2017-06-20(Tue)

JAL 中期経営計画 路線拡張計画打ち出せず

路線拡大にかじを切れない 深刻なパイロット不足
(17~20年度グループ中期経営計画


◇経営が自由になったJAL中期経営計画…具体的な路線拡張計画打ち出さず
----日本航空(JAL)は、2017~2020年度グループ中期経営計画を策定した。
 2010年に経営破たんしたJALは、国が支援したことから新規路線開設などが制限されてきたが、これが2017年3月末で終了した。自由に経営できるようになってから初の中期経営計画となる。
 この間、羽田空港発着枠拡大に伴うネットワーク拡大などで、不利な扱いを受けてきた。ライバルである全日本空輸(ANA)が事業を拡大してきた。しかし、JALは今回の計画では具体的な路線拡張計画は打ち出さなかった。
(レスポンス 2017年5月9日09時15分)

◇拡大路線にかじを切れないもう一つの理由が、深刻なパイロット不足だ。
----JALは人件費の負担を減らすため、経営破綻を機にパイロットを約80人リストラした。自社養成パイロットの採用も14年3月期まで4年間凍結した。航空業界の専門家は「4年間の採用停止の弊害は大きい。新規採用しても副操縦士から機長になるまで時間がかかる」と指摘する。
 しかも、パイロット不足は世界的な状況で、国境を越えた人材争奪戦が年々激しくなっている。30年にはアジア・太平洋地域で年間9000人のパイロットが不足するという推計もある。パイロットの高齢化という問題もある。国交省航空局の乗員政策室の大島聡課長補佐は、「国内のパイロットの年齢構成は40代後半に偏っている。この年代の大量退職が始まり、新規採用が進まなければさらに不足感が強まる」と指摘する。

----足元ではJALはグループ全体で徐々にパイロットの人数を増やしている。再上場を果たした13年3月期の2293人から、16年3月期までに2519人へと増員した。JAL広報は「パイロット不足が路線拡大の制約になっているという認識はない」と説明する。しかし、その一方で、JAL経営陣はパイロットの乗務時間を延長することで、パイロット不足を補おうと動いている。

----JALは経営再建の過程で多くの日本人パイロットをリストラし、今も抗議を受け続けている。新たな雇用形態を作り、外国人パイロットを積極的に採用すれば、労組やリストラで職を失ったパイロットなどからの反発は必至だ。一部のJAL幹部は外国人パイロットの採用に関心を寄せていたが、そこまでして事業を拡大することには、破綻、そして再建の経緯を振り返ると慎重にならざるを得ないだろう。
(日経ビジネス2017年6月19日号)




以下引用

JAL HP 2017年04月28日
2017~2020年度 JALグループ中期経営計画を策定
http://press.jal.co.jp/ja/release/201704/004268.html
http://press.jal.co.jp/ja/items/uploads/Attachment_Medium_Term_Management_Plan.pdf


日本経済新聞 2017/4/28 15:55
プレスリリース
JAL、「2017~2020年度 JALグル-プ中期経営計画」を決議
発表日:2017年4月28日
2017~2020年度 JALグループ中期経営計画を策定
~「挑戦、そして成長へ」~
 JALは、東京オリンピック・パラリンピック開催、首都圏空港の発着枠拡張が見込まれる2020年を一つの節目として、「挑戦、そして成長へ」をテーマに、「2017-2020年度 JALグループ中期経営計画」(以下、「17-20中期計画」)を策定しました。
 また、17-20中期計画の策定にあたっては、「世界のお客さま、そして地域と社会」のために、私たちの目指す将来の姿として「世界のJAL」×「一歩先を行く価値」=「常に成長」をキーワードに、JAL Visionを掲げました。
 ※参考画像は添付の関連資料を参照
 17‐20中期計画では、このJAL Visionの実現に向けたステップとして、「フルサービスキャリア事業を磨き上げる」ことと「事業領域を拡げる」ことにチャレンジし、一歩ずつ着実に進み、将来の持続的かつ安定した成長に繋げてまいります。
 ※参考資料は添付の関連資料を参照
■17-20中期計画の位置づけと方向性
 ~振り返り~
 ・前回の中期経営計画(2012-2016年度)では、フルサービスキャリア事業に集中し、機材・商品サービス、人財への投資を行いながら、高品質なサービスの追求と収益性の向上に努めました。
 ・経営目標については、「5年連続営業利益率10%以上、2016年度末自己資本比率50%以上」という財務目標を達成しました。安全と顧客満足目標は一部目標が未達となったものの、社員一丸となって取り組み、安全の層を厚くすると共にJCSI(日本版顧客満足度指数)にて国際線の再利用意向率および他者推奨意向率でNo.1を達成しました。
 ~17-20中期計画~
 ・17-20中期計画では、引き続き「フルサービスキャリア事業を磨き上げる」ことに取り組みます。安全・サービス強化に向けた将来投資を行いながらグローバルな変化に対応し、お客さまに選ばれるエアラインになります。
 ・加えて、強みを活かした新たな収益源の創造・育成といった「事業領域を拡げる」ことへの必要な準備を進め、実行します。
 ・以上から、今回の17-20中期計画では「挑戦、そして成長」をテーマに一歩ずつ着実に進み、持続的かつ安定した成長に繋げるとともに、地域と社会に貢献してまいります。
 ※リリース詳細は添付の関連資料を参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0443995_01.JPG
参考資料
http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0443995_02.JPG
リリース詳細
http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0443995_03.pdf

