2017-06-28(Wed)

タカタ経営破綻 (2) 安全軽視の責任は重い

命を軽んじた代償は重い  後手後手の対応が響いた  欠陥品回収に全力挙げよ  「戦後最大の破綻」の教訓

<各紙社説・論説>
信濃毎日新聞)タカタの破綻 安全軽視の責任は重い (6/27)
神戸新聞)タカタ破綻/欠陥製品の回収が急務だ (6/27)
中国新聞)タカタ破綻 安全に責任持つ再建を (6/27)
西日本新聞)タカタ再生申請 「戦後最大の破綻」の教訓 (6/27)

新潟日報)タカタ経営破綻 命を軽んじた代償は重い(6/27)
徳島新聞)タカタ経営破綻 後手後手の対応が響いた (6/27)
高知新聞)【タカタ経営破綻】欠陥品回収に全力挙げよ(6/27)
佐賀新聞)タカタ破綻 企業統治の根本改革を (6/27)




以下引用



信濃毎日新聞 (2017年6月27日)
社説:タカタの破綻 安全軽視の責任は重い


 安全性を軽視して対応が後手に回り、被害の拡大を招いた責任は大きい。
 欠陥エアバッグのリコール(無料の回収・修理)問題で経営が悪化しているタカタが、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。東京商工リサーチによると、負債総額は約1兆7千億円になり、製造業では戦後最大の破綻となる。
 負債の大部分は、自動車メーカーが肩代わりしているリコール費用が占める。
 欠陥は深刻である。事故の衝撃から乗員を守るはずのエアバッグが作動する際に破裂し、部品の金属片が飛び散って乗員が負傷する恐れがある。
 米国だけで少なくとも11人の死者を出した。国内でも2011年以降、破裂が16件起きている。15年10月に静岡県で女性が重傷を負った事故では、タカタとエアバッグを搭載していた日産自動車の安全管理担当者の2人が業務上過失傷害容疑で書類送検された。
 米国内のリコールは計画を含め6900万台程度になり、国内も1882万台に上る。所有者に連絡がつかないケースもあり、全てを回収するめどは立たない。
 ここまで被害が広がった理由は、タカタと自動車メーカーの対応の遅れにある。
 14年11月の米上院の公聴会で、タカタは05年にエアバッグの破裂を最初に把握したと明らかにしている。それなのに欠陥を認識できなかったとして、リコールを始めたのは08年である。しかも対象を破裂が多発していた高温多湿地帯の米南部などに限定した。
 その間にも被害は広がり、15年5月に対象を全米に拡大した。その理由は米運輸当局が対象の拡大を強く要請したためだ。高田重久会長兼社長が当初は会見を行わず、積極的に情報を発信する姿勢にも欠けていた。
 自動車部品メーカーとして、消費者の安全確保は最も重視するべき問題だ。今回の経営破綻は、基本を怠った結果である。
 対象エアバッグの回収が遅れているのは、交換用の部品が不足しているためでもある。
 初期段階でタカタが欠陥を認め、メーカーと協力して部品増産や新製品開発を加速していれば、問題はここまで大きくならなかった可能性がある。
 タカタに責任を押し付け、対応が遅れた自動車メーカーの責任も問われる。今回の経営破綻で肩代わりしたリコール費用の回収は困難とされる。各メーカーは自戒し、教訓としてほしい。
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神戸新聞 2017/06/27
社説:タカタ破綻/欠陥製品の回収が急務だ


