2017-05-28(Sun)

加計学園問題  各紙社説等(4) 前次官の喚問は不可避だ 

証人喚問で真相解明を  国会は証人喚問すべきだ  学部新設必要だったのか 政府は再調査し説明責任果たせ

<各紙社説・主張・論説>
読売新聞)加計学園問題 「特区指定」の説明を丁寧に (5/27)
産経新聞)加計学園問題 不毛な泥仕合は見苦しい (5/27)
東京新聞)加計学園問題 国民に真実を知らせよ (5/27)
しんぶん赤旗)前次官「加計」発言  国会での真相究明が不可欠だ (5/27)
東奥日報)国会で真相明らかにせよ/加計学園問題で新証言 (5/27)
秋田魁新報)加計文書問題 証人喚問で真相究明を (5/27)

新潟日報)加計文書証言 前次官の喚問は不可避だ (5/27)
福井新聞)前次官会見 :政府は国民疑念に答えよ (5/27)
神戸新聞)「加計学園」文書/国会は証人喚問すべきだ (5/27)
中国新聞)証人喚問で真相究明を 前川前次官の証言 (5/28)
愛媛新聞)加計問題で前次官証言 政府は再調査し説明責任果たせ (5/27) 
徳島新聞)前川前次官の証言 証人喚問で真相解明を (5/27)

高知新聞)【深まる加計疑惑】学部新設必要だったのか (5/27)
高知新聞)【加計問題の調査】この消極姿勢は何なのか (5/25)
南日本新聞)[加計学園文書] 深まった疑念解明せよ (5/27)
琉球新報)加計文書存在証言 真相究明を強く求める (5/27)
沖縄タイムス)[加計学園文書存在]国会の場で真相究明を (5/26)




以下引用



読売新聞 2017年05月27日 06時00分
社説:加計学園問題 「特区指定」の説明を丁寧に


 前次官が在職中の政策決定を公然と批判する。異例の事態である。政府には、疑念を払拭する努力が求められよう。
 学校法人「加計学園」が愛媛県今治市に大学の獣医学部を新設する計画を巡って、前川喜平・前文部科学次官が記者会見し、早期の学部開設は「総理の意向」と記した文書について「確実に存在していた」と明言した。
 内閣府との協議を踏まえ、文科省の担当課が作成したという。
 疑問なのは、前川氏が国家戦略特区による獣医学部新設を「極めて薄弱な根拠の下で規制緩和が行われた」と批判したことだ。
 獣医師の需給見通しなどが十分に示されないまま内閣府に押し切られたとして、「行政のあり方がゆがめられた」とまで語った。これが事実なら、なぜ現役時代に声を上げなかったのか。
 規制改革を主導する内閣府と、業界保護の立場から規制の例外を認めたくない関係省庁が対立することは、ままある。問題は行政手続きの適正性であり、菅官房長官は「国家戦略特区法に基づく手続きを経た」と強調している。
 与党は、野党による前川氏の証人喚問要求を拒んでいる。政府は文書の存在を否定し、文科省の再調査も必要ないとしているが、その主張はやや強引ではないか。
 野党は、安倍首相が長年の友人の加計学園理事長に利益誘導したのではないか、と追及する。官僚が忖度した可能性も指摘する。
 首相は、「学園からの依頼は一切ない」と述べ、加計学園の特別扱いはなかったと言明している。内閣府も、「総理の意向」との発言や、首相の指示を否定する。
 政府は、特区を指定した経緯や意義について、より丁寧かつ踏み込んだ説明をすべきだろう。
 今治市は2007年以来、特区指定申請を15回も却下された。民主党政権下の10年に「対応不可」から「実現に向けて検討」に格上げされ、16年に認められた。
 獣医学部は1966年を最後に新設が認められていない。獣医師の過剰を防ぐためだが、専門分野や地域で偏りがあり、開設を求める声も根強い。まず特区に限定した規制緩和は理解できよう。
 規制緩和は安倍政権の重要政策であり、仮に首相が緩和の加速を指示しても問題はあるまい。
 野党は、首相の交友関係に焦点を当て、学校法人「森友学園」問題と関連づけている。しかし、獣医学部誘致は今治市が中心になって長年取り組んできた懸案だ。同列に論じるのは無理があろう。
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産経新聞 2017.5.27 05:02
【主張】加計学園問題 不毛な泥仕合は見苦しい


 まるで泥仕合であり、見苦しくさえある。
 学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題で、文部科学省の記録文書の真贋(しんがん)が争われている。文科省の前川喜平前事務次官が会見し「私が在職中、確実に存在した」と述べたことで、野党側は同氏の国会招致を求め、政府側からは同氏に対する個人攻撃が聞こえてくる。不毛な論戦であるとしか、いいようがない。
 加計学園は政府の国家戦略特区を活用して愛媛県今治市に岡山理科大の獣医学部新設を計画した。民進党が入手した文科省の内部文書には特区を担当する内閣府とのやりとりが記録され、「官邸の最高レベルが言っている」「総理の意向だ」などの記載があった。
 加計学園の理事長が安倍晋三首相の友人である個人的関係が許認可に影響を与えたかが疑惑の核心なのだろう。だが文書が存在したとして、首相およびその周辺から具体的指示があったかの証明とはならず、法律上の容疑が生じるわけでもない。
 推進の指示があったとしても規制改革は政権の重要政策であり、不自然とはいえない。忖度(そんたく)の有無が焦点となれば、これはもう水掛け論である。
 前川氏は会見で「公平、公正であるべき行政のあり方がゆがめられた」と述べたが、事実なら自身の在職中に対処すべきであり、あまりに情けないではないか。
 政府の対応にも大いに疑問がある。菅義偉官房長官は内部文書について「怪文書みたいな文書」と切り捨てたが、文科省の調査以前の発言であり、乱暴にすぎた。
 前川氏が天下り問題を受けて引責辞任したことについても菅長官は「当初は自ら辞める意向を全く示さず、地位に恋々としがみついていた」と述べた。これは今回の問題とは関係なく、ただの個人攻撃である。
 前川氏が「出会い系バー」に通っていたという情報も同様だが、これを問われた同氏は「女性の貧困について実地の視察調査をしていた」と弁明し、「教育行政の課題を見いだすことができ、意義があった」と述べた。
 これが教育行政のトップにあった人物の釈明である。おそらくこの問題は今後も何の結論を得ることなく、政官界の評価を落とすことに終始するだろう。不毛な泥仕合と断じるゆえんである。
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東京新聞 2017年5月27日
【社説】加計学園問題 国民に真実を知らせよ


