2017-04-24(Mon)

クルーズ船 環境破壊 不法入国 地域壊し

住民の反対運動も 寄港誘致経済効果だけで語ってはいけない
クルーズ船の誘致以前にあるべきなのは、市民参加のもとで行う議論と分析だ


クルーズ船寄港誘致経済効果だけで語ってはいけない
----12月1日、米国司法省はプリンセス・クルーズ社(本社:米カリフォルニア州)に対し、「故意に犯した汚染に対して過去最大の罰金4000万ドル(約46億円)を支払わなければならない」との判決を下した。
 同社は北米最大手のクルーズ船運航会社であるカーニバル・コーポレーション(本社:米マイアミ州)傘下のクルーズブランドのひとつ。今回の4000万ドルという高額な罰金は、同社のクルーズ船が違法に廃油を海洋に投棄したことに対するものだ。

----「豪華客船タイタニック号の出航地」として知られる英国サウサンプトン港・・・・
「6780人の乗客と2100人の乗務員を載せた世界最大のクルーズ船が、イングランドに別れを告げた。サウサンプトン港の地元住民らは出航してくれてよかったと思っている。彼らはクルーズ産業の急成長と船体の巨大化につれ、クルーズ船が排出する大気汚染が年々ひどくなることに不満を募らせているのだ」
 近年はイタリア、スペイン、オーストラリアやハイチなどでも、地元住民や環境団体がクルーズ船の寄港に対する反対の声を上げている。

----日本も汚染とは無縁ではない。クルーズ船の寄港では高い実績のある横浜港では、たびたび市民からの苦情が舞い込んでいる。港湾関係者は次のように明かす。「停泊中のクルーズ船が黒い煙を出していることに対して、市民からクレームを受けたこともある。こうしたこともあり、横浜市では岸壁に発電所を設け、ここから電気を供給することで重油の燃焼を減らす計画を検討したが、結果として費用負担の大きさから、現在はペンディングになってしまっている」

----奄美大島は、・・巨大クルーズ船「ロイヤル・カリビアン」の寄港地開発計画が浮上した。奄美大島龍郷町の浜に「350メートルの桟橋を建造する」という内容に、今年、住民が反対運動を展開したのである。
 住民は、乗客5400人と乗組員2100人を収容する22万6000トン級の巨大クルーズ船が寄港すれば「龍郷町の手つかずの自然が失われる」と危機感を募らせた。「龍郷湾を守る会」のサイトからは、「龍郷町の人口は約6000人であり、その数に匹敵する乗客乗員への対応など不可能」という危惧感が垣間見られた。・・・
 こうした反対運動を経て、龍郷町は今年7月に「クルーズ船の受け入れ断念」を表明する。住民の熱い闘いが実を結んだ形となった。

----クルーズ船の誘致以前にあるべきなのは、市民参加のもとで行う議論と分析だ。もちろん、環境汚染の可能性についても知識を深めなければならない。それが後手に回っているのが今の日本の現状である。「わがふるさと」の何を守り、何を発展させていくのか──日本でも住民が主体となって意見を述べるときに来ている。
(ダイヤモンドオンライン 2016.12.16)

◇訪日客2千万人、消費に陰り クルーズ船増、トラブルも
----地域経済への恩恵は、政府の期待ほど広がっていないのが実情だ。
 宮崎県日南市の油津港。10月中旬の朝、マンションのように多くの客室を備えるクルーズ船が岸壁に到着し、降りてきた訪日客が大型バスに乗り込んでいった。宮崎県内の神社を二つ回った後、地元商店街には寄らず、県外企業が運営する免税店に向かった。この店はクルーズ船が来港したときだけ開く。地域に恩恵を広げようと、地元商店などが出店する物産展を日南市などが港で開く動きもあるが、地元商店街のパン店で働く女性は「訪日客が増えても、私たちにはいいことがない」とこぼす。
(朝日新聞 2016年11月2日18時29分)

