2017-05-04(Thu)

憲法70年 首相改憲発言 (1)  「改憲20年施行」「9条に自衛隊明記」 

「施行70年 いいね! 日本国憲法-平和といのちと人権を! 5・3憲法集会」

◇首相「9条に自衛隊明記」 改憲2020年施行目標に 首相がメッセージ
 安倍晋三首相は3日、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明した。首相は改正項目として9条を挙げて「1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方は国民的な議論に値する」との考えを示した。

(全文)第19回公開憲法フォーラム(5月3日) 安倍晋三自由民主党総裁メッセージ
(朝日新聞)

◇護憲派集会にピーコ氏の姿も 「ひどい草案つくる人の改憲許せない!」 蓮舫、志位…「反安倍」オールスターの様相に
 憲法記念日の3日、護憲派が東京・有明防災公園で開いた「施行70年 いいね! 日本国憲法-平和といのちと人権を! 5・3憲法集会」は、さながら憲法改正発議を目指す安倍晋三政権への大批判大会の様相を呈した。
(産経ニュース)

◇海外での武力行使を文字通り無制限にする 志位委員長 首相の9条改定発言を批判
(しんぶん赤旗)

<各紙社説・主張>
朝日新聞)憲法70年 9条の理想を使いこなす(5/4)
日本経済新聞)自衛隊明記の議論を真剣に (5/4)
産経新聞)首相の9条発言 最大の政治課題に邁進を(5/4)
東京新聞)憲法70年に考える 大島大誓言が教えるもの(5/4)
河北新報)首相「改憲20年施行」/拙速禁物 必要性の議論が先(5/4)
信濃毎日新聞)首相改憲発言 身勝手な使命感の表明(5/4)





以下引用



朝日新聞 2017年5月3日19時51分
首相9条自衛隊明記」 改憲2020年施行目標に


 安倍晋三首相(自民党総裁)は憲法記念日の3日、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と明言した。改憲項目として、戦争の放棄を定めた9条自衛隊の存在を明記した条文を追加することと、高等教育の無償化を定めた条文の新設を挙げた。
 18年秋の党総裁選での3選を前提にしつつ、現行の9条1、2項の維持を訴える公明党や、改憲による教育無償化を求める日本維新の会にも配慮した。自らの悲願である憲法改正に向けた議論を加速させる構えだ。他の野党は反発している。
 首相がメッセージを寄せたのは、新憲法制定をめざす運動団体、日本会議が主導する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」などの集会。
 「憲法改正は自民党の立党以来の党是」としたうえで、「憲法を改正するか否かは最終的には国民投票だが、発議は国会にしかできない。私たち国会議員は大きな責任をかみしめるべきだ」と強調。東京五輪・パラリンピックが開かれる20年を「日本人共通の大きな目標。新しく生まれ変わった日本がしっかりと動き出す年」と位置づけた。
 改憲項目は例示する形で、9条については「多くの憲法学者や政党の中には自衛隊を違憲とする議論が今なお存在する。『自衛隊は違憲かもしれないが何かあれば、命を張って守ってくれ』というのは無責任だ」「1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む考え方は国民的な議論に値する」と述べた。高等教育の無償化については「教育が果たすべき役割は極めて大きい」として、重要性を説いた。そのうえで、ほかにも「議論していくべき課題は多々ある」とも語った。
 首相は3日付の読売新聞朝刊に掲載されたインタビューでもこうした考え方について答えたうえで、大災害などの緊急時に議員任期を延長する特例の創設についても「現実的で重要な論点」と指摘した。
 安倍政権下での改憲に積極的な自民、公明、維新、日本のこころによる4党・会派の「改憲勢力」は、衆参とも改正発議に必要な3分の2を超えている。改憲勢力だけで確実に発議するには、衆院任期の18年12月までに行う必要がある。(藤原慎一)
     ◇
 〈9条〉 
 1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又(また)は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

■安倍晋三首相が寄せたメッセージの骨子
 ▽憲法改正は自民党の立党以来の党是。しかし、憲法はたった一字も変わらず、施行70年を迎えた。歴史的使命を果たしていきたい。
 ▽東京五輪が開催される2020年は、日本が生まれ変わるきっかけにすべきだ。20年を新しい憲法が施行される年にしたい。
 ▽「自衛隊が違憲かもしれない」などの議論の余地をなくすべきだ。9条1項、2項を残しつつ自衛隊を明文で書き込む考え方は国民的な議論に値する。
 ▽小・中学校9年間の義務教育の無償化は戦後の発展の大きな原動力だ。社会も経済も大きく変化した現在、高等教育も、全ての国民に真に開かれたものとしなければならない。

