2017-07-25(Tue)

新国立工事 新入社員が過労自殺 残業200時間 

工期短縮迫られ 建設会社「把握せず」 遺族が労災申請  厚労省 過重労働実態を調査

新国立建設会社員が自殺=残業200時間で労災申請-東京
 東京五輪のメイン会場となる新国立競技場の工事を請け負う建設会社に勤務していた都内の男性=当時(23)=が、3月に自殺していたことが20日、分かった。遺族の代理人弁護士が明らかにした。直前1カ月間の残業は200時間を超え、遺族らは過労でうつ病を発症し自殺したとして、上野労基署に労災申請した。
 代理人の川人博弁護士によると、男性は入社1年目で、昨年12月から競技場の地盤改良工事の施工管理業務を担当。3月2日から行方不明になり、4月に長野県で遺体が発見された。
 代理人らが工事現場のセキュリティー記録などを調べたところ、失踪する前の1カ月間は211時間56分の残業が認められた。深夜労働が常態化し、徹夜勤務もあったという。代理人は「工期が遅れる中、五輪に間に合わせるため作業日程は極めて厳しかった」と指摘した。
(時事通信 2017/07/20-18:44)

工期短縮迫られ
----新国立競技場を巡っては、総工費が膨らんだことが批判され15年7月に旧計画が白紙撤回され、本体工事は当初予定から約1年2カ月遅れて16年12月に着工。発注者である日本スポーツ振興センター(JSC)は事業主体の選定にあたり、工期短縮を求めていた。
 20年大会に向けて各競技会場の整備が進む中、川人弁護士は20日、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長宛てに、長時間残業撲滅を求める要請書を提出。「国家的行事であるからといって、その準備のために労働者の命と健康が犠牲になることは断じてあってはならない」と訴えた。今後は、東京都の小池百合子知事や丸川珠代五輪担当相、JSC宛てに同様の要請書を出すという。
(毎日新聞2017年7月20日 23時50分)

◇<厚労省>過重労働実態を調査 新国立建設巡り自殺で
----2020年東京五輪・パラリンピックの主会場になる新国立競技場建設工事を巡り、月200時間近い残業をしていた現場監督の男性(23)が自殺したことを受け、塩崎恭久厚生労働相は21日の閣議後の記者会見で、現場で他にも過重労働の実態がないか調査を始めたと明らかにした。一方、労働組合側からは、働き方改革で残業時間の上限規制が導入されても、建設業界は5年間適用除外となることを批判する声が上がった。
 厚労省によると、過労自殺(未遂を含む)で2016年度に労災認定された建設業の労働者は16人で業種別ワースト2だった。男性の両親も自殺は過重労働が原因だとして労災申請している。
(毎日新聞 2017年7月21日 21時11分)

◇新国立で過労自殺、時間外200時間を会社は「把握せず」
----新国立競技場の地盤改良工事で施工管理をしていた23歳の新入社員の男性が今年3月に過労自殺した問題で、男性が所属していた建設会社は7月21日、日経コンストラクションの取材に対して管理体制に不備があったことを認めた。男性が自殺する直前1カ月の時間外労働は200時間を超えていたが、会社は把握していなかった。http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/cntnews/15/00908/
(日経コンストラクション 2017/07/24)




