2017-06-15(Thu)

「共謀罪」法案 成立強行 疑惑隠しか

議論封殺数の力大暴挙  与党の横暴は極まった  民主主義の足元が危うい

<各紙社説・主張・論説>
朝日新聞)国会最終盤 極まる政権の強権姿勢(6/15)
毎日新聞)強引決着の「共謀罪」法案 参院の役割放棄に等しい(6/15)
東京新聞)「共謀罪」法案 成立強行は疑惑隠しか(6/15)
しんぶん赤旗)「共謀罪」法案強行 議論を封殺、数の力の大暴挙(6/15)

北海道新聞)「共謀罪」強行 与党の横暴は極まった(6/15)
北海道新聞)「共謀罪」攻防 採決ありきは許されぬ(6/14)
秋田魁新報)「共謀罪」法案採決 懸念は残されたままだ(6/15)
秋田魁新報)「共謀罪」法案審議 採決急がず議論尽くせ(6/14)

岩手日報)「共謀罪」巡る攻防 こんな国会でいいのか(6/15)
新潟日報)「共謀罪」成立へ 民主主義の足元が危うい(6/15)
山陽新聞)「共謀罪」法案 審議は尽くされていない(6/15)
神戸新聞)「共謀罪」法案/まだまだ審議が足りない(6/13)

西日本新聞)「共謀罪」法案 まだ採決の時期ではない(6/13)
南日本新聞)[「共謀罪」採決] 良識の府の自殺行為だ(6/15)




以下引用



朝日新聞 2017年6月15日05時00分
(社説)国会最終盤 極まる政権の強権姿勢


 あまりに乱暴な国会運営だ。とうてい承服できない。
 「共謀罪」法案について、自民党は参院法務委員会での審議を打ち切り、本会議での直接採決に向けて「中間報告」を行うことを提案した。民進など野党が激しく反発するのは当然だ。
 中間報告は、国民の代表である国会議員の質問権を事実上奪うものだ。憲法が定める国会への閣僚の出席・発言義務を免ずることにもなる。
 提案自体が参院無用論につながりかねない強権姿勢を、与党の参院議員はどう考えるのか。
 政権側の思惑は明らかだ。
 共謀罪法案は何としても成立させる。だが18日までの国会会期を延長する事態になれば、森友学園や加計学園の問題で野党に追及の機会を与えることになる。とにかく早く閉会したい。強引な手法をとっても、人々はやがて忘れるだろう――。
 異なる意見に耳を貸さない。数の力で押し切る。国民を軽視する。くり返し指摘してきた政権の体質が、国会の最終盤に、最悪の形であらわれた。
 法案をめぐる疑問と危惧は、一向に解消されていない。
 国際組織犯罪防止条約に加盟するには法案の成立が不可欠だという政府の主張は、本当に正しいのか。実行されなくても計画の段階で処罰できるようにする共謀罪を、なぜ277もの罪に包括的に導入しなければならないのか。国連の専門家が、政府と異なる見解を明らかにしているのをどう説明するのか。
 まだまだある。
 政府は「一般人」には影響はおよばないと説明するが、それを担保するものは何か。市民団体などに対する不当な監視活動が明らかになっても「正当な業務だ」と開き直る警察当局を、なぜ容認するのか。この先どのようにコントロールし、逸脱・暴走を防ぐのか。
 国民の不安がぬぐえていない状況を見れば、いったん廃案にし、答弁能力に疑問符がつく法相を交代させて出直す。少なくとも、当初の会期にとらわれずに審議を尽くす。それが政治が果たすべき当然の責務だ。
 安倍首相は今月、ニッポン放送の番組で「不安を広げるための議論を延々としている」「あおっているに過ぎない」と野党を批判した。十分な説明ができない政府の責任を棚に上げ、反対する者を徹底的に攻撃する、いつものふるまいである。
 単に共謀罪法案の行方にとどまらない。「熟議」「謙譲」という言葉の対極にあるこの政権の下で、民主主義はどこへ行くのか。懸念がふくらむ。
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毎日新聞2017年6月15日 東京朝刊
社説:強引決着の「共謀罪」法案 参院の役割放棄に等しい


