2017-06-18(Sun)

ロンドン高層住宅火災 死者58人か 住民の怒り 貧富の格差

地域住民防火不備を行政が無視」 裕層向け景観優先の外壁? 住民の怒り


◇英高層住宅火災の死者58人か 地域住民防火不備を行政が無視」
----ロンドン西部の高層公営住宅火災で、住宅を所有する自治体や英政府の対応に、地域住民らの怒りが高まっている。
----十六日夕、ケンジントン・チェルシー区役所に抗議に訪れた地元の医学生ウマルさん(25)は「住人は防火対策の不備を訴えていたのに、聞いてもらえなかった。政府と人々は大きく分断されている」と憤った。
 火災は四階から出火後、急速に建物全体に広がった。耐火性が低いとして米国では禁止されている安価な外装材が昨年、外壁に取り付けられ、延焼を助長した疑いが指摘されている。二十四階建てだがスプリンクラーはなく、階段も一カ所だけだった。
 最大野党の労働党は、国の防火基準の不備や二〇一〇年来の保守党政権の財政緊縮策をやり玉に挙げる。自治体は補助金を大幅カットされ防災や住宅管理面でコスト削減の圧力を招き、しわ寄せが市民に犠牲をもたらした可能性がある。
(東京新聞 2017年6月18日 )

ロンドン高層住宅火災、富裕層向け景観優先の外壁? 住民の怒り
----有名人や富裕層の豪邸が立ち並ぶ「ケンジントン・チェルシー地区」。平均住宅価格は、およそ2億円です。政府が作成した、色が薄くなるほど裕福な地域であることを示した図では、火災が起きた住宅は裕福な地域と隣接していることがわかります。住民の再三の指摘にもかかわらず、スプリンクラーの設置など建物内部の防火対策がとられませんでした。
 一方で去年、建物の外観を綺麗にするため取り付けた外壁が燃えやすいものだったことが被害の拡大を招いたと専門家は指摘します。現地のメディアは燃えにくい外壁よりも5000ポンド=およそ70万円安い外壁が使われたと伝えています。
 「あと70万円で燃えにくい外壁を取り付けられたなんて、命よりお金を優先したのです」(デモ参加者)
 住民からは富裕層が住む地域からの景観の整備が、防災対策より優先されたとの疑念が出ています。
(TBSニュース 6月17日15時48分)

ロンドン高層住宅火災で明らかに イギリスが抱える「貧富の格差」
----火災のあった建物に住む受付係員のアリア・アルガッバーニさんは、新たな外装材が取り付けられた昨年の改修工事に立腹していた多くの住人の1人だ。炎が急速に広がった一因に、この改修工事があった可能性を指摘する報道も出ている。
「なぜ外観をきれいにしたのかを考えると、いらだたしい。反対側の高級住宅の住民にとってこのタワーが見苦しいからだ」と彼女は言う。
(ロイター 2017年6月17日11時00分)



以下引用

朝日新聞デジタル2017年6月18日01時17分
ロンドン火災、不明58人と警察発表 全員死亡か
 ロンドン西部の24階建て高層公営住宅で14日に起きた大規模火災で、ロンドン警視庁は17日、「58人が行方不明になっている」と発表した。建物内に生存者はいないとみており、不明者全員が死亡したと推定されるという。警視庁の担当者は、死者・行方不明者数がさらに増える可能性を示唆している。
 同警視庁は火災による死者数について、16日まで「少なくとも30人」と発表していた。このうち16人の遺体がすでに収容され、安置所に運ばれているという。当局が把握している住民以外の人が火災当時に建物にいた可能性もあり、捜索が続けられている。
 不明者数などについて当局の情報公開が少ないとして、地域住民らからは「被害を意図的に矮小(わいしょう)化しようとしている」などと批判が起きていた。15日朝に火災現場を視察しながら被害者と会わなかったと批判を浴びたメイ首相は17日、首相官邸に被害者らを招いて面会した。(ロンドン=渡辺志帆)


東京新聞 2017年6月18日 朝刊
高層住宅火災の死者58人か 地域住民防火不備を行政が無視」
 【ロンドン=小嶋麻友美】ロンドン西部の高層公営住宅火災で、住宅を所有する自治体や英政府の対応に、地域住民らの怒りが高まっている。総選挙で過半数を割って守勢に立たされているメイ政権は、さらに求心力を失いかねない。ロンドン警視庁は十七日、五十八人が死亡したと推定されると明らかにした。