 学校法人加計学園の獣医学部新設には、安倍晋三首相の意向が働いたのか。文部科学省の前川喜平前次官はそう記載された文書の存在を認めた。政府と国会は、国民に真実を知らせねばならない。
 加計学園の理事長は、安倍首相の友人が務めている。その系列大学の獣医学部を国家戦略特区に新設する計画に絡み、「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」などと記された文書の存在が明るみに出た。
 先日、前川氏は記者会見し、内閣府から文科省に伝えられたことを示すその記録文書について「確実に存在していた」と証言した。
 昨年九月から十月にかけて、獣医学部新設を担当する文科省専門教育課から受け取り、幹部間で共有したと説明した。「あったものをなかったことにはできない」と述べ、文書の信ぴょう性をかたくなに否定する政権を批判した。
 「公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられたと認識している」とさえ語っている。
 国家戦略特区制度を隠れみのにして、加計学園への利益誘導を強いられた。言外にそうした重大な疑義を差しはさんだ形である。
 当時の事務方トップの身を賭しての実名証言は極めて重く、文書の存在は裏づけられた。前川氏は、国会での証人喚問の機会があれば応じるという。国民の疑問に対して、政府と国会は事実をつまびらかにする責務がある。
 二年前に閣議決定された日本再興戦略では、生命科学などの新分野の獣医師が求められ、既存の獣医学部では間に合わない場合に限り、獣医師の需要の動きを考えて新設を検討するとなっていた。
 にもかかわらず、どんな獣医師がどの程度必要なのか見通しすら示されないまま、加計学園を前提とした「暗黙の共通理解」のもとで物事が運んだという。前川氏はそうした経緯を証言している。
 天下りあっせん問題の責任を取り、辞職した前川氏について、菅義偉官房長官は「地位に恋々としがみついていた」と攻撃し、記録文書を「怪文書」扱いしている。卑劣なレッテル貼りによる問題のすり替えというほかない。
 松野博一文科相は、職員七人への聞き取りとパソコンの共有フォルダーの調査だけで文書の存在を否定した。再調査を拒み、明らかに幕引きを図ろうとしている。
 森友学園問題に続き、真相を隠ぺいしようとするような政権の姿勢は、国民感覚から懸け離れ、政治不信を深めるばかりである。
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しんぶん赤旗 2017年5月27日(土)
主張:前次官「加計」発言  国会での真相究明が不可欠だ


 安倍晋三首相の「腹心の友」が理事長を務める岡山市の学校法人「加計学園」が愛媛県今治市に来春開設しようとしている獣医学部をめぐり、内閣府が文部科学省に「総理の意向」と要求したと記された文書などについて、文科省の前事務次官の前川喜平氏が「本物です」と認め、「行政がゆがめられた」と発言しました。文書作成当時、次官だった人物の重大発言です。菅義偉官房長官らは「出所不明」「文書はない」などと否定してみせますがそれでは済まされません。国政が私物化され、行政がゆがめられた疑惑であり、証人喚問など、国会での真相解明が不可欠です。
なかったことにならぬ
 「あったものをなかったことにはできない」「本来赤信号のところを、とにかく青信号だと考えろといわれ青にさせられた」―25日の記者会見や新聞、週刊誌などでの同氏の発言は、当事者でなければ語れない迫力に満ちています。
 これまで明らかになり、国会などで追及されてきた一連の文書には、来春に「加計学園」の獣医学部を開設することを目指し「最短のスケジュール」を作成することを、内閣府が文科省に「官邸の最高レベルが言っていること」「これは総理のご意向だと聞いている」などと要求していた記載があります。文書が作成された当時事務次官だった(今年1月まで)前川氏は、昨年9月から10月にかけ、大学の開設を担当する専門教育課から報告、相談を受けた場での資料だと証言しました。菅官房長官や松野博一文科相は「調査したが文書はなかった」といっていますが、ここまで前次官が明らかにした以上、徹底した再調査と事実の究明が必要です。
 前川氏が、「公正公平であるべき行政の在り方がゆがめられた」と発言していることは重大です。獣医は全国的に足りているといわれ、政府もつい最近まで、生命科学など新分野で人材のニーズがある、すでにある獣医学部では対応が困難―などを新設の条件に挙げていました。ところが「加計学園」の獣医学部についてはそうした条件に合致するかどうかの根拠が示されておらず、とにかく“最初に「加計学園」ありき”で、「特例」(前川氏)として開設が認められてしまったというものです。
 「加計学園」の獣医学部は、今治市が一昨年、安倍首相が力を入れる、規制などを「緩和」する国家戦略特区に指定されたことで本格化しました。日本共産党の小池晃書記局長が25日の参院文科委員会で明らかにした文書でも、文科省が求めた獣医の需給調整などを、所管する農林水産省が行わず、最終的には「安倍首相の一声」で開設が決定されたことが明らかにされています。行政が私物化され、ゆがめられた疑惑は濃厚です。
首相の責任が問われる
 菅官房長官は前川氏に対し、「天下り」で辞任させられたことなどを非難しますが、そのことで行政をゆがめた重大な疑惑を帳消しにできるものではありません。
 安倍首相は国会で自らの“潔白”を主張し、「もし働きかけて決めていたら責任を取る」と答弁しています。首相の責任は重大です。首相に疑惑解明を果たさせ、国会答弁の責任を明確にさせるのは、国会自身の責務でもあります。行政をゆがめた疑惑の解明は、政治の信頼にかかわる大問題です。
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東奥日報 2017年5月27日(土)
社説:国会で真相明らかにせよ/加計学園問題で新証言


