2017-07-13(Thu)

電通違法残業 正式裁判で  東京簡裁 略式起訴認めず

 「実態を明らかに」「警鐘鳴らす意義」 関係者ら注視  
大企業・経営者に警鐘 労務管理、ビジネスと直結



電通違法残業 裁判で審理  「実態を明らかに」「警鐘鳴らす意義」 関係者ら注視
----政府の働き方改革の議論に大きな影響を与えた電通違法残業事件は、公開の法廷で審理されることになった。東京簡裁は12日、同社への略式命令を不相当と判断。労働問題に取り組む関係者らは正式裁判を通じた実態解明に注目する。企業にとって長時間労働の是正は喫緊の課題で「先例として警鐘を鳴らす意義も大きい」との声も上がる。(総合2面参照)
(日本経済新聞 2017年7月13日)


◇(時時刻刻)違法残業、異例の「不相当」 電通略式起訴認めず 簡裁判断、市民感覚意識か
----新入社員の過労自殺に端を発する広告大手、電通違法残業事件は、法人の刑事責任が法廷で問われる事態に発展した。労働事件で公判が開かれる例は少なく、日本を代表する大企業の刑事責任が正式な裁判で審理されることは極めて異例。労働事件の捜査や企業の労務管理、経営者の意識に今後、大きな影響を与えそうだ。 

■大企業・経営者に警鐘 労務管理、ビジネスと直結
----今回のように「略式」の処分を裁判所が「不相当」として公判を開いた事例は初めてではない。ただ、厚生労働省の「過重労働撲滅特別対策班(かとく)」が捜査した案件のうち該当する2件は、飲食店やスーパーマーケットを運営するいずれも大阪市の会社の事案で、企業規模や知名度といった点で電通とは大きく異なる。今回の東京簡裁の判断が、「長時間労働は当たり前」という意識が根強く残る日本企業の経営者や労務管理の担当者に与える衝撃は小さくない。

----「労働基準法は刑罰が軽いうえ、公判になることはほとんどなく、経営者に法令を順守させるには著しく不十分だった。電通のような大企業も、労働事件を起こせば刑事裁判が開かれることになり、社員の健康や安全が企業の経営問題になることを経営者は意識せざるをえない。経営者の意識に及ぼす影響は計り知れない」。関西大の森岡孝二名誉教授(企業社会論)は、電通の山本社長が法廷に立つ見通しになった影響をこう指摘する。
(朝日新聞 2017年7月13日05時00分)

信濃毎日新聞)社説:労働災害 踏み込み足りぬ改善策 (7/10)




以下引用

日本経済新聞 2017/7/12 20:54
電通違法残業 裁判で審理 東京簡裁「略式命令は不相当」
 電通が社員に違法残業をさせたとして労働基準法違反罪で略式起訴された事件で、東京簡裁(池上邦久裁判官)は12日、正式裁判を開かずに書面審理で刑を科す略式命令は「不相当」と判断し、正式裁判を開くことを決めた。政府の働き方改革の議論にも影響した事件は今後、同種事件としては異例の公開の法廷で審理される。検察側は改めて罰金刑を求刑するとみられる。(関連記事を社会2面に)
 略式命令は検察が簡裁に略式起訴した事件で、刑が「100万円以下の罰金」で、当事者が起訴内容を争わない場合などに、簡裁が正式裁判を省略して書面審理で刑を科す手続き。ただ、刑事訴訟法は、簡裁が略式命令を出すのは「不相当」と判断した場合、正式裁判を開かなければならないと規定している。
 これまで同種の違法労働事件では、検察の略式起訴を受け、簡裁の略式命令で罰金となるケースが多かった。東京簡裁は今回の判断理由を明らかにしていないが、社会に与えた影響や事案の複雑さなどから、電通の経営幹部らが出廷する公開の法廷で審理すべきだと判断したとみられる。
 東京労働局は昨年12月、2015年12月に過労自殺した新入社員の高橋まつりさん(当時24)らに違法な残業をさせた疑いで、法人としての電通と当時の上司の部長を書類送検した。
 東京地検は今月5日、電通略式起訴。当時の上司を含む部長3人については悪質性が高くないと判断し不起訴(起訴猶予)にした。
 起訴状によると、電通は15年10~12月、高橋さんら社員4人に対し、労使間協定で定めた1カ月の残業時間の上限を最大で約19時間超えて働かせたとしている。
 電通は「当社は裁判所の判断に従い対応します」とコメント。高橋さんの母、幸美さん(54)は「電通はこれまで繰り返し過労死を発生させており、そのことを踏まえて裁判所は適切な判断をしていただきたい」とのコメントを出した。