 十六日夕、ケンジントン・チェルシー区役所に抗議に訪れた地元の医学生ウマルさん(25)は「住人は防火対策の不備を訴えていたのに、聞いてもらえなかった。政府と人々は大きく分断されている」と憤った。
 火災は四階から出火後、急速に建物全体に広がった。耐火性が低いとして米国では禁止されている安価な外装材が昨年、外壁に取り付けられ、延焼を助長した疑いが指摘されている。二十四階建てだがスプリンクラーはなく、階段も一カ所だけだった。
 最大野党の労働党は、国の防火基準の不備や二〇一〇年来の保守党政権の財政緊縮策をやり玉に挙げる。自治体は補助金を大幅カットされ防災や住宅管理面でコスト削減の圧力を招き、しわ寄せが市民に犠牲をもたらした可能性がある。
 ウィリアム王子らが住むケンジントン宮殿があり、ロンドンでも裕福な区で知られる同区。一方、現場の北ケンジントン一帯は中東、アフリカ系の住民や移民、労働者層が多い。地元住民には人種差別や格差が招いた悲劇と映る。地元の医師ハサン・リヤズさん(23)は区や政府に「影響力のある人の意見は聞くが、貧しい人々の声には反応しない」と怒りを込めた。
 メイ首相は火災の翌十五日に「私的な訪問」として現場入りしたが、警察や消防関係者と会っただけ。同じ日に視察し、住民らの肩を抱いて慰めた労働党のコービン党首と対照的に映った上、十六日には九十一歳のエリザベス女王も被害者を慰問し、メイ氏の失策が目立っている。
 十六日、病院を訪れて被害者らに会ったメイ氏は、五百万ポンド(約七億円)の基金を設けると発表。声明で「この悲劇で影響を被った全ての人を政府が支え、安心を与えることを約束する」と訴えた。
 十九日には、欧州連合(EU)との離脱交渉が本格的に始まる。一方、国内では、政権樹立に向けた北アイルランドの地域政党、民主統一党との連携合意もまとまっておらず、政権は混迷が続いている。
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NHK 6月18日 4時50分
ロンドン高層住宅火災 少なくとも58人死亡か
イギリス・ロンドンの高層住宅で起きた火災で、地元の警察は少なくとも58人が死亡したと見られ、犠牲者の数はさらに増える可能性があると発表しました。
ロンドン西部の24階建ての高層住宅で14日に発生した火災は、わずかな時間で建物全体に燃え広がり、およそ2日半たってようやく消し止められました。
 この火災について地元の警察は17日、これまでに死亡が確認されている30人を含め、少なくとも58人が死亡したと見られると発表しました。また、警察が現時点で把握していない行方不明者がいることも考えられるため、犠牲者の数はさらに増える可能性があるとしていて、警察と消防で現場の捜索を急いでいます。
 今回の火災では、防火対策の不備が被害の拡大を招いたとされていますが、警察は「捜査には数週間か、それ以上の時間がかかる」として、火災の原因など全容の解明にはかなりの時間を要するという認識を示しました。
 一方、エリザベス女王は17日、みずからの誕生日を祝う公式行事に合わせて声明を発表し、「本来はお祝いの日だが、国全体が沈んだ気持ちでいることを無視できない。数か月の間に相次いだ悲劇の被害者に思いと祈りを寄せている」と述べました。さらに祝賀行事では、エリザベス女王や参加した人たちが1分間の黙とうをささげ、今回の火災や、先のテロ事件の犠牲者を悼みました。


産経ニュース 2017.6.18 10:55
【ロンドン火災】安価な改修工事が大惨事招く? ロンドン高層住宅火災 58人死亡確認 さらに拡大
火災で廃墟のようになった高層アパートに放水する消防士=16日、ロンドン(AP)
 【ロンドン=岡部伸】ロンドン西部の高層アパート火災で、昨年まで行われたアパート大規模改修の際、2種類ある外壁材のうち、より安価で耐火性が低いものが使用されていたことが、18日までに英紙ガーディアンなどの報道で明らかになった。ロンドン警視庁は、こうした安価な改修工事で上層階に火が延焼しやすくなり、未曾有の大惨事を招いたとの疑いを強めている。