 岡山市の学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を巡り、文部科学省に伝えられた「総理のご意向」などの文言が含まれた記録文書について、今年1月に天下り問題の責任を取り辞職するまで文科事務次官だった前川喜平氏が記者会見し「本物」と明らかにした。昨年秋に担当の専門教育課から説明を受けた際に示されたという。
 特定の地域に限って国の規制を緩め経済活性化につなげようという国家戦略特区制度を活用し、獣医学部新設に至る過程で、計画に携わった事務方トップの証言は重い。
 安倍晋三首相やその周辺の意向により行政がゆがめられたのではないかとの疑念は深まる一方だ。首相が「岩盤規制の突破口を開く」と強調して手掛けた特区制度の公平性が大きく揺らいでいる。
 これに対し、詳しい調査や説明に否定的な対応を繰り返す政府の姿勢には疑問を感じる。前川氏は証人喚問に応じる意向を示している。国会で真相を明らかにすべきだ。
 文書を巡っては、安倍首相の友人が理事長を務める加計学園が優遇されたのではと野党が一斉に追及。民進党が問題の文書を入手し、文科省に内容の確認を迫った。
 これに対し菅義偉官房長官は「怪文書」と決めつけ、松野博一文科相もわずか1日の調査で「文書の存在は確認できなかった」と発表。その後も文科省で作成されたとみられる文書などが次々と出てきたが、出どころが定かでないといった理由で確認に応じようとしていない。
 文科省は長年にわたり獣医師が増え過ぎないよう獣医学部の新設を認めてこなかったが、安倍首相は昨年11月に制度を見直すと表明。今年1月には、愛媛県今治市に新設する獣医学部を運営する事業者に加計学園が選ばれた。
 問題の文書は獣医学部新設に慎重な文科省に内閣府が「官邸の最高レベルが言っていること」や「総理のご意向」を示し「早期開学」を迫ったことがうかがえる内容だ。
 前川氏の証言に、菅官房長官は「天下り問題を隠蔽(いんぺい)した文科省の事務方の責任者で、批判にさらされて辞任した人だ」と述べた。森友学園問題でも、政府は真相解明を脇に置き疑惑の否定を重ね、籠池泰典前理事長による一連の証言の信ぴょう性を問題にするばかりだった。こうした対応の繰り返しは国民の政治不信を招くだけではないか。
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秋田魁新報2017年5月27日 掲載
社説:加計文書問題 証人喚問で真相究明を


 「公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられた」
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画を巡り、内閣府が文部科学省に「官邸の最高レベルが言っていること」などと対応を求めたとする文書について、同省の前川喜平・前事務次官が記者会見し「文書は確実に存在していた」とした上で、新設計画に対する政府の対応を批判した。
 文書については同省が「存在は確認できなかった」との調査結果を発表している。だが、獣医学部新設を担当する専門教育課の共有の文書フォルダーなどを調べただけで、個人のパソコンなどは調べていない。
 前川氏は「あるものをないと言わざるを得ない、できないことをできると言わざる得ない」と同省の状況を察しつつ、「あったものをなかったことにはできない」と会見に至った心境を説明した。文書は複数あり、昨年9~10月に専門教育課が作成したもので、前川氏を含む幹部の間で共有されていた「本物」という。
 文書には内閣府からの回答などとして、「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。これは官邸の最高レベルが言っていること」「(設置時期について)『最短距離で規制改革』を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている」といった記載がある。官邸からの指示や、官僚の忖度(そんたく)があったことをうかがわせるような内容だ。
 前川氏は今年1月、同省の組織的天下り問題の責任を取って事務次官を辞任した。政府内には「天下りできなかった腹いせ」と批判する声もあるが、当時の事務方トップの発言は重い。菅義偉官房長官は「自身が責任者だった時に堂々と言うべきだった」などと非難したが、ならば発言の真偽を早急にはっきりさせるべきだ。
 前川氏は証人喚問に応じると明言している。前川氏の発言により、「総理から一切指示はない」などとする政府の説明への疑問は深まっている。国会の場で真相を明らかにする必要がある。
 新設計画は、地域を限定して規制を緩和する国家戦略特区制度の一環で、愛媛県今治市が提案し、加計学園が事業者に選ばれた。前川氏が「行政がゆがめられた」と指摘するのは、獣医の将来需要への見通しが示されず、規制緩和の根拠が薄弱なまま獣医養成のための学部新設が認められたからだ。
 前川氏は「(加計学園ありきは)関係者の暗黙の共通理解としてあった」とも話している。事実なら、権力者に近しい者を優遇したことになり、行政の公平性、公正性に対する裏切りだ。行政が「ゆがめられた」のかどうか、政府は国民に説明しなければならない。
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新潟日報 2017/05/27
社説:加計文書証言 前次官の喚問は不可避


