2017-06-09(Fri)

アパート融資過熱 バブル再燃に監視の目を

「貸家バブル」の様相 地銀メーカーが建設攻勢 空室目立つ「アパート銀座」

不動産融資過熱 バブル再燃監視の目を(社説)
----アパート、マンションなど貸家の建設が急増している。土地を資産に持つ個人の相続税対策として広がっているからだ。

日銀の大規模な金融緩和政策により、金融機関は利益の確保に苦しんでいる。中でも地方銀行や信用金庫は収益の悪化で不動産向け融資に依存する傾向を強める。不動産市場はさながら「バブル」前夜の様相を呈しており、金融庁や日銀が警戒感を強めるほどだ。

人口減少で供給過多になることも予想される。不動産の市況が悪化すれば、貸し倒れの発生で大きな損失が出かねない状況にある。手が付けられなくなる前に、何らかの対策を講じる必要がある。
(西日本新聞 2017/6/8)


◇地方銀:アパート融資の貸出残高最大 相続税対策に対応
----個人が建設する賃貸住宅への地方銀行の融資残高が、2017年3月末時点で前年比7.2%増の13.8兆円に膨らみ、日銀による09年の統計開始以降で最大となった。地方経済の縮小や超低金利で企業向け融資の収益が低迷する中、相続税対策のアパート建設などへの貸し出しを急増させているためだ。過剰融資が貸家の「建設バブル」を助長する懸念も出ている。
(毎日新聞2017年6月7日)

◇「貸家バブル」の様相 地銀メーカーが建設攻勢 空室目立つ「アパート銀座」
----地方銀行の個人向けアパート・マンション建設融資が過去最大になったことは、優良な貸出先を持たない地銀の苦境を物語る。だが、地方では既に貸家の供給過剰も目立ち始めており、「貸家バブル」がはじければ、住宅市場だけでなく、地銀経営への打撃も大きくなりかねない。金融庁や日銀は警戒を強めている。【小倉祥徳、小原擁】
(毎日新聞2017年6月7日)




以下引用

西日本新聞  2017年06月08日 10時33分
社説:不動産融資過熱 バブル再燃監視の目を
 アパート、マンションなど貸家の建設が急増している。土地を資産に持つ個人の相続税対策として広がっているからだ。
 日銀の大規模な金融緩和政策により、金融機関は利益の確保に苦しんでいる。中でも地方銀行や信用金庫は収益の悪化で不動産向け融資に依存する傾向を強める。不動産市場はさながら「バブル」前夜の様相を呈しており、金融庁や日銀が警戒感を強めるほどだ。
 人口減少で供給過多になることも予想される。不動産の市況が悪化すれば、貸し倒れの発生で大きな損失が出かねない状況にある。手が付けられなくなる前に、何らかの対策を講じる必要がある。
 国土交通省によると、2016年に着工した貸家は前年比10・5%増の約41万8500戸に及ぶ。
 08年のリーマン・ショック後は減速していたが、この5年間はいずれも前年に比べてプラスで推移している。
 背景には15年の相続税増税がある。空き地にアパートなどを建てると相続評価額が下がって節税できるため、土地を所有する富裕層が不動産投資に注目した。
 日銀によると、全国の銀行・信金の不動産業向け貸出残高は17年3月末で前年同月末比6・4%増の87兆5517億円だった。本紙集計では九州の地方銀行18行の残高合計(一部物品賃貸業を含む)は同9・0%増の5兆8074億円で全国の伸びを上回る。
 日銀の分析では、九州・沖縄の貸出残高は景気や世帯数から計算した需要の推計値に比べ約2割上回っている。着工の急増で借り手のないまま空き家になる恐れもある。不動産関係者は「大家が経営に行き詰まる危険水域に入った。最後に泣くのは銀行でも業者でもなく大家だ」と警鐘を鳴らす。
 金融庁も「一部の地銀は不動産への融資割合が高く、審査も甘い」と問題視する。将来の空室率や家賃の変動リスクを十分に説明せず、安易に貸し付けているとの疑念も拭えないという。
 金融当局には、しっかり監視の目を光らせてもらいたい。