 同警視庁幹部は17日、「刑事事件として出火原因、火災拡大の理由、建物の構造、そして改修などを解明している」と述べ、昨年までの改修工事も捜査していることを認めた。 
 また同警視庁は17日、行方不明者は58人とみられ、全員死亡している可能性が高いと発表。このうち30人は遺体が発見されている。
 居住者以外に建物内にいた人もいる可能性もあり、最終的な犠牲者はさらに増えるとみられる。英BBC放送は家族らが掲載した情報に基づき、70人以上が行方不明と報じた。ロイター通信は、確認されれば、第二次世界大戦後の火災での死者数としては最悪になると伝えた。
 死者数や遺体の身元確認などに関する情報は少なく、被災者や遺族には不満が募っている。16日には、火災現場の区役所や首相官邸近くなどで抗議デモも起きた。
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TBSニュース 6月17日15時48分
ロンドン高層住宅火災、富裕層向け景観優先の外壁? 住民の怒り
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3081402.html
ロンドンで起きた高層住宅火災で、地元メディアは犠牲者は70人以上に達するとの見方を報じました。住民たちは低所得者の命が軽視されたと怒りの声をあげています。
 14日にロンドンの高層住宅で起きた火災では30人の死亡が確認され、地元メディアは犠牲者が70人以上に達する見通しだと伝えています。
 「誰が責任とってくれるの?人が死んだのよ!子どもも死んだのよ!」(デモ参加者)
 16日、役所に数百人の住民らが押し寄せました。
 「正義を。正義を」
 「行政の対応に怒った住民が、次々と役所の中に入っていきます」(記者)
 住民たちは低所得者の命が軽視されたと怒りをぶつけました。火災が起きたのは1974年に建築された低所得者向けの公営住宅。移民も多く住む住宅で、最初に死亡が確認されたのはシリア難民の大学生(23)でした。周りは低所得者向けの住宅が点在する地域ですが、少し離れると別の世界が広がります。
 「火災現場からわずか10分ほど歩いた場所ですが、ロンドンでも屈指の高級住宅街となっています」(記者)
 デイビッド・ベッカムさんなど有名人や富裕層の豪邸が立ち並ぶ「ケンジントン・チェルシー地区」。平均住宅価格は、およそ2億円です。政府が作成した、色が薄くなるほど裕福な地域であることを示した図では、火災が起きた住宅は裕福な地域と隣接していることがわかります。住民の再三の指摘にもかかわらず、スプリンクラーの設置など建物内部の防火対策がとられませんでした。
 一方で去年、建物の外観を綺麗にするため取り付けた外壁が燃えやすいものだったことが被害の拡大を招いたと専門家は指摘します。現地のメディアは燃えにくい外壁よりも5000ポンド=およそ70万円安い外壁が使われたと伝えています。
 「あと70万円で燃えにくい外壁を取り付けられたなんて、命よりお金を優先したのです」(デモ参加者)
 住民からは富裕層が住む地域からの景観の整備が、防災対策より優先されたとの疑念が出ています。
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日本経済新聞 2017/6/17 9:25
メイ首相、ロンドン火災対応に批判高まる
 【ロンドン=小滝麻理子】ロンドン西部の高層住宅で起きた火災への対応を巡って、メイ首相への批判が高まっている。メイ氏が直後に住民に面会しなかったことへの不満が噴出。16日には生活再建を求める住民デモが現場近くの区役所などで広がった。8日の総選挙で保守党の議席の過半数割れを招いたメイ氏は、求心力をさらに低下させかねない状況だ。
 「メイはどこにいる」「なぜ来ないんだ」。16日、火災現場を訪れた保守党のレッドソム下院院内総務に対し、被害者らは非難の声を浴びせた。
 メイ氏は15日、現場を訪れた際、救急隊としか面談せず、警備上の懸念を理由に住民を慰問しなかった。これに被害住民らの不満が集中した。メイ氏は公開調査を約束し、その後テレビでお悔やみの声明を発表した。