 後半国会の焦点である「共謀罪」法案が成立する運びとなった。与党が参院法務委員会での採決を省略し、本会議で可決するという強硬手段を選んだためだ。
 多くの欠陥を抱える法案を是正することなく、決着を急ごうとする与党の強引さに驚く。
 「共謀罪」法案は準備・計画段階でも犯罪の処罰を可能とする。刑事法の体系を大きく変える法案だ。
 政府は国際組織犯罪防止条約の締結に必要だと説明してきた。
 だが、一般人が警察の捜査対象となり、監視社会に道を開く懸念を衆院段階では払拭(ふっしょく)できなかった。
 だからこそ、参院では対象犯罪を大幅に絞り込むなど法案を抜本修正することで「再考の府」の責任を果たすよう、私たちは求めてきた。
 にもかかわらず、参院での法案審議で、政府は不安を解消するどころか、逆に広げた。
 政府は衆院の審議で、法案が適用される「組織的犯罪集団」について「一般人は対象にならない」と説明してきた。ところが、金田勝年法相は集団の構成員でなくても関係がある「周辺者」であれば処罰され得ると新たに答弁した。一般人との線引きをあいまいにする見解である。
 安倍晋三首相は参院審議にあたり「できる限り分かりやすい説明をこころがけたい」と国民理解を強調していた。その約束はどうしたのか。
 しかも与党は、法案を修正するどころか委員会で採決すらせず、委員長の「中間報告」で済ますという異例の展開となった。
 参院法務委員会は公明党議員が委員長を務める。与党が委員会で採決を強行しなかったのは、公明党が重視する東京都議選の告示を来週に控えての配慮とみられている。だとすれば、ご都合主義も極まれりだ。
 学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題も、与党の対応に影響したとみられている。
 文部科学省は内部文書の再調査を進めており、結果が公表されれば野党の攻撃が激化する可能性がある。都議選を控え「加計隠し」のため国会の幕引きを急いだのではないか。
 与党が今国会で成立を目指すのであれば、会期を大幅延長して議論を尽くすべきだった。こんな決着の仕方は、参院の役割放棄に等しい。
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東京新聞 2017年6月15日
【社説】「共謀罪」法案 成立強行疑惑隠し


 なぜ、それほど成立を急ぐのか。衆院での採決強行に続き、参院では委員会の採決自体を省略する横暴ぶりだ。議論が尽くされたとは言い難く、疑惑隠しのために幕引きを急いだとしか思えない。
 組織犯罪処罰法改正案は犯罪を計画段階から処罰する「共謀罪」の趣旨を含む法案である。
 罪を犯した「既遂」後に処罰する日本の刑事法の原則を根底から覆す内容の重要法案にもかかわらず、審議時間は衆院ではわずか約三十時間、参院では二十時間足らずだ。
 参院での審議時間は衆院の七割がめどというが、その時間にすら満たない段階で審議を打ち切るのは、「再考の府」であるべき参院の責任放棄にほかならない。
 十三日の参院法務委員会での参考人質疑でも、冤罪(えんざい)を生む恐れがあるなどとして法案の問題点を指摘する意見が有識者から出た。
 これまでの審議でも、一般の人は本当に処罰の対象にならないのかとの疑問や、法案が処罰対象の主体とする「組織的犯罪集団」の定義や「準備行為」の内容の曖昧さが相次いで指摘されたが、政府側から説得力のある答弁はない。
 与党側は成立を急いでいるが、法案への懸念がある限り、審議を続けるのは、国民代表たる立法府として当然の責務ではないのか。
 同法案の成立を期すため、当初は国会会期の延長も視野に入れていた与党側がなぜ、一転して異例の「中間報告」に踏み切ってまで成立を急ぐことになったのか。
 国会では学校法人「加計学園」の獣医学部新設に、安倍晋三首相の意向が働いていたか否かをめぐり、野党側が追及を強めている。
 内閣府が「官邸の最高レベルが言っていること」「総理の意向だと聞いている」と働き掛けたとされる文書が明らかになり、文部科学省は再調査を余儀なくされた。
 短期間でも国会を延長すれば、野党に疑惑追及の機会を与える。強行してでも早めに同法案を成立させて国会を閉じ、野党の追及機会を封じた方が得策と、与党側が考えても不思議ではない。
 しかし、それは疑惑隠し以外の何ものでもない。
 この法案は拡大解釈され、冤罪を生む可能性は消えていない。官憲が内心に踏み込んで処罰し、人権を著しく侵害した治安維持法の復活との懸念は、審議を通じて解消されるどころか、むしろ深まった。国民が懸念を抱く法案の成立を政府与党は急ぐべきではない。安倍政権に猛省を促したい。
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しんぶん赤旗 2017年6月15日(木)
主張:「共謀罪」法案強行 議論封殺数の力大暴挙