以下引用

毎日新聞7月21日(金)21時11分
<厚労省>過重労働実態を調査 新国立建設巡り自殺で
 2020年東京五輪・パラリンピックの主会場になる新国立競技場建設工事を巡り、月200時間近い残業をしていた現場監督の男性(23)が自殺したことを受け、塩崎恭久厚生労働相は21日の閣議後の記者会見で、現場で他にも過重労働の実態がないか調査を始めたと明らかにした。一方、労働組合側からは、働き方改革で残業時間の上限規制が導入されても、建設業界は5年間適用除外となることを批判する声が上がった。
 厚労省によると、過労自殺(未遂を含む)で2016年度に労災認定された建設業の労働者は16人で業種別ワースト2だった。男性の両親も自殺は過重労働が原因だとして労災申請している。
 働き方改革が実現した場合、残業の上限は原則月100時間未満、2〜6カ月で月平均80時間以内、年720時間以内となる。ただ、建設業と自動車運転業務は「中小企業の人繰りの苦しさ」を理由に適用が5年間猶予される。
 会見で塩崎氏は「国土交通省と連携して労働時間の短縮に努める」と語った。これに対し、建設業の労組が加盟する基幹労連の工藤智司委員長は取材に「例外扱いの期間を1年でも2年でも短縮し、他の職業並みにしなければならない」と述べ、例外期間の短縮を政府に求めた。【早川健人】


テレ朝news  (2017/07/21 23:30)
【報ステ】「他の社員も残業新国立工事で“自殺”
 去年12月から新国立競技場の建設現場で働いていた男性(23)が、3月2日に失踪し、4月15日に長野県内で遺体で発見された。遺族は、月200時間を超える時間外労働などで精神疾患を発症し、自殺に至ったとして労災申請している。男性が働いていた会社は「他にも彼に近い年次の社員は同じくらい残業していた。大変なことを起こしてしまったと反省している」と述べた。元請け会社の大成建設は「労働時間については、下請け会社の裁量に任せている」と話したうえで「専門工事業者とともに過重労働の発生防止に努めて参る」とコメントしている。小池都知事は会見で「これから都の関連する工事が増えるので、類似のことがないよう注意を払っていきたい」と話した。


時事通信 (2017/07/20-18:44)
新国立建設会社員が自殺=残業200時間で労災申請-東京
 東京五輪のメイン会場となる新国立競技場の工事を請け負う建設会社に勤務していた都内の男性=当時(23)=が、3月に自殺していたことが20日、分かった。遺族の代理人弁護士が明らかにした。直前1カ月間の残業は200時間を超え、遺族らは過労でうつ病を発症し自殺したとして、上野労基署に労災申請した。
 代理人の川人博弁護士によると、男性は入社1年目で、昨年12月から競技場の地盤改良工事の施工管理業務を担当。3月2日から行方不明になり、4月に長野県で遺体が発見された。
 代理人らが工事現場のセキュリティー記録などを調べたところ、失踪する前の1カ月間は211時間56分の残業が認められた。深夜労働が常態化し、徹夜勤務もあったという。代理人は「工期が遅れる中、五輪に間に合わせるため作業日程は極めて厳しかった」と指摘した。
 男性は遺書に「身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした」などと記していた。代理人らは今後、都など関係機関に労働環境改善を要求する。
 会社側も36協定(原則45時間、特別の場合80時間が上限)に違反する時間外勤務があったと認め、両親に謝罪する予定。