 一方、最大野党労働党のコービン党首やロンドンのカーン市長は、被害住民らをすぐに訪問。16日にはエリザベス女王とウィリアム王子も住民らを慰問。批判が高まるなかで、メイ氏は16日に再び現場を訪れ住民らと面談したものの、一部から「出て行け」などといった罵声を浴びせられた。
 火災は英国で未曽有の規模となりつつある。少なくとも30人が死亡し、英メディアは最終的な死者数はさらに膨らむ可能性を報じている。
 火災が起きた高層住宅は低所得者向けの公営住宅。住民たちや専門家から以前から防災の必要性が指摘されていたにもかかわらず、対策が取られなかったことが政権への怒りにつながっている。16日の住民デモでは、多くの住民が新たな居住地の確保や被害状況の公表を求め、声を上げた。
 火災への対応の失敗は、メイ氏をさらなる窮状に追い込みかねない。15日に明らかになった調査会社ユーガブの調査では、メイ氏を「評価する」から「評価しない」を差し引いた数値はマイナス34と、4月時点のプラス10から大幅に悪化。一方、コービン氏は大幅に評価を改善させた。
 BBCは「北アイルランドの地域政党との閣外協力交渉や欧州連合(EU)離脱交渉以上に、火災への対応の成否がメイ政権の今後を左右する」と評しており、メイ政権のもとで火災対応がきちんと進むかに国内の注目が集まっている。
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NHK 6月17日 4時47分
ロンドン高層住宅火災 防火対策不備で被害拡大か 住民デモ
イギリス、ロンドンにある公営の高層住宅から火が出て、これまでに30人の死亡が確認された火災で、防火対策の不備が被害の拡大を招いたと指摘される中、この地域の住民ら数百人が抗議のデモを行い、地元の役場に押し寄せました。
ロンドン西部の24階建ての公営住宅で14日、発生した火災は、およそ2日半たってようやく消し止められ、地元の警察は、30人の死亡が確認されたと発表するとともに、犠牲者の数は、さらに増えるおそれがあるとしています。
 今回の火災では専門家の間で、建物の外壁が可燃性の断熱材によって覆われていたことや、スプリンクラーが設置されていなかったことなど、防火対策の不備が被害の拡大を招いたという指摘が出ています。
 こうした中、地域の住民ら数百人が抗議のデモを行い、地元の役場に押し寄せました。デモの参加者は、安全対策の徹底や、早期の移住の実現を求めて、「正義を求める」と声を上げていたほか、役場の中に大勢で入って警察官ともみ合う場面も見られました。
 火災が起きた住宅がある地区は、移民や低所得者が暮らす公営住宅がある一方、近くには高級住宅街もあり、火災をきっかけに住民の間では、行政は富裕層を優遇する政策を優先し、低所得者層の安全を軽視しているという不満が急速に強まっています。
 メイ首相は、被害者の生活や移住を支援するため、7億円余りを拠出する方針を明らかにし、住民の不満を和らげる狙いがあるものと見られます。
女王が避難所訪問 首相には批判
イギリスのエリザベス女王と、ウィリアム王子は16日、火災が起きた高層住宅の住民の避難所となっているスポーツ施設を訪問しました。
 エリザベス女王は警察官や消防隊員から避難所の状況などについて、説明を受けたあと、避難を続けている住民とも言葉を交わしました。また、ボランティアから説明を受けながら、各地から寄せられた衣服や食料などの支援物資を見て回りました。
 イギリスではエリザベス女王だけでなく、労働党のコービン党首も避難している住民のもとを訪れたのに対し、メイ首相は火災の現場となった高層住宅を視察しただけで、住民を慰問しなかったとして、批判されています。
 このため、メイ首相は16日、避難所の1つとなっている教会を訪問しましたが、被害者との面会したあと、教会前に集まった地域の住民から、非難の言葉を浴びせられながら、その場をあとにしました。
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[ロイター]2017年6月17日(土)11時00分
ロンドン高層住宅火災で明らかに イギリスが抱える「貧富の格差」
6月15日、火災で黒焦げになった姿をさらすグレンフェル・タワー(2017年 ロイター/Peter Nicholls)
