2017-05-08(Mon)

土地開発公社 借金処理 公金6千億円超 

塩漬け借金利子膨張 損失のツケ後世に

土地開発公社処理公金6千億円超 塩漬け借金膨張
----自治体に代わって事業用地などを買い集める全国の「土地開発公社」が抱える借金処理に、特別に認められた地方債(ローン)で6千億円超の公金が投入されることが分かった。土地が事業に使われないまま、水面下で借金利子膨張。生じた多額の損失のツケが、後の世代に回されたかたちだ。
 
土地開発公社は自治体の債務保証・損失補償をバックに金融機関から金を借りて公共用地を取得する外郭団体。自治体が借金をして土地を買うよりも手続きが進めやすく、1972年の法律制定後からバブル期にかけて盛んに利用された。
 
だがバブル崩壊後、こうした外郭団体の事業は各地で行き詰まる。国は2009~16年度に限り、第三セクター等改革推進債(三セク債)で清算などの処理をすることを認めた。
(朝日新聞 2017年5月4日21時45分)

土地開発公社〉 
1972年にできた「公有地の拡大の推進に関する法律」に基づいて、全国各地の自治体が設立した外郭団体。自治体の債務保証・損失補償をバックに民間の金融機関から金を借りて公共用地を取得する。その後、自治体は公社から経費も含めた額で土地を買って事業を実施、公社はその金で金融機関に借金を返す仕組み。
(朝日新聞)




以下引用

朝日新聞 2017年5月4日21時45分
土地開発公社処理公金6千億円超 塩漬け借金膨張
 自治体に代わって事業用地などを買い集める全国の「土地開発公社」が抱える借金処理に、特別に認められた地方債(ローン)で6千億円超の公金が投入されることが分かった。土地が事業に使われないまま、水面下で借金利子膨張。生じた多額の損失のツケが、後の世代に回されたかたちだ。
 土地開発公社は自治体の債務保証・損失補償をバックに金融機関から金を借りて公共用地を取得する外郭団体。自治体が借金をして土地を買うよりも手続きが進めやすく、1972年の法律制定後からバブル期にかけて盛んに利用された。
 だがバブル崩壊後、こうした外郭団体の事業は各地で行き詰まる。国は2009~16年度に限り、第三セクター等改革推進債(三セク債)で清算などの処理をすることを認めた。
 朝日新聞が総務省の内部資料をもとに各自治体にアンケートや電話などで取材したところ、三セク債で土地開発公社借金を肩代わりして解散や一部清算させた県や市町村が133あった。起債の総額は約6100億円。返済は10年以内が原則だが、岩手県北上市や埼玉県川口市、大阪府高石市など13自治体は30年で、より長期に影響が及ぶ。三セク債以外に、自治体の財源から支出したり、自治体が貸付金の回収を諦めたりした分も300億円以上あった。
 公社の借金がここまで膨らんだ要因に、公社が公共用に取得した土地には「かかった費用分の価値がある」と見なせる「簿価」と呼ばれる評価方式がある。
 例えば10億円で買った土地は、実際にその価値がなくても10億円分の資産とみなせる。土地が塩漬けのまま、借りた10億円に利子1億円がついても、土地の価値を11億円に加算できるので帳簿上は損が出ない=図参照。自治体が利子などの経費も含めた額で買い取る約束になっているためだ。だが、計画の甘さなどから、公共事業に使う見通しが立たないまま、利子膨張。それでも帳簿上は「損」が出ないため、対処を先送りする温床となってきた。公共事業での使用を諦めた時、土地は市場価値を踏まえて評価され、簿価との差額が損失として表れる。
 朝日新聞が、簿価方式をやめて表面化した損失額を各自治体に尋ねた結果、総額は2700億円を超えた。6千億円超の公金投入額の半分近くだ。実際の価値が簿価の1割未満の事例も判明。国は自治体に、簿価方式を改めたうえで三セク債を使うよう事実上求めているが、簿価方式を続ける自治体も多く、損失はより多い可能性がある。
 さらに、15年度末現在で全国に700超の公社があり、10年以上持ったままの土地は8153億円分(4228ヘクタール)残る。(赤井陽介)
     ◇
土地開発公社〉 土地開発公社 1972年にできた「公有地の拡大の推進に関する法律」に基づいて、全国各地の自治体が設立した外郭団体。自治体の債務保証・損失補償をバックに民間の金融機関から金を借りて公共用地を取得する。その後、自治体は公社から経費も含めた額で土地を買って事業を実施、公社はその金で金融機関に借金を返す仕組み。


