2017-06-27(Tue)

危うい株価高騰 実体経済かけ離れたバブル

日銀株買い一辺倒 4社に1社で「超安定株主」に

----日経平均株価が今月、約1年半ぶりに2万円の大台に乗せた。

----他方、実体経済では様子が異なる。消費も国内総生産(GDP)もほとんど増えていない。今後、この状態が変わるとも思えない。

----株価は本来、実体経済の今と将来見通しを反映するはずだ。ところが今は、この2つが乖離(かいり)している。何を意味するのか。
 
株価が企業の収益性を反映しているなら、総生産が変わらない以上、人件費のカットか、海外活動による収益増か、円安による計算上の収益増しかない。そうでなければ実体経済とはかけ離れたバブルだ。いずれにしても、国内の実体経済とは無関係だ。
 
最も懸念されるのは、株価が官製価格になっていることだ。理由は日銀の異次元緩和にある。

----金融が未来への投資という役割を果たしておらず、ただのマネーゲームと化している。
おまけに日本の株式の30%以上は外国人投資家が保有している。
株価を維持しても、かなりの部分は海外の投資家の懐を肥やすことになる。
日銀は市場から徐々に手を引くべきだ。


日銀株買い一辺倒 4社に1社で「超安定株主」に
----日銀の日本株買いが止まらない。異次元緩和の一環で上場投資信託(ETF)を買い入れる金額を2016年7月に年6兆円に拡大してから1年近くがたち保有残高は推定17兆円を突破。日本株保有額では第3位に急浮上した。上場企業の4社に1社で日銀が「安定株主」になった計算だが、投資活性化で物価上昇につなげる目標の達成は道半ばだ。海図なき株買いの出口は見通せない。




以下引用

日本経済新聞 2017年6月27日
大機小機:危うい株価高騰
 日経平均株価が今月、約1年半ぶりに2万円の大台に乗せた。リーマン・ショック後の2008年10月には一時7000円を割り込み、10年以降の旧民主党政権時代にも8000円台で低迷したが、いまやその2.5倍になっている。めざましい伸び方だ。
 他方、実体経済では様子が異なる。消費も国内総生産(GDP)もほとんど増えていない。今後、この状態が変わるとも思えない。
株価は本来、実体経済の今と将来見通しを反映するはずだ。ところが今は、この2つが乖離(かいり)している。何を意味するのか。
 株価が企業の収益性を反映しているなら、総生産が変わらない以上、人件費のカットか、海外活動による収益増か、円安による計算上の収益増しかない。そうでなければ実体経済とはかけ離れたバブルだ。いずれにしても、国内の実体経済とは無関係だ。
 最も懸念されるのは、株価が官製価格になっていることだ。理由は日銀の異次元緩和にある。
 日銀は上場投資信託(ETF)の買い入れを増やし、今や日本株保有額の第3位だ。日銀の資産状況が悪化すれば円の信用が危ぶまれる。そのため日銀は株価を維持したい。自分でつくった高値相場の維持に奔走せざるを得ない状況だ。
 株価維持には、巨額の年金資産を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も一役買っている。約145兆円の運用資産のうち、昨年末時点では約24%が国内株式に充てられており、保有額首位だ。
 政府・日銀一体の株価維持は、投資家にとって好都合だ。株価が下落しそうになれば政府や日銀が買い支えてくれる。大船に乗った気分だ。政府も市場を安心させるだけでお金がわき、支持される。安上がりのばらまき政策だ。
 これでは、投資資金も政府が買い支えてくれそうなところに回り、将来発展しそうな企業に集中するという保証もない。状況は債券についても同じだ。金融が未来への投資という役割を果たしておらず、ただのマネーゲームと化している。
 おまけに日本の株式の30%以上は外国人投資家が保有している。株価を維持しても、かなりの部分は海外の投資家の懐を肥やすことになる。
 日銀は市場から徐々に手を引くべきだ。
(魔笛)