 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人加計(かけ)学園(岡山市)の国家戦略特区への獣医学部新設計画で「総理のご意向」などと書かれた文書の真偽が問題となる中、新たな証言が出てきた。
 文書は「確実に存在していた」と、前川喜平・前文部科学事務次官が語ったのである。
 前川氏は事務方の最高責任者として文科行政を束ね、計画に関わっていた当事者である。その人物が文書の存在を認めた。見過ごしにするわけにはいかない。
 政府は文書について出所不明とし、一貫して信ぴょう性を疑問視している。本格的な調査にも及び腰だ。ならば国会主導で徹底的に調査を尽くすべきである。
 前川氏の証言が重いのは、文書の出所などを具体的に説明し、覚悟もうかがわせるからだ。
 文書は文科省専門教育課から昨年9~10月に受け取り、幹部間で共有されていたという。文書に登場する発言者として特区を担当する内閣府の幹部を名指しした。
 前川氏は薄弱な根拠の中で規制緩和が行われたと説明し、「公平公正であるべき行政の在り方がゆがめられた」と述べた。計画の対象を加計学園と認識していたと明言した。
 さらに、要請があれば証人喚問に応じる意向も示している。
 文書の内容が事実なら、官邸や首相が働き掛け、指示された官僚側の「忖度(そんたく)」によって行政がゆがめられた可能性も出てくる。最も注視したいのはそこであり、焦点は内容の真偽である。
 前川氏の証言は、政府の説明と大きく食い違っている。政府側からはなぜ現役時代に言わなかったのかとの批判も出ているが、計画を巡る疑問が一層膨らんだのは間違いあるまい。
 しかし前川証言に先立って省内調査を実施し、文書の存在は確認できないと結論付けた松野博一文科相は「再調査は必要ない」との姿勢を崩していない。政府はかたくななほど消極的だ。
 一方で人格攻撃のような発言もあった。菅義偉官房長官は記者会見で、文科省の天下り問題の責任を取って前川氏が1月に次官を辞任した経緯に言及し「地位に恋々としがみついた」と述べた。
 なぜ文書の真偽とは別の話を持ち出すのか。問題をすり替えて目をそらす意図でもあるのか。証言の信用性をおとしめようとするかにも聞こえる。甚だ理解に苦しむ態度である。
 文書を巡る前川氏と政府の言い分が平行線をたどり、政府が再調査の必要性を認めない以上、国会が前面に出て真相の究明に当たらなければならない。
 安倍首相はこれまで、働き掛けや圧力を否定している。開かれた国会の場で、何が事実か、問題の所在はどこにあるのかを解明することをためらう理由は、自民党にもないはずである。
 事は、行政の信頼の根幹といえる公平性や公正性に大きく関わる問題だ。疑義を抱いている国民も少なくないだろう。監視機能を働かせることが、国民の負託を受けた国会の最大の責務である。
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福井新聞 2017年5月27日 午前7時30分
論説:前次官会見 :政府は国民疑念に答えよ


 【論説】学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を巡り、「総理のご意向」などの記述があるとされる文書について、当時の文部科学省の事務次官だった前川喜平氏が記者会見で「本物」と断じた。これに対して政府は「再調査の必要はない」「怪文書」「信ぴょう性に欠ける」などと門前払いに終始。これでは国民の疑念は深まるばかりだ。
 加計学園が政府の国家戦略特区制度を活用し、愛媛県今治市に岡山理科大の獣医学部を新設しようとした際、学園理事長が安倍晋三首相の友人であるがゆえに優遇されたのではないかとの疑惑が持たれている。
 「質の確保」を理由に獣医学部は半世紀以上も新設がなく、加計学園は2007年以降、15回も申請を繰り返したが、ことごとく却下された。その潮目を変えたのが安倍政権の特区制度だった。
 前川氏は、「加計学園ありき」だったのかとの問いに「関係者の間で暗黙の共通理解としてあった」と述べた。今年1月に文科省の天下り問題で引責辞任したとはいえ、それまで事務方のトップとして加計学園が特区の事業者に選定される一連の過程にいた人の発言である。
 「高等教育課から受け取った文書に間違いない」との証言もあり、すぐにでも調査できるはずだ。それでも「再調査する必要はない」と言い張る松野博一文科相こそ隠蔽(いんぺい)のそしりを免れない。
 野党が求める前川氏の証人喚問に関しても与党は否定している。「次にどんな爆弾を落とすのか」(政府筋)との不安から、「森友学園問題」と同じように“逃げるが勝ち”を決め込んでいるとしたら国民をばかにするなと言いたい。
 菅義偉官房長官は25日の会見で天下り問題を持ち出し「(前川氏が)責任者として地位に恋々としがみついた」などと人格攻撃ともいえる批判をした。証人喚問では古傷にさわられ、さらには「出会い系バー」通いなどにも質問が及ぶだろう。前川氏はそうしたことも承知の上で喚問に応じる覚悟のはずだ。
 「行政がゆがめられた」との発言に政府内からは「官僚トップとして他省と話し合うべきだった」と批判が出たが、各省庁幹部級の人事権を握る官邸、内閣官房、内閣府の絶大な影響力に歯向かうのはたやすいことではない。「最終的には内閣府に押しきられてしまった」(前川氏)というのが現実だろう。
 発言内容から見えてくるのは「官僚の忖度」であり、安倍首相の便宜供与まで行き着くのは難しいとの見方もある。現に首相は「働きかけるつもりがあるなら、私が直接、松野文科相のところに行く」と自信をのぞかせてもいた。
 ただ、「赤信号を青信号だと考えろ」(前川氏)といった実態が浮かび上がることで、政権へのダメージは少なくない。政府は安倍離れを警戒するあまり再調査や証人喚問から逃げるつもりなら、それこそ「黒を白にする」(同)愚行だ。
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神戸新聞 2017/05/27
社説:「加計学園」文書/国会は証人喚問すべきだ