◇しぼむ爆買い目立つ失踪 歪み増すインバウンド 不法入国、新たな問題に 福岡
----中国人を中心とした訪日旅行(インバウンド)客の「爆買い」がしぼんでいる。爆買いは、九州・山口でも免税店をはじめ、地域経済を潤してきただけに、急ブレーキの影響が心配される。一方、インバウンド客の失踪が相次いでおり、クルーズ旅行が新たな密入国ルートになると懸念される。
----捜査関係者は「不法滞在し、就労しようとする外国人は後を絶たない。クルーズ船は、新たな不法入国ルートとなりかねない」と警鐘を鳴らす。
(産経ニュース 2016.11.21 07:01)

◇クルーズ船が「手付かずの」サンゴ礁破壊、立件も インドネシア
----インドネシア東部ラジャアンパット諸島で今月4日にクルーズ船が座礁して広範囲のサンゴ礁を破壊した問題で、インドネシア当局は15日、船長を訴追する可能性があると明らかにした
(CNN 2017.03.16 )




以下引用

ダイヤモンドオンライン 2016.12.16
クルーズ船寄港誘致経済効果だけで語ってはいけない
姫田小夏:ジャーナリスト
P) 煙を吐く大型クルーズ船。旧型船はさらにひどく、埠頭が煤だらけになることもあるという
 12月1日、米国司法省はプリンセス・クルーズ社(本社:米カリフォルニア州)に対し、「故意に犯した汚染に対して過去最大の罰金4000万ドル(約46億円)を支払わなければならない」との判決を下した。
 同社は北米最大手のクルーズ船運航会社であるカーニバル・コーポレーション(本社:米マイアミ州)傘下のクルーズブランドのひとつ。今回の4000万ドルという高額な罰金は、同社のクルーズ船が違法に廃油を海洋に投棄したことに対するものだ。
 ワシントンポストなど在米メディアは、「スター・プリンセス」「グランド・プリンセス」などのクルーズ船で「2013年に発覚するまで、過去8年にわたって違法投棄が行われてきた」と報じた。
 日本法人のカーニバル・ジャパンは、「由々しきことだ。だが、発覚以降3年間にわたり、社をあげて環境規制を遵守するよう取り組んでいる」(広報)と話す。
 国際海事機関(IMO)が1997年に発効した海洋汚染防止条約では、油、有害液体物質、危険物、汚水、廃棄物など、船舶の航行に起因する環境汚染防止に厳しい規制が敷かれている。にもかかわらず、行われた違法投棄。ワシントンポストは「他社でも潜在的に行われている」と、その可能性を指摘する検事のコメントを掲載した。
クルーズ船」は、日本では新しい産業だ。それだけに経済効果などの輝かしい一面がフォーカスされる傾向があるが、欧米社会では必ずしもクルーズ船を「光」としてのみとらえることはしない。それどころか近年は、世界の寄港地でクルーズ船がもたらす環境汚染に対し、抗議運動すら起こっている。
クルーズ船の光と影
闘う港の住民たち

「豪華客船タイタニック号の出航地」として知られる英国サウサンプトン港は、欧州有数の取扱量を誇る港だが、今年5月、『ザ・ガーディアン電子版』は近隣住民の高まる大気汚染への不満を次のように報じた。
「6780人の乗客と2100人の乗務員を載せた世界最大のクルーズ船が、イングランドに別れを告げた。サウサンプトン港の地元住民らは出航してくれてよかったと思っている。彼らはクルーズ産業の急成長と船体の巨大化につれ、クルーズ船が排出する大気汚染が年々ひどくなることに不満を募らせているのだ」
 近年はイタリア、スペイン、オーストラリアやハイチなどでも、地元住民や環境団体がクルーズ船の寄港に対する反対の声を上げている。
 ちなみに、世界的な環境団体フレンド・オブ・アースの調査によれば、1週間の航海で「21万ガロン(約96.6万リットル)の屎尿と100万ガロン(約460万リットル)の汚水が出る」という。また、大型船ともなると「1日当たり150トンの燃料を燃焼させ、排出される硫黄酸化物は車数百台以上に相当する」との報告もある。
横浜港に停泊中の大型クルーズ船
 日本も汚染とは無縁ではない。クルーズ船の寄港では高い実績のある横浜港では、たびたび市民からの苦情が舞い込んでいる。港湾関係者は次のように明かす。
「停泊中のクルーズ船が黒い煙を出していることに対して、市民からクレームを受けたこともある。こうしたこともあり、横浜市では岸壁に発電所を設け、ここから電気を供給することで重油の燃焼を減らす計画を検討したが、結果として費用負担の大きさから、現在はペンディングになってしまっている」
 船舶がもたらす環境汚染は、そこへの規制が存在するとはいえ、まだまだ課題は多いのが現状なのだ。
奄美のブランドを守れ
住民が反対運動を展開