毎日新聞2017年7月20日 23時50分
新国立 現場監督、過労自殺か 残業月200時間近く
 2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の建設を巡り、下請け業者で現場監督を務めていた男性(23)=都内在住=が自殺したのは月200時間近い残業を強いられ精神疾患を発症したためだとして、両親が東京労働局上野労働基準監督署に労災申請した。両親の代理人の川人博弁護士が20日、明らかにした。
遺族が労災申請
 申請は12日付。都内で記者会見した川人弁護士によると、工事現場の入退場記録を基に月々の残業時間を調べたところ、過労死ライン(月80時間)を超えており、16年12月が約94時間▽今年1月が約142時間半▽同2月には約196時間--に達し、2月は徹夜勤務が3回あった。
 男性は大学卒業後の16年4月に都内の土木工事会社に入社し、12月中旬から同競技場の地盤改良工事の施工管理業務を担当。今年3月2日、勤務先に「今日は欠勤する」と電話した後に行方不明になり、4月15日に長野県内で遺体で発見された。「身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした。家族、友人、会社の方、本当にすみませんでした」と書かれた遺書が遺体の近くに残され、県警から自殺と判断されたという。
 母親の証言では、午前4時半に起床し深夜1時ごろの帰宅が多かった。生前、両親に「機械の調子が悪く、日程がタイト(ぎりぎり)だ」と話していたといい、川人氏は「五輪開催という国家プロジェクトに間に合わせねばという重圧が現場にあった」と指摘した。
 男性の勤務先の土木工事会社は毎日新聞の取材に「遺族に対し大変申し訳ない。真摯(しんし)に受け止めている」と答え、元請けの大成建設は「専門工事業者に対し、今後も法令順守の徹底を指導する」とのコメントを出した。【早川健人】
工期短縮迫られ
 新国立競技場を巡っては、総工費が膨らんだことが批判され15年7月に旧計画が白紙撤回され、本体工事は当初予定から約1年2カ月遅れて16年12月に着工。発注者である日本スポーツ振興センター(JSC)は事業主体の選定にあたり、工期短縮を求めていた。
 20年大会に向けて各競技会場の整備が進む中、川人弁護士は20日、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長宛てに、長時間残業撲滅を求める要請書を提出。「国家的行事であるからといって、その準備のために労働者の命と健康が犠牲になることは断じてあってはならない」と訴えた。今後は、東京都の小池百合子知事や丸川珠代五輪担当相、JSC宛てに同様の要請書を出すという。【早川健人】


産経ニュース 2017.7.20 16:26
新国立競技場の現場監督「過労自殺」か 遺族が労災申請、五輪組織委に再発防止要請
報道陣に公開された新国立競技場の工事現場。手前は完成予想図=2017年3月、東京都新宿区
 2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の地盤改良工事に従事していた都内の建設会社の男性社員=当時(23)=が自殺したのは、月200時間超の時間外労働などの過重業務が原因として、両親が上野労働基準監督署に労災申請したことが20日、分かった。東京五輪に向けた建設現場で労災が疑われる事案が明らかになったのは初めて。
 遺族側弁護士は同日、「競技場は設計見直しで工期が遅れ、労働者は長時間労働を余儀なくされている」として、大会組織委員会に再発防止を要請した。
 弁護士によると、男性は大学卒業後、昨年4月に都内の建設会社に就職。12月中旬から、新国立競技場の基礎工事の前段階となる地盤改良工事の現場監督となったが、今年3月2日、会社に「欠勤します」と連絡した後、失踪。4月に長野県で遺体で発見された。「身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした」などとする遺書が残されていた。
 男性の時間外労働は失踪前の1カ月間で約212時間に及び、仮眠室のない職場で徹夜し、そのまま翌日の仕事をした日もあった。疲労のため車通勤をやめて片道1時間の電車通勤に切り替えたが、午前4時半ごろ起き、午前0時半~1時に帰宅する日々で、平均2~3時間しか眠れなかったという。
 男性の両親はコメントを出し、「重機がそろわず、工期が遅れているという話を息子から聞いた。後れを取り戻そうと厳しい管理を要求されていたのだと思う。作業着のまま寝てしまい、起こしてもすぐ寝てしまっていた」と振り返った。
 会社側は産経新聞の取材に管理体制の不備を認め、「二度と起こさないよう就業規則の見直しなどに取り組んでいる」と話した。

NHK 7月20日 16時38分
新国立建設現場で働く新入社員自殺 遺族が労災申請
 東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場の建設現場で働いていた新入社員がうつ病になり自殺したのは過重労働が原因だとして、社員の遺族が労災を申請していたことがわかりました。
 記者会見をした遺族の代理人を務める川人博弁護士によりますと、ことし3月に自殺した都内の23歳の男性は、新国立競技場の地盤改良工事の下請けに入っている建設会社新入社員として品質管理などの業務を行っていましたが、自殺した直前の1か月間の時間外の労働時間がおよそ200時間に上ったということです。
 また計画の見直しから施工が遅れた工事を工期に間に合わせなくてはならないと精神的に追い詰められた結果、うつ病になり自殺したということで、今月12日、男性の両親が過重労働が原因だとして労災を申請したということです。
 川人弁護士は組織委員会や東京都などにも改善措置を要請していくということで、両親は「息子と同じように過労で命を落とす人を出したくないという思いでいっぱいです。会社には働く者の命と健康を守るために力を尽くしてほしい」とコメントしています。この建設会社は「長時間労働を引き起こし勤務管理の体制に不備があったことは認識していて、今後、就業規則の見直しに取り組んでいきます」としています。