 重い発言である。文部科学省の前事務次官が会見で、政府の見解を真っ向から否定した。
 「あったことをなかったことにはできない」
 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡る問題で先週、明らかになった文書が文科省内で作成されたことを認めた。文書には獣医学部の早期開学に関して、内閣府が文科省に「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと伝えたことが記されていた。
 加計学園の理事長は安倍晋三首相が「腹心の友」と呼ぶ人物である。文科省は「調査の結果、存在が確認できなかった」とし、政府も「出所不明で信ぴょう性に欠ける」と怪文書扱いだった。
 これに対し、当時の事務方トップの前事務次官は「文書は専門教育課が内閣府の言ったことをまとめたもので、幹部の間で共有された。中身も100パーセント信じている」と述べた。
 もう怪文書では済まされない。今回の証言で事態が大きく変わったのは明らかだ。加計学園に対し政府内で何らかの配慮があった可能性が強まった。うやむやにすることは許されない。
 さらに踏み込んだ発言もあった。獣医学部新設を可能にした規制緩和が「極めて薄弱な根拠の中で行われた」とし、政治によって「公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられた」というのだ。
 自らの責任を認めた上で、「文科省は政権中枢からの意向、要請に逆らえない状況にある」とも語っている。
 ここまで批判されながら、政府から聞こえるのは前事務次官の「人格攻撃」のようなものが多く、まともな反論がほとんどないのはどうしたことか。
 在任中に触れた情報の公表は国家公務員の守秘義務違反の恐れがある。前事務次官もそのことを否定していない。覚悟の会見ということなのだろう。
 文書の中身については、発言内容が記された元自民党衆院議員の日本獣医師会顧問も「真実」としている。
 国会は前事務次官を証人喚問し、何が事実なのかを解明すべきだ。自民党は拒否しているがそれでは通らない。国会には国民の疑問に答える責務がある。
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中国新聞 2017/5/28
社説:証人喚問で真相究明を 前川前次官の証言


 もう「怪文書」と切って捨てることはできまい。学校法人加計学園の獣医学部新設計画を巡り「総理の意向」などの文言が含まれる記録文書のことだ。文部科学省の前川喜平前事務次官は25日の記者会見で「確実に存在していた」と明言した。
 文書は国家戦略特区を活用し、大学の獣医学部を最短スケジュールで新設するよう促す。それは「官邸の最高レベル」の要請で、「総理の意向」と生々しく記されている。文科省はこの文書を「確認できない」としていたが、前川氏は「あったものをなかったことにはできない」と語った。文科省の事務方トップを務めた人の発言を重く受け止めたい。
 さらに前川氏は文科省が「赤信号を青信号に」「黒を白に」するよう官邸や内閣府の圧力を受け、「公正、公平であるべき行政がゆがめられた」と説明した。安倍晋三首相の友人が理事長を務める加計学園ありきで計画が進められたのかを問われ、「関係者の暗黙の共通理解としてあった」とまで述べている。
 もしそれが本当なら、まっとうな行政とはいえない。
 今回の計画については、多くの疑問が浮上している。獣医師がどの程度不足しているのか客観的なデータが示されないまま特区の認可に至ったのではないか。加計学園だけが特区に応募できるよう条件が決められたのではないか―。文書の有無はもちろん、獣医学部新設に向け、官邸の指示や官僚の忖度(そんたく)があったのかどうか、はっきりさせることを国民の多くが望んでいるはずだ。
 しかし、文書について菅義偉官房長官は「出所不明で信ぴょう性に欠ける」との見解を変えない。松野博一文科相は文書の再調査さえ「必要ない」とした。前川氏の証言を無視するような対応は理解し難い。
 文科省の調査は当初から不十分だった。文書があるかどうか担当職員のパソコンの共有フォルダーのチェックにとどまり、職員個人のパソコンやデータの削除履歴は調べていない。そんな探し方では疑惑から逃げていると批判されても仕方ない。文科省はあらためて徹底した調査を行うべきだ。
 野党は前川氏の証人喚問と首相が出席する予算委員会の集中審議を求めている。証人喚問を実現させ、国会の開かれた場で真相究明するのが筋だろう。
 なのに自民党はなぜ、証人喚問を拒否するのか。
 折しもきょう、安倍首相の在職日数は第1次内閣と合わせて1981日となり、小泉純一郎首相を抜いて、戦後の首相では歴代3位となった。「安倍1強」時代を裏付ける。しかし長過ぎるが故のほころびはないのか。首相に関する疑惑について党内でものを申せない空気が広がっているなら深刻である。
 石破茂元幹事長は「事務方トップにいた方のああいう発言はそれなりの意味がある」と指摘する。そうした率直な意見をもっと党内で戦わせるべきだ。
 前川氏の「証人」としての資質を問う声も出ている。以前「出会い系バー」に前川氏が通っていたことが今になってなぜか報道され、菅官房長官が記者会見で批判を繰り返している。しかし、個人の私生活と加計学園の問題は切り離して考えるべきだろう。
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(愛媛新聞)2017年5月27日(土)
社説:加計問題で前次官証言 政府は再調査し説明責任果たせ