 自動車の安全装備の一つ、エアバッグの世界2位メーカーであるタカタが破綻した。負債額はリコール(無料の回収・修理)費を含め1兆7千億円と、国内の製造業では戦後最大の規模だ。中小の連鎖倒産に至らないよう、政府は緊急融資などの対策を講じる必要がある。
 エアバッグは衝突時に膨らんで運転者の頭などを守るが、タカタ製品には異常破裂で金属片が飛び散る欠陥があった。国内では16件の異常が発生し重傷事故も起きた。米国では11人が死亡している。リコール対象は国内外で1億台を超える見通しで、その費用が経営を圧迫した。
 初のリコールは2008年だった。その後も事故やリコールが繰り返され、国内の回収率は70%超にとどまる。米国は38%とさらに低く、欠陥品が中古部品として流通している可能性も否めない。被害をこれ以上拡大させないよう、タカタと自動車メーカーが連携して回収を急がなければならない。
 今年に入り、米司法省は検査データの不正で3人のタカタ元幹部を起訴したほか、静岡県警は適切なリコール対策を怠ったとして、タカタと日産自動車の安全管理担当者を業務上過失致傷の疑いで書類送検した。これでは信頼回復はほど遠い。
 今後、タカタは中国系の米企業下で再生手続きを進めるが、まず安全を最優先する組織風土を醸成する必要がある。
 エアバッグ破裂の詳細な原因は判明していない。責任の所在を巡りタカタと自動車メーカー各社の議論が長びいたことが、回収の遅れや破綻処理のもたつきにつながった。メーカーもリコール費用の肩代わりで巨額の損失を計上する結果になった。
 投資家の視線を意識して、安易な譲歩はできなかったのだろう。しかし異常が発生した初期の段階で、関係する企業が連携して回収や代替品の開発を急いでいれば、事態はここまで悪化しなかったのではないか。
 自動運転や燃料電池など、自動車技術は急速に発展を遂げているが、最も重要なのは安全確保だ。想定外のトラブルが起これば立ち止まり、原因を徹底的に究明するべきだ。タカタ破綻を教訓に、自動車業界の安全意識を高めてもらいたい。
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中国新聞 2017/6/27
社説:タカタ破綻 安全に責任持つ再建を


 安全の軽視が、製造業で戦後最大の破綻を招いてしまったといえる。欠陥エアバッグのリコール問題で経営が悪化したタカタはきのう、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理された。リコール費用を含めた負債総額は、最終的に1兆7千億円に膨らむ見通しだ。
 自動車産業に及ぼす影響は甚大で、タカタの創業家が固執した「私的整理」でなく、透明性の高い「法的整理」を選んだのは当然だろう。高田重久会長兼社長はきのうの会見で謝罪し、再建の見通しが立った段階で辞任することを表明した。だがその責任はあまりに重い。対策が後手に回り続けたことが、混乱に拍車を掛けたからだ。
 タカタ製のエアバッグには、衝突時に異常破裂し、金属片が飛び散る欠陥があった。米国では2009年以降、少なくとも11人が死亡し、負傷者は世界で180人を超える。
 この欠陥が発覚したのは08年にホンダがリコールを届け出た時にさかのぼる。しかしタカタはそれ以前から欠陥を把握していた。にもかかわらず、リコールの範囲を広げることを渋り、抜本的な対策を講じなかった。
 こうした姿勢が取り返しのつかない事態を生んだのではないか。米国での訴訟では、欠陥を知りつつデータを改ざんして販売したことも問われ、多額の和解金を支払うことになった。
 リコールの対象は日本と米国を中心に1億台まで拡大した。日本では、約1882万台のリコール対象のうち、回収されたのは73%にとどまっている。
 いつ、どこで事故が起きてもおかしくない。再建計画の青写真はまだはっきりしないが、最優先すべき課題は、欠陥エアバッグの早期回収と事故の再発防止の徹底に違いあるまい。タカタは欠陥品の無償回収を続けるという。自動車メーカーも全面的に協力し、消費者の不安解消に努めるべきである。
 というのも、自動車メーカーは原因究明をタカタ任せにして問題を長期化させた責任も指摘されているからだ。リコール費用などの債務をメーカーが肩代わりするのはやむを得ないかもしれない。ただ負担は大きい。経営に及ぼす影響が心配だ。
 タカタに部品を供給している下請け企業なども、経営が打撃を受ける恐れがある。経済産業省は、連鎖倒産を防ぐための保証制度を活用する方針だ。きめ細かい対策を求めたい。
 これからタカタは、中国企業傘下の米自動車部品会社キー・セイフティー・システムズ(KSS)の支援を受ける。事業はKSSに実質的に譲渡し、再生手続きを進めていくことになる。「会社分割」の方式で、新会社が正常なエアバッグやシートベルトなど収益を上げられる事業を受け継ぎ、残る会社は清算業務に当たることも検討しているようだ。
 会社分割によって、欠陥エアバッグが破裂する事故が起きたときに、誰が損害賠償を負うのかといった問題も生じるという。万が一のときには当然、再建された会社が責任を取らなくてはならない。損害賠償から逃げない仕組みが欠かせない。
 タカタの迷走は、品質の高い日本車のブランドイメージを大きく傷つけた。信頼回復には、消費者の安全と安心を守る原点に立ち返ることが必要だ。
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西日本新聞2017年06月27日 11時24分
社説:タカタ再生申請 「戦後最大の破綻」の教訓