 日本政府は今、2020年にクルーズ船で入国する外国人旅客数について100万人達成を目標に掲げている。国土交通省によれば2015年1年間の日本の港へのクルーズ船寄港回数は1454回で過去最多。うち外国の企業が運航するクルーズ船寄港回数は965回と急増、前年比で280回も増加した。
 広島大学大学院総合科学研究学科のフンク・カロリン教授は「日本でも奄美大島で反対の声が上がった」とし、「経済効果を期待するあまり、日本では反対の声は少ないが、こうした声はこれから多く出てくるのでは」と警鐘を鳴らす。
 鹿児島県と沖縄本島の中間に位置する奄美大島は、風光明媚な観光地として高い人気を誇るが、その奄美大島に、上海を出航地とする中国人客を乗せた巨大クルーズ船「ロイヤル・カリビアン」の寄港地開発計画が浮上した。奄美大島龍郷町の浜に「350メートルの桟橋を建造する」という内容に、今年、住民が反対運動を展開したのである。
 住民は、乗客5400人と乗組員2100人を収容する22万6000トン級の巨大クルーズ船が寄港すれば「龍郷町の手つかずの自然が失われる」と危機感を募らせた。「龍郷湾を守る会」のサイトからは、「龍郷町の人口は約6000人であり、その数に匹敵する乗客乗員への対応など不可能」という危惧感が垣間見られた。
「このままでは奄美ブランドが低下する」というのは、地元住民の切実な訴えでもあった。中には「雇用拡大や移住促進のために行おうとしているクルーズ誘致が、かえってこれを遠ざけてしまう」という声もあった。
 こうした反対運動を経て、龍郷町は今年7月に「クルーズ船の受け入れ断念」を表明する。住民の熱い闘いが実を結んだ形となった。
クルーズ船誘致の前に必要な
市民参加の議論・分析

 龍郷町は住民が強い意志を貫いた貴重な事例だが、今の日本の港町はむしろ「クルーズ船誘致」に血道をあげているのが現状だ。「年間の寄港隻数」を競い合う自治体もあるなか、“おもてなし合戦”もまたエスカレートしている観がある。「あそこの港ではあんな派手にやっているから、わが自治体も」と気負う自治体も少なくない。
 京都府の「舞鶴市民新聞」は、こうした“おもてなし合戦”に疑問を抱き、「クルーズ船観光は宝の船か」と題する記事を掲載した。以下は同紙の瀬野祐太記者の記事からの抜粋である。
 “舞鶴はどうだろうか。下船した乗客は観光バスに乗り、天橋立や京都市内等の人気観光スポットに行っている。とてもじゃないが街が潤っているとは言えない。仕事を休まなければいけないなど負担ばかりが圧し掛かる「おもてなし」をする市民の顔にもどこか疲労の色が見える。”
「おもてなし」に参加する舞鶴市民に、どれほどの経済効果が及ぶのか。この“本業をなげうっての「おもてなし」”がいつまで持続するのか。筆者も以前、本連載で「クルーズ船に乗って来る爆買い客は地方を潤すのか」という問題提起をしたことがある(『中国人爆買いは果たして地方を潤すのか?』参照)。クルーズ船の誘致をめぐっては、市民参加で議論しなければならない課題が山積みであるものの、声を発するには至っていない。
「本来ならば市民が議論し、街に合った方法を考えるべきだが、現状は行政が先に打ち出したプランに対して市民がOKを出すにとどまってしまっている」(瀬野記者)
 前出のフンク・カロリン教授はその論文で「クルーズ船による効果と課題は経済、環境、交通、観光、地域のような、複数な視点から分析する必要がある」と述べている。同教授はクルーズ船に反対する立場でこそないが、誘致一辺倒の日本の在り方に疑問を呈する学者のひとりだ。
 クルーズ船の誘致以前にあるべきなのは、市民参加のもとで行う議論と分析だ。もちろん、環境汚染の可能性についても知識を深めなければならない。それが後手に回っているのが今の日本の現状である。「わがふるさと」の何を守り、何を発展させていくのか──日本でも住民が主体となって意見を述べるときに来ている。