 「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」などと記された文書は「真正なもの」で、「公正公平であるべき行政の在り方がゆがめられた」―。岡山市の学校法人加計学園の、今治市への岡山理科大獣医学部新設を巡り、看過できない証言が飛び出した。「怪文書」と切り捨て、黙殺することはもう許されない。安倍政権は、不透明な経緯や疑惑の解明に自ら率先して取り組まねばならない。
 特区担当の内閣府とのやりとりを文部科学省が記録したとされる文書について、文科省の前川喜平前事務次官が本物と認めた。獣医学部新設の規制改革は加計学園ありきの「暗黙の共通理解だった」とも明かした。
 計画に携わった当時の事務方トップの証言は、極めて重い。松野博一文科相は先週、たった半日の省内調査で「文書は存在しない」と結論し、前川氏の証言後も「ヒアリングも再調査も必要ない」の一点張り。だがそれでは国民の納得は得られず、首相の意向や官僚の忖度(そんたく)で政策がゆがめられたのではないか、との疑念を拭えるはずもない。
 前川氏は、特区の計画自体も「条件に全て合致していない」「極めて薄弱な根拠の中で規制緩和が行われた」と振り返り、圧力の可能性を示唆した。当事者が声を上げた以上、政権側の立証・説明責任は免れ得ない。やましいことがなければ堂々と調査、説明を尽くすべきだ。
 問われているのは行政の公正性、透明性、根拠である。
 地域が国に提案する「構造改革特区」に対し、安倍政権が2013年に打ち出した「国家戦略特区」は国主導のトップダウン型。その性質上、条件やルール作りを含め「総理、政権の意向」は当然に反映され、だからこそ公平性や中立性がより厳しく求められる。事後であろうとも政策の意思決定過程を国民にオープンにする責務があろう。
 安倍晋三首相が「腹心の友」に、直接便宜を図ってはいないとしても、内閣府が意向を忖度し、あるいはかさに着て、条件を都合よく緩めた可能性は否定できない。その内閣府は、一方の当事者の中村時広知事が「助言を受けた」との認識を示したのに「誤解だ」と否定するなど不自然な態度で口をつぐむ。なぜ15回も却下された申請が突然通り、なぜ「新設は空白地に限る」など加計学園に有利な条件が、後から追加されたのか。明確に答えねばならない。
 また政府の、政権に歯向かうと見た人への人格攻撃は目に余る。菅義偉官房長官は無関係な文科省天下り問題を持ち出し、引責辞任した前川氏を「地位に恋々としがみついていた方」などと中傷した。読売新聞が「出会い系バー」に行った過去を唐突に報じた件も含め、権力の振る舞いを強く憂慮する。
 「あったものを、なかったことにはできない」。前川氏の言葉を、政府は重く受け止めるべきだ。国会で真実を語らない限り、問題は決して終わらない。
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徳島新聞 2017年5月27日付
社説:前川前次官の証言 証人喚問で真相解明を


 国会で証人喚問を行い、真相を解明しなければ、国民は納得しないだろう。
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人加計(かけ)学園(岡山市)の獣医学部新設計画を巡って、文部科学省の前川喜平前事務次官が記者会見し、「総理の意向」などの記述のある記録文書が「確実に存在していた」と明言した。
 前川氏は、新設計画への国の対応に関して「人材需要への明確な見通しが示されず、薄弱な根拠の中で規制緩和が行われた。公正、公平であるべき行政の在り方がゆがめられた」とも述べた。
 菅義偉官房長官は、文書について、前川氏の説明を踏まえても「出所不明で信ぴょう性に欠ける」と強調した。
 だが、新設計画に携わった当時の事務方トップの証言である。重く受け止めるのが当然ではないのか。
 民進党など4野党は徹底追及する構えで、前川氏の証人喚問を求めたが、自民党は拒否した。事実関係の究明に後ろ向きな対応は理解できない。前川氏は、喚問があれば応じる意向を示している。
 加計学園が進めているのは、政府の国家戦略特区制度を活用して、愛媛県今治市に岡山理科大学の獣医学部を新設する計画だ。
 問題の文書は、昨年、文科省が、特区を担当する内閣府とのやりとりを記録したものとされる。内閣府側の発言として「官邸の最高レベルが言っている」「総理の意向」などと記されていた。
 会見で前川氏は「昨年9~10月、担当の専門教育課から事務次官室で報告、相談を受けた際に受け取った文書に間違いない。専門教育課で作成され、幹部の間で共有された文書だ」と説明した。
 さらに、「官邸の最高レベル」は、総理か官房長官のどちらかだと思ったと述べた。
 加計学園ありきだったのかとの問いには、「関係者の間で暗黙の共通理解としてあった」と話した。
 重大な発言であり、真偽の検証が欠かせない。
 前川氏は文書について「改めて調査すれば、存在が明らかになる」と指摘した。
 それでも、松野博一文科相は「文書の存在を再調査する必要はない」と言う。省内調査では「文書の存在は確認できなかった」としたが、パソコンの削除履歴を調べていない。不十分である。
 獣医学部の新設は52年ぶりとなる。これほど長い間、新設を認めなかった岩盤規制を加計学園が突破できた背景に、官邸の指示や官僚の忖度(そんたく)がなかったのかが、問われている。
 政府は、いずれも否定しているが、説得力に乏しい。
 野党は衆参予算委員会で、安倍首相が出席する集中審議を求めている。自民党は受け入れるべきだ。
 首相自らが国民に詳しく説明する必要がある。
 何が真実なのか分からないまま、うやむやに終わらせてはならない。
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高知新聞 2017.05.27 08:05
社説:【深まる加計疑惑】学部新設必要だったのか