 あまりの乱暴極まりないやり方に、激しい憤りを禁じえません。安倍晋三政権と与党が参院法務委員会での採決を抜きに「中間報告」という卑劣な手法まで振りかざし「共謀罪」法案の成立へ向け突き進む―。国民の「内心」を処罰する違憲法案の危険な姿が次々と明らかになり国民の不安と批判が広がり続ける中で、なりふり構わず悪法を強行することは、民主主義を無視した大暴挙です。国内外からの異論を封殺し、重大な人権侵害の法案を数の力でごり押しする安倍政権を倒していくたたかいを強めることが急務です。
矛盾だらけの違憲立法
 審議するほど矛盾と破綻があらわになったのが、「共謀罪」法案の実態です。「共謀罪」は、犯罪が実際に起こっていない段階でも2人以上で「計画」し、そのうちの1人が「実行準備行為」をしたと捜査機関がみなせば、全員を処罰できるものです。「既遂処罰」が大原則の日本の刑法体系の大転換にほかなりません。実行されてもいない犯罪を「処罰」するとなると国民の「心の中」に踏み込んだ捜査は避けられません。
 「話し合い」も監視の対象にされ、盗聴捜査などの拡大に“お墨付き”を与えます。憲法が保障する「思想・良心の自由」はもちろん、信教や表現の自由、通信の秘密を侵害する違憲性は明らかです。
 安倍政権は「一般の人は対象外」と繰り返し、「組織的犯罪集団」に限定しているなどと主張しましたが、そんな歯止めがどこにもないことが鮮明になりました。とくに参院審議では環境保護団体でも「隠れみの」とみなされることや、「組織的犯罪集団」の構成員でない人も「周辺者」と捜査機関が判断すれば、逮捕・処罰の対象になることが大問題になりました。
 しかも、これまで警察は「任意捜査」の名で、一般市民に対する違法な盗撮や情報収集を行ってきて、そのことに全く無反省な態度を取り続けています。ここに277もの犯罪で「共謀罪」が新設されたら、人権侵害の捜査を正当化し強化させることになります。
 「何が罪に問われるか分からない」「判断するのは警察の一存」というのは、刑法や憲法の「罪刑法定主義」を根本から揺るがすものです。疑心暗鬼の社会を作り出す「共謀罪」をまともな審議を抜きに「成立ありき」で推進する―安倍政権と自公、日本維新の会などの責任は極めて重大です。
 「テロ対策」とか「国際組織犯罪防止条約(TOC条約)」締結のためという口実は完全に崩れています。だいたい国連の人権理事会が任命した特別報告者から、日本の「共謀罪」は、プライバシーや表現の自由が侵害されるという警告の書簡が届いているのに、それに耳を貸そうとすらしない安倍政権の姿勢は、全く異常です。
安倍政権は退場の声広げ
 国民が解明を強く求める「加計」「森友」疑惑は説明しようともせず、国民が「おかしい」と声を上げている「共謀罪」は押し通す―。安倍政権の民意を無視した強権・暴走政治をこれ以上続けさせることはできません。
 「戦争する国」づくりと一体で改憲を明言し、治安立法「共謀罪」法案をすすめた安倍政権を退陣させ、自公とその補完勢力を少数に追い込む、市民と野党のたたかいがますます重要です。
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北海道新聞 2017/06/15 08:55
社説:「共謀罪」強行 与党の横暴は極まった


 国民の声も議論の必要性も無視し、数の力だけを頼りにした、極めて横暴な国会運営である。
 「共謀罪」の構成要件を変更してテロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案について、与党はきのう参院で、委員会採決を素通りして「中間報告」として本会議に持ち込む暴挙に出た。
 自民党の松山政司参院国対委員長は「審議時間を十分積み上げてきた」と説明する。
 しかし参院での審議は20時間に満たず、衆院法務委員会の約30時間にも遠く及ばない。
 この法案はテロ対策を口実に捜査当局の権限を広げ、国民への監視強化を招く恐れが指摘される。審議を通じてその懸念はむしろ深まっている。
 与党の本音は、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設をめぐって国民の疑念が強まる中、一日でも早く国会を閉じ、野党の追及をかわしたい一点にあるのだろう。
 安倍晋三政権はこれまで、選挙で争点の中心に据えなかった特定秘密保護法、安全保障法制をいずれも、数の力で強引に押し通してきた。
 今回も同じ手法である。政治の信頼を大きく損なった責任を、強く感じるべきである。
 松山氏は中間報告を提案した理由について、野党が金田勝年法相に対する問責決議案を提出したことで「審議を続ける気はないと判断した」と主張した。
 しかし担当閣僚が、捜査対象の線引きなど法案の根幹に関わる質問にさえ満足に答えられないのである。野党が厳しく叱責(しっせき)し、さらなる審議を求めるのは当然だ。
 それを「続ける気はない」として、採決の理由とした与党の論理は逆転している。
 そもそも、恣意(しい)的な運用を許す法案自体の欠陥は明らかであり、審議を重ねれば重ねるほど、新たな疑問が生じている。
 にもかかわらず自民党が採決を急いだ背景には、加計問題に早期に幕を引き、23日告示の東京都議選への影響を避ける思惑がある。
 目先の選挙のために、国民の内心の自由を脅かす法案を拙速に成立させる、本末転倒の姿勢だ。
 加計問題では、学園理事長と首相との親密な関係が国家戦略特区の選定に影響を与え、行政の公平性をゆがめた疑いが持たれる。
 首相は「何か指摘を受ければ真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と明言したはずだ。にもかかわらず究明を回避するのなら、国民の疑念は深まるばかりではないか。
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北海道新聞 2017/06/14 08:55
社説:「共謀罪」攻防 採決ありきは許されぬ