■<解説>持論抑え改憲優先
 安倍晋三首相が憲法改正に向けギアを一段上げた。9条2項改正という首相のかねての持論を抑えて優先させたのは、改正そのものの実現だ。
 戦力の不保持、交戦権の否認はそのままに、自衛隊の存在を9条に加える。党の改正草案からは後退だが、国民投票での承認を得るべくぎりぎりの線を狙った案である。
 首相は政権復帰直後の2013年春、96条改正を打ち上げた。だが、厳格な改憲手続きを緩めることを狙った改正論に批判が続出。以来、首相は具体的な項目に触れるのを避けてきた。
 その一線を越え、これまで議論されていた緊急事態条項などではなく、9条という本丸に一気に踏み込んだのはなぜか。衆参で3分の2の改憲勢力があるのに、与野党協調を重視する憲法審査会では改憲案発議への展望が開けないことへのいらだちがのぞく。保守派の不満も高まり、これに応える必要もあった。
 だが、首相が期限を切って9条改正論を掲げたことで、憲法審の議論が混乱するのは確実だ。首相が思い描くように進むかは見通せない面もある。
 首相が3日にこの考えを公にしたのは、安倍氏の手による改憲に期待を寄せる民間団体が主催する集会へのメッセージの形だった。いわば内輪の場での決意表明だが、憲法改正は広く国民にその必要性を説き、賛同を得なければ、実現は難しい。(編集委員・国分高史)
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朝日新聞 2017年5月3日15時09分
憲法改正「2020年に施行したい」 首相がメッセージ
 安倍晋三首相は3日、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明した。首相は改正項目として9条を挙げて「1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方は国民的な議論に値する」との考えを示した。
 18年秋の自民党総裁選での3選を前提に、自らの悲願である憲法改正の実現に意欲を示した。野党の反発は必至だ。
 首相がメッセージを寄せたのは、日本会議が主導する美しい日本の憲法をつくる国民の会などの改憲集会。
 首相はメッセージで「憲法改正は自民党の立党以来の党是」とした上で、「憲法を改正するか否かは最終的には国民投票だが、発議は国会にしかできない。私たち国会議員は大きな責任をかみしめるべきだ」と強調。20年に東京五輪・パラリンピックが開催されることについて「日本人共通の大きな目標。新しく生まれ変わった日本がしっかり動き出す年」として20年に改正憲法の施行を目指す考えを示した。
 憲法9条について、首相は「多くの憲法学者や政党には自衛隊を違憲とする議論が今なお存在する。あまりにも無責任だ」として、自衛隊の根拠規定を9条に追加すべきとの考えを強調。さらに「改憲勢力」と位置づける日本維新の会が改正項目に掲げる教育無償化についても「一億総活躍社会を実現する上で教育が果たすべき役割は極めて大きい」と前向きな姿勢を示した。
 首相のメッセージに対して、米ハワイ・ホノルルを訪問中の自民党の二階俊博幹事長は2日午後(日本時間3日午後)、「総理がそういうことを熱烈に希望しているなら、安倍内閣を支持している以上、積極的に支持、協力していくことが当然ではないか」と同行記者団に語った。(藤原慎一、ホノルル=山岸一生)
     ◇
 安倍晋三首相が3日、憲法改正を求める集会に寄せたメッセージの全文は以下の通り。
     ◇