宮崎日日新聞 2017年4月18日
県内観光関係者に衝撃 クルーズ船外国人失踪
 日南市・油津港に16日寄港した海外クルーズ船の外国人観光客5人が一時失踪した問題で、兵庫県警が全員の身柄を同県内で確保し、出入国管理法違反の疑いで聴取していることが17日、分かった。列車や新幹線を乗り継いで移動したとみられる。クルーズ船をめぐっては、県外の寄港地でも同様の外国人失踪が増加しており、県を挙げてクルーズ船の誘致を進めていた関係機関は「今後の誘致の動きに響かなければいいが」と困惑している。



産経ニュース 2016.11.21 07:01
しぼむ爆買い目立つ失踪 歪み増すインバウンド 不法入国、新たな問題に 福岡
観光を終え、クルーズ船に乗り込む旅行客。爆買いには陰りがみられる
 中国人を中心とした訪日旅行(インバウンド)客の「爆買い」がしぼんでいる。爆買いは、九州・山口でも免税店をはじめ、地域経済を潤してきただけに、急ブレーキの影響が心配される。一方、インバウンド客の失踪が相次いでおり、クルーズ旅行が新たな密入国ルートになると懸念される。(九州総局 中村雅和)
                   ◇
 福岡空港(福岡市博多区)国際線ターミナル内の免税店は、大勢のインバウンド客でにぎわう。だが、今年度に入り、毎月の売上高は、対前年同月比でマイナスが続く。
 理由は、高額品の売れ行きが鈍化し、客単価が2割減少したことだ。
 店を運営する福岡空港ビルディングの有吉信夫氏は「日用品など比較的安い商品の回転率を上げて、売り上げを確保している。熊本地震の影響もあったが、それ以上に、中国の関税引き上げの影響が大きい」と打ち明けた。
 中国政府は今年4月、海外で購入した商品に課す関税を引き上げた。高級腕時計は30%から60%に、酒や化粧品も50%から60%になった。
 爆買いにブレーキをかけ、中国国内の消費を促す狙いだ。日本で人気商品を仕入れ、中国で高値転売するブローカーが大きな問題となっていたこともある。
 関税引き上げで、転売のうまみが薄れた。「爆買い」は減速した。
 菅義偉官房長官は10月31日の記者会見で「爆買いは終わっていることは確かだと思う」と述べた。
 影響はすぐに現れた。全国で免税店を展開するラオックスの平成28年1~9月期の連結業績は、売上高が前年同期比31・9%減、最終利益も同97・4%減の1億円だった。
 九州にとっても、ひとごとではない。
 ラオックスは九州で8店を運営する。日銀福岡支店の推計によると、27年の九州・沖縄のインバウンド客消費額は約4800億円だった。
                 × × ×
 爆買い消費が失速する半面、クルーズ船旅行者の不法入国が、新たな問題として浮上する。
 福岡県では今年10月だけで船客9人が上陸後に姿を消した。4~10月の行方不明者は計16人に達した。
 福岡県警筑紫野署は今年5月、博多港から入国した中国人の男を入管難民法違反容疑で現行犯逮捕した。ただ、その他の行方不明者は見つかっていない。
 長崎県でも、昨年から約20人が姿をくらました。27年10月に起きた事件の場合、中国・青島から長崎港に入港したクルーズ船から、40代の中国人の男3人がいなくなった。
 客室からは、長崎-大阪の経路が記された地図が見つかった。捜査当局によると、中国では閲覧が制限されているネットから入手したとみられる。不法入国を手引きするブローカーの存在を、指摘する声もある。
 こうした失踪者は東京や大阪など県外で見つかるケースが多い。入国だけでなく、不法就労で摘発された例もある。
 背景には、政府が27年1月に新設した「船舶観光上陸制度」がある。
 大勢の入国審査をスムーズにさばくため、手続きを簡略化した。一定の条件を満たし、法相から指定を受けたクルーズ船の乗客が入国する際、ビザ(査証)取得を不要とし、顔写真撮影も取りやめた。
 クルーズ船の旅行客は、出国手続きなどを考慮し、おおむね船の出港2時間前に“門限”が設定される。ただ、乗客がそろわなくても、その時点では不法入国と断定できないので、定刻になれば船は出港する。
 法務省入国管理局の担当者は「不法残留者を出さない取り組みがずさんであれば、船舶観光上陸制度の申請を却下することもあり得る」とした。
                 × × ×
 福岡市の博多港は27年、クルーズ船寄港数が245回で、日本一だった。同市クルーズ課の小柳芳隆課長は「失踪者が相次ぐことで、インバウンドに対する市民感情が悪化することを懸念している。入管や県警との協力はもちろん、市として船会社へ文書で注意喚起するといった対応も考える」と語った。
 中国では、クルーズ旅行の費用は安い。中国から日本への料金は、安い業者では2千元(約3万円)を下回るという。安価な旅費に加え、査証取得手数料(3千円程度)も不要とあって、クルーズ旅行は一気に普及した。
 捜査関係者は「不法滞在し、就労しようとする外国人は後を絶たない。クルーズ船は、新たな不法入国ルートとなりかねない」と警鐘を鳴らす。
 平成28年1~10月に日本を訪れた外国人旅行者数は2千万人を突破した。政府は東京五輪のある32年までに、この数を4千万人に引き上げようと、目標を掲げる。入国者が増えれば、爆買いがなくても、何らかの経済的恩恵は膨らむ。
 半面、失踪・不法入国を図る者も増加する。対策強化が欠かせない。