日本経済新聞 2017年7月13日
電通違法残業 裁判で審理  「実態を明らかに」「警鐘鳴らす意義」 関係者ら注視
 政府の働き方改革の議論に大きな影響を与えた電通の違法残業事件は、公開の法廷で審理されることになった。東京簡裁は12日、同社への略式命令を不相当と判断。労働問題に取り組む関係者らは正式裁判を通じた実態解明に注目する。企業にとって長時間労働の是正は喫緊の課題で「先例として警鐘を鳴らす意義も大きい」との声も上がる。(総合2面参照)
 正式裁判になれば、略式の手続きとは異なり公開の法廷で電通幹部が供述したり証人が証言したりすることで、同社の労務管理の実態がより明らかになる可能性がある。
 労働事件を数多く手がける松丸正弁護士(大阪弁護士会)は「電通は過去にも過労自殺問題を起こしながら長年是正されなかった。問題の根は深く略式不相当とした裁判所の判断は当然。法廷で違法残業の実態が明らかにされる意義も大きい」と指摘する。
 「労働基準法違反は軽微な事件として処理されてきたが、長時間労働への社会の目は厳しさを増している。個人責任の追及を含め厳格な態度が求められる」と訴える。
 厚生労働省によると、今回と同様に東京・大阪両労働局にある過重労働撲滅特別対策班(通称かとく)が書類送検した事案では今年に入り、ファミリーレストラン「和食さと」などの運営会社「サトレストランシステムズ」(大阪市)とスーパー運営の「コノミヤ」(同市)に対する略式命令を不相当とする判断が出ている。
 これまでの違法残業事件は企業だけを略式起訴し、業務を指示していた幹部など個人は起訴猶予とする処分が大半だった。だが最近は検察と裁判所の判断にズレが生じている。
 今回も検察は「労働時間の長さや被害労働者の人数を考慮」するなど前例に従って処分を決めたが、この判断に対して裁判所が待ったをかけたといえる。厚労省幹部は「事件としての重大性や社会的な関心の高さを考えれば、驚きはない」と評価。「違法残業を許さない社会的な風潮が裁判所の判断に影響を与えたのかもしれない」とみる。
 ベテラン裁判官も「電通事件は関係者が多く、書面の審理だけの略式処分では不十分と判断した可能性もある」としたうえで「必要に応じて証人尋問もできる公判が必要と考えても不思議ではない」と指摘する。
 幹部が出廷しなければならず、電通にとっては重い判断ともいえるが、今後の刑事処分の指標となるとの声もある。元労働基準監督官の社会保険労務士、北岡大介氏は「労基法違反に関する刑事事件の判例はほとんど蓄積されておらず、社会的な意義は大きい。企業の担当者も今回の裁判を参考に労務管理のあり方を再構築できる」と指摘する。
 さいたま市の社会保険労務士法人の榊裕葵共同代表は「長時間労働を美徳とする企業風土は日本には依然根強いが、経営者は従業員の働き方を率先して正さなければ刑事責任を問われかねないと肝に銘じるべきだ」と訴える。