第19回公開憲法フォーラム(5月3日)
 安倍晋三自由民主党総裁メッセージ


 ご来場の皆様、こんにちは。「自由民主党」総裁の安倍晋三です。
 憲法施行70年の節目の年に、「第19回公開憲法フォーラム」が盛大に開催されましたことに、まずもって、お慶(よろこ)びを申し上げます。憲法改正の早期実現に向けて、それぞれのお立場で、精力的に活動されている皆様に、心から敬意を表します。
 憲法改正は、自由民主党の立党以来の党是です。自民党結党者の悲願であり、歴代の総裁が受け継いでまいりました。私が総理・総裁であった10年前、施行60年の年に国民投票法が成立し、改正に向けての一歩を踏み出すことができましたが、憲法はたった一字も変わることなく、施行70年の節目を迎えるに至りました。
 憲法を改正するか否かは、最終的には、国民投票によって、国民が決めるものですが、その発議は国会にしかできません。私たち国会議員は、その大きな責任をかみしめるべきであると思います。
 次なる70年に向かって日本がどういう国を目指すのか。今を生きる私たちは、少子高齢化、人口減少、経済再生、安全保障環境の悪化など、我が国が直面する困難な課題に対し、真正面から立ち向かい、未来への責任を果たさなければなりません。
 憲法は、国の未来、理想の姿を語るものです。私たち国会議員は、この国の未来像について、憲法改正の発議案を国民に提示するための、「具体的な議論」を始めなければならない、その時期に来ていると思います。
 我が党、自由民主党は、未来に、国民に責任を持つ政党として、憲法審査会における、「具体的な議論」をリードし、その歴史的使命を果たしてまいりたい、と思います。
 例えば、憲法9条です。今日、災害救助を含め、命懸けで、24時間、365日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く、その任務を果たしている自衛隊の姿に対して、国民の信頼は9割を超えています。しかし、多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が、今なお存在しています。「自衛隊は、違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張って守ってくれ」というのは、あまりにも無責任です。
 私は、少なくとも、私たちの世代の内に、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、「自衛隊が違憲かもしれない」などの議論が生まれる余地をなくすべきである、と考えます。
 もちろん、9条の平和主義の理念については、未来に向けて、しっかりと、堅持していかなければなりません。そこで、「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という考え方、これは、国民的な議論に値するのだろう、と思います。
 教育の問題。子どもたちこそ、我が国の未来であり、憲法において、国の未来の姿を議論する際、教育は極めて重要なテーマだと思います。誰もが生きがいを持って、その能力を存分に発揮できる「一億総活躍社会」を実現する上で、教育が果たすべき役割は極めて大きい。
 世代を超えた貧困の連鎖を断ち切り、経済状況にかかわらず、子どもたちが、それぞれの夢に向かって頑張ることができる、そうした日本でありたいと思っています。
 70年前、現行憲法の下で制度化された、小中学校9年間の義務教育制度、普通教育の無償化は、まさに、戦後の発展の大きな原動力となりました。
 70年の時を経て、社会も経済も大きく変化した現在、子どもたちがそれぞれの夢を追いかけるためには、高等教育についても、全ての国民に真に開かれたものとしなければならないと思います。これは、個人の問題にとどまりません。人材を育てることは、社会、経済の発展に、確実につながっていくものであります。
 これらの議論の他にも、この国の未来を見据えて議論していくべき課題は多々あるでしょう。
 私は、かねがね、半世紀ぶりに、夏季のオリンピック、パラリンピックが開催される2020年を、未来を見据えながら日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけにすべきだと申し上げてきました。かつて、1964年の東京五輪を目指して、日本は、大きく生まれ変わりました。その際に得た自信が、その後、先進国へと急成長を遂げる原動力となりました。
 2020年もまた、日本人共通の大きな目標となっています。新しく生まれ変わった日本が、しっかりと動き出す年、2020年を、新しい憲法が施行される年にしたい、と強く願っています。私は、こうした形で国の未来を切り拓(ひら)いていきたいと考えています。
 本日は、自由民主党総裁として、憲法改正に向けた基本的な考え方を述べました。これを契機に、国民的な議論が深まっていくことを切に願います。自由民主党としても、その歴史的使命を、しっかりと果たしていく決意であることを改めて申し上げます。
 最後になりましたが、国民的な議論と理解を深めていくためには、皆様方、「民間憲法臨調」、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」のこうした取組みが不可欠であり、大変心強く感じております。
 憲法改正に向けて、ともに頑張りましょう。
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朝日新聞 2017年5月4日05時00分
(時時刻刻)改憲、踏み込む首相 核心の9条、3項追記に転換
 安倍晋三首相(自民党総裁)が5月3日の憲法記念日に、憲法改正で新たな目標に踏み込んだ。憲法に規定がない自衛隊の条文を9条に盛り込み、2020年に改正憲法の施行を目指す方針を明言。衆参各院で3分の2を占める「改憲勢力」を背景に、議論を加速させる思惑が前面に出てきた形だ。▼1面参照
 「憲法改正は、自民党結党者の悲願だ」。3日、東京・永田町の砂防会館。運動団体「日本会議」が主導する憲法改正派の大会に寄せたビデオメッセージで、首相はこう切り出した。
 最近は憲法改正で具体的な発言を控えていた首相だが、1日に録画したメッセージでは姿勢を一変。長く改憲論議の核心となってきた9条について、「自衛隊を明文で書き込むという考え方は、国民的な議論に値する」と言い切った。20年に「新しい憲法」の施行を目指すとも明言。18年9月の自民党総裁選で3選されることを前提に、憲法改正に突き進む姿勢を明確にした。
 首相は昨夏の参院選で大勝し、衆参各院で改憲に積極的な勢力が国会発議に必要な3分の2を上回ってから、慎重に改憲シナリオを検討してきた。首相側近は昨秋、首相の持論だった戦力不保持を定める9条2項の改正は封印し、3項を追加して自衛隊を明記する案を友党・公明党の幹部に伝え、感触を探った。首相自身も今年に入り、周辺に「9条に3項をつけて、自衛隊の合憲を明文化したい。じっくり取り組みたい」と語っていた。
 今回の憲法改正の方針表明に向け、首相は事前にメディアにも対策を打った。4月24日夜、都内の料理店で、憲法改正試案を紙上で発表している読売新聞の渡辺恒雄・グループ本社主筆と食事。その2日後に東日本大震災をめぐる問題発言をした今村雅弘・前復興相を更迭した直後、同紙のインタビューを受けている。
 読売新聞は5月3日付朝刊で、首相のインタビューを1面トップで掲載。「憲法改正 20年施行目標 9条に自衛隊明記」として、ビデオメッセージと同様の内容を報じた。
 「いよいよ憲法に具体的に取り組む時期になってきたということだ」。首相官邸幹部は首相メッセージについて、こう解説する。背景にあるのは、3分の2勢力があるうちに発議の環境を整えるためには、いまから改憲項目を絞り込まねばならないとの判断だ。北朝鮮が核・ミサイル開発を進め、東アジアの安全保障環境は緊迫しており、9条に自衛隊を明文化しても、反発は少ないとの計算も働いた。
 ■発議、早ければ来夏
 首相が描く発議と国民投票のタイミングは、自民党総裁選で3選し、21年9月までの任期を確保することを前提に考えている。
 最速のシナリオは、来夏ごろの発議だ。国民投票法は、発議後60~180日の間に国民投票を実施すると定める。首相が総裁3選後、18年12月の衆院任期満了を目前にした秋から冬にかけて衆院を解散。国民投票と衆院選を同日に行う案だ。現状の改憲勢力に基づいて発議を急ぐやり方だ。
 その次は、19年前半の発議、同夏の参院選と同時の国民投票だ。次の衆院選で発議に向けて再び3分の2勢力を確保しなければならないが、国会の憲法審査会などで与野党の議論に一定の時間はかけられる。
 最後は衆参両院選挙で勝利したうえで、20年に発議し、国民投票を行う筋書きだ。与野党が争う国政選挙に憲法改正を絡めず、単独で国民の判断を仰ぐことを重視する。首相周辺は「21年までの任期をにらんで憲法改正をやり遂げたい。それが首相の思いだ」と語る。
 ■自民にも賛否、険しい道
 アクセルを踏んだ首相発言に対し、足元の自民党では、二階俊博幹事長が訪問先の米国・ハワイで記者団に「積極的に支持、協力していくことは当然」と明言した。ただ、党内は賛成一色ではない。民進党との協調路線の方が近道との考えからの戸惑いに加え、3項を加えることへの異論もある。
 保岡興治・党憲法改正推進本部長は先月19日、民進党の枝野幸男前幹事長らと都内で会食。落ち着いた環境での議論をめざし、両党の協調路線を維持することで一致したばかりだった。
 保岡氏は、野党第1党の民進党を巻き込んだ憲法改正が基本路線。野党にも配慮しながら首相の「介入」を防ぎ、3分の2という「伝家の宝刀」を首相に抜かせないことを示していく必要があると考えている。衆院の憲法審査会は、通常国会で実質審議を3回行ったが、改憲項目の絞り込みの議論には着手していない。憲法審幹事の一人は「事前に首相が決めて議論が進むってもんじゃない」と不快感を示す。
 改正内容でまとまるかも見通せない。岸田文雄外相は15年、自身の派閥研修会で「当面、憲法9条は改正することを考えない」と明言している。石破茂・元防衛相も9条3項を加える改正には否定的で、3日のBSフジの番組では首相発言について「今までの自民党の議論の積み重ねにはなかった」と語った。ある閣僚経験者は来年9月に予定される党総裁選でも「最大の論点になる」と語る。
 「加憲」を主張してきた公明党。改憲派の集会に出席した遠山清彦・党憲法調査会事務局長は記者団に「議論の余地は大いにある」と歓迎するものの、改憲に慎重発言を続ける山口那津男代表は都内での街頭演説で「国会だけで突っ走ってもダメだ」とこの日もクギを刺した。
 憲法改正で教育無償化を掲げる日本維新の会の遠藤敬国対委員長が朝日新聞の取材に「ようやく一歩踏み込んで頂いた」と首相発言を評価したが、他の野党は一斉に反発している。
 民進党の蓮舫代表は記者団に「首相が『憲法を変える』『テーマはこれだ』ということ自体、立憲主義に反している」と指摘した。改憲をめぐり代表代行を辞任したばかりの細野豪志氏がフェイスブックで首相発言を評価するなど党内が反対で一致できるか不透明な要素はあるものの、蓮舫氏は3日付で発表した談話で「来たる衆院選は、誤った方向への改憲を目指す安倍政権の暴走を止める機会」と表明。共産党の志位和夫委員長も「年限を含めて9条改憲と表明したのは、極めて重大だ。絶対に許さない」と批判するなど、衆院選を意識した与野党対立の激化は避けられない見通しだ。
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産経ニュース 2017.5.3 23:00
【憲法施行70年】
護憲派集会にピーコ氏の姿も 「ひどい草案つくる人の改憲許せない!」 蓮舫、志位…「反安倍」オールスターの様相に