************************

毎日新聞2017年6月7日 08時56分
地方銀:アパート融資の貸出残高最大 相続税対策に対応
 個人が建設する賃貸住宅への地方銀行の融資残高が、2017年3月末時点で前年比7.2%増の13.8兆円に膨らみ、日銀による09年の統計開始以降で最大となった。地方経済の縮小や超低金利で企業向け融資の収益が低迷する中、相続税対策のアパート建設などへの貸し出しを急増させているためだ。過剰融資が貸家の「建設バブル」を助長する懸念も出ている。
 日銀によると、アパートやマンションなど貸家業を営む個人への全国の地銀105行の融資残高は、10年3月末の約8.8兆円から7年間で約5兆円増加した。これに対し、大手行のこの間の融資残高は約2.4兆円減少し、総額8.6兆円と地銀より少なく、地銀の積極姿勢が際立っている。
 背景には、地方経済の衰退に歯止めがかからず、優良企業への貸し出しが難しくなっていることがある。企業向け融資は、金利の値引き競争の激化と日銀のマイナス金利導入で、預金と貸出金利の差である利ざやが一段と縮小。株式上場する地銀82社の17年3月期決算では全体の約8割が最終(当期)減益に陥った。このため、相対的に利回りの高い個人向け融資に注力しているのが実情で、貸家業向け融資の伸び率は、貸し出し全体(3.3%)を大きく上回っている。
 一方の借り手側にとっては、15年1月に相続税が増税されたことが大きな契機となった。所有する土地にアパートなどを建てると、更地のままで所有するより評価額が下がり、納税額が減る「節税効果」が見込める。さらに日銀の大規模金融緩和で、建設資金を低利で調達しやすくなっていることも追い風となっている。国土交通省によると、16年度の貸家の建設着工戸数は前年度比11.4%増の42万7275戸と2年連続で増加し、08年度以来の高水準となった。
 地方のアパート・マンション向けローンについては業界内でも「人口減少が続く中、どんどん貸家を増やして良いのか」(メガバンク幹部)との議論があり、日銀金融機構局は「家賃収入の見通しを十分審査しないまま融資を増やしている地銀もある。リスク管理の徹底が必要だ」と警鐘を鳴らす。【小倉祥徳】