 少なくとも17人が死亡した大規模火災が今週発生したロンドン西部の公営住宅がある一角から、徒歩で少しの場所に、数百万ポンドはする優雅な住宅が並ぶ、英国で最も裕福な通りの1つがある。
 ケンジントン・アンド・チェルシー王室特別区は、ポップスターやセレブ、富裕層や銀行幹部が住むエリアとして、英国内外で広く知られている。
 だがその同じ地区には、今回の火災が起きた24階建ての高層公営住宅「グレンフェル・タワー」が建つ一角のように、貧しい地区も点在している。
 住民が寝入った14日未明に発生し、瞬く間に炎が建物を飲み込んだ今回の大火災では、住民数十人が行方不明となっており、犠牲者の数はさらに増えると当局は見ている。運よく脱出できた住民も、全ての所持品を失った。
 この大惨事にショックを受けたロンドン市民からは、大量の洋服や靴、シーツなどの寄付が押し寄せ、早々にボランティアが対応しきれない程になっている。
 だが15日には、黒焦げの無残な姿をさらすタワーの周辺から、はっきりと怒りの声が上がっていた。地元当局が、富裕層を優遇する政策に走り、貧しい市民の安全や福利を軽視している、というのだ。
 火災のあった建物に住む受付係員のアリア・アルガッバーニさんは、新たな外装材が取り付けられた昨年の改修工事に立腹していた多くの住人の1人だ。炎が急速に広がった一因に、この改修工事があった可能性を指摘する報道も出ている。
 「なぜ外観をきれいにしたのかを考えると、いらだたしい。反対側の高級住宅の住民にとってこのタワーが見苦しいからだ」と彼女は言う。
 消防当局は、火災原因を特定するには時期尚早としており、地元当局は、改修工事は住人の住環境改善のために行ったと説明している。
「二都物語」
 改修工事中に同タワーの住民と緊密に連携していた地域のまとめ役、ピルグリム・タッカーさんは、今回の火災は、長年の間コミュニティの一部を丸ごと無視したことによる悲劇的な結末だと考えている。
 「この公営住宅の住人は、自分たちが無視されていることを知っている」と、彼女は衝撃を隠せない様子で語った。「もし行政がするべき仕事をしていたなら、こんなことは起きなかった」
 防災上の懸念を住人が指摘したにもかかわらず聞き入れられなかったとタッカー氏らが声を上げるなか、大惨事の余波は、より大きな政治の世界にも広がりつつある。
 先週の総選挙で、財政規律の重視や、減税、ビジネス環境の整備を掲げた与党保守党は、公共事業に対する支出拡大を重視する野党労働党に対し議席を失い、過半数を確保できなかった。
 グレンフェル・タワーのあるケンジントンの選挙区では、史上初めて労働党の候補者が当選を果たし、驚きを持って受け止められた。
 当選した労働党のエマ・デントコード議員は新聞のインタビューで、安全性を軽視したとして行政当局を批判し、悲劇は防げたはずだと指摘するなど、火災を機に素早い反応を見せた。
 メイ首相は15日、グレンフェル・タワーを訪問したが、消防士と会話する一方で住民とは言葉を交わさなかったと批判を浴びた。
対照的に、近隣の教会を訪問して住民やボランティアに面会した労働党のコービン党首は、「来てくれてありがとう」と周囲から声がかかるなど歓迎された。
 「ケンジントンが『二都物語』であることは、避けられない事実だ」と、コービン党首は記者団に述べた。「ケンジントンの南側は極めて裕福で、全国で最も高級な地区だ。この火事が起きた地区は、国内でも最貧の部類だと思う」
「ある種の人々」
 グレンフェルがある一角のすぐ外側は、多様な層が住むノッティング・デールと呼ばれる区域だ。味気のない1970年代築の公共住宅の周りには、富豪とまではいかないものの、裕福な人々が住む手入れの行き届いた住宅が並ぶきれいな通りがある。富豪たちは、数分は離れたホランド・パークと呼ばれる地区に住んでいる。
 ノッティング・デールでは、地元住民の怒りにもかかわらず、火災によってコミュニティの異なる層の人々が団結した。タワーから脱出した人々や、現場近くの自宅から避難を余儀なくされた人々のために、より裕福な住民の多くが住居を開放したのだ。
 ゆとりある生活を送る年配の婦人アナベル・ドナルドさんは、自宅アパートを、行き場のない住人6人に貸している。