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日経ビジネス2017年6月19日号
時事深層
INSIDE STORY
不穏な人事が映す成長の足かせ
JALの消極中計の裏事情

 日本航空(JAL)の戦略策定の中枢にいた乗田俊明取締役が、6月22日の株主総会で退任する。今年4月にスタートした中期経営計画の方向性を巡り、慎重路線の植木義晴社長と対立していた。中計発表後、JALの株価は低迷し、同社の成長戦略には大きな疑問符がついている。
 6月22日に開催される日本航空(JAL)の株主総会。壇上に居並ぶ植木義晴社長(64)ら取締役は、4カ月前のある光景を思い出すに違いない。
 2月22日。乗田俊明取締役(59)は、株総で再任される予定の新たな役員リストに自分の名前が入っていないことを知り、衝撃を受けた。退任するのは、社外を含め11人いた取締役の中で乗田氏だけ。同日、東京・品川の本社で開かれた取締役会で、その新体制は決定された。乗田氏は当日まで何も知らされておらず、事実上の解任である。
 この懲罰的ともいえる人事は、一瞬にして業界を駆け巡った。乗田氏は社内外から「次の社長候補」と目されていた人物だったからだ。それまで経営の中枢で中長期戦略を策定してきた。競合のANAホールディングス(HD)経営陣からも、「戦う相手として手ごわい」と一目置かれる存在だった。その後、経営戦略部部長だった梅原秀彦氏も関連会社への出向を命じられており、「経営企画の中枢から“乗田派”が一掃された」と業界関係者は見た。
 背景にはJALの内部にくすぶる権力闘争と、会社の方向性を巡る路線対立があった。業界では2012年に社長に就任した植木氏が丸5年を超え、今春に社長を退任するとの見方があった。しかし、植木社長は続投する。
 「長期政権を視野に内規まで変更したのでは」「実力者である乗田氏を排除して、会長就任後も見据えた一強体制を築く準備を整えたか」……。そんな臆測が関係者の間で飛び交っている。
 JALはかつて社長交代の度に人事抗争が勃発し、経営が迷走した。10年の経営破綻も、06年に起きた、グループ会社役員らが社長を含む代表取締役3人に辞任を迫ったクーデター騒動が遠因ともいわれる。ある有力OBは、「JALは人事抗争が経営破綻の原因となった。今回の人事が経営の迷走につながらないか」と懸念する。
・中計への失望で株価急落
 植木社長と乗田氏の対立がピークに達したのは、今期スタートした中期経営計画の中身を巡ってだった。両者が自らの主張を譲らず、最終的に乗田氏が事実上解任されるという事態に発展したのは、今回の中計がJALにとって極めて大きな意味を持つからだ。
 JALは10年に会社更生法の適用を申請し、債権放棄や企業再生支援機構(現・地域経済活性化支援機構)から出資などの公的支援を受けた。その後、公的支援によって競合他社が不利益を被る可能性があるため、国土交通省は12年にJALの新規の大型投資や路線開設を制限する指針、通称「8.10ペーパー」をまとめた。その有効期限は17年3月末。つまり、今回の中計は、8.10ペーパーのくびきが外れた、再生後初の本格的な成長戦略になると社内外からみられていた。その戦略立案の中心にいたのが、乗田氏だった。
 乗田氏は、「このままでは縮小均衡が続き、周囲を完全に包囲されてしまう」と漏らしていた。意識していたのは、当然、ANAHDの動きだろう。ANAHDはJALが8.10ペーパーで身動きが取れない状況の中で、拡大路線を突き進んだ。インバウンド(訪日外国人)需要などを期待できるアジアでは、16年にベトナム航空と資本・業務提携をしたほか、成田~武漢、成田~プノンペンなどの新規路線を開設し、JALの進出余地を塞ぐかのように攻勢を強めていた。
 一方のJALも14年に、8.10ペーパーの対象外である深夜の発着枠を使って羽田~ホーチミン便を開設するなど、可能な限り対抗策を打ち出していた。こうした競争の矢面に立ってきたのが、経営企画本部長だった乗田氏だ。
 8.10ペーパーの効力が切れるに当たり、乗田氏は「ニーズに応じてもっと柔軟に事業を展開していくべきだ」と路線拡大などで遅れを取り戻す方向性を検討。それは中長期的に世界で戦うために不可欠だと考えた。しかし、植木社長は収益性を重視する慎重路線を堅持。両者の溝は埋まらず、最終的に乗田氏の退任という格好で決着した。
 3月末までという当初予定から大幅に遅れて4月28日に発表された中計には、植木社長の考えが色濃く反映されていた。記者会見で植木社長は「非常に高い収益性を兼ね備えながら、着実に成長していく」と強調した。
中計の発表以降、明暗が分かれた
 確かに21年3月期の連結売上高営業利益率の目標は10%以上で、17年3月期の13.2%より劣るものの、ANAHDの9.3%(21年3月期目標)より高い。それでも、中計発表の翌営業日に当たる5月1日に、株価は前の営業日に比べて一時約8%も下落。その後も日経平均やANAHDの株価は上昇する一方、JALの株価は低迷が続いている。
 株式市場の評価が低いのは、ANAHDより収益性が高くても、明確な成長シナリオが見えないからだ。シティグループ証券の姫野良太アナリストは、「失望は大きい。中計は何もしなくても達成できる数字」と指摘する。
借金はANAの6分の1以下
JALは投資余力が十分にある