日本経済新聞 2017/7/13 11:15
<東証>電通が続落 違法残業、裁判で審理 経産省などは指名停止に
(11時10分、コード4324)続落した。前日比80円(1.5%)安の5130円まで下落した。社員に違法残業をさせたとして労働基準法違反罪で同社が略式起訴された事件で、東京簡裁(池上邦久裁判官)は12日、正式裁判を開かずに書面審理で刑を科す略式命令は「不相当」と判断し、正式裁判を開くことを決めた。これに伴って厚生労働省は12日までに、6カ月間、同省発注のイベントなどの入札に参加できなくなる指名停止にした。経済産業省も11日付で1カ月間の指名停止にしており、業績への悪影響を警戒する売りに押された。
 国土交通省も同様の措置を検討しているという。野村証券の長尾佳尚アナリストは12日付リポートで、「今後の営業活動にマイナスの影響が出てくる可能性もある」とみていた。そのうえで「長年築き上げた企画力・クリエーティブ・顧客との信頼関係があるため、業績への影響を特段悲観的にはみていない」とも指摘した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕


朝日新聞 2017年7月13日05時00分
電通違法残業、正式裁判へ 略式起訴認めず 東京簡裁
略式起訴後の流れ
 広告大手電通の違法残業事件で、東京簡裁は12日、労働基準法違反罪で法人としての電通を略式起訴した東京地検の処分について、「不相当」と判断し、正式な刑事裁判を開くことを決めた。法人としての刑事責任が公開の場で問われ、山本敏博社長が出廷する見通し。▼2面=異例の不相当
 書面だけの審理でよいとして検察が略式起訴した事件について裁判所が「不相当」と判断するのは異例。長時間労働に対する社会の批判が強まる中で、大阪簡裁が今年3月、略式起訴された2件の違法残業事件について略式不相当として正式な裁判を開くことを決めるなど、最近は検察に厳しい判断が続いていた。
 簡裁は正式な裁判を求めた理由を発表していないが、複数の関係者によると、本社だけで約6千人の社員がいる巨大企業の違法残業の実態は複雑で、書面だけで量刑を決めるのは困難だと判断したためという。量刑を決めるに当たり、誰がどう労働時間を管理し、なぜ認定できた残業時間が短いのかを、公開の審理で問う必要があると結論づけたとみられる。
 東京地検は7日に略式起訴を発表した際、「上司が違法残業と認識して働かせていたのは4人で、時間は1カ月で最大19時間だった」と述べ、悪質性は認められないと説明。同種の事例を検討して判断した、としていた。
 労基法では法人に科せるのは罰金刑のみだが、裁判では検察が処分を判断した証拠が明らかになるほか、電通側の被告人質問もあり、通常は代表者として社長が出廷する。残業時間について労使が結ぶ「36(サブロク)協定」が無効だったことなど同社の労務管理が明らかになる。
 事件は、2015年12月に同社の新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が自殺したことがきっかけだった。東京地検は今月5日、違法残業を防ぐ体制に不備があったとして、法人としての電通を簡裁に略式起訴。高橋さんの元上司を含む電通本社の部長3人については、処罰を求めるだけの悪質性が認められないとして不起訴処分(起訴猶予)とした。(久保田一道、根津弥)
 ◆キーワード
 <略式不相当> 100万円以下の罰金か科料となる事件で、検察官が容疑者の同意を得て略式起訴したものの、簡裁が略式命令を出すのはふさわしくないと判断した場合に示される。刑事訴訟法の規定で定められている。
 事件が複雑で、事実関係を明らかにする必要がある場合や、検察官と量刑の意見が大きく異なる場合に出される。検察は起訴し、公開の法廷で審理されたうえで、裁判官が判決を言い渡す。
 