東スポWeb 2017年7月21日 17時00分 (2017年7月21日 22時11分 更新)
作業員自殺「新国立競技場」建設現場の闇 “隠蔽体質”に批判の声
 これも隠蔽なのか!? 喜ばしいはずの2020年東京五輪・パラリンピックの陰で悲劇が起きていた。新国立競技場の工事現場で働く男性会社員(23=当時)が、今年3月に自殺していたことが20日、明らかになったのだ。この会社員は2月の時間外労働が200時間以上に及んでいたという。遺族は過重労働が原因として労災を申請している。この件は、大会組織委員会など関係団体から発表されておらず“隠蔽疑惑”も浮上。世界中から猛批判を浴びる可能性もある。
 この男性は、競技場の地盤改良工事に携わっており、主に、現場作業員たちの安全管理や材料の品質管理を担当していた。3月2日に突然失跡、4月15日に長野県内で遺体で発見された。遺体のそばには遺書があったため、警察は「自殺」と判断した。
 男性は、新国立競技場の建設を請け負う大成建設から工事を受注する会社に昨年4月に入社。新国立建設に携われることで、希望に胸を膨らませていたに違いない。
 その新国立は競技場のデザイン案が一昨年に白紙撤回されたことで、着工は当初予定より1年あまり遅れて昨年12月にズレ込み、急ピッチの作業に追われることに。その影響により、この男性の今年1月の時間外労働は約143時間、自殺直前の2月には約211時間にも及んだという。1日の睡眠時間が2~3時間で、徹夜もあったとの一部報道もある。
 現場で年上の作業員たち相手に仕事をするだけでも重圧がのしかかっていたはず。加えて、長い勤務時間に睡眠不足では心身ともに疲弊していたことは容易に想像できる。
 20日に会見した代理人弁護士は「工期の遅れを取り戻そうと長時間労働を余儀なくされた。(男性の)労働実態は、人間の生理的限界をはるかに超えた常軌を逸した時間外労働だった」と批判した。男性の遺書には「身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした」とつづられていたという。
 男性の両親は、自殺の原因は過酷な業務にあったとして、12日に上野労働基準監督署に労災申請した。
 だが、この日まで大会組織委員会や大成建設、競技場を管轄する日本スポーツ振興センター(JSC)から男性の件は公表されていない。ある五輪関係者は「組織委員会は純粋に知らなかったんだと思う。JSCには5月の段階で報告が上がっていたが、事実確認をしていたらしい。ただ、こういう案件があったら、すぐに公表すべき。隠蔽していたと言われても仕方がないのでは?」と指摘する。
 実際、先月行われた定例ブリーフィングで、大成建設の関係者は「工事の安全、労働環境に考慮しながら作業している。作業員はこの事業に携わる喜びや誇りを持っている」と語り、この件に触れることはなかった。
 さらに前出の五輪関係者はこう懸念する。
「こんな奴隷のような労働を強いていたのでは、世界中から東京五輪が批判されるかもしれない。そうなれば、オリンピック・ムーブメントどころではない」
 大成建設は本紙の取材に「お亡くなりになられた故人のご冥福をお祈りするとともに、元請けとして専門工事業者に対し、今後も労働法令を含む法令順守の徹底について指導してまいります」とコメント。
 また、JSCも「従業員の方がお亡くなりになったことについて心よりお悔やみ申し上げる次第です。法令順守の徹底について要請してきているところであり、改めて周知徹底を図っているところであります」(一部略)とした。
 24日には、五輪開幕3年前イベントが東京都庁で大々的に開催される。大会の機運を高める節目の時期に、五輪の“ブラック体質”があぶり出された格好だ。
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日経コンストラクション 2017/07/24
新国立で過労自殺、時間外200時間を会社は「把握せず」