JBpress 2017年4月4日(火)6時10分
埠頭で煙草ポイ捨て、中国人の闇ガイドが増えた理由
 水平線の彼方に白い船が姿を現した。船影が大きくなるにつれ、次第に輪郭がくっきりと形づくられていく。中国・上海を出発して博多、鹿児島などをめぐるクルーズ船「コスタ・セレーナ号」である。
 船が着岸するのは、鹿児島市の大型観光船埠頭「マリンポートかごしま」だ。着岸が1時間後に迫ったマリンポートかごしまには、子ども連れの家族や高齢者が集まり始めていた。近づいてくるクルーズ船に向かってオレンジ色の旗を振っている。彼らは「おもてなし隊」の会員で、登録を行うとこのオレンジ色の旗を渡される。高齢の女性は、「出迎えるのはこれで15回目」と言う。
 13時の着岸が近くなるにつれ、周囲は慌ただしくなった。次から次へと観光バスが押し寄せて来る。整列して乗客を待つ大量の観光バスの姿は圧巻だ。80台は下らないだろう。
埠頭に集結するガイドの正体は?
 埠頭に集まったのは観光バスだけではない。中国人の通訳ガイドも集まり始めていた。
 通常、日本の観光の現場では「通訳案内士」が活躍する。通訳案内士になるには国家資格が必要だ。試験に合格するためには、相当な時間を費やさなければならない。
 しかし、目の前にいる中国人の通訳ガイドたちは、とても「プロのいでたち」とは異なる。服装はだらしがなく、しゃがみこんでタバコを吸い、その吸殻を投げ捨てる者もいれば、背中を丸め、両手をポケットに入れてうろつく者もいる。そうした姿を見て、筆者に同行した友人は「ガラが悪いなあ」とつぶやいた。
 通訳を本業としている人はこの中に何人いるのだろうか。業界に詳しい日本人の通訳案内士、Sさんによれば、「クルーズ船がやって来ると、プロアマ問わず九州全土から日本語を話せる中国人がかき集められます。3000人を超える中国人客に対応しなければなりませんので、留学生にも声がかかります」という。
 着岸を待つ間、そばにいた中国人の女性ガイドに話しかけてみた。福岡から来たという。「ここに集まっているガイドさんたちは、資格のない人も多いんでしょう?」と尋ねてみると、拙い日本語で「最近はネ、みんな勉強して資格取ってるヨ」とあわてて切り返してきた。
 とはいうものの、通訳案内士の資格者証を首にかけている者はほとんどいない。現場にいるのは無資格ガイドばかりと見てよさそうだ。
地方都市には中国語の正規ガイドがいない?
 いよいよ船が接近してきた。その姿はさながら巨大マンションのようだ。
 この日、コスタ・セレーナ号には約3500人が乗船していた。ほとんどが中国人客である。接岸すると、車いすの高齢者を先頭にタラップから乗客がどっと降りてきた。その大勢の客をさばくのが、中国人の通訳ガイドの仕事だ。
 鹿児島のような地方都市では、どうしても無資格の闇ガイドに頼らなければならない事情がある。「地方には、正規の中国語の通訳ガイドがきわめて少ない」(前出のSさん)のだ。
 そもそも正規の中国語の通訳ガイドは東京や京都などの大都市に集中している。また、クルーズ船で訪日する中国人客は「格安ツアー」に参加しているため、通訳ガイドへの報酬はほとんど期待できない。「地方に派遣されると、交通費が支給されないどころか、逆に食費、宿泊費を徴収されてしまうケースすらあります」(同)。だから、地方に来て仕事をする中国語の通訳ガイドがいないのだ。
 中国人の闇ガイドならば、客を“ぼったくり免税店”に連れて行くことで、報酬を確保しようとする。だが日本人の正規ガイドにとって、そうした行為はご法度である。
「不人気」言語になってしまった中国語
 日本で正規の中国語の通訳ガイドが不足しているという問題は深刻だ。
 通訳案内士の合格者は約9割が英語の通訳者だ。中国語の通訳者は約1割に過ぎない。だが日本を訪れる2403万人の外国人客のうち約3割を中国人が占めている。日本では明らかに「中国語需要」が高まっているのに、それに対応できる通訳ガイドがいない。
 問題を突き詰めれば、中国語を学習する日本人が少ないという現実に突き当たる。今日、中国語の通訳ガイドが不足しているのは、これまで日本社会が中国語を重視してこなかったことの“因果応報”だとも言える。
 中国ブームに沸いた2000年代は、中国語の習得に将来の夢を託した若者も少なくなかった。中国への留学生は日本人が最多を占める時期もあった。しかし、2010年代に入ると、日中間の政治的冷え込み、日本企業の中国からの撤退などによって、中国語の人気は低下する。中国語検定の受験者は、2010年の上海万博以降、尖閣諸島の領有をめぐって日中関係が悪化すると目に見えて減少してしまった(図参照)。
 だが、日本に来る中国人旅行者は増え続けている。その結果、増殖したのが“闇ガイド”だ。
 闇ガイドによって正規の通訳ガイドの仕事が奪われている。問題はそれだけではない。観光名所の関係者からは、「中国人ガイドはいい加減な説明しかしない」という不満の声が聞こえてくる。闇ガイドたちは日本の文化や歴史を正しく伝えられないため、“歪んだ日本像”が独り歩きしてしまっている。
 安倍政権は「2020年までに訪日外国人観光客を年間4000万人に増やす」ことを目標に掲げている。その目標の達成に「中国からの訪日客をさらに増やす必要がある」(旅行業界幹部)ことは言うまでもない。今こそ「拙い中国語でも、日本人が日本を案内する」ことの意義を再評価すべきではないだろうか。
筆者:姫田 小夏