 憲法記念日の3日、護憲派が東京・有明防災公園で開いた「施行70年 いいね! 日本国憲法-平和といのちと人権を! 5・3憲法集会」は、さながら憲法改正発議を目指す安倍晋三政権への大批判大会の様相を呈した。
 各地の労働組合や護憲派の市民団体「九条の会」ののぼりが揺れる会場で、まずあいさつに立ったのは、ファッション評論家のピーコ氏だ。
 ピーコ氏は、自民党が平成24年にまとめた憲法改正草案の不備を指摘する著書を出版すると言及したうえで、「(自民党草案には)戦争放棄の文言はあるが、現行憲法にある『永久に(これを放棄する)』が抜けている。戦争しないということではないのだろう」と独自の見解を披露。「あまりにひどい草案をつくる人が憲法改正をするのは許せない」と声を張り上げた。
 集会で注目を集めたのは、次期衆院選で共闘する民進、共産、自由、社民の4野党の党首クラスによるそろい踏みだ。
 民進党の蓮舫代表は3日発表した談話で「時代の変化に対応した未来志向の憲法を国民とともに構想していく」と記し、改憲そのものを否定しなかったはずだ。
 しかし集会では、甲高い声で「安倍首相は憲法を変えるというが、口を開くたびに、どこを変えるのかを変えてくる。総理の、総理による、総理のための憲法改悪には、絶対に反対しないといけない!」と強調。安倍政権下の改憲の動きを、わざわざ「改悪」と批判した。
 共産党の志位和夫委員長は、より厳しく政権批判を展開した。「変えるべきは、憲法ではなく、憲法をないがしろにした政治だ」と気勢をあげた。
 さらに、集団的自衛権の限定的行使を容認する安全保障関連法を「戦争法」と断じたうえで、海上自衛隊の護衛艦が1日から初の米艦防護を行ったことについて、「『戦争法』を初めて発動し、地域の軍事対軍事の緊張を悪化させる。日本がやるべきは米国従属ではなく、対話と交渉による働きかけだ」と批判した。
 登壇者でとりわけ異彩を放ったのは、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設などへの抗議活動に伴う3事件で、威力業務妨害や傷害などの罪に問われた反対派リーダー、沖縄平和運動センター議長の山城博治被告だ。
 山城氏は「憲法を変えて戦争の道にまっしぐらに突き進む安倍を止めようじゃないですか。この国はやつのものではないはずだ!」と絶叫。聴衆は大いに沸き立った。
 山城氏は、タイムリーな話題として共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を取り上げ、「県民の戦いを潰すために用意されるんでしょう。通ってしまえば、憲法が変わる前に、われわれは圧殺されてしまう」と緊張をあおった。そのうえで、「こういう時こそ反政府の共闘があるはずだ。凶暴化するこのファシスト内閣に立ち向かおう」と訴えた。
 集会では特別ゲストとして、朴槿恵前大統領の退陣を求める大規模デモをリードした韓国の市民活動家・李泰鎬(イ・テホ)氏も参加した。李氏は「朴槿恵を権力の座から引きずり下ろし、主権者として、経験したことのないプライドを回復することができた」と誇らしげに朴氏の退陣運動を回顧。集会の参加者には、「誰が国の主人なのか、はっきりしないといけない。日本でも間違った歴史を変える市民の行動が始まっている。皆さんの行動を応援している」と働きかけた。
 反原発や反戦を訴える筋金入りの左派アイドルグループ「制服向上委員会」が、憲法9条をテーマにした「理想と現実」を優しげなトーンで歌い上げる中、中高年が目立つ参加者たちは満足げな表情で会場を後にしていた。(奥原慎平)