 成長投資に振り向けられる資金は潤沢にある。経営破綻で債務が整理され、今や財務基盤は強固だ。17年3月末の有利子負債は1160億円と、ANAHDの6分の1以下。再建により収益性は改善し、利益剰余金はANAHDの2倍近い6477億円も積み上がっている。にもかかわらず、拡大路線にアクセルを踏めないのはなぜか。
 理由の一つは、JALの再建を主導した名誉顧問の稲盛和夫氏の影響とみられる。稲盛氏は、自ら創業した京セラで培ってきた経営哲学の浸透をJALに求めた。それは、JALの企業理念「JALフィロソフィ」として現場に落とし込まれている。
 この“稲盛イズム”は、京セラで「アメーバ経営」と呼ばれる部門別採算制度が特徴だ。部門ごとに小集団を作って採算を管理する手法である。それまでお役所体質でコスト管理が甘かったJALではアメーバ経営の効果は大きく、再上場への原動力となった。
 こうした背景から、今でもJAL社内では稲盛氏の教えを絶対視する風潮が強く、主要部門には10%の営業利益率目標が課せられている。この部門別目標を全社的に積み上げたものが、今回の中計における数値目標の基礎になっているのだが、これが植木社長と乗田氏が対立する火種の一つとなった。
 乗田氏は成長のためには、部門別採算制度の壁を取り払った投資計画が必要だと主張していた。新たな路線の開拓など成長投資を積極的に進めると、ある部門の営業利益率は一時的に悪化せざるを得ない場合もあるからだ。逆に言えば、部門別採算性を絶対視するという足かせを外さない限り、大きな成長は見込めない。こうした乗田氏の姿勢が、“稲盛イズム”を重視する植木社長の不興を買ったといわれている。
パイロットの乗務延長を強行
 そして、乗田氏が主張したような拡大路線にかじを切れないもう一つの理由が、深刻なパイロット不足だ。
 JALは人件費の負担を減らすため、経営破綻を機にパイロットを約80人リストラした。自社養成パイロットの採用も14年3月期まで4年間凍結した。航空業界の専門家は「4年間の採用停止の弊害は大きい。新規採用しても副操縦士から機長になるまで時間がかかる」と指摘する。
 しかも、パイロット不足は世界的な状況で、国境を越えた人材争奪戦が年々激しくなっている。30年にはアジア・太平洋地域で年間9000人のパイロットが不足するという推計もある。パイロットの高齢化という問題もある。国交省航空局の乗員政策室の大島聡課長補佐は、「国内のパイロットの年齢構成は40代後半に偏っている。この年代の大量退職が始まり、新規採用が進まなければさらに不足感が強まる」と指摘する。
・徐々にパイロットを増やしている
 足元ではJALはグループ全体で徐々にパイロットの人数を増やしている。再上場を果たした13年3月期の2293人から、16年3月期までに2519人へと増員した。JAL広報は「パイロット不足が路線拡大の制約になっているという認識はない」と説明する。しかし、その一方で、JAL経営陣はパイロットの乗務時間を延長することで、パイロット不足を補おうと動いている。
 中計の策定と並行してJALの経営陣は、日本航空乗員組合と乗務時間の延長について議論を続けてきた。従来は年間900時間という勤務協定があったが、会社側はこれを960時間に延ばすことを提案していた。ANAHDでは既に900時間から960時間に延長されているが、JALの組合は真っ向から反対。労働負荷は高まっており、健康不安などから乗務できないパイロットが増えていることなどを理由に挙げた。
 話し合いが平行線をたどっていた4月24日、組合に突如として会社からの通告が届く。5月から勤務協定を一方的に破棄し、960時間への移行を断行するというものだ。「これは暴挙だ」。組合からは怒りの声が上がった。
 同月12日に開催された経営協議会で組合員は協定破棄の撤回を求めたが、植木社長から明確な説明はなかった。さらに6月1日の団体交渉では運航本部長で専務執行役員の進俊則取締役が組合に対して「そんなに心配しなくて大丈夫。すぐに960時間に延ばすわけではない」と弁明したものの、組合員の反発は収まらなかった。
 だが、本格的な路線拡大を伴う成長を目指すのであれば、乗務時間の延長だけでは不十分で、パイロットの数を増やす抜本的な対策が必要になる。その切り札となり得るのが、外国人パイロットの活用だ。
 外国人パイロットは人材の流動性が高く、いい条件さえ提示できれば一定数の採用を見込める。実際、ANAHDは組合を説得し、00年代から外国人パイロットを積極的に採用し始めている。リゾート路線などを飛ぶグループ会社のエアージャパンが積極的に採用し、グループ全体では11年3月期の約150人から18年3月期には270人ほどに増える見込みだ。外国人パイロットについては、事業を縮小する際には契約を打ち切りやすい側面もあり、ノウハウを身に付けて一定数を採用できれば、経営の柔軟性を高める効果もある。
 一方、JALは経営再建の過程で多くの日本人パイロットをリストラし、今も抗議を受け続けている。新たな雇用形態を作り、外国人パイロットを積極的に採用すれば、労組やリストラで職を失ったパイロットなどからの反発は必至だ。一部のJAL幹部は外国人パイロットの採用に関心を寄せていたが、そこまでして事業を拡大することには、破綻、そして再建の経緯を振り返ると慎重にならざるを得ないだろう。
「挑戦」するも現実は横ばい
JALは今後「身をかがめる」