CNN 2017.03.16
クルーズ船が「手付かずの」サンゴ礁破壊、立件も インドネシア
(CNN) インドネシア東部ラジャアンパット諸島で今月4日にクルーズ船が座礁して広範囲のサンゴ礁を破壊した問題で、インドネシア当局は15日、船長を訴追する可能性があると明らかにした。
現場海域は世界で最も美しいサンゴ礁の一つに数えられ、「手付かず」の自然が残ると記述されることが多い場所だった。
海事担当調整省の担当官は声明で、「自然が数百年の年月をかけて育んできたラジャアンパットのサンゴ礁は、カレドニアン・スカイ号とその船長によって1日足らずで破壊された」「被害箇所を再生するのは不可能だ。この海域で普通に見られていた魚はすべていなくなってしまった」と述べた。
環境団体コンサベーション・インターナショナル・インドネシアの幹部によれば、被害面積は約1万3000平方メートル。この海域はダイビングの名所でもあったという。
事故を起こしたカレドニアン・スカイ号(全長90.6メートル)を運行しているノーブル・カレドニア社は事故を謝罪したが、座礁の原因は明らかにしていない。船長は長年の経験をもつ人物だとしている。
同社はまた、サンゴ礁の再生や地元住民の生活を支援する基金を立ち上げる方針も示した。
インドネシア当局は「環境破壊については保険金が下りるかも知れないが、だからといって本件の犯罪としての側面が帳消しになるわけではない」とし、あくまでも船長の刑事責任を問う立場を示している。
事故は地元の観光業や経済に影響を与える可能性がある。
環境保護団体の幹部はCNNに対し、損傷を受けたサンゴ礁に観光客は集まらないだろうし、生息地を失ってこの海域の魚の数も減るだろうと述べた。