http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/cntnews/15/00908/
 新国立競技場の地盤改良工事で施工管理をしていた23歳の新入社員の男性が今年3月に過労自殺した問題で、男性が所属していた建設会社は7月21日、日経コンストラクションの取材に対して管理体制に不備があったことを認めた。男性が自殺する直前1カ月の時間外労働は200時間を超えていたが、会社は把握していなかった。
P)過労自殺した新入社員の男性が働いていた新国立競技場の現場。2016年12月に撮影。遺族側の発表によれば、男性は自殺する直前の1カ月、早朝に出勤するため午前4時半ごろ起床し、翌午前0時~1時に帰宅することが多かった(写真:大村 拓也)
 自殺した男性は、2016年3月に大学を卒業し、地盤改良工事などを得意とする建設会社に入社。新人社員研修の後におよそ10件の現場で経験を積み、16年12月から東京五輪などに向けて建設中の新国立競技場の現場に配属となった。
 男性が担当していたのは、新国立競技場の敷地内における深層混合処理工法による地盤改良工事。新国立競技場の一連の建設工事は日本スポーツ振興センターが発注して、大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JVが受注。男性の所属する建設会社は、一次下請け会社として施工を担っていた。
 男性は今年3月、「今日は欠勤する」と会社に連絡した後、突然失踪。4月に長野県内で遺体が発見された。自殺とみられる。「突然このような形をとってしまい、もうしわけございません。身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした」と記されたメモも見つかった。
36協定を大幅に超える“違法残業”
 遺族の代理人である川人博弁護士によると、自殺が発覚した当初、会社は男性の時間外労働が80時間以内だったと説明していた。しかし、遺族側が再調査を要求したところ、男性の時間外労働は今年1月に116時間、2月に193時間まで達していたと訂正した。
 男性が使用していたパソコンの電源をオン・オフした記録などから遺族らが割り出した労働時間はこれをさらに上回る。深夜までの労働が常態化しており、17年2月中に3回の徹夜勤務があったことも明らかになった。
図)遺族らは、自殺した男性が新国立競技場の現場で働き始めてからの労働時間をパソコンのオン・オフ記録などから割り出した。2017年2月1日から3月2日までの総労働時間数は379時間を超えた(資料:川人法律事務所)
 この建設会社の労使間で定めた「36(サブロク)協定」によると、1カ月当たりで認められた時間外労働は原則が45時間、特別な場合でも80時間だった。川人弁護士は「36協定の規定を大きく超える違法残業であったことは間違いない」と指摘。遺族は7月12日、過重労働によって精神障害を発病したとして、労働基準監督署に労災を申請した。
 深層混合処理工法は地盤改良の一般的な工法で、男性の会社でも実績があった。男性の業務内容は現場の写真撮影や品質・安全管理のほか、事務所での作業日誌作成や管理記録の記入など。会社は「新入社員が担当できる業務の範囲内だった」としている。
 とはいえ、新国立競技場の工事はデザインや建設費をめぐる混乱などで着工が遅れ、19年11月の竣工を目指して厳しい工程管理が求められている。男性の会社は「地盤改良工事自体の工期は今年の6月30日で、10日遅れの7月10日に完工した」としている。
図)新国立競技場の今年6月23日時点での全体工程表(資料:日本スポーツ振興センター)
図)日本スポーツ振興センターが今年2月24日に公開した新国立競技場の工事進捗状況。この時点では4カ所で地盤改良工事が進んでいたのが分かる(資料:日本スポーツ振興センター)