朝日新聞 2017年5月3日21時35分
ピーコさん「憲法改正は許しません」 東京で護憲派集会
 東京都江東区の東京臨海広域防災公園では、憲法改正に反対する市民や団体による「5・3憲法集会」があった。約5万5千人(主催者発表)が集い、「憲法が大切にされる国に」などと書かれたのぼり旗やプラカードを掲げて「戦争反対。9条守ろう」などと訴えた。
 自民党の憲法改正草案をめぐる本を出版した服飾評論家のピーコさんは、草案では自衛隊が国防軍になっているとして「戦争はしない、という草案ではない。憲法を改正することは許しません」と語った。安保法制に反対する伊藤真弁護士は「政治家の中には改憲の機が熟した、という人がいるが、とんでもない。憲法を壊すたくらみに声を上げ、戦い続ける覚悟を決めよう」と呼びかけた。
 集会には、野党の党首らも出席し、共闘して安倍政権に対抗すると宣言。「憲法改悪 絶対反対」「共謀罪は今すぐ廃案」と声をそろえた。平和の希求を呼びかける「HEIWAの鐘」の合唱では、歌声でも「武器を持たぬことを伝えた先人たちの声を永遠に語り継ぐのさ」と訴えた。(岡本玄)
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しんぶん赤旗 2017年5月4日(木)
海外での武力行使を文字通り無制限にする 志位委員長 首相の9条改定発言を批判


 日本共産党の志位和夫委員長は3日、東京都内で開かれた憲法集会の会場で、記者団から、安倍首相が一部メディアで、「自衛隊を合憲化することが使命」だとして、2020年の施行を目指し憲法9条改定に取り組むと表明したことへの受け止めを問われ、次のように答えました。
志位委員長の一問一答
 ―安倍首相が2020年の施行に向けて憲法改定をめざすと表明しましたが、受け止めをお聞かせください。
 志位 これはきわめて重大な表明です。とりわけ憲法9条を改定して自衛隊について書き込むという中身になっています。
 首相は「自衛隊を合憲化することが使命」と言っていますが、まず、こうなると、自衛隊について違憲と考えているのかという疑問がでてきます。違憲だからこそ「合憲化する」ということになるわけで、根本的に自衛隊に対する憲法的立脚点が問われる発言です。
 ただ、一番の危険は、憲法9条に自衛隊について書き込んだとたんに、海外での武力行使が文字通り無制限になる大変に重大な改悪になっていくということです。絶対に許さないたたかいを大いに強めたいと思います。
 ―首相は、憲法上、立場が明確でない自衛隊を明文化したいだけだと説明するのではないでしょうか。
 志位 自衛隊の存在をただ追認するだけにはならないんですよ。戦後、政府は、憲法9条2項によって、日本は戦力を持てないが、「必要最小限の自衛の措置は持てる」と言って自衛隊を合憲とする論を立ててきました。そしてこのことからくる必然的な帰結として、海外派兵、集団的自衛権、武力行使を目的とする国連軍への参加はできないとしてきました。
 この政府の立場は、安保法制=戦争法によって大幅に変更され、集団的自衛権を「合憲化」するという立憲主義の破壊が行われました。しかしそれでも、海外での武力行使が全面的に可能になったわけではありません。安保法制の審議の際にも、首相は「アフガニスタン戦争やイラク戦争のような武力行使を目的にした戦闘に自衛隊を出すことは決してない」ということを繰り返しました。アフガン戦争やイラク戦争のように、安保法制でいう「存立危機事態」でも説明のつかないような戦争の場合、武力行使の目的をもって、海外に武装した部隊を派兵することは、安保法制のもとでもできないということが建前なのです。
 ところが憲法9条に自衛隊を書き込んでしまうと、そのとたんに、まったく自由に、何の制約もなく、海外での武力行使ができるようになる。ここに一番の危険があります。
 安倍首相は、「自衛隊の存在を憲法に書くだけだ」と言うでしょうが、それはたんに自衛隊の存在を追認するにとどまらない。憲法に自衛隊の存在を書いたとたんに海外での武力行使が文字通り無制限となる。ここにことの本質があるのです。
 ―安倍首相が憲法問題でこういう発言をしたことはどういう動機からだと考えますか。
 志位 安倍首相には、大変なおごりを感じますね。しかし、国民世論との関係では、どの世論調査をみても憲法9条を変えるべきではないが6割前後と多数です。首相が憲法9条を変えるといってもそうやすやすとはいかない。必ず阻止します。
 ―次期衆院選において、4野党は安倍政権の憲法改定を争点とすることになりますか。
 志位 野党4党では憲法についてはそれぞれの立場がありますが、「安倍政権のもとでの憲法改悪に反対する」ことは党首間で繰り返し合意しています。
 安倍政権は安保法制=戦争法を強行し、立憲主義を壊す暴挙を行いました。この政権のもとでの憲法改悪などもってのほかだという点で4党は一致しています。4野党はこの点を押し出して選挙をたたかうことになると思います。
 それから、先月の4野党の書記局長・幹事長会談で、「共謀罪」法案の廃案、「森友」疑惑の徹底究明、辺野古新基地でも民意を踏みにじる政府の姿勢に反対する、そして次期総選挙の選挙協力の具体化を加速することを合意したことは大変に重要です。総選挙にむけた選挙協力の体制をできるだけ早くつくっていきたい。
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朝日新聞 2017年5月4日05時00分
(社説)憲法70年 9条の理想を使いこなす