 「共謀罪」の成立要件を変更しテロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案の参院審議を巡り、与野党の攻防が激化した。
 民進、共産両党はきのう、閣僚としての資質に欠けるとして金田勝年法相に対する問責決議案を参院に提出した。
 与党はきょうの参院本会議で問責案を否決し、週内に参院法務委員会での法案採決と成立に持ち込む構えだ。
 だが市民生活に捜査当局の監視の目が入り込み、内心の自由を侵されかねないとの法案への懸念や疑問点は、むしろ膨らんでいる。
 成立させたら重大な禍根を残すのは必至だ。与党側がこのまま採決ありきで突き進むことは許されない。法案は廃案が筋である。
 金田氏は参院審議で「組織的犯罪集団の構成員でないと犯罪が成立しないわけではない」と述べ、「関わりのある周辺者」も処罰対象になるとの見解を示した。
 捜査当局の拡大解釈の余地をさらに広げるような答弁である。
 人権侵害の危険性が指摘されるからこそ、処罰されるかどうかの線引きを国会答弁で明確にするのが閣僚として果たすべき責務だろう。議論を深めるほど曖昧な点が増えるのでは論外ではないか。
 金田氏は依然、答弁を刑事局長に丸投げする場面が目立つ。法案の内容を理解できていないとの野党側の問責理由は説得力を持つ。
 問責案は採決を強行しないとの与党側の確約が得られなかったとして、野党側の質疑時間を残した段階で提出され、審議は打ち切られた。時機として国民に分かりにくい面があったことは否めない。
 だからといって、問責案提出を口実に与党が採決を正当化することはできない。
 国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の立法ガイドを執筆した米国の教授は複数のメディアの取材に対し、条約は金銭利益目的の国際犯罪が対象だとし、「テロ対策が目的ではない」と明言した。
 テロ対策のために条約締結が必要で、それには法改正が前提だとしてきた政府の主張が根底から揺らいでいる。
 北海道新聞社が5月下旬に行った世論調査では共謀罪反対が59%と前月比14ポイント増加した。問題点が浸透してきたことの表れだろう。
 政府・与党には国会会期を大幅延長し、世論の理解が得られるまで徹底審議しようという姿勢すらなく、幕引きを急いでいるように映る。これでは、言論の府の果たすべき使命を放棄したも同然だ。
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秋田魁新報 2017年6月15日 9時40分
社説:「共謀罪」法案採決 懸念は残されたままだ


 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を巡り、野党が提出した金田勝年法相の問責決議案が、与党などの反対により否決された。与党は、問責案提出により参院法務委員会の審議は打ち切られたとみなし、法務委での採決を省略する「中間報告」という異例の手法で参院本会議で採決する。
 なぜそれほど、採決を急ぐ必要があるのか。それも数の力で押し切るという乱暴さだ。改正案は、内心の自由を脅かしかねないなどとして3度廃案になった共謀罪法案の構成要件を変えて提出されたものだ。野党は「犯罪を計画しただけで処罰されるという本質は変わっていない」と批判しており、国民の不安が解消されたとは言えない状況だ。禍根を残さぬよう徹底的な審議が求められていたはずだ。
 安倍政権下では一昨年の安全保障関連法案、昨年の環太平洋連携協定(TPP)承認案、統合型リゾート施設整備推進法(カジノ法)案など世論を二分する法案で採決が強行され、次々と成立。慎重審議を求める国民の声は無視され続けたままだ。
 異論に耳を傾けず、成立ありきで突き進む政府、与党の国会運営はあまりに横暴だ。そこには、合意形成といった民主的な手続きや価値観を軽視する姿勢が露骨に表れている。
 共同通信社が5月下旬に行った全国世論調査では、組織犯罪処罰法改正案に賛成の人は39・9%、反対が41・4%と拮抗(きっこう)している。ただし、「今国会中に成立させる必要はない」との回答は56・1%に上り、「成立させるべきだ」の31・0%を大きく上回った。改正案に慎重な国民の意識が浮かび上がる。
 さらに「政府の説明が十分だと思わない」は8割近くに達している。改正案に対する国民の理解は進んでおらず、その原因の多くが法案提出責任者の金田法相にあるのは明らかだ。
 答弁内容がその日のうちに変わったり、官僚の答弁をそっくり引用したりと、金田氏の説明姿勢には首をかしげざるを得ない。犯罪の構成要件となる下見などの「準備行為」について、「花見ならビールや弁当を持っているが、下見なら地図や双眼鏡、メモ帳を持っている」と外見で見分けられると主張。「バードウオッチングはどうなる」と突っ込まれる場面があった。
 また、捜査権乱用の懸念を払拭(ふっしょく)しようとするあまり、「一般人はテロ等準備罪の捜査対象にならない」と明言したが、法務副大臣が一時「一般の人が対象にならないということはない」と説明するなど政府側の答弁が食い違うこともあった。
 答弁の不安定さの背景として、改正案そのものの不備や欠陥も指摘されている。組織的犯罪集団の定義が曖昧で、市民団体などに対する監視が強まりかねないといった懸念は解消されていない。数々の疑問を残したままの採決強行は許されない。
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秋田魁新報 2017年6月14日
社説:「共謀罪」法案審議 採決急がず議論尽くせ