朝日新聞 2017年7月13日05時00分
(時時刻刻)違法残業、異例の「不相当」 電通略式起訴認めず 簡裁判断、市民感覚意識か
 新入社員の過労自殺に端を発する広告大手、電通の違法残業事件は、法人の刑事責任が法廷で問われる事態に発展した。労働事件で公判が開かれる例は少なく、日本を代表する大企業の刑事責任が正式な裁判で審理されることは極めて異例。労働事件の捜査や企業の労務管理、経営者の意識に今後、大きな影響を与えそうだ。▼1面参照
 「一般的な決定とは言いがたい。会社は違法残業の事実を認めており、略式命令を出すべきではないか」
 東京簡裁が出した「略式不相当」の判断に、東京地検幹部は強く反発した。
 検察では、昨年末に厚生労働省が一部の事件を書類送検してから、「幹部個人の立件は難しいが、法人は略式起訴できるだろう」という見方が多数を占めていた。山本敏博社長は厚労省の任意の聴取に違法残業を防ぐ体制の不備を認めており、過去の同種の事件の処分を踏襲した判断だった。最高検幹部も「特別な事件ではない」と話していた。
 東京地検は半年間の捜査で、社員の出退社記録やパソコンの使用記録などの物的証拠をもとに社員の違法残業に対する管理職の認識を調べた。その結果、管理職らが強制的に働かせたり、出退社記録の改ざんを指示したりといった悪質性は確認できなかったという。
 電通では残業時間について労使が結ぶ「36(サブロク)協定」が組合の加入率の低下で、一時無効になっていた。送検された内容に含まれた人以外も法の制限を超えて残業していたことが捜査で判明したが、検察は「上司に違法行為をさせた認識はなかった」と判断。約6千人いる本社で違法残業と認定したのは4人、時間は1カ月で最大19時間にとどまった。
 刑事訴訟法は法人が被告となる場合、「代表者が訴訟行為を代表する」と定めており、簡裁が公開の場で審理をすることを決めたことで、山本社長が出廷して被告人質問を受けるとみられる。
 検察と裁判所の判断が分かれた格好だが、裁判官の中には、簡裁の判断には「社会の目、市民感覚も背景にあるのではないか」という声もある。ある裁判官は「書面の証拠だけでは不十分で、法廷での尋問などが必要だと考えたのでは」と語った。
 別のベテラン裁判官も「最近の長時間労働や、ブラック企業に対する世間の懸念を踏まえ、事件と向き合わせることで、電通に反省を深めさせる意図も感じられる」と言う。
 50年以上労働事件に携わってきた宮里邦雄弁護士は「画期的な決定だ」と簡裁の判断を歓迎。「公判が、今後の違法行為の抑止や法令順守の規範意識の形成につながることを期待したい」と話した。(藤原学思、小林孝也)
 ■大企業・経営者に警鐘 労務管理、ビジネスと直結
 全国各地の労働基準監督署が違法残業の疑いで書類送検した事件の大半は、検察が略式起訴し、簡易裁判所が公判を開かずに罰金刑の略式命令を出して終結してきた。
 今回のように「略式」の処分を裁判所が「不相当」として公判を開いた事例は初めてではない。ただ、厚生労働省の「過重労働撲滅特別対策班(かとく)」が捜査した案件のうち該当する2件は、飲食店やスーパーマーケットを運営するいずれも大阪市の会社の事案で、企業規模や知名度といった点で電通とは大きく異なる。今回の東京簡裁の判断が、「長時間労働は当たり前」という意識が根強く残る日本企業の経営者や労務管理の担当者に与える衝撃は小さくない。
 「労働基準法は刑罰が軽いうえ、公判になることはほとんどなく、経営者に法令を順守させるには著しく不十分だった。電通のような大企業も、労働事件を起こせば刑事裁判が開かれることになり、社員の健康や安全が企業の経営問題になることを経営者は意識せざるをえない。経営者の意識に及ぼす影響は計り知れない」。関西大の森岡孝二名誉教授(企業社会論)は、電通の山本社長が法廷に立つ見通しになった影響をこう指摘する。
 厚労省が2015年4月に「かとく」を立ち上げた目的は「過重労働の撲滅」であり、捜査による立件はあくまでも「手段」でしかない。ただ、公判が開かれなければ、企業や社会が違反事例の詳細を知り、長時間労働の是正に向けた教訓を得ることは難しくなる。
 電通は過去に何度も労基署から違法残業で是正勧告を受けながら、抜本的な改革に手を付けずにきた。公判を通じて、違法残業の常態化を招いた原因や、電通の企業体質の問題点を明らかにすることが求められる。
 政府が「働き方改革」の旗を振るなか、労働問題で不祥事を起こした企業への視線は厳しさを増す一方だ。経済産業、環境両省は11日付で、電通に対し、所管する入札などへの1カ月間の指名停止処分を出した。厚労省も7日に6カ月の指名停止処分を出したほか、農林水産省や国土交通省なども指名停止を検討しているという。今後、公判の内容が報じられれば、電通は企業イメージやビジネスにいっそうの打撃を受ける可能性もある。
 電通は12日、東京簡裁の決定を受け、「当社は裁判所の判断に従い対応いたします」という短いコメントを出した。(千葉卓朗、贄川俊)
 ■「適切な判断を」 高橋まつりさん母
 15年末に過労自殺し、事件の発端となった新入社員、高橋まつりさん(当時24)の母、幸美さんは12日、「略式不相当」の判断について「電通は、これまで繰り返し過労死を発生させているので、そのことを踏まえて、裁判所は適切な判断をしていただきたい」とのコメントを出した。
 