 欠陥エアバッグのリコール(無料の回収・修理)問題で経営が悪化したタカタが東京地裁に民事再生法の適用を申請し受理された。子会社のタカタ九州(佐賀県多久市)なども民事再生手続き開始を申し立てた。負債総額は1兆円超の見通しで、製造業として戦後最大の経営破綻となった。
 タカタは米国企業の支援を受け、事業を継続しつつ再建を図るという。まずは自動車安全装置メーカーとして失墜した信頼の回復に取り組む必要がある。同時にリコール対応を急ぎ、被害拡大防止を徹底することが不可欠だ。
 タカタのエアバッグは膨らんだ際に異常破裂し、飛び散った金属片で運転者や同乗者の死傷事故が相次いだ。米国では11人が死亡している。リコール費用は1兆円を超すとされ、一時的に自動車メーカーが肩代わりしている。
 タカタは、中国企業傘下の米自動車部品会社の支援を受け、経営再建を目指す。米自動車部品会社は、タカタからほぼ全ての資産と健全事業を1750億円で買い取り、事業を継続する。譲渡による売却代金は債権者への弁済などに充てる段取りだ。関係者には、子会社や下請け企業を含めた雇用の維持、連鎖倒産の防止に最大限の努力を求めたい。
 2008年にさかのぼる一連のリコールでは、タカタの経営体質が対応を遅らせた面がある。問題発生初期に欠陥を認めず、交換部品の生産も遅れた上、消費者への説明や経営責任の明確化も不十分だった。また、自動車メーカーとの責任の押しつけ合いなども問題を長期化させた。その結果、国内ではリコール対象のエアバッグ搭載車約1882万台のうち改修済みは73%で、米国では4割に満たない。迷走に区切りをつけ、対応を急ぐ必要がある。
 自動車産業は電気自動車や自動運転などで異業種や新興企業の参入も進む。タカタの経営破綻は事故や不具合の際の自動車メーカーと部品メーカーの責任分担の明確化や消費者に対する迅速な説明と対応の重要性も提起している。
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新潟日報 2017/06/27
社説:タカタ経営破綻 命を軽んじた代償は重い


 人命を軽視した姿勢が招いた当然の帰結といえよう。
 欠陥エアバッグのリコール(無料の回収・修理)問題で経営難に陥ったタカタが破綻した。中国企業傘下の米自動車部品会社の支援を受け、事業を継続する。
 負債総額は、自動車メーカーが肩代わりしているリコール費用を含めると約1兆7千億円に上る見通しだ。製造業では戦後最大の破綻である。
 欠陥エアバッグ問題では、米国だけで少なくとも11人が死亡した。国内では記録の残る2011年以降、16件の異常破裂で2人が負傷している。
 このうち同乗者が重傷を負った事故を巡っては今月、タカタと自動車メーカーの社員が書類送検される刑事事件に発展した。
 自動車のユーザーらの安全を守るはずの装置によって、多くの死傷者が出たのである。タカタは猛省しなければならない。
 国内外の自動車メーカーは現在もリコールを進めているが、対象は国内で約1882万台、全世界では1億台を超える。全てを回収するめどは立っていない。
 危険な自動車が依然として使用され、今後も被害者が出る恐れがある。自動車メーカーは回収を急がなければならない。ユーザー側も自分の車がリコール対象なのか確認することが必要だ。
 欠陥エアバッグは、バッグを膨らませるガス発生剤の変質が一因とされる。バッグ作動時に異常破裂し、金属片が飛び散る。ホンダが08年にリコールを開始、14年には米国などで6人が死亡したと海外メディアが報じた。
 問題が深刻なものとなった最大の要因は、対応が後手に回ったことである。
 タカタは異常破裂の原因を巡って自動車メーカーと責任の押し付け合いを続けた。
 タカタが早期に欠陥を認めて交換用部品を増産していれば、多くの死傷者を出す事態を回避できた可能性は大きい。
 欠陥発覚後の対応のどこに問題点があったのか。それをしっかりと検証することが不可欠である。
 タカタはエアバッグのほか、シートベルトやチャイルドシートなども製造している。米国など約20カ国に生産拠点を置き、従業員数は約5万人に上る。
 破綻によって部品の供給が途絶え、自動車の製造が滞るようなことがあれば、影響は甚大だ。
 自動車メーカー各社はリコールで立て替えている費用の回収は困難と見込む。トヨタ自動車などは5千億円以上に上るが、費用に関する引当金を計上しており、業績への影響は限定的とみられる。
 ただし、約570社ある下請け企業には代金の支払いや今後の取引について動揺が広がっている。雇用を維持し、連鎖倒産を防止するため、国は所要の措置をきちんと講じてほしい。
 企業の信用確保には、ユーザーの利益を最優先しなければならない。企業が安定した経営を続けるには、信用という基盤が不可欠だ。
 タカタの破綻はそのことをはっきりと示している。
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徳島新聞 2017年6月27日付
社説: タカタ経営破綻 後手後手の対応が響いた