 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を巡り、週内の成立を狙う政府、与党に対し、廃案を目指す野党が金田勝年法相の問責決議案を提出するなど攻防が激化してきた。
 法案は現在、参院法務委員会で審議されているが、処罰の対象が「組織的犯罪集団」の構成員に限定されないことが明らかになるなど、政府の説明は揺れている。プライバシーをはじめ国民の権利を侵害する恐れがある法案だけに、疑問が置き去りにされることがあってはならない。
 政府、与党は参院の審議時間が目安に達したとして採決に踏み切る構えだが、成立ありきの姿勢は許されない。国民の懸念を払拭(ふっしょく)できるまで徹底的な審議に努めるべきだ。
 法案は刑法などに定められた277の罪を対象に、計画段階で処罰できるようにするもの。政府は、処罰対象が一般の会社や市民団体、労働組合などに拡大することがないよう、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定することを条文に明記したと説明してきた。
 しかし、金田法相は法務委の質疑に「組織的犯罪集団の構成員、または集団に関わる周辺者でなければ罪は成立しない」と答弁。「周辺者」という新たな概念が飛び出し、処罰対象が拡大する恐れが出てきた。周辺者の範囲がどこまで及ぶのかなど、まだ十分な議論はなされていない。
 法案に対しては国連の特別報告者が、法律が広く適用される可能性に言及し「プライバシーや国民の自由の行使に影響を及ぼす深刻な懸念がある」とする書簡を日本政府に送った。政府は「書簡は著しくバランスを欠く不適切なもの」(安倍晋三首相)と批判し法案の必要性を強調する見解を発表したが、「適切なプライバシー保護」や「捜査機関の活動の適法性」をどう担保するかなど書簡が示す懸念には具体的に答えていない。
 さらに書簡は、組織的犯罪集団の定義が漠然としていると指摘する。秋田弁護士会は、法案に反対する会長声明の中で同様の懸念を表明。正当な活動をしている団体も、団体の結合目的が犯罪を実行することに一変したと認められる場合は組織的犯罪集団になり得るとの政府の説明を挙げ、「市民団体や労働組合等の正当な活動が、捜査機関の恣意(しい)的な判断で捜査の対象とされる恐れが排除できない」と指摘する。
 グリーンピース・ジャパンなどの非政府組織(NGO)も「曖昧な定義で市民の活動が捜査の対象になりかねず、萎縮や不安が広がる」と法案を批判した。
 捜査対象になるかもしれないという恐れは、政府に抗議したり、政策に反対したりする活動を萎縮させかねない。それでは健全な民主主義とは言えない。異論を許さぬ社会になってしまわないかと不安を覚える。
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岩手日報 (2017.6.15)
論説:「共謀罪」巡る攻防 こんな国会でいいのか


 国会は18日の会期末を目前に、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の参院採決を巡って緊迫の度を極めた。
 とはいえ議論が白熱したわけではない。与党は14日の参院本会議で民進、共産両党が参院に共同提出した金田勝年法相の問責決議案など、野党側が次々繰り出す案件を粛々と処理。言論の府であるべき国会は、与野党による手練手管の応酬合戦に陥った。
 自民党の高村正彦副総裁は先週、野党の抵抗をけん制して「悪知恵の限りを尽くしている」と批判。この発言に、小池晃共産党書記局長は「悪知恵の限りを尽くしているのは自民党」と反論した。議論の本筋がかすむ中で、主権者たる国民の存在はどこまで意識されているのか、いないのか。それが問題だ。
 与党には当初から、審議時間が20時間に達した段階で採決に踏み切る想定があった。「議論は尽くされた」という論法で民進党など野党4党の反対を押し切る算段だ。会期は限られるとはいえ、その理屈はおかしくないか。
 衆院でも、30時間程度をめどに審議を打ち切り採決を強行した。こうした数字には、どんな根拠があるのだろう。
 法案は基本的に、国会で過去3回廃案となった共謀罪の趣旨を引き継ぐ。その重大さに鑑みれば、審議時間から決める運営は理解できない。
 他に重要法案もある。会期延長は当然の選択肢だが、ここまで与党は消極的。気になるのは、首相周辺の関与が疑われる森友学園や加計学園の問題で、真相解明に後ろ向きな姿勢が際立つことだ。
 世論調査では、与党支持者も含めて両問題とも説明不十分とする回答が大勢だ。政権の政治姿勢そのものに疑惑の目が向けられていることに恥じ入るなら、会期内で国会を閉じる発想にはなるまい。
 国会周辺では連日、市民団体が主催する抗議集会が開かれ、主催者発表で時に1万人を超える参加者が「監視社会は許さない」と声を張り上げているほか、盛岡市内をはじめ全国各地で同様の抗議行動が繰り返されている。
 批判の声は国内だけではない。プライバシーの権利に関する国連特別報告者は、今回の法案が「プライバシーや表現の自由を侵害する懸念がある」との書簡を政府に送付した。こうした指摘を、安倍晋三首相は「著しくバランスを欠く」などと批判。けんか腰の反応は、世情の不安を増幅させたことだろう。
 特定秘密保護法、集団的自衛権行使に道を開く安全保障関連法に続き、世論を二分する最重要法案で、またも官邸主導で決着をせく与党の国会対応は、その権威を自らおとしめるものではないのか。
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新潟日報 2017/06/15
社説:「共謀罪」成立へ 民主主義の足元が危うい