朝日新聞デジタル2016年11月2日18時29分
訪日客2千万人、消費に陰り クルーズ船増、トラブルも
 今年に入って日本を訪れた外国人客が2千万人を超えたと、国土交通省が31日発表した。年間で2千万人の大台を突破するのは初めて。中国などアジアからのクルーズ船客が急増し、伸びを牽引(けんいん)している。ただ、訪日客の伸び率は鈍化しており、地域経済へのプラス効果も期待されたほどではないようだ。
 今年1年間の訪日客数は、前年比2割増の2400万人前後になる勢いだ。とくにクルーズ船での訪日客が増えており、今年は前年の倍の200万人強になるとみられている。
 クルーズ船は日本の地方都市にも寄港する。国交省は「地方創生」につながるとして、クルーズ船向けの港湾整備費として、2017年度予算で16年度当初比66%増の137億円を要求した。
 だが、地域経済への恩恵は、政府の期待ほど広がっていないのが実情だ。
 宮崎県日南市の油津港。10月中旬の朝、マンションのように多くの客室を備えるクルーズ船が岸壁に到着し、降りてきた訪日客が大型バスに乗り込んでいった。宮崎県内の神社を二つ回った後、地元商店街には寄らず、県外企業が運営する免税店に向かった。この店はクルーズ船が来港したときだけ開く。地域に恩恵を広げようと、地元商店などが出店する物産展を日南市などが港で開く動きもあるが、地元商店街のパン店で働く女性は「訪日客が増えても、私たちにはいいことがない」とこぼす。
 日本に寄港するクルーズ船ツアーの多くは、中国の旅行会社が企画している。中国を出発し、韓国と日本を回るコースが典型だ。
 寄港地での行き先を決めるのは、ランドオペレーター(ランオペ)と呼ばれる仲介業者。立ち寄る免税店からマージン(手数料)を受けとる。高額なマージンの店ばかりに行き、その店で割高な商品を売りつけられるなどのトラブルも報告されている。中国でも「ぼったくり免税店」と問題視する報道が出始めている。
 ランオペを規制する法律は、日本にはない。観光庁は6月に実態調査を始めたばかりで、対応はおくれ気味だ。(柴田秀並)
■ホテル不足は依然深刻
 観光庁の統計によると、8月の外国人の国内宿泊者数は3年半ぶりに前年同月比で減少に転じた。船内で寝泊まりできるクルーズ船による訪日客が増えていることも影響しているようだ。下船して宿泊しないと、国内での食事や買い物の機会も減る。7~9月の訪日客の消費総額は約5年ぶりに前年割れした。
 中国当局の関税引き上げや円高などで「爆買い」ブームも去り、訪日客1人あたりの消費額も前年割れが続く。訪日が2回目以上の「リピーター」が買い物にこだわらずに観光を楽しみ始めたとの見方もあるが、リピーター率は50%台半ばから伸びていない。
 一方で、ホテル不足は深刻なままだ。政府は年間の訪日客数を「2020年までに4千万人」に増やす目標を掲げるが、宿泊施設を確保できるかは不透明だ。
 訪日客に人気の大阪市では、14年度に25件だった宿泊施設の建築計画届が、15年度に141件、今年度は上半期だけで183件と急増している。三菱総合研究所によると、18年までに大阪市のホテル客室数は2割近く増え、新たに8500室ができる見通しだ。小泉洋平主任研究員は「それでも訪日客を倍増させる目標に照らすと十分とはいえない」と指摘する。
 宿泊施設不足の打開策を期待される「民泊」の普及でも、政府の対応は後手に回っている。民泊のルールを定めた法案の提出は、来年の通常国会になる見通しだ。(奥田貫、田幸香純)