 JALは今回の中計のタイトルを「挑戦、そして成長へ」と銘打っている。「挑戦」は、稲盛イズムでも重視されているキーワードだ。植木社長は中計発表の会見でも、安全と顧客満足、財務面での挑戦を強調した。表向きは稲盛イズムを忠実に継承しているように見えるが、そこからは「成長」という企業にとって最も重要な挑戦への意欲が伝わってこない。21年3月期までの設備投資では、年平均2200億円程度と、現状からほぼ横ばい。その中で成長投資への配分を増やし、機材の更新などでサービス水準の向上を目指すが、保有機材の総数で見れば、17年3月期と比べて1機しか増えない。
 植木社長は中計発表の記者会見で、「(16~17年度は)身をかがめるべき時、それは必ず、20年以降に効いてくる」と強調した。一方、解任された乗田氏は、今回の中計期間中こそが攻め時で、縮小均衡に陥れば成長機会は失われると危機感を募らせていた。
 ライバルのANAHDのみならず、世界的な競争が激しくなる中、JALは将来、持続的に成長していけるのか。今回、植木社長らJAL経営陣は、不穏な人事を経て慎重路線を選んだわけだが、その結果が吉と出るかどうかは未知数だ。少なくとも、投資家の多くは疑問を呈している。
(大西 孝弘)日経ビジネス2017年6月19日号 10~13ページより