 火災が起きた夜、ドナルドさんはパジャマ姿で近くの教会に駆けつけ、避難してきた人たちのためにお茶を入れたり、子供たちにおもちゃをあげたり、大勢が利用するトイレを清掃するなど、できる限りの手助けを行った。
 裕福な側の住民ではあるが、ドナルドさんは、保守党が主導するケンジントン・アンド・チェルシー王室特別区の行政の在り方に対する怒りを共有している。
 「ゆとりのない人たちは、自分たちには何もなく、一方で特権階級が全てを手にしている、と感じている。それは全く真実だと思う」とドナルドさんは言う。
 彼女は、増税で公共住宅や他の公共サービスへの支出を拡充することは簡単にできるのに、地区の税金が不必要に低く抑えられていると批判する。地区税の負担増があれば、喜んで応じる考えだと語った。
 「行政は、倹約する地区であることを自慢に思っている。ある種の人々を喜ばすことができると思ってやっているのだ」と彼女は言う。
 火災の衝撃が社会に広まる一方で、社会的な分断はいつもより重要でなくなったと感じているという。
「教会で手助けしていた時ほど、地域で受け入れられたと感じたことはなかった。彼らは、私がどちら側の人間か、まったく気にしなかった。彼らの子供たちと遊んだり、おむつを替えたり、お茶やコーヒーを用意したりしたことだけが、重要だった」とドナルドさんは語った。
(Estelle Shirbon記者、Alistair Smout記者、翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
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日本経済新聞 2017/6/15 13:05 (2017/6/15 19:37更新)
英、改修高層住宅を一斉点検へ ロンドン火災受け
 【ロンドン=共同】ロンドン西部の高層住宅火災で、警察当局は14日、12人の死亡を確認したと発表した。死者数は増える見通し。カーン市長は連絡のつかない人が多数いると明らかにした。負傷者は78人で、うち18人が重体。建物倒壊の危険性はないという。ロンドン消防局は15日、建物がほぼ鎮火したと明らかにした。
 火災が起きた建物は24階建てで、低所得者層など向けの公営住宅。約120室あり400~600人が住んでいた。英メディアによると高さ約68メートル。1974年に建てられ、昨年、大規模な改修工事を行った。英内務省のハード閣外相(警察・消防担当)は14日、同様に大規模改修を行った高層住宅について一斉点検を実施すると明らかにした。
 メイ首相は「(火災から)学ぶべき教訓があるならば学び、行動を起こす」と明言した。
 警察幹部は、建物内に生存者はいないとの見方を表明。カーン市長は生存者の救助から遺体収容の段階に入ったとの認識を示した。
 英メディアによると発生から丸1日たった15日未明の段階でも建物内部で一部、炎が上がっている。
 高層住宅は昨年、1千万ポンド(約14億円)をかけ、外壁や暖房システムなどの大規模改修を終えたばかりだった。ハード氏は一斉点検について、住民に安心を与えることが目的と指摘。地元行政当局や消防と共に、点検対象の高層住宅を洗い出すという。
 地元自治体の委託を受けて高層住宅の管理を行っていた管理機関は14日「火災の原因や、何が火災を拡大させたかを推測するのは早過ぎる。われわれは原因を確定させるため、関係当局に全面的に協力する」との声明を出した。
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ロイター2017年6月16日(金)10時00分
ロンドンのタワーマンション火災 改修計画に「防火壁」はなかった
6月14日、少なくとも12人が犠牲となった大規模火災が発生した英ロンドンの高層マンションでは、改修工事が昨年完了。だが、その改修計画を記した文書には、高層住宅の改修時には使用されるべきだと専門家が主張する防火壁についての言及はなかった(2017年 ロイター/Neil Hall)
 少なくとも12人が犠牲となった大規模火災が14日発生した英ロンドンの高層マンションでは、改修工事が昨年完了。だが、その改修計画を記した文書には、高層住宅の改修時には使用されるべきだと専門家が主張する防火壁についての言及はなかった。