 学校法人加計(かけ)学園(岡山市)の獣医学部新設計画を巡る問題で、文部科学省の前事務次官が、「総理の意向」などと書かれた文書を「存在していた」と証言した。
 「省内調査で確認できなかった」と一貫して否定する政府の主張を覆す内容だ。事務方トップで実際に許認可を所管した本人の実名告発であり、政府は再調査と、国民への説明責任を一層重く負った。
 安倍首相の「腹心の友」が学園の理事長を務める。新学部が計画される愛媛県今治市の国家戦略特区を担当する内閣府が、文科省に「総理の意向だ」などと早期開学を求めたと取れる文書が発覚。その真偽が問われてきた。
 証言した前次官は「文科省の専門教育課で作成され、幹部の間で共有された」と認めた。その上で、計画そのものを「薄弱な根拠の中で規制緩和が行われ、行政の在り方がゆがめられた」と述べた。
 解明すべき疑惑の入り口は、ここにある。政府が特区制度による獣医学部新設を必要とした根拠は。それは妥当だったのか。
 国は50年以上、獣医学部の新設を許可してこなかった。獣医師の「質の確保」を理由とし、日本獣医師会も求めなかったという。
 今治市と加計学園は2007年以降、15回にわたって申請し、いずれも認められなかった。それが、第2次安倍政権が「岩盤規制の突破口」として始めた特区制度で、2016年に新設方針に転換。2017年1月にわずか8日間の募集で、応募は加計学園のみだったという経緯がある。
 「将来の人材需要への見通しは示されず、特区での規制改革が行われた」。前次官は「関係者の間で暗黙の共通理解としてあった」と述べ、学部新設に疑義を抱いていた文部科学省に対し、内閣府が加計学園ありきのように許可を迫ってきたとの認識をそう説明した。
 政府が「岩盤規制」だったとする長年の強固な制限を取っ払い、獣医学部新設を決めた経緯の急展開ぶりに、前次官の証言と記録文書の内容は重なって見える。菅官房長官が言う「出所不明の怪文書」との扱いにはもはやできない。
 新たな獣医学部は必要だったのか―。そこが疑惑の原点であり、文書に優先して解明を急ぐべきポイントだろう。
 前次官は文部科学省の天下り問題で引責辞任した。「出会い系バー」に通っていたとも報道され、認めた。菅官房長官が「地位にしがみついていた」と人格攻撃のようになじるなど、政府側には逆恨みの虚言かのように否定する声もある。だが、いずれも問題の本筋の枠外であり、獣医学部新設の事実関係を調べないとする理由にはならない。
 獣医学部の緊急性は。官僚の「忖度(そんたく)」はなかったか。国民に膨らむ疑問に政府は答えなければならない。前次官は偽証すれば罪に問われる可能性もある証人喚問に応じる構えだ。国会は事実解明の責任を負う。
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高知新聞 2017.05.25 08:15
社説:【加計問題の調査】この消極姿勢は何なのか


 国の意思決定が適正なのか重大な疑義が生じているというのに、こんな調査と公表で済まされてよいはずがない。
 安倍首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡る文部科学省の対応だ。学園は愛媛県今治市に来春の開設を計画している。
 設置の許認可権を持つ文科省が、内閣府から早期開設が「総理の意向だ」などと言われていた文書が明らかになった。事実であれば、森友学園の国有地売却問題にも酷似する由々しき事態だ。
 文書発覚から2日後、松野文科相は省内調査の結果を発表し、文書の存在を「確認できなかった」とした。調査を「尽くした」というが、疑惑の解消には程遠い内容だ。
 聞き取り対象の職員は担当局長や課長ら7人。文書を見たことがあるかや作成、共有の有無を聞き、全員が「ない」と答えたという。共有ファイルや電子フォルダにも見つからなかったとする。
 聞き取りをした時間はわずかで、職員が個人パソコンに保存する文書は調べもしていないという。この消極姿勢は何なのか。
 文科省は獣医師の供給過剰を防ぐため、獣医学部新設を50年以上認めてこなかった。加計学園もかつて、何度も構想を立てたが実現しなかったといわれている。
 それが第2次安倍政権の発足後、獣医学部新設の検討が「日本再興戦略」に盛り込まれ、ことし1月には国家戦略特区として今治市での新設計画が認定されている。事業者には加計学園が選ばれた。
 こうした経緯からも疑惑は徹底解明する必要があるが、安倍首相は圧力を否定する。菅官房長官も記者会見で「誰が書いたか分からない。こんな意味不明のものについて、いちいち政府が答えることはない」との姿勢だ。
 文書は複数あり、別の文書に登場する日本獣医師会の顧問は、自身が登場する文書は「99パーセントその通り」と認めている。「意味不明」と片付けることはできない。
 省庁では政策立案などの過程で、職員が個人的にメモをつくることがよくある。政府の行政文書管理のガイドラインでは、メモなども「国政上の重要な事項にかかる意思決定が記録されている場合などについては、行政文書として適切に保存すべきである」としている。
 安倍政権は森友学園問題で、首相夫人付きの政府職員が学園とやりとりしたファクス文書を行政文書に該当しないとした。昨年発覚した輸入米を巡る不透明取引では、調査した農水省が個々の業者への聞き取り内容を「職員の備忘録としてのメモ」だとして公開しなかった。
 文書の位置付けを政府が都合よく解釈するようでは公文書管理や情報公開の制度も形骸化しかねない。
 文科省には範囲を広げ、徹底した再調査と迅速な公表を行うよう強く求める。
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南日本新聞 ( 2017/5/27 付 )
社説: [加計学園文書] 深まった疑念解明せよ


 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人加計学園(岡山市)の獣医学部新設計画を巡り、文部科学省の前川喜平前事務次官が会見し、「総理の意向」「官邸の最高レベルが言っている」との文言が含まれる記録文書を「本物」と明らかにした。
 政府内で「怪文書だ」「文書の存在は確認できなかった」などと文書の正当性を否定する意見が相次ぐ中、事務方トップの立場で新設計画に携わった前川氏の証言は重い。
 証言により、首相やその周辺の意向が働いて行政がゆがめられたのではないかという疑念は一層深まった。
 政府はこれ以上、調査と説明を拒んではならない。
 加計学園は政府の国家戦略特区制度を使い、愛媛県今治市に岡山理科大の獣医学部新設を計画した。今回問題となった文書は、新設要件が決まる前に、特区を担当する内閣府とのやりとりを文科省が記録したとされるものだ。
 前川氏は文書の存在を認めただけでなく、特区を活用した計画自体を「極めて薄弱な根拠で規制緩和が行われた」と批判した。結論ありきだったとも指摘した。
 安倍首相が「岩盤規制の突破口を開く」とした特区制度の公平性は大きく揺らいでいる。
 前川氏が文科省の対応について「黒を白にするような意に反するようなことをさせられている」と述べたことも見逃せない。
 安倍首相の関与や圧力はあったのか。解明に向け、野党は前川氏の国会への証人喚問を要求する方針だ。当然のことだ。
 だが、菅義偉官房長官は文書について「出元が不明で信ぴょう性が定かでない」と主張し、松野博一文科相も「再調査の考えはない」として要求を拒否する構えだ。
 官邸の指示や官僚の忖度(そんたく)の有無に疑問がある点で、加計学園と森友学園の問題は通底している。
 森友学園問題で、政府は真相解明を脇に置いて疑惑を否定し、籠池泰典前理事長による一連の証言の信ぴょう性を問題にした。財務省は学園側との交渉記録を破棄したとして詳しい説明を避け、調査を拒んだ。
 今回は複数の文書が出てきているにも関わらず、真相解明には後ろ向きだ。
 国民の疑念に向き合おうとしない政府の姿勢には、安倍1強のおごりを感じざるを得ない。
 国の政策やその形成過程に関する情報は、特定の人や省庁のものではない。政府は徹底的な調査と説明で、国民の「知る権利」に応えるべきだ。
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琉球新報 2017年5月27日 06:02
<社説>加計文書存在証言 真相究明を強く求める