レスポンス 2017年5月9日(火) 09時15分
経営が自由になったJALの中期経営計画…具体的な路線拡張計画打ち出さず
日本航空(JAL)は、2017~2020年度グループ中期経営計画を策定した。
 2010年に経営破たんしたJALは、国が支援したことから新規路線開設などが制限されてきたが、これが2017年3月末で終了した。自由に経営できるようになってから初の中期経営計画となる。
 この間、羽田空港発着枠拡大に伴うネットワーク拡大などで、不利な扱いを受けてきた。ライバルである全日本空輸(ANA)が事業を拡大してきた。しかし、JALは今回の計画では具体的な路線拡張計画は打ち出さなかった。
 中期経営計画では、東京オリンピック・パラリンピック開催、首都圏空港の発着枠拡張が見込まれる2020年を一つの節目として「挑戦、そして成長へ」をテーマに掲げ、フルサービスキャリア事業を磨き上げるとともに、事業領域拡大にもチャレンジし、「一歩ずつ着実に進み、将来の持続的、安定した成長につなげる」方針。
 具体的には、国際線では、顧客に選ばれるネットワーク、商品・サービスを提供するとともに、海外の顧客に向けた活動を推進し、成長を図るとしており、具体的な新規就航路線などは打ち出さなかった。
 ビジネスクラスのフルフラット化や足元スペースの広い「新・間隔エコノミー」装着機材は拡大する。
 国内線では、「価値の高いサービスの提供」と「新たな航空需要の創造」を通じて、安定的な成長を目指す。最新機エアバスA350-900型機を幹線に導入するほか、エンブラエル190、ATR42-600型機などの新機材を地方路線へ導入する。機内インターネットや高品質な座席を装着する機材を拡大する。また、離島や北海道などの地域ネットワーク運営に取り組むとしている。
 また、適切な「コスト管理」の実践や「固定費の抑制・変動費化の推進」などにより、「売上の最大化、経費の最小化」を図るとともに、現有資源を効率的に活用してキャッシュを生み出す力を伸ばす「筋肉質経営」を推進。「全員参加型の経営」によって社員一人一人の力を結集、目標達成に向けた実行力を高めるとしている。
 ITの活用などによる既存事業の改善・革新、地域と社会への貢献、新たな収益源の確立など、イノベーションにも取り組む。
 このほか、引き続き安全目標(数値目標)に「航空事故ゼロ・重大インシデントゼロの実現」を掲げ、中期経営計画では新たなアプローチを加えることによって安定的なゼロの実現を目指す。《レスポンス編集部》