 日本の製造業では戦後最大の経営破綻だ。欠陥エアバッグのリコール(無料の回収・修理)問題で業績が悪化していたタカタが東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理された。負債総額はリコール費用を含め約1兆7千億円になる見通しだ。
 東京商工リサーチによると、130社以上ある1次下請けの約4割が近畿に集中し、中でも創業の地である滋賀県が最も多い。今回の経営破綻による影響を最小限に食い止めることが大事である。
 問題は、欠陥エアバッグが今も大量に市場に出回っていることだ。早期回収と再発防止を急がなければならない。
 タカタの対応は後手後手に回った。ホンダが2008年に最初のリコールを届け出た段階で欠陥を認め、自動車メーカーと協力し、問題解決に当たっていれば、ここまで事態を深刻化させることはなかっただろう。
 エアバッグの異常破裂の原因を巡って、タカタと自動車メーカーが責任の押し付け合いに終始したことも、回収や再建策の遅れにつながった。経営陣の責任は重いと言わざるを得ない。
 タカタの高田重久会長兼社長は「心より深くおわび申し上げる」と述べたが、肝心なのは、消費者の信頼をどう回復させていくかである。製品の安定供給に努めてもらいたい。
 タカタは中国企業傘下の米自動車部品会社の支援を受け、事業を継続しながら再生手続きを進める。再建の道筋をつけるとともに、製品の安全性をいかに確保するかが課題である。
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高知新聞 2017.06.27 08:00
社説:【タカタ経営破綻】欠陥品回収に全力挙げよ


 欠陥エアバッグ問題に揺れるタカタがついに経営破綻した。東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理された。
 負債総額は、自動車メーカーが肩代わりしているリコール費用を含め約1・7兆円になる見通しだ。製造業では戦後最大の破綻となり、問題の深さを象徴している。
 タカタは今後、米国企業の支援を受け、事業を継続しながら再生を目指すが、根本的な課題はまだ残されたままだ。
 欠陥エアバッグの回収終了のめどが立っておらず、危険な車が現在も世界各地で走り続けている。交換用部品が不足し、リコールに十分対応できていない面もあるという。
 何より優先すべきなのは、被害者をこれ以上増やさないことだ。自動車メーカーとともに早期回収に全力を挙げることが求められる。
 タカタはエアバッグやシートベルトなど自動車向け安全部品では世界有数のメーカーだ。しかし、欠陥エアバッグでは当初、命を守る製品を扱う企業とは思えない不誠実な対応に終始した。
 問題の製品は、作動時にガス発生装置が破裂し、金属片が飛び散る恐れがある。運転手や同乗者が死傷する事例が相次ぎ、死者は米国だけで11人に上っている。
 社内で最初に異常に気付いたのは2005年だが、リコールの開始は3年後。それでも自動車メーカーと協力して回収と交換用部品の生産に力を注いでいれば、これほど被害は拡大しなかったのではないか。米国では昨年秋にも死者が出た。
 後手の対応が経営損失の拡大も招いた。米政府はタカタ経営陣の姿勢を断罪し、タカタは巨額の罰金や和解金の支払いを余儀なくされた。世界の自動車メーカーのタカタ離れも加速した。
 経営責任は重く、経営・創業家である高田家の姿勢を厳しく問う声もある。
 同時に、自動車メーカーもリコール対応などで十分に責任を果たしてきたのか検証する必要がある。車の利用者は部品メーカーではなく、自動車メーカーを信頼して購入したり運転したりしている。
 民事再生法の適用により、自動車メーカーは肩代わりしているリコール費用の多くを請求できなくなる。それでも各社はタカタに法的整理を迫ってきた。
 「退場」を求めないのは技術力を評価しているからだろう。そうでなければ米国企業も支援しまい。タカタはこうした状況にあぐらをかくことなく、回収と再生を目指さなければならない。
 気掛かりなのは、関連会社や下請け企業への影響だ。支援する米国企業は日本各地の製造施設の閉鎖予定はないと説明しているが、雇用や取引への不安は大きい。
 政府は、連鎖倒産を防止するための保証制度を活用する方針を示している。影響を最小限にくい止めるには行政の役割が大きい。
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佐賀新聞 2017年06月27日 05時00分
論説:タカタ破綻 企業統治の根本改革を