 戦後70年余、平和国家として歩んできた日本が、大きな岐路に立たされている。
 台頭する隣国・中国と、内向きになる同盟国・米国。北朝鮮の核・ミサイルによる軍事的挑発はやまない。
 日本は自らをどう守り、アジア太平洋地域の平和と安定のために役割を果たしていくか。
 答えに迷うことはない。
 憲法9条を堅持し、先の大戦の反省を踏まえた戦後の平和国家の歩みを不変の土台として、国際協調の担い手として生きていくべきだ。
 ■平和主義を次世代へ
 安倍首相はきのう、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と語った。
 首相は改正項目として9条を挙げ、「1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方は国民的な議論に値する」と語った。
 自衛隊は国民の間で定着し、幅広い支持を得ている。政府解釈で一貫して認められてきた存在を条文に書き込むだけなら、改憲に政治的エネルギーを費やすことにどれほどの意味があるのか。
 安倍政権は安全保障関連法のために、憲法解釈を一方的に変え、歴代内閣が違憲としてきた集団的自衛権の行使容認に踏み込んだ。自衛隊を明記することで条文上も行使容認を追認する意図があるのではないか。
 9条を改める必要はない。
 戦後日本の平和主義を支えてきた9条を、変えることなく次の世代に伝える意義の方がはるかに大きい。
 ■専守防衛の堅持を
 日本防衛のため一定の抑止力は必要だが、それだけで平和と安定が築けるわけではない。
 米国が北朝鮮に軍事攻撃を仕掛ければ、反撃を受けるのは日本や韓国であり、ともに壊滅的な被害を受ける可能性がある。日米韓に中国、ロシアを巻き込んだ多国間の対話と、粘り強い外交交渉によって軟着陸をはかるしかない。
 そこで地域の協調に力を尽くすことが日本の役割だ。そのためにも、専守防衛を揺るがしてはならない。
 自衛隊はあくまで防衛に徹する「盾」となり、強力な打撃力を持つ米軍が「矛」の役割を果たす。この役割分担こそ、9条を生かす政治の知恵だ。
 時に単独行動に走ろうとする米国と適切な距離を保ち、協調を促すため、日本が9条を持つ意義は大きい。
 中国や韓国との関係を考えるときにも、他国を攻撃することはないという日本の意思が基礎になる。侵略と植民地支配の過去をもつ日本は、その歴史から逃れられない。
 一方で、今年は国連平和維持活動(PKO)協力法制定から25年の節目でもある。
 PKOを含め海外に派遣された自衛隊は、一発の銃弾も撃っていない。一人も殺さず、一人も殺されていない。
 9条が自衛隊の海外での武力行使に歯止めをかけてきたことの効用だ。その結果、中東などで培われた日本の平和ブランドを大事にしたい。
 紛争の起きた国の再建を手伝う「平和構築」は憲法前文の精神に沿う。日本も「地球貢献国家」として、自衛隊が参加できるPKO任務の幅を広げたい。朝日新聞は憲法施行60年の社説で、そう主張した。
 同時に、忘れてならない原則がある。自衛隊の活動は、あくまで9条の枠内で行われることだ。それを担保するPKO参加5原則を緩めてまで、自衛隊派遣を優先してはならない。
 ■日本の「骨格」を保つ
 PKOは近年、住民保護のために積極的に武力を使う方向に「変質」している。そこに自衛隊を送れば実質的に紛争に関与する恐れが強まる。
 PKO以外にも視野を広げれば、災害支援や難民対策、感染症対策など日本にふさわしい非軍事の貢献策は多い。こうした人間の安全保障の観点から、日本ができる支援を着実に実行することが、長い目でみれば日本への信頼を育てる。
 安全保障の文脈にとどまらない。戦前の軍国主義の体制ときっぱり決別し、個人の自由と人権が尊重される社会を支えてきたのも、9条だった。
 これを改めれば、歴史的にも社会的にも、戦後日本はその「骨格」を失う。戦前の歴史への反省を否定する負のメッセージと国際社会から受け取られかねない。その損失はあまりにも大きい。
 軍事に偏らず、米国一辺倒に陥らず、主体的にアジア外交を展開する。国際協調の担い手として、常に冷静な判断を世界に示す。そんなバランスのとれた日本の未来図を描きたい。
 9条は日本の資産である。
 そこに込められた理想を、現実のなかで十分に使いこなす道こそ、日本の平和と社会の安定を確かなものにする。
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日本経済新聞 2017/5/4付
社説:自衛隊明記の議論を真剣に


 自衛隊の存在などを明記する憲法改正を実現し、2020年に施行する。安倍晋三首相がこうした考えを表明した。国民が最も関心を持つ9条の改正から切り込むことで、論議を加速させる狙いのようだ。長年の憲法論争に一気に終止符を打つのか。日本の国家のあり方にもかかわる課題であり、真剣に議論したい。
 自民党は9条を改正する場合、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」との表現を削り、「国防軍を保持する」と書き加えるべきだと訴えてきた。戦前回帰を連想させる面があり、幅広い支持を得られていなかった。
 そのため、党内には、プライバシー権の明記など国民の反発が少なそうな課題を先行させる「お試し改憲」を促す声もあった。
 首相の新提案は(1)交戦権放棄や戦力不保持を定めた9条の1項と2項はそのまま残す(2)自衛隊に関する規定を加える――という内容だ。現憲法を評価しつつ、必要に応じて規定を足す「加憲」を提唱する公明党の手法を取り入れた。
 衆参両院の憲法審査会は「立憲主義とは何か」など抽象的なテーマについて主張を述べ合うにとどまってきた。首相提案をそのまま議題にするかどうかはともかく、もう少し具体的に論議することは有意義ではなかろうか。
 いまの9条はそっくり残すとしても「戦力不保持と自衛隊の存在は両立するのか」「名称は自衛隊のままにするのか」など論点はたくさんある。自衛隊の法的地位が高まることに伴い、文民統制を強化する必要があるかどうかも検討した方がよい。
 国民の大半が自衛隊の存在を認めているのは、世論調査で明らかである。ただ、国内での災害救援や海外での国連平和維持活動(PKO)への評価に重点があり、あえて憲法に書き込むほどでもないという考えの人もいよう。
 こうしたことも国会で突っ込んで話し合い、それに伴って国民の考え方が徐々に整理されていくのが理想的な憲法論議である。
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産経新聞 2017.5.4 05:03
【主張】首相の9条発言 最大の政治課題に邁進を