 「行政の在り方がゆがめられた」。学校法人加計学園の獣医学部新設を巡る問題で、文部科学省の前川喜平前事務次官は政治が行政をゆがめたと批判した。その批判と疑念に安倍晋三首相をはじめとする関係者は誠実に応えるべきだ。
 森友学園問題によって、権力者に迎合して官僚が先回りして事を進める「忖度(そんたく)」という言葉が一般的になった。今回の前川氏の証言は「総理の意向」を受けて忖度が始まることに加え、時には「意向」を盾にごり押しが行われてきたことを強く疑わせる内容だった。
 「官邸の最高レベルが言っている」などと記載されていた文書について前川氏は「文科省の専門教育課で作成され、昨年9月から10月にかけて受け取った文書に間違いない。幹部の間で共有されていた」「私が現に見て、受け取った。確実に存在していた」と、具体的に述べている。
 文書がやりとりされた時期の事務方トップによる生々しい証言にもかかわらず、松野博一文科相は文書の再調査を拒否した。政府は都合の悪い物はないことにすることを繰り返している。しかし、今度という今度は、国民は「不存在」という説明に納得しないだろう。
 規制緩和をして獣医学部の新設を認めるには条件を満たす十分な根拠が必要だった。前川氏は、農水省や厚労省からそのような根拠が示されないまま「赤い信号を青い信号と考えろと言われた」と述べた。「押し切られた」という認識を示し、自らの責任にも言及した。
 小選挙区制、政党助成金制度の下で党執行部の力が強くなり、自民党内ではかつてのような議論ができなくなったと指摘されている。さらに安倍政権は2014年に内閣人事局を新設し、官僚ににらみを利かせるようになった。慣例を無視した人事を官僚は恐れるようになっているという。
 今回の証言には、このような権力の集中が行政から公平性、透明性を失わせているとの憤りが込められている。安倍1強政権の下、国政の病理は深刻な状態にあるのではないか。
 民進、共産、自由、社民の野党4党が前川氏の証人喚問を要求したが、自民党は即座に拒否した。政府与党はどこまで国民に背を向け、責任放棄を続けるのか。文書の再調査と証人喚問を速やかに行い、真相を究明すべきだ。
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沖縄タイムス 2017年5月26日 13:13
社説:[加計学園文書存在]国会の場で真相究明を


 安倍晋三首相の「腹心の友」が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡って、「総理の意向」があったのではないかという疑念が一層、深まった。
 同計画に携わった文部科学省の前川喜平前事務次官が25日に会見し、「総理の意向」を伝えたとされる文科省の記録文書の存在について、「専門教育課で作成され、担当課から(自分が)受け取った文書だ」と明言。幹部の間で共有されていたという。
 その文書を「怪文書」と決めつけて、存在や内容を否定し、問題の幕引きに躍起になる政府の対応へ、疑問をかき立てる会見内容だった。
 大学設置認可の権限を持つ組織の元事務方トップの証言は重い。学部新設が認められるようになった経緯に不自然な点があることは再三指摘されてきた。政府は説明責任を果たすのは当然、国会も積極的に事実を究明し、国民の疑念を晴らすべきである。
 同学園は、政府の国家戦略特区を活用し、来年4月にも愛媛県今治市に獣医学部を開設することを目指している。実現すれば実に52年ぶりの新設である。
 文科省が長年新設を認めてこなかった理由は、獣医師の数が不足する見通しがないことがある。その中で、新設を認めないのは説得力のある判断である。
 不足どころか、供給過剰も予測される中で、養成機関や獣医師を増やした結果、専門職として働く場が少ないとなれば、高等教育にかけた時間とコストが無意味となり得るからだ。
■    ■
 さらに、第2次安倍政権発足後の2015年の閣議決定で、新たな獣医師ニーズに対応する場合にのみ、新学部設置を認めると限定した。
 会見で前川氏は、今回の計画で、どんな役割を果たす獣医師が、どれだけ必要なのか責任ある見通しがつかないため、文科省として新設を認められなかった、と説明したことも十分納得できる。
 しかし、国家戦略特区の事業として認められ、同学園が事業者に認定された。その過程で文科省は、特区を所管する内閣府から「総理の意向」「官邸の最高レベルが言っていること」などと伝えられていたとされる。仮に、首相の直接的な指示はなかったにしろ、「1強」といわれる首相の意向を官僚が忖度(そんたく)し、圧力をかけた可能性がある。
 「あったものをなかったことにはできない」と、内容や経緯を記した文書の存在を、当事者が明らかにした意味は大きい。
■    ■
 意に反して事が進められた前川氏は、「公正、公平であるべき行政の在り方がゆがめられた」と述べ、押し切られた自らの責任についても認めた。 
 「赤を青と言え」「黒を白にしろ」という官邸と、責任ある判断が難しくなっている省庁との極めて不健全な関係があることも示唆した。
 文科省は、文書の存在を「確認できなかった」とするが、再調査をすべきだ。政権与党は前川氏らの国会招致に同意して真相を解明し、国民に明らかにする責任がある。
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