“たった1人”の新入社員
 男性が所属していた建設会社は、男性の残業時間が急増した今年2月に現場に導入する重機の台数が増え、工事が繁忙期を迎えていたと説明している。遺族の証言では、男性は今年1月終わりごろに「重機が予定通りそろわず、工事が遅れている」と話していたという。遺族らは、工程の遅れを取り戻すために2月が極端に忙しくなったとみている。
P)地盤改良工事や造成工事など、多数の工種が同時並行で進む新国立競技場の現場。地盤改良工事は建築工事の前段階にあり、厳しい工程に縛られていたとみられる。2016年12月に撮影(写真:大村 拓也)
 新入社員である男性の過剰な負荷に、周囲は気付くことができなかったのか。
 日経コンストラクションの取材によると、自殺した男性はこの会社にとって16年度に入社した唯一の新入社員だった。「新卒の採用活動が難航し、結果的に入社したのは彼1人になってしまった」と会社の担当者は説明する。
 この会社は新国立競技場の現場を計5人で担当していた。自殺した男性を含め、中堅の社員を筆頭とするチームだ。
 会社唯一の新入社員だった男性には、「同期」と呼べる存在がいなかったことを意味する。「相談や愚痴をこぼす相手がいなかったとすれば、本当にかわいそうなことをした」と会社の担当者は悔やむ。
 男性はOJT(職場内訓練)期間中だったが、特定の指導役はいなかった。チームに入社3年以内の年齢が近い先輩社員がいたものの、先輩社員自身も多忙で余裕がない状況だったとみられる。
「3年はいたいが、もたない」
 川人弁護士によると、男性は自殺する直前の2月、友人に「今の職場に3年はいたいが、もたない。辞めたい」と話していた。
 過酷な労働環境が若手技術者の将来を奪う例は少なくない。建設現場の労働時間は、全国平均で健康障害に直結する「過労死ライン」に近い水準にある。建設業に従事する労働者が精神障害を発症し、労災が認定された件数は16年度に過去最多を記録した。
図)建設会社、建設コンサルタント会社の1カ月当たりの残業時間。建設会社は11月単月、建設コンサルタント会社は10月単月の平均値。それぞれ日本建設産業職員労働組合協議会と全国建設関連産業労働組合連合会の2016年アンケート結果より引用。全産業は厚生労働省の資料に基づき日経コンストラクションが作成
 36協定で定める時間外労働時間は、原則月45時間以内かつ年360時間以内とする上限規制がある。しかし、現状は建設業と運輸業は適用外となっている。業務の特性上、一定の長時間労働が避けられないと考えられてきたからだ。
 一方、川人弁護士は建設業が時間外労働の上限規制が適用外となっている状況を「極めて危険」と指摘する。政府は今年3月に「働き方改革実行計画」の中で、長時間労働を罰則付きで規制すると表明。建設業も時間外労働の上限規制を適用する方針だ。しかし、適用までには5年の猶予を設けており、その間にも東京五輪に向けて本格化する工事の現場などで、違法な長時間労働が横行する懸念がある。
図)建設業における時間外労働規制の見直しの方向性。政府の「働き方改革実現会議」の資料を基に日経コンストラクションが作成
 男性の自殺を受け、再発防止に国も立ち上がる。塩崎恭久厚生労働相は7月21日、新国立競技場の建設現場の働き方の実態を調査する考えを示した。厚生労働省と国土交通省が連携し、労働時間の短縮に本腰を入れる見通しだ。 
※男性が所属していた建設会社名は、遺族の希望により伏せました。

 どうすれば、建設業界に入った貴重な若手を守り、育てられるのか――。日経コンストラクションは7月24日号で特集記事「若手を潰すな!」で若手技術者の働き方と育成の課題をまとめたばかりだ。将来を担う若手だけでなく、あなた自身の働き方を考えるためにも、ぜひ一読いただきたい。
2017年7月24日号特集 
若手を潰すな! 働き方改革なくして次世代育たず
日経コンストラクション2017年7月24日号特集「若手を潰すな!」から
長谷川 瑤子 [日経コンストラクション]
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