毎日新聞2017年7月12日 23時18分
電通違法残業:「非公開」から「公開」へ 実態解明に期待
電通事件、公開の法廷で審理に
 悲惨な過労死を生み出す違法残業は許さない、という社会的機運を高める上でも、電通事件が非公開の書面審理で行われる「略式命令」の手続きではなく、公開の法廷で審理されることになった意義は大きい。どのような労働環境が一人の尊い命を奪ったのか。法廷での実態解明に期待したい。
 今回の事件で、検察当局は早い段階から法人を略式起訴にするとの方向性を決めて捜査していた節がある。検察は、厚労省の「かとく」が過去に捜査した5事件で、いずれも法人を略式起訴しており、今回も前例を踏襲したように見える。
 しかし、電通の事件をきっかけに、過重労働に対する社会の目は格段に厳しくなった。簡裁が「略式不相当」とした理由は明らかでないが、そうした社会の変化が考慮された可能性もある。
 検察側は略式起訴に当たり、電通の労組が労働者の過半数で組織されていなかったため、労使協定が無効だったことを明らかにした。公判では、この点も含め、電通の労働環境に対する不十分な認識がただされることになるだろう。【飯田憲】


朝日新聞デジタル2017年7月12日17時23分
電通の略式起訴は「不相当」 東京簡裁、正式裁判を決定
 広告大手電通の違法残業事件で、東京簡裁は12日、労働基準法違反罪で法人の電通を略式起訴した東京地検の処分について、書面審理だけで量刑を決める略式命令を出すのは「不相当」と判断し、正式な裁判を開くことを決めた。電通の刑事責任が公開の法廷で問われることになる。
 「不相当」の決定は、過去の違法残業事件でも出されたことがある。大阪区検が略式起訴したレストラン経営会社「サトレストランシステムズ」とスーパーマーケット経営会社「コノミヤ」について、大阪簡裁は3月に相次いで「不相当」と判断。正式な裁判を開いた。
 電通事件を巡っては、地検が今月5日、違法残業を防ぐ対策が不十分だったとして、法人としての電通に罰金刑を求めて略式起訴。一方で、東京本社の部長3人については、部下に違法労働をさせていたことは認定しつつ、悪質性がなかったなどとして不起訴処分にしていた。
 捜査は昨年12月、新入社員だった高橋まつりさん(当時24)の自殺が労災認定されたことがきっかけだった。当時の電通の社長が管理責任を取って辞任。後任の山本敏博社長も地検や厚生労働省の任意聴取に、残業を防ぐ労務管理の不十分さを認めた。
 厚労省は今年4月までに、高橋さんの上司だった東京本社の管理職を含め、関西(大阪市)、中部(名古屋市)、京都(京都市)各支社の幹部計4人を書類送検。捜査の過程で、本社の非正社員の増加により、労働時間に関する労基法上の「36(サブロク)協定」が一時、無効になっていたことも発覚した。
 電通は12日、「裁判所の判断に従い対応いたします」とコメントを出した。

