予約確認ボタンをクリックすると別のホテル名が表示されたため、男性は手続きに失敗したと思い、同じサイトで別のホテルを予約した。
 ところが、現地を訪れると予約ができていないことが判明。自力で別のホテルを確保したが、サイトを通じて予約した2つのホテルの宿泊料計数万円が口座から引き落とされていた。「業者の連絡先も分からない。どうしたらいいのか」。男性は3月、消費生活センターに駆け込んだ。
 国民生活センターによると、ネットで予約する旅行に関する相談は2015年度は1671件に上った。16年度も現時点ですでに1700件を超えている。11年度(836件)の2倍を超え、トラブルが後を絶たない。
 ホテルや航空券が予約されていない事例やサイト上での「二重予約」による返金トラブルが目立つ。業者が倒産して連絡が取れなくなり、返金されないケースも少なくない。
 3月にはネット予約を中心に利用者を集めていた「てるみくらぶ」の主催ツアーで航空券が発券できなくなるトラブルが発覚し、約150億円の負債を抱えて経営破綻した。
 破綻時にツアーを利用して海外渡航していた約2500人の中には現地で宿泊を断られたり、追加料金を求められたりした人がいた。代金支払い済みの顧客は8万~9万人とみられるが、ほとんど返還されない可能性が高い。
 観光庁によると、支払い済みの旅行代金を弁済する制度があるが、限度額があり多額の債務を抱えて経営破綻した場合、代金が一部しか戻らないこともあるという。
 国民生活センターは(1)契約前に業者の所在地や問い合わせ窓口を確認する(2)予約確認メールなどは旅行が終わるまで残しておく――などの対策を呼びかける。ただ旅行会社が運営するサイトのシステム不備が原因のトラブルも多く、「利用者が注意するだけでは防ぎきれない」(同センター担当者)という。
 旅行産業に詳しい淑徳大の千葉千枝子教授は「契約する業者が業界団体に加盟しているかを確認することが大切。サイト上に団体のロゴマークが表示されているかをチェックしてほしい」と指摘。「問い合わせ窓口を確認したり、代金を複数回に分けて支払ったりするのも有効だ」とする。


東洋経済オンライン 2017年04月01日
てるみくらぶ「大迷惑な破産」が示唆する教訓
ダメなら適切に廃業するのも経営者の務めだ
三戸 政和 :日本創生投資 社長
格安の海外旅行業者である「てるみくらぶ」が3月27日、東京地裁に破産を申し立て、破産手続き開始決定を受けた。負債総額151億円は、旅行業ではリーマンショック後で最大と言われている。
そのうち約100億円が、一般旅行者約3万6000人のもので、春休みの旅行シーズンに現地でホテルがキャンセルとなったり、帰国できない可能性があったりと、日本中に大迷惑をかける破産劇となっている。また、新卒内定者が50人もいたとのことで、新卒一括採用が通例となっている日本において、内定者の今後の人生を大きく変えてしまったことは道義的にも大きな責任が残るだろう。
実は私の運営する投資ファンドにも数週間前、「てるみくらぶに投資しないか」という打診があり、事前に軽く状況を聞いていた。弊社としては投資検討にも至らなかったため、以下は、報道に出ている情報のみで記している。
今回の倒産劇を受けて、改めて、民間信用調査会社が調べた、てるみくらぶのデータを見てみると、2013年9月期までは「売上高」と「利益」が表記されていたが、2014年以降は「利益」の部分は表記されておらず、粉飾決算をしながら金融機関から融資を引き揚げられないようにしていたのではないかと推察される 。
てるみくらぶは、なぜ追いこまれたのか
てるみくらぶのビジネスモデルは、そもそも航空会社や大手旅行代理店などが販売しきれない航空券などを安く買い取って、自社の旅行パッケージに作り込み、それをインターネットで迅速に集客して販売することが強みになっていたようである。
ところが、旅行関係のさまざまなインターネットビジネスの台頭で、航空便の空席が出てもネットを介してすぐに送客できる仕組みが社会全体に浸透したことによって、てるみくらぶの強みは目立たなくなってしまった。旅行業界も規制緩和の流れで競争原理が働き、消費者は非常に廉価な航空券を購入することができる時代となった。
→次ページ在庫確保のために高値づかみをせざるをえなくなった
このような中、同社は、安く空席を仕入れることができなくなり、在庫確保のために高値づかみをせざるをえなくなり、利幅が小さくなったことから昨年9月期では営業損失は15億円超となり、約75億円の債務超過になってしまっていたと報道されている。
旅行業者は、消費者から旅行代金を受け取り、航空会社や宿などへの支払いは後払いになることから、通常、多少の赤字が出ても資金繰りに余裕はある業種であるが、同社は金融機関から30億円も借り入れていたとのことであり、利益を出せずに資金繰りが厳しくなっていたことがわかる。
さらに、破産時は前受金が100億円もあったのにもかかわらず、手元現金が2億円ほどしかなかったとのことであるから、金融機関から借り入れを起こしてもまったく資金が回らず、消費者からの前受金に手を出して会社固定費の支払いなどにあて、こういった資金繰りの延長線上で現金一括払いの割引システムが導入されたのではないかと考えられる。
売上高を見ると急拡大を図っていたが