 国民の賛否が分かれている重要法案が、またも強権的手法でごり押しされようとしている。安倍晋三首相の「1強」体制の下、数の力を頼みにした与党の暴挙というほかない。
 「共謀罪」の趣旨を盛った「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が、成立へ向けて大きく動いた。
 与党は、委員会採決を省く「中間報告」という異例の手法まで使い、参院本会議で採決の構えだ。
 民主主義への危機感すら覚える事態である。
◆国会の責任はどこへ
 「中間報告」は国会で法案審議が滞ったときに、委員会採決を飛ばして本会議で採決する手法である。通常は、野党議員が委員長で法案採決に応じない場合などに用いられる。
 それだけに、今回のように会期末に法案成立を狙う与党が主導することは「禁じ手」とされる。議会制民主主義の否定につながりかねないためだ。
 ところが「共謀罪」法案審議の最終盤で、与党側は「禁じ手」を持ち出してきた。
 あまりに横暴過ぎる。与党自らが「言論の府」「立法の府」である国会の責任を放棄し、その役割を形骸化させるに等しい。
 同時に、こうした手法はこの間の「共謀罪」審議を象徴しているともいえる。
 これまでの審議の過程でも、政府方針に追従するばかりで、日程ありき、成立ありきとしか見えない与党の強引な国会運営が際立っていたからだ。
 審議入りは、野党が激しく反対する中で与党側が押し切った。衆院採決は、与党が法務委員会審議の目安としていた30時間に届いたところで強行された。さらに「中間報告」である。
 国民に不安や疑問がある法案であれば、粘り強く、丁寧に理解を求めていくことが政府や与党に課せられた責務のはずである。
◆疑問解消されぬまま
 「共謀罪」は犯罪を計画段階で処罰するものだ。法案の審議では捜査機関の乱用により一般人が対象になる可能性や監視社会につながる危険性について国民や野党から懸念が上がった。
 先の戦争の反省を教訓に、戦後長く守り続けてきた「自由」が侵されるのではないかとの思いからだろう。戦前、思想弾圧の根拠となった治安維持法に「共謀罪」を重ねる見方も根強い。
 思想信条や表現の自由は、戦後社会が獲得した最大の財産といえる。「共謀罪」は今回と同様の懸念から、過去3度廃案になった経緯もある。異論や疑問が出るのは当然だろう。
 だが議論が尽くされ、懸念が解消されたとはいえない。政府側が捜査機関の乱用や一般人が対象になる可能性を否定するだけで、審議は平行線をたどったためだ。
 法律を適正に運用していく上でも国民の理解や納得は欠かせないはずである。疑問や不安の声をかわし続け、成立ばかりを急ぐ姿勢は不誠実である。
 政府が否定するとはいえ、運用拡大の懸念は残る。警察内部では謀議を裏付けるため、「共謀罪」を通信傍受法の対象とすることへ期待の声が上がっている。
 犯罪を計画段階で把握するためには捜査機関の監視も不可欠になるはずだ。本当に一般人が対象にならない保証はあるのか。
 未来に目を向ければ、心配がさらに募る。国民の不安を払拭(ふっしょく)しきれない中で法律ができた経緯が忘れ去られた頃に「共謀罪」の拡大解釈が進み、社会を萎縮させることにならないか。
 法律ができて終わりではない。政府の説明から外れた運用が行われていないかどうか。そこを国民の側から不断に監視していくことが求められる。
◆安倍「1強」の弊害だ
 安倍首相が2度目の首相の座に就いて以降、重要法案の採決が強行される光景を繰り返し見せつけられている。特定秘密保護法、安全保障関連法、「共謀罪」。いずれも国民の間で賛否が分かれるものばかりである。
 今回の法案審議を巡っても、自民党内からは目立った疑問や異論はなかった。「1強」体制の下、正面から意見を戦わせる伝統の党内民主主義の機能はまひしているようである。
 早期成立を急ぐ背景には、首相の友人が理事長を務める「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画を巡る問題の幕引きを図りたい思惑もあるとされる。事実なら民意軽視も甚だしい。
 自民党は憲法改正に向け検討を始めた。こうした環境の中で自由闊達(かったつ)な議論などできるのか。
 「1強」の弊害は大きい。
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山陽新聞 (2017年06月13日 08時00分)
社説:「共謀罪」法案 審議は尽くされていない