産経ニュース 2017.7.12 17:33
電通違法残業事件、正式裁判に 東京簡裁「略式不相当」
 大手広告会社の電通(東京)が社員に違法な残業をさせていた事件で、東京簡裁は12日、労働基準法違反罪で電通を罰金刑とする略式命令を不相当と判断し、正式な裁判を開くことを決めた。簡裁が検察側の略式起訴を退けるのは珍しい。新入社員の過労自殺に端を発した事件は公開の法廷で審理されることになった。
 略式起訴と略式命令は、簡単な事件について非公開の書面審理だけで罰金刑などを言い渡す手続き。より重い罰金刑や、事実の解明・明確化などの理由で略式命令を出すことがふさわしくないと簡裁が判断すれば、通常の公判が開かれる。検察側は公判で改めて罰金刑を求刑するとみられる。
 東京区検は5日、労働基準法違反罪の両罰規定を適用して法人としての同社を略式起訴。起訴状によると、電通は過労自殺した新入社員の高橋まつりさん=当時(24)=ら社員4人に対し、電通本社の労使協定(三六協定)が定めた月50時間を超え、平成27年10~12月に3時間30分~19時間23分の時間外労働をさせたとしている。
 高橋さんの当時の上司ら本社幹部3人と、中部、関西、京都の各支社の幹部計3人は不起訴処分(起訴猶予)となっていた。
 高橋さんの母、幸美さん(54)は「電通はこれまで繰り返し過労死を発生させているので、そのことを踏まえて、裁判所は適切な判断をしていただきたい」とコメントした。電通は「裁判所の判断に従い対応する」としている。

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信濃毎日新聞 (2017年7月10日)
社説:労働災害 踏み込み足りぬ改善策


 検察が労働基準法違反の罪で法人の電通を略式起訴した。
 幹部個々については刑事罰を科す事情は見いだせなかったとし、起訴猶予とした。24歳だった新入社員が過酷な労働を強いられ、自ら命を絶った違法残業事件の捜査は終結した。
 仕事が原因でうつ病などの精神疾患にかかり、昨年度に労災認定されたのは498件で過去最多となっている。未遂を含む過労自殺が84件、脳や心臓の疾患による過労死は107件に上った。
 政府は3月、働き方改革実行計画をまとめた。残業時間の規制や正社員と非正規労働者の同一労働同一賃金を柱とするものの、内容や実効性には疑問が残る。
 関連法の改定案が次の臨時国会に提出される見通しだ。国会審議を通じ、より踏み込んだ改善策を打ち出す必要がある。「私たちで最後にしてほしい」との過労死遺族の思いをくみ取りたい。
 実行計画に盛られた残業時間の上限は、「月100時間未満、2〜6カ月の平均は80時間以内」となっている。残業を当たり前とすること自体おかしいのに、労災認定の「過労死ライン」に相当する。サービス残業や過少申告の問題が増えないか、心配だ。
 トラックやタクシーなどの運転手の上限は、他の職種の年720時間を上回る960時間。医師や建設業とともに、適用の時期が5年間も猶予された。
 昨年度の労災認定では、運転手の脳や心臓の疾患、医療関係者の精神疾患が目立った。改革の先送りは納得し難い。
 同一労働同一賃金は良しとしても、中小企業の認識や労務管理が行き届くのか、との指摘がある。非正規労働者の正社員化を促す新たな施策も見当たらない。
 計画は全体に実現への手段が乏しく、企業と労働組合に委ねた感が強い。国会で残業規制のあり方を審議し直し、特に中小企業への支援策も検討してほしい。
 安倍政権は、高収入の専門職を残業代の支払い対象から外し、「定額働かせ放題」と言われる裁量労働制の対象業種を広げる法案も国会に提出している。不当解雇を職場復帰ではなく金銭で解決できる制度も検討されている。
 どうもちぐはぐだ。これでは労働者の不安は拭えない。
 今年1月1日時点の人口動態調査で、1年間の人口減少数が初めて30万人を超えた。働き過ぎは少子化の一因だ。流れを抑えるためにも、働く者の側に立った労働政策の徹底が求められる。
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