民間信用調査会社のデータを見てみると、てるみくらぶの売上高は62億円(2013年)→86億円(2014年)→130億円(2015年)→196億円(2016年) と急拡大を図っていたことになっている。一部は金融機関向けに業績をよく見せる過大表示なのかもしれないが、前受金を資金繰りに回し始めると売り上げの速度が止まれば資金繰りが一瞬で止まるため、ネット広告より単価の高い新聞広告にも積極的に広告費を投じ、顧客の増加を図ることで日銭の確保を図っていたのだろうと考えることもできる。仮にそうであれば、完全に自転車操業となっており、経営者として完全に負のスパイラルに陥ってしまった状態になっている。
事後的に見ると、ここまで大きな負債金額になる前に、誰かがストップを掛けてあげなくてはいけなかった。ところが、実際の現場としては、「あと少し」を積み重ねてしまったのだろう。従業員に給与を支払うために、「あと少し」資金が足りないから金融機関からつなぎの融資を受けて月末の支払いを終える。
また、取引業者には「あと少し」支払いを遅らせ、消費者には現金一括払いという形で「あと少し」受け取りを早くしていく。将来の業況回復を前提とした「あと少し」という資金調達の積み重ねは、業況が回復しなければ、場当たり的な対応にすぎず、負債は雪だるま式に膨らんでしまい、今回の破産劇のような結果を生んでしまうことがほとんどである。
→次ページてるみくらぶは、対岸の火事ではない
破産(倒産)というと、経営者責任はあるものの、防ぎようのないことと思われがちだが、実は、破産に至るまでに経営者ができることはたくさんあり、知識や意思決定次第で、ここまで周囲に大迷惑を掛けることは避けられた可能性がある。
実際に、弊社が投資を検討したA社(仮名)では、新卒内定者を10人弱抱えていながら3月30日に民事再生をかけたという、今回の内容に近いケースがあったが、資金がショートする前に経営者が民事再生を意思決定し実行に移したことで、スポンサーがつき、従業員の雇用は守られ、取引先も変わらずに取引を続けている例がある。
適切に廃業するのも、突然の倒産で関係者に大迷惑を掛けるのも経営者次第だ。今回のような突然の倒産を引き起こさないためには、私は以下の3点が重要だと考えている。
突然の倒産を引き起こさないために重要なこと
ひとつは、会社の経営数値をしっかりと理解し管理しておくということである。自身の損益計算書や貸借対照表をまったく見ずに税理士に任せっきりにしている経営者も多く、本業の利益水準を指し示す営業利益とはどういったものかなども知らない経営者も少なくはない。
これを人間の体に置き換えれば、日々、体重計に乗ったり、血圧計で血圧を測っていたりしていても、適正体重や適正血圧など、その数値の意味を理解せずには健康管理ができないのと同じである。経営数値を理解せずに経営を行い、実は利益が出ていないにもかかわらず漫然と経営を行っていくことで、徐々に赤字を積み上げ、知らず知らずに資金ショートでの倒産を迎えざるをえなくなる会社も多い。
次に、適切なタイミングで会社を畳むという意思決定を行うのは経営者の責任ということである。たとえば、営業利益がほとんど出ていないにもかかわらず、銀行へ月に50万円の返済を行い、その返済資金をどこかから借り入れながら毎月末の資金繰りを乗り切り、自分でも無理な経営を行っていることを理解しているのにもかかわらず、会社を畳むという選択肢を取れない経営者も多い。
これは、廃業を行うと経営者として負けを認めることになってしまうと感じたり、取引先や従業員に迷惑を掛けてしまうと思ってしまう人が多いからであるが、それは大きな誤解で、事前に廃業の準備をして、取引先を他社に変更してもらったり、従業員の再就職期間を設けたほうが、関係者全体として円滑に物事は進むのである。
→次ページ人情味に厚かったりする経営者ほど
てるみくらぶの山田千賀子社長の実際の人間性は知る由もないが、業況が悪化した経営の現場では、責任感が強かったり、人情味に厚かったりする経営者ほど、従業員や取引先への感情の断捨離が行われず、事業撤退や費用削減による根本的な損益改善ではなく、場当たり的な資金つなぎのみに走り、不要に多くの人を巻き込んだ最悪のケースを生んでしまうことがよくある。
今回の山田社長に対する評価も、報道では、責任感があるので支払いなどはしっかりしてくれるという信頼感があったという取引先の話があったが、まさにこのケースの経営者なのかもしれない。
会社を畳むための知識
最後に、会社を畳むための知識を得ておくということである。山田社長は、てるみくらぶの会社存続しか考えずに行動をしていたことが記者会見の内容でもわかるが、自身がビジネスを展開している業界動向が大きく変化し、それに対応できる方向転換ができないまま業績が大幅に降下した時点で、会社存続だけではなく、会社を畳むという選択肢も持ち、その知識を有していれば、ここまで大きく社会に迷惑を掛けることもなかっただろう。
最近は、国が主導する廃業の支援も制度が整ってきており、廃業の際に大きな問題となる金融機関からの借入金の整理や、それにひもづく個人保証の問題なども含めて、会社を畳むということが比較的容易にできるようになってきている。この制度を使っていけば無用な悩みを抱えてジリ貧になることなく、気持ちよく第2の人生を歩めるようにもなっているのである。会社を設立して従業員や取引先をつくっていく責任と同様に、悪循環に陥る前に会社を畳み整理するということも経営者としての最低限の責務だ。


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