 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案について、政府、与党は18日に迫った国会会期を小幅延長し、成立させる構えという。
 審議を尽くすための会期延長なら否定はしない。しかし、与党内から聞こえてくるのは学校法人「加計学園」(岡山市)を巡る問題で野党の追及を避けるため、できるだけ延長を小幅にとどめて法案を通し、早期に国会を閉じたいという思惑ばかりである。
 与党幹部からは参院での審議時間は衆院の3分の2の約20時間で十分との発言も出ている。だが、審議の場が衆院から参院に移り、疑問点は解消するどころか逆に増えている。これほど懸念の多い法案を、想定時間に達したからと数の力で押し通すことは許されない。
 法案を巡っては、適用対象の「組織的犯罪集団」の定義が曖昧で、対象犯罪も277と多いことから、捜査機関の恣意(しい)的な運用を招くといった懸念が指摘されてきた。政府は「組織的犯罪集団が対象で一般人は捜査対象にならない」と強調してきたが、8日の参院法務委員会で政府側は、組織的犯罪集団の構成員だけでなく、集団に関わりのある「周辺者」も処罰対象になり得ると言及した。
 こうした認識は衆院審議では示されておらず、適用対象が一気に広がる可能性がある。この点だけをみても、審議が尽くされていないのは明らかだ。
 法案に懸念を示す国連の特別報告者が5月に安倍晋三首相に書簡を送ったが、その後の政府の対応にも首をかしげる。参院本会議で首相は書簡について「一方的見解を表明した、著しくバランスを欠く不適切なもの」と批判した。
 しかし、特別報告者は国連の人権理事会から任命された専門家であり、日本は人権理事会の理事国も務めている。書簡を単なる個人の見解として批判する政府の対応には、国際人権法の専門家からも批判が出ている。
 書簡は処罰要件となる犯罪の「計画」や「準備行為」などの定義が曖昧で、「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘。さらに特別報告者は法案の公式な英訳文と詳しい説明を政府に対して求めている。
 政府がやるべきは書簡を批判することではなく、指摘を真摯(しんし)に受け止め、誤解があるというなら根拠を示して丁寧に回答することだ。国会ではなお一層、慎重に審議を尽くす必要がある。異論に向き合わない政府の姿勢は、法案への疑念を国内外に印象づけるばかりである。
 政府は、国連の国際組織犯罪防止条約の締結のために法案が必要という。条約の締結自体が必要なことは与野党の多くが認めている。ならば、処罰要件などをより明確化し、対象犯罪をさらに絞り込むといった議論をすべきだ。政府、与党は「成立ありき」で突き進むべきではない。
「共謀罪」法案
審議は尽くされていない
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神戸新聞 2017/06/13
社説:「共謀罪」法案/まだまだ審議が足りない


 国会の会期末が迫り、与野党の攻防が激しさを増している。「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法の改正案を巡り、与党側は審議時間に区切りを付けて、採決に向けた環境を早く整えたい考えだ。
 先例などから、参議院では20時間とはじいているが、これまでの質疑を振り返ると審議が尽くされたとするには、あまりに中身が乏しい。「そもそも法案の必要性があるのか」という根本的な疑問の声にも、政府はきちんと答えないままだ。
 法案は国連の国際組織犯罪防止条約の締結に必要とされる。だが、この条約はテロ対策が目的ではない。条約を結ばなければ国際的な枠組みから日本が漏れ、情報が入ってこないという政府の説明は説得力に欠ける。
 本当に「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ新たな法を整備しなければ、条約を結べないのか。
 犯罪が実行されれば計画段階で参加していた共謀者を処罰できる「共謀共同正犯」や、既存の準備罪などによって、条約を結ぶ条件は十分に整っていることが、国会審議などで明らかになってきた。
 だが、政府はこうした指摘に向き合うことなく、「条約の規定から、改正案を成立させなければ条約の締結は難しい」などと繰り返すばかりだ。
 「東京オリンピック・パラリンピックを開催できないと言っても過言ではない」との強弁は乱暴と言うしかない。
 「共謀罪」は犯罪の計画(共謀)段階で罰することから、「国家が国民の心の内に踏み込んでくる」「捜査当局による監視が強まる」と危惧する声が上がる。連日のように各地で、反対集会や街頭での運動が繰り広げられる。
 政府は「一般人が捜査の対象になることはない」とする。ならば不安を解消するために、憲法が保障する国民の権利を侵害しない規定や、警察の捜査の乱用を防ぐ仕組みを、具体的に法案に盛り込むべきだろう。
 法相をはじめとする政府の答弁だけでは不十分である。
 このようなかたくなで中身に乏しい国会審議で、法案を成立させることは許されず、国民の理解も得られない。まだまだ審議が足りない。
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西日本新聞 2017年06月13日 10時46分
社説:「共謀罪」法案 まだ採決の時期ではない