朝日新聞 2017年5月4日21時40分
「3億円」の竹やぶ・生い茂る雑草… 公社の塩漬け土地
 事業に使われない「塩漬け」の土地を多く抱え、借金を膨らませてきた全国の土地開発公社。対応を先送りしてきた各地の自治体は、将来世代が背負うローンと言える特別な地方債で止血に打って出た。だが、そのツケは重く、放置された土地も全国に残る。
 大阪府高石市の南海本線高石駅周辺の住宅街に、ぽっかりと空いた雑草地が点在する。市が区画整理や道路拡幅などの名目で市土地開発公社に買わせた土地だ。取得時期は古いもので1972年にまでさかのぼるが、事業は実現しないまま。不法投棄をやめるよう求める看板の古さが、放置されてきた歴史を物語る。
 公社が土地を買うため背負った借金は計約35億円。塩漬けの間に増えた利子は約16億円にのぼる。だが、土地の価値をそれらをあわせた約51億円分と見なしていたため、帳簿上の損失は表面化していなかった。
 高石市は13年度、公社の借金返済に約50億円の「第三セクター等改革推進債」(三セク債)を発行。利子が膨らみ続ける事態に区切りをつけた。だが、公社から引き取る際に実際の価値を鑑定した結果、7億円余しかなく、差額は市の損失になった。「ローン期間」は30年。返済は10年以内という三セク債の原則を大きく超え、長期にわたって将来に負担を回している。
 1坪あたりの取得額が計算上300万円を超し、今は500万円以上になった土地もあるが、市の財政担当者は「価格に疑義はない」とする。市は広報で「借入利息が大きな負担」「最終・最大の課題」と訴えて「ローン」に理解を求めた。公社の金融機関への借金が膨らみ続ける状態には歯止めをかけたが、土地利用のめどがつかない状況が変わるわけではない。
 だが三セク債でも、問題を解決しきれていない。
 「ここは犬の運動場ではありません」「無断立入不法投棄などの行為を禁止」
 埼玉県川口市の中心部から4キロほど。坂道を上ると、複数の看板と柵で囲まれた約4700平方メートルの空き地が現れた。生い茂る雑草が腰ぐらいの高さまで伸びているところも。「老人福祉施設建設」名目で取得された土地だ。だが、すぐ近くに市の高齢者施設があり、使われていない。
 他にも1坪数百万円の細切れ土地や、3億円超の価値があることになっている竹やぶ……。「不良宅地買収事業」の名目で、建築基準法上、そもそも建物が造れない土地まで買い取っていた。15年度末の公社資料によると、こうした土地が今も160億円分超残る。
 川口市は13年度、30年の分割払いで、三セク債を232億円分起債。しかしそれでも解消しきれなかった。三セク債で借金を肩代わりした分の土地を引き取って実際の価値を計算したところ、3分の1程度の価値しかなく、差額は損失となった。公社に残る約3万3千平方メートルの土地も、実際の価値を評価した段階で損失が出る可能性がある。
 事業を諦めて売却するなどの対応が遅れるほど、利子で借金が膨らみさらに対処しにくくなる悪循環。後世に負担を回す地方債は通常、水道や学校などの将来世代も恩恵を受ける事業が対象で、借金肩代わりに使える三セク債は異例の措置だ。国は自治体向けのウェブサイト「三セク太郎」のコーナーで、「三セク債は本来であれば地方債を充てることができない債務の整理にあてる」とその特殊性を強調。「全力で取り組んで」と利用を訴えていた。
 だが取材で入手した総務省の資料では15年度末現在、10年以上公社が持ったままの土地が8153億円分残る。うち「諸経費・利息」は少なくとも1493億円分。いまも負担が膨らんでいる。(赤井陽介)

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