ロンドンのケンジントン地区に建つ「グレンフェル・タワー」を管理する地元当局は、改修の一環として、大半の階に建物の外側にはめ込まれた断熱パネルのあいだに防火壁が取り付けられていたかどうかについて確認するのを控えた。
 改修を担当した建設会社ライドン・グループも、防火壁が使用されていたかについてコメントしなかった。しかし改修は「順守すべき建築規制、防火法規、安全衛生基準を全て満たしている」と述べた。
 「われわれはグレンフェル・タワーの壊滅的な火災に衝撃を受けています。被害を受けた方々にお見舞い申し上げます」との声明を、同社の広報担当者は電子メールで発表した。
 建築規制を担当する地方自治省も、そのような防火壁が法律で義務づけられているかどうかについての質問を含むロイターの取材要請に応じなかった。
 同省はその後、「出火原因についてコメントするのは適切ではない」との声明を発表した。
 法律専門家も、防火壁が法で義務づけられているかについて、意見を表明するのを差し控えた。
 ロンドンのケンジントン・アンド・チェルシー王室特別区が2012年に発表した計画文書には、外壁に使用されるパネルや材料を詳細に記した改修図が含まれていた。しかし、ロイターの調査によれば、防火壁については言及されていなかった。
 同文書に唯一記されていた新たな外装材は、壁補修材、外装用の亜鉛パネル、そしてポリイソシアヌレートでできた断熱パネルだけだった。
次のページ 昨年改修工事をしたばかりだった
 同文書が、約600人の暮らす1970年代に建てられた24階建てのグレンフェル・タワー改修の最終設計を示していたかどうかは不明だ。また、業界団体が推奨する防火壁が設置されていたかどうかについても明らかではない。
 グレンフェル・タワー下層階のごく一部は難を逃れたが、大半は炎に巻き込まれ、上層階に住む世帯は閉じ込められた。
目撃者によると、ほとんどの住人が寝ているなか、火の手はすぐに上層階まで広がったという。14日遅くに撮影された写真には、ほぼ建物全体が黒焦げになり、煙がくすぶっている様子が写っている。
 約870万ポンド(約12億円)が投じられた改修工事は昨年完了した。自治体の文書によれば、断熱・防音効果を高めるため、新しい外壁材が使用され、窓が交換された。
 建物の外装に断熱層を設置するのはよくあることだが、一部の建築家や建築安全の専門家はそれによる火災のリスクを認識している。
 通常は断熱材で埋められる新たな外装パネルとすでにある壁のすき間が、建物の側面に沿って炎が立ち上る経路となる恐れがあるからだと、専門家は指摘する。
 ロンドンの消防当局は、出火原因はまだ不明だとしている。
 グレンフェル・タワーを管理するケンジントン・アンド・チェルシー王室特別区は「出火原因についてさまざまな説を耳にしている」としたうえで、「その全てが、すでに着手している正式な調査の一環として徹底的に調べられるだろう」との声明を発表した。
次のページ 業界基準は守られなかったのか?
 英国建築研究所(BRE)と外壁断熱材の業界団体が発行する文書は、新旧の壁のすき間をつたって炎が上昇しづらくするため各階に防火壁を設置するよう推奨している。
 「適切な防火壁が設置されなければ、システムを通じて炎が広がる可能性がある。1階以上(すなわち2階から)の各階への防火壁設置が検討されるべきだ」とBREは高層建築の壁に断熱材を使用した際の火災リスクに関する刊行物で指摘している。
 同様の改修において、このようなガイドラインがどれくらい広く、また厳密に守られているのか、ロイターは確認できなかった。また、同ガイドラインがグレンフェル・タワーの改修において、どの程度考慮されていたかについても不明だ。
 BREは建築業界に安全指針を提供する機関。監督権限はないが、最善の業界基準を設ける団体と広く見られている。
(Tom Bergin記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
[ロンドン 14日 ロイター]
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