 安倍晋三首相が憲法改正への取り組みに、重要な方針を示した。
 自衛隊の根拠規定を設けることを改正内容の柱とし、平成32年の施行を目指す考えを明確に打ち出した。
 現憲法の最大の欠陥は、国と国民を守る軍に関する規定がないことにある。9条を理由とした自衛隊違憲論がなお存在する。
 核心である9条を取り上げ、期限を定めて改正に取り組む姿勢を支持する。
 これを実現するには、国民の広範な理解を得て、立法府でも改正勢力の結集を図ることが必要である。首相の強い指導力と国民への粘り強い説明を期待したい。
 首相の方針は、民間憲法臨調の会合へ寄せたビデオメッセージで示したものだ。具体的には、平和主義の理念などを示す今の9条1、2項は残しつつ、自衛隊の根拠規定を新たに書き込む。
 改正時期については、東京五輪・パラリンピックの開催を「日本が新しく生まれ変わる」きっかけとする意味で、2020年に施行したい考えを強調した。
 自衛隊を明記するのであれば考慮すべき点がある。国民を守る態勢を整えるには、自衛隊に今の性格を持たせたまま憲法に書き込むだけでは足りない。平和主義は踏襲しつつ、自衛隊には日本の国と国民を守る「軍」の性格を与えなければならない。
 弾道ミサイルが飛来する時代に国民を守る妨げとなっているのが「専守防衛」の考え方だ。これを見直すことができる改正内容とすることも重要である。
 注目したいのは、首相が「国の未来、理想の姿を語るもの」という憲法観を語った点だ。憲法に公権力を制約する役割があるのは当然だが、日本国民の憲法である以上、国柄や歴史、伝統が反映されるべきだ。
 憲法改正は自民党の党是である。施行70年を迎えた節目の日に、首相は党総裁として具体的かつ大きな目標を掲げた。国民への公約でもある。続投を視野に入れる首相は、最大の政治課題として邁進(まいしん)してほしい。
 首相は、日本の未来を支える子供の教育についても、改正で取り上げたい意向を示した。教育無償化を唱える日本維新の会との連携も念頭にあるだろう。教育をいかに位置付けるべきか、党内外の議論で重要になってくるだろう。
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東京新聞 2017年5月4日
【社説】憲法70年に考える 大島大誓言が教えるもの


 終戦後の一時期、日本から切り離されようとした伊豆大島で「暫定憲法」がつくられました。その基本原理は立憲主義と主権在民、そして平和主義です。
 当時の伊豆大島の島民には「寝耳に水」だったことでしょう。
 終戦翌年の一九四六年一月二十九日、連合国軍総司令部(GHQ)は日本政府の行政権限が及ぶ範囲を北海道、本州、四国、九州とその周辺の島々に限定する覚書を出しました。
 北方四島や沖縄、奄美群島、小笠原諸島などが日本政府の管轄圏外とされましたが、その中に伊豆の島々が含まれていたからです。
◆平和主義と、主権在民と
 その一方、伊豆諸島の大島については沖縄や奄美、小笠原など、ほかの島しょ部とは違い、米軍による軍政が敷かれないことも明らかになります。当時の島民にとって残された道は、日本からの「独立」しかありませんでした。
 覚書からほどなく、当時、大島島内にあった六村の村長らが集まり、対応策を協議します。
 そこで出した結論が、島民の総意で「暫定憲法」に当たる「大誓言」を制定して議員を選び、その議員で構成する議会が、憲法に当たる「大島憲章」を制定する、というものでした。
 大誓言は存在のみ分かっていましたが、長年不明のままでした。現在の東京都大島町の郷土資料館の収蔵庫からガリ版刷りの全文やメモなど当時の資料が見つかったのは九七年のことです。
 大誓言は趣旨を記した前文と、政治形態に関する二十三の条文から成っています。まず注目すべきは、前文で平和主義をうたっていることでしょう。
 <よりて旺盛なる道義の心に徹し万邦和平の一端を負荷しここに島民相互厳に誓う>(現代仮名遣いに修正、以下同じ)
◆「立憲主義」精神の表れ
 そして、一条では<大島の統治権は島民に在り>と主権在民を掲げます。また、行政府である「執政府」の不信任に関する投票を、議会が有権者に求める「リコール制」も盛り込んでいます。
 当時の日本政府が現行の日本国憲法となる「憲法改正草案」を発表したのが、この年の四月十七日ですから、現行憲法の姿が見える前に、その先を行く進取的な内容をまとめていたのです。
 大誓言を研究する憲法学者で名古屋学院大現代社会学部准教授の榎澤幸広さんは「大誓言には権力を制限し、監視するという立憲主義の精神が表れています。この思想は近代憲法の一番重要な部分です」と評価します。
 大誓言の取りまとめは、大島六村の一つ、元村村長で、「島の新聞」を発行する元新聞記者でもあった柳瀬善之助(一八九〇~一九六八年)が中心となり、大工で共産党員だった雨宮政次郎(一九〇五~五二年)、三原山に自殺防止のための御神火茶屋をつくった高木久太郎(一八九〇~一九五五年)らが協力します。
 では、彼らはどうやって暫定憲法をつくったのでしょう。
 終戦後、本土では新しい憲法の制定を目指す動きが活発でした。四五年十一月には共産党の「新憲法の骨子」、十二月には民間の憲法研究会による「憲法草案要綱」が発表されています。
 これらは新聞にも掲載され、大島にも船で届いていました。榎澤さんは「こうしたものを参考にした可能性はある」と話します。
 しかし、それ以上に影響を与えたのが、離島という地理的な要因と戦争という時代的背景です。
 大島のような離島では戦前「島嶼(とうしょ)町村制」が敷かれていました。本土の町村制とは違い、自治権や公民権を制限する差別的な制度です。本土で男子による普通選挙が導入された後も、納税額による制限選挙が続いていました。
 また、戦時下や終戦直後の島民の生活は、食糧や生活物資に乏しく、苦しいものでした。
 榎澤さんは、柳瀬らがこうした状況を「反面教師」として、平和主義や主権在民の「大島憲章」をつくろうとしたと推測します。
◆先人たちの気概に学ぶ
 大誓言は三月上旬にできましたが、二十二日にGHQ指令が修正され、伊豆の島々は五十三日目に日本の管轄圏内に復帰します。大島の独立は幻となり、大誓言はしばらく忘れ去られていました。
 しかし、大誓言の存在は、明治から昭和にかけて数多くつくられた私擬憲法とともに、平和主義や主権在民が、日本人が自ら考え出した普遍的な結論であることを教えてくれます。決してGHQの押し付けなどではありません。
 今、時の政権の思惑で改憲論議が活発になり、立憲主義が蔑(ないがし)ろにされつつあります。だからこそ、自ら憲法をつくろうとした先人たちの気概に学ばねばと思うのです。
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河北新報 2017年05月04日木曜日
社説:首相「改憲20年施行」/拙速禁物 必要性の議論が先