日本経済新聞 2017/6/24 1:04
日銀、株買い一辺倒 4社に1社で「超安定株主」に
 日銀の日本株買いが止まらない。異次元緩和の一環で上場投資信託(ETF)を買い入れる金額を2016年7月に年6兆円に拡大してから1年近くがたち保有残高は推定17兆円を突破。日本株保有額では第3位に急浮上した。上場企業の4社に1社で日銀が「安定株主」になった計算だが、投資活性化で物価上昇につなげる目標の達成は道半ばだ。海図なき株買いの出口は見通せない。
 日銀タイム。日本株の個人投資家がこう呼ぶ時間帯がある。午後の取引が始まる午後0時30分からおおむね午後2時まで。日銀は直接買うのではなく信託銀行に一定のルール内で決定を委ねている。相場が下がった時点で買うのが大原則のため、インターネットでは刻々と買い出動を先読みする臆測が飛び交う。
 日本経済新聞社の独自推計では上場する3675社のうち、833社で日銀が上位10位内の「大株主」に入った。実際に名簿に表れる株主名はETFを実際に買っている信託銀行だ。ユニクロを展開するファーストリテイリングや半導体製造装置アドバンテストなど日銀が15%超を持つ企業は着実に増えているもよう。サッポロホールディングスなど3社は計算上、筆頭株主になったようだ。
 保有総額は推定17兆円を超え、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と米運用会社ブラックロックに次ぐ第3の機関投資家に急成長した。昨年は個人株主が日本株を売り越す中で日銀が有力な受け皿となったとみられる。みずほ総合研究所の大塚理恵子氏は日経平均株価を最大2千円ほど押し上げたとみる。
 主要国では例をみない中銀のETF購入は10年10月に始まり、黒田緩和の一環で購入額が急増した。日経平均は6月に2万円を突破。日銀は株価下支えに一定の効果を果たしていると主張する。
 企業の間でもアクティビスト(物言う株主)より、日銀が「超安定株主」になってくれるのを歓迎する声が多い。アドバンテストは「株主は選べないが長期で持ってくれればうれしい」という。
 プラス面ばかりではない。割安になれば日銀がすかさず動くため「民間の投資機会を奪っている」(ヘッジファンド運用担当)と恨み節も漏れる。様々な情報を反映しながら適切な株価を見いだすのが株式市場の生命線だが、個別銘柄の「価格発見機能」を低下させているとの見方もある。
 日銀の悩みも深い。株高で現在は数兆円を超える大幅な含み益になっているもようだが、世界的な金融危機などで日本株が大きく下落すれば特別損失が発生する。
 しかも必ず償還期限が来る国債などと違って株式は売らない限り手元に残る。日銀は過去に銀行から買い入れた時価およそ3兆円の株式の売却を静かに進めている。米金融危機などを経てようやく本格売却にこぎ着けたのは16年春で、02年に購入を始めてから10年以上の年月がかかった。
 ETFによる日銀の保有分はまだ上場企業の時価総額の3%弱にすぎず、購入を増やしてもすぐに問題は起きないというのが日銀の立場だ。黒田東彦総裁は6月の記者会見で早期の買い入れ減額が「理論的にはあり得る」と発言したものの、ある日銀関係者は「ETF購入減額を急に決めれば瞬く間に株価が急落し、黒田緩和の成果が一瞬で吹き飛びかねない」と強く否定している。
 これだけの巨額ETF購入でも物価上昇率は前年比で0%台に低迷し、デフレ懸念は払拭できない。株式市場を活性化しインフレ期待を高めるという目的の実現は遠い。
 いまのような経済状況が続けば少なくとも数年はETF購入を続けざるを得ない、というのが日銀主流派の考え方だ。長期にわたり巨額の株を買い続け、事実上売却もしない異形の投資家。強力なカンフル剤を投与しつづける市場はどこへ向かうのか。その帰結を誰も予測できない。
(中村結、浜美佐、宮本岳則)

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日本銀行
指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果
最終更新日:2017年06月26日
https://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_etf.htm
日本銀行が実施した、指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入の結果(約定日ベース)については、以下のとおりです。
2017年1月以降の買入結果
https://www3.boj.or.jp/market/jp/etfreit.zip
2016年12月以前の買入結果
https://www3.boj.or.jp/market/jp/pastetfreit.zip
買入結果については、実施の都度、更新します。

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