 欠陥エアバッグのリコール(無料の回収・修理)問題で経営難に陥っているタカタが、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約1兆7千億円の見通しで、製造業としては戦後最大。問題が長期化して被害が拡大し、経営破綻に至った原因は、経営陣の危機意識の薄さ、対応の拙劣さにある。企業統治の根本的な改革が必要だ。
 タカタは中国企業傘下の米自動車部品会社キー・セイフティー・システムズ(KSS)に1750億円でほぼ全ての事業を譲渡し、裁判所の管理下で再建を進める。タカタのエアバッグを使用している自動車メーカー各社は、リコール費用全額を立て替えており、今後も製品供給を続けてもらうため、費用請求の大部分を放棄して経営再建に協力する。
 欠陥エアバッグの事故により米国だけで少なくとも11人の死者が出たことで、世界的な自動車部品メーカーとしてのブランドは大きく傷ついており、再生への道は平たんではない。しかも、タカタはまだ再建計画の明確な青写真を示していない。消費者と取引企業の信頼を回復するために、一日も早く詳細な再建計画を示すべきである。
 当面、消費者に対して最優先すべき課題は、現在も市場に大量に出回っている欠陥エアバッグの早期回収と再発防止の徹底だ。タカタは欠陥エアバッグの無償回収を続ける方針であり、自動車メーカーと協力して取り組み、消費者の不安を解消してほしい。
 タカタに部品を供給している下請け企業など取引先も、売掛金などの回収が滞れば、経営に打撃を受ける恐れがある。自動車業界のサプライチェーン(調達・供給網)は各企業が緊密に結び付いており、1社でも離脱すると全体に大きな影響が出る。経済産業省には十分な目配りを求めたい。
 ホンダが2008年に最初のリコールを届け出てから約9年。事態が長引いた原因は、できて当然の危機対応をタカタができなかったことにある。危機を危機と認識できなかった上に、法令順守の意識が低く、消費者重視の視点が弱く、説明責任を果たす姿勢が一貫して乏しかった。企業統治が十分に機能していなかったといえよう。
 もしタカタが当初のトラブルを軽視せず、早急に詳細な調査を実施してエアバッグの欠陥の原因を究明し、欠陥製品の回収や新製品の開発に取り組むとともに、消費者と自動車メーカーに丁寧な説明をしていれば、死傷者がここまで増えることはなかったのではないかという見方が多い。
 タカタの社風を示す象徴的な例は、高田重久会長兼社長が重要な局面でも自ら説明することが極めて少なかったことだ。1月に検査データの不正で元幹部3人が起訴された際も、高田氏は記者会見を開かず、自動車メーカーからは「もっとトップが表に出て説明すべきだ」と不信の声が出ていた。まずトップから率先して意識改革を始めなければならない。
 タカタが真に復活するためには、企業風土の変革と従業員の意識の刷新が不可欠である。それができなければ、将来、製品の欠陥や不祥事が発生したときに、同様の対応が繰り返されるかもしれない。すでに三菱自動車が類似の不正を重ねた実例がある。タカタの破綻を日本の企業全体に対する教訓としたい。(共同通信・柳沼勇弥)
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