TechinsightJapan 2016年12月6日 15時40分 (2016年12月10日 19時40分 更新)
豪華客船「プリンセス・クルーズ」に45.5億円の罰金刑 海洋汚染と汚染物質不法投棄で
世界で人気の豪華客船ツアーだが、実は海洋・環境汚染の大きな原因となっていることをご存じであろうか。排出される下水、油漏れ、船内で莫大な量が用意される飲食物の廃棄処分など。コストダウンのため処理プロセスがずさんであることも多く、行政の業務改善命令に虚偽の報告でもあれば大変な罰金刑が待っている。このほど「プリンセス・クルーズ」がそれを食らった。
 豪華客船でのクルージングツアーといえばとにかく盛んなのが北米。大手クルーズ会社による派手な買収合戦が続いた結果、現在北米のクルーズ業界トップは「カーニバル・クルーズ(Carnival Cruise Line)」。次に「ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(Royal Caribbean International)」、さらに三番手がカーニバルの傘下に入った「プリンセス・クルーズ(Princess Cruises)」と続く。
 このほど有罪の判決とともに4,000万ドル(約45.5億円)という業界史上最大の罰金を支払うよう命じられたのは、このプリンセス…を運航する「Princess Cruise Lines Ltd.(本社:カリフォルニア州サンタクラリタ)」。海洋汚染、環境破壊に対する対策や改善の努力が見られない上、隠ぺい工作が多々あったとして7件の重罪に問われていた。
 2014年3月、法務省がテキサス州ヒューストンで同社の豪華客船について調査を実施したところ、不正なバルブやバイパス装置の存在が発覚。…
2005年からはイギリスの排他的経済水域などに大量の汚染廃棄物の投棄を行い、報告データを改ざんするなど隠ぺいは日常的であったことを突き止めた。調査対象となった客船は「スタープリンセス」、「グランドプリンセス」、「コーラルプリンセス」、「ゴールデンプリンセス」であったという。
 なお、巨大な客船の運航に必要なのは大変な環境汚染を生む特殊かつ廉価なディーゼルエンジン用燃料。1隻あたりの消費量は驚くことに1日平均10万リットルを超えるという。海を汚している現状が知れ渡るにつれ、近年は寄港先で歓迎されるどころか反対運動や活動家による“ブーイング”が待っていることもあるようだ。
出典:http://www.princess.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)


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