毎日新聞2017年6月7日 東京朝刊
クローズアップ2017
「貸家バブル」の様相 地銀・メーカーが建設攻勢 空室目立つ「アパート銀座」
P)田んぼの前に建設されたアパート。周囲には「入居者募集中」ののぼりも目立つ=津市中河原で2017年5月18日、小倉祥徳撮影
アパート建設ラッシュの構図
 地方銀行の個人向けアパート・マンション建設融資が過去最大になったことは、優良な貸出先を持たない地銀の苦境を物語る。だが、地方では既に貸家の供給過剰も目立ち始めており、「貸家バブル」がはじければ、住宅市場だけでなく、地銀経営への打撃も大きくなりかねない。金融庁や日銀は警戒を強めている。【小倉祥徳、小原擁】
 津市中心部から車で約15分の阿漕(あこぎ)町津興(つおき)地区。2、3年前まで新築物件が少なかった伊勢湾そばの住宅街は今、2階建てアパートの建設ラッシュに沸いている。地区内には昨年末に5棟が完成したばかりで、もう1棟も間もなく出来上がる。地元不動産業者によると、周辺では今後250戸分の新築物件が誕生する予定。さしずめ「アパート銀座」の様相だ。
 一方、築年数の進んだ周辺のアパートやマンションには「入居者募集中」ののぼりが目立つ。約20戸入る賃貸マンションを管理する女性(42)は「ここ数年、新しい入居者がまったく入っていない」と明かした。
 津興地区から約2キロ北に離れた別の沿岸部にも、田んぼや畑の中にアパート数十軒が集まる地域がある。築5年以上がたち、空室も多いという。市内の大手不動産会社支店長は、大手賃貸住宅メーカーが「相続税対策」として地主にアパート建設を勧めて回っていると指摘し、「明らかに供給過剰。関係者は皆分かっているのに、建設会社も融資する地銀も目先の利益を追って攻勢をやめようとしない」と憤る。国土交通省によると、2016年度の三重県内の貸家の新規着工戸数の増加率は前年度比24・2%で全国の11・4%を大きく上回った。
 地銀が「アパート融資」を強化するのは、地方経済の地盤沈下で企業向け融資が苦戦しているためだ。大手銀と地銀がひしめく東海地方は、愛知県を中心に「名古屋金利」と呼ばれるほどの激しい金利引き下げ競争が繰り広げられてきた。昨年導入された日銀のマイナス金利政策などがさらに追い打ちをかけ収益が悪化した。このため、個人向け融資を増やして穴埋めを図っているのが実態で、三重銀行は17年3月末の個人の貸家業向け融資残高は833億円と前年比5%増加した。
 東海地方ばかりではない。日銀によると、アパートローンを含む地銀による賃貸不動産業向け貸出額は、経済の実勢から算出した「適正値」と比べ、16年度は全国平均で7%上回った。中でも九州・沖縄地方は18・9%「過剰」になっており、宮崎銀行は17年3月期の不動産融資が5年前に比べ約7割膨らんだ。うち半数がアパートローンで、前年比で5・7%伸びた。
 各行は「建設業者と手を組むことはなく、入居率や賃料水準をみながら検討している」(渡辺三憲・三重銀頭取)「山間地に住む高齢者が、生活しやすい宮崎市部に移住するためアパート需要が増えている」(宮崎銀)などと強引な貸し付けを否定している。だが、アパート建設を進めるのは、土地持ちの富裕層が多い。仮に供給過剰で入居者が入らなかったり、家賃が下がったりして返済が滞っても「土地を担保に融資しているケースも多く、取りはぐれは少ない」(地銀関係者)との本音も聞こえる。 名古屋市中村区でアパートを経営する前田和彦さん(61)は「入居率が下がって家賃も下がり、新たな借金を抱えた仲間もいる」と証言する。前田さんによると、石川県に住む家主は金融機関から融資を受けてアパート2棟を建てたが、家賃減額を求められ2棟とも売却。売却額が融資額よりも少なかったことから3000万円の借金を抱え、新たに自分の土地を売って穴埋めしたという。前田さんは昨年11月、建設を勧めた賃貸住宅メーカーを相手取り、集団訴訟を起こした。賛同者は約150人に上るという。
地域衰退リスクも
 個人の賃貸住宅向け融資が急拡大していることに対し、金融庁や日銀も問題意識を高めている。
 金融庁は昨年10月に公表した行政指針で「金融システムの潜在的リスク」の一つとして、アパートローンを含む不動産向けに融資が集中する動きを挙げた。昨年12月には、融資残高を伸ばしている12地銀を抽出し、詳細な契約内容の提出を要求。十分な審査を行っているかなど、融資実態の把握を急いでいる。
 同庁は、借り手に地主などの富裕層が多いことから、土地を売却したり、資産を処分したりすることで融資の回収は可能として、「ただちに不良債権化することはない」とみている。一方で幹部は「空室率が高まる危険のあるアパートを地方にどんどん建てて、貸し出しを伸ばそうとする銀行の姿勢そのものが問題だ」と指摘。企業の育成や地域経済の振興といった、銀行が本来果たすべき役割に取り組むよう、指導・監督を強める構えだ。
 日銀も今年4月に公表した金融システムリポートで「地域によっては、賃貸住宅の空室率が高まっており、これまで以上に入口審査や中間管理の綿密な実施が重要」と明記した。調査では、賃貸不動産向けの融資にあたって、周辺物件の入居率の調査や、人口動態を踏まえた需給動向の分析を行っていない地域金融機関がそれぞれ7割前後に達したことも指摘。金融機構局は「08年のリーマン・ショック時のような不動産市況の急落が起きた場合、貸出額が大きい金融機関では、無視し得ない影響を受ける可能性もある」として、リスク管理の徹底を呼びかけている。
 地銀の実情に詳しい大和総研金融調査部主席研究員の内野逸勢氏は「実需に合った融資ならば問題はないが、将来的に空室率が上昇し、賃料が減って融資が不良債権化すれば、地方経済を衰退させるリスクになる」と指摘している。

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