東洋経済オンライン 2017年04月30日
JALの新たな成長戦略は、なぜ「控えめ」なのか
過当競争続くアジアでLCCと一線画す
中川 雅博 :東洋経済 記者
 日本航空(JAL)はあくまでも「利益重視」の慎重な姿勢を崩さなかった。
 JALは4月28日に発表した新たな中期経営計画で、国際線の座席供給量(座席数と輸送距離を掛け合わせた数値)を2020年度までの4年間で2割強増やすことを明らかにした。植木義晴社長は具体的な路線計画を明示しなかったが、「最も需要が伸びる東南アジアと北米間の(日本を経由する)乗り継ぎ路線を中心に、バランスを取りながらネットワークを拡大したい」と意気込む。
 国際線の成長に5%程度の国内線供給量の伸びと、航空関連の新規事業の収益を加え、2020年度に売上高で1兆5000億円(2016年度比16%増)、営業利益は1800億円程度(同5%増)を計画する。
5年を経て"足かせ"が外れた
 2010年に経営破綻し、国からの3500億円の出資など公的支援を受けて再建したJAL。この支援が全日本空輸(ANA)との競争環境をゆがめたとして、国土交通省は2012年、当時再上場を控えていたJALの新規投資や路線開設を制限する指針、通称「8.10ペーパー」を出していた。
 このペーパーが今年3月末に期限を迎え、JALの"足かせ"はようやく外れた。戦略の自由度が格段に増す。
 だが、国際線の拡大ペースは特段大きく変わるわけではない。実は過去5年間の国際線供給量も17%ほど増えている。成田を発着するボストン、サンディエゴ、ダラス・フォートワース(いずれも米国)、ヘルシンキ(フィンランド)などへの路線を新規開設していたためだ。
 計画策定を率いた経営企画本部長の西尾忠男・常務執行役員は国際線に関して、「いたずらに規模を追わず、供給量は市場全体の成長ペース並みに増やす」と説明する。中期計画の資料を見ると、JALの試算した総需要の伸び率よりも同社の伸び率のほうが控えめだ。
 慎重な姿勢は、航空機の調達計画にも表れている。国際線の機材数は2016年度末で84機。2020年度末は92機で、8機の増加にとどまる。退役機材もあるので、この数字以上に米ボーイングの中型機「787-9」や欧州エアバスの大型機「A350」といった最新機材が入ってくる。1機当たりの平均座席数は増える見込みだ。新規で路線を設けるよりも、既存路線で座席数を増やすほうを優先するとみられる。
・成長に慎重な本当の理由
 背景にあるのが前回の中期計画から引き継がれた「営業利益率10%以上」という目標だ。規模を拡大した揚げ句、座席を埋めるための安売りで利益が出なくなるのは避けたい。過去5年間を平均すると14%ほどの利益率だった。「エアラインとしては高い利益率だったと自負している」(植木社長)。
 実際、航空業界の国際機関であるIATA(国際航空運送協会)によれば、業界全体における過去5年間の営業利益率は5%強。燃油費や為替レートの変動だけでなく、テロや伝染病などのイベントリスクにさらされやすい航空会社が高い利益率を維持するのは難しい。
 「引き続きフルサービスキャリア(FSC)事業を磨き上げる」。植木社長が語る、利益率を維持するためのJALの基本姿勢だ。2016年度末の利益剰余金は6500億円弱と、競合のANAホールディングスの倍の水準。豊富な資金力で座席やラウンジなど、FSCならではのサービスを充実させ差別化する方針だ。
・LCCを取り込むANA、一線を画すJAL
 アジアの空では今、各国のLCC(格安航空会社)が参入し過当競争となっている。利益が出ないなら無理をする意味はない、というのがJALのスタンスだ。今回の中期計画では、JALが33%を出資するLCCのジェットスタージャパンにはまったく触れられていない。その理由について、「LCCは自社のコア領域とは考えていないため」(西尾常務)としている。
 一方、競合のANAホールディングスはLCC事業を成長戦略の中核に据える。もともと100%子会社だったバニラエアに加え、この4月にピーチ・アビエーションも子会社化した。2020年度にはLCCの売上高として、現状の2倍以上の2000億円規模を見込む。アジアだけでなく米国西海岸まで飛べる中距離LCCへの参入も検討する。
 ANAHDは機材数を2016年度末の268機から、2020年度には335機前後と60機以上も増やす。FSCでもLCCでも規模拡大でシェアを取るという姿勢。イベントリスクは付きまとうが、需要拡大の波に乗れば高い利益が出る。JALとは正反対だ。
 控えめなJALの姿勢に対し、株式市場からは「ここ数年で訪日観光や出張需要が高まった。目の前にある成長機会をもっと取っていってほしい」(シティグループ証券の姫野良太アナリスト)といった声も聞かれる。配当性向の引き上げなど株主還元は強化したが、豊富な手元資金をどう使うか、十分な説明があったとはいえない。
 競争が一層激化する中、あくまでサービス重視を掲げるJAL。今後も高い利益率を維持できるか、植木社長以下、経営陣の真の実力が試されることになる。

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