 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案について、自民党は審議中の参院法務委員会で今週中の採決を民進党に提案した。しかし審議は深まっていない。まだ採決の時期ではない。
 法務委は先週までに参考人質疑を除き16時間審議しており、与党が参院での目標とする20時間に今週で達するというのが採決提案の理由だ。通常国会の会期末が18日に迫っている事情も大きい。
 審議は費やした時間ではなく、どれだけ中身を深めるかが重要であると私たちは社説で再三指摘してきた。しかし、論戦の舞台を衆院から参院へ移しても、改正案に対して多くの国民が感じる疑問や懸念は解消されていない。
 安倍晋三首相ら政府は「国際組織犯罪防止条約締結のために改正案の成立が必要だ」「東京五輪に向けたテロ対策になる」と説明するが、対象犯罪はどう考えてもテロとは結びつかない著作権法違反など幅広い。条約はマフィアなどの経済犯罪防止が目的で、現行法でも締結可能との指摘もある。
 改正案の「組織的犯罪集団」「準備行為」の定義は明確でなく、成立すれば恣意(しい)的な捜査にお墨付きを与えかねない。市民に対する監視が強まる恐れも拭えない。
 金田勝年法相は相変わらず曖昧な答弁を繰り返している。官僚任せにする場面も目立つ。質問と答弁がかみ合わない質疑でいくら時間稼ぎをしても、その累計に一体どんな意味があるというのか。
 こんな審議状態で時間がきたから採決ということなら、「良識の府」「再考の府」という参院の看板が泣く。審議30時間を理由に採決を強行した衆院と同じでいいのか。参院の存在意義、二院制の意味を改めて問い直してほしい。
 政府、与党は改正案の成立を確実にするため、短期間の会期延長も検討しているという。審議はおざなりでも、法案成立へ向け延長や強行を辞さない-そんな姿勢では議会制民主主義は成立しない。審議を尽くし、疑問や懸念がどうしても解けないなら、政府に出直しを求めるのが参院の役割だ。
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南日本新聞 ( 2017/6/15 付 )
社説:[「共謀罪」採決] 良識の府の自殺行為だ


 審議時間が20時間にも満たない段階での異例の強硬手段である。あまりにも乱暴な国会運営だ。
 国会が大詰めを迎える中、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を巡り、与党は参院法務委員会での採決を省略する「中間報告」に踏み切った。
 中間報告は法務委での審議を途中で打ち切り、本会議への報告を求める手続きである。委員会での採決を省いて一気に本会議で採決するのが狙いだ。
 国会法では「特に必要があるときは中間報告を求めることができる」と規定されているが、あくまで非常手段だ。議会制民主主義の否定につながる「禁じ手」との批判が強い。
 共謀罪法案は、監視社会を招く恐れがあるなど多くの疑問が積み残されている。徹底審議が求められているのに、審議を省いていい理由はどこにもない。
 こうした中間報告による法案処理は、「良識の府」を名乗る参院の自殺行為である。与党の行為は到底認められない。
 自民、公明両党は当初、15日の参院法務委で法案を採決し、週内の参院本会議で成立させるシナリオを描いていた。
 だが、この方針を突然、変更した。背景に透けるのは、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人加計学園を巡る問題だ。
 野党は国会答弁が不安定な金田勝年法相の問責決議案だけでなく、文部科学相の不信任決議案や内閣不信任決議案などを次々に提出した。
 野党の攻勢にさらされる首相周辺は、加計学園問題でこれ以上の追及を避けたいのが本音だ。共謀罪法案の採決が遅れ、国会会期を延長すれば「何が起きるか分からない」(政府高官)と身構えていた。
 公明党にとっても、委員会採決のない中間報告は好都合だったろう。参院法務委員会の委員長は党所属議員だ。採決強行を巡る混乱がクローズアップされると、東京都議選を控える党への打撃になるからである。
 中間報告について野党は「究極の強行採決」「前代未聞の暴挙」と反発したのは当然である。
 安倍政権は中間報告に関し昨年12月にも、カジノ法案を巡って実施を検討した前例がある。当時は実施を見送ったものの、数の力でごり押しする1強政権の体質があらわになっている。
 共謀罪法案を巡って国民の疑問や懸念に真正面から答えようとしない。政権与党による熟議を欠いた強引な国会運営はおよそ容認できない。
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