 国会で足踏み状態にある憲法改正論議に、業を煮やしたに違いない。だんまりを決め込んできた安倍晋三首相がきのう、改憲の道筋について初めて口を開いた。
 日本に平和と繁栄をもたらした現憲法の基本理念を傷つける恐れはないのか。国民投票という最終決定権を持つ国民は、その行方と真意を見定めなければならない。
 安倍首相は都内で開かれた改憲推進派の会合にビデオメッセージを寄せ、自民党総裁として改憲を実現し、東京五輪、パラリンピックが開催される2020年の施行を目指す、と明言した。
 これまでは野党を刺激しないように表立って具体的な発言を控えてきたが、首相がリーダーシップを取って、憲法改正という目標に突き進んでいく決意を示した格好だ。
 本丸は9条である。「戦争放棄」「戦力の不保持」を定めた1項、2項は残しつつ、自衛隊の存在を明記する文言を追加するよう提案した。その理由として「違憲かもしれないとの議論が生まれる余地をなくすべきだ」と語った。
 野党の民進党にも、同様の改憲論者がいることを踏まえての発言だろう。
 それだけではあるまい。「戦後レジーム」の象徴である9条の改正自体が、安倍首相の悲願と言っていい。安全保障関連法を成立させ、9条を「骨抜き」にした今、総仕上げとして位置付けているのではないか。
 安倍首相にとって、憲法改正は時間との闘いでもある。
 18年9月の党総裁選で3選を果たし、21年9月までの任期延長というシナリオは織り込み済みだろう。ただ、任期満了を迎える18年12月までに衆院解散があるとみられ、19年夏には参院選が控える。
 「国の未来の姿を議論する際、教育は重要なテーマ」と、安倍首相があえて触れたのは、「教育無償化」を改憲項目として掲げる日本維新の会を意識しているはずだ。改憲をてこに協力を進めていく、というメッセージだろう。
 改憲勢力が衆参両院で発議に必要な3分の2議席を占めているうちに、着地点を見据えて改憲論議を加速させていきたいという強い意欲がうかがえる。それは焦りの裏返しでもあろう。
 国会の憲法審査会での議論が停滞していることと無縁ではない。身から出たさびとはいえ、森友学園問題、今村雅弘前復興相の失言、政務官の不祥事などが響き、審議のペースが遅れている。安倍首相が望むテーマの絞り込みとは程遠い状況だ。
 安倍首相が挙げた自衛隊の明記、教育無償化のほか、緊急事態条項、環境権、解散権など、これまで俎上(そじょう)に上った課題はいずれも差し迫ったものではない。なぜ期限を区切ってまで急ぐのか。改憲が自己目的化していると言わざるを得ない。まず必要性の議論を積み上げていくべきだ。
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信濃毎日新聞(2017年5月4日)
社説:首相改憲発言 身勝手な使命感の表明


 安倍晋三首相が改憲について踏み込んだ発言をした。
 「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と初めて具体的な時期を示している。なぜ、それほど急ぐのか。唐突な決意表明である。
 東京都内で開かれた憲法改正を訴える会合に自民党総裁として寄せたビデオメッセージだ。具体的な項目として9条や教育無償化に触れている。憲法を尊重し、擁護する義務を負う首相が憲法記念日に改憲を主張する。強い違和感を抱かせる発言である。
 改憲時期について「半世紀ぶりに夏季のオリンピック、パラリンピックが開催される2020年を未来を見据えながら日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけにすべきだ」とし、20年施行という目標を明示した。
 期限をはっきりさせることで論議を加速させたいのか。衆参両院の憲法審査会では各党の主張の隔たりが大きい。改憲項目の絞り込みが進まず、国民的な議論も熟していない状況で3年後に施行とはあまりにも性急な提示だ。
 9条については、戦争放棄の1項、戦力不保持の2項を残しつつ自衛隊を明文で書き込むという考え方を示し、「国民的な議論に値するだろう」とした。
 多くの憲法学者や政党の中に自衛隊を違憲とする議論が今なお存在するとし、憲法に位置付けることで「違憲かもしれない」などの議論が生まれる余地をなくすべきだとも述べている。
 「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と定める2項を残し、どのように書き込もうというのか。専守防衛の枠から自衛隊が踏み出すことにならないか。疑問は尽きない。
 安倍政権は一内閣の判断で憲法解釈を変更し、違憲との批判を顧みることなく集団的自衛権行使の安全保障関連法を定めた。立憲主義を軽んじる首相の提案に乗ることはできない。
 首相は、未来と国民に責任を持つ政党として憲法審査会での「具体的な議論」をリードし、歴史的使命を果たしていきたいとも述べた。世論調査では、安倍政権下での改憲に過半数が反対と答えている。自身の悲願を果たしたいだけの身勝手な使命感ではないか。
 改憲派の会合での一方的なメッセージである。見過ごすことはできない。首相は自身の考えを国会できちんと説明する必要がある。
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