2017-08-04(Fri)

安倍内閣改造 強権と隠蔽の体質正せ

疑惑解明から逃げるな  民意と向き合う姿勢こそ  政治姿勢も手法も変えよ

<各紙社説・主張>
朝日新聞)内閣改造 強権と隠蔽の体質正せ(8/4)
読売新聞)安倍内閣改造 「経済最優先」で原点回帰せよ(8/4)
毎日新聞)安倍首相が窮余の内閣改造 政治姿勢も手法も変えよ(8/4)
日本経済新聞)改造内閣への注文(上) 政権への信頼の回復こそが急務だ (8/4)

東京新聞)改造内閣が始動 憲法守る政治、今度こそ(8/4)
しんぶん赤旗)安倍政権改造人事 追い詰められて、開き直って(8/4)
北海道新聞)改造内閣発足 民意と向き合う姿勢こそ(8/4)
河北新報)内閣改造/首相の政治姿勢が問われる(8/4)

信濃毎日新聞)内閣改造 強権政治を改めてこそ(8/4)
京都新聞)内閣改造  おごり排し信頼回復を(8/4)
神戸新聞)安倍内閣改造/政権の体質は改まるのか(8/4)
中国新聞)内閣改造 疑惑解明から逃げるな(8/4)
西日本新聞)内閣改造 政治姿勢を改めるときだ(8/4)




以下引用



朝日新聞 2017年8月4日05時00分
(社説)内閣改造 強権隠蔽の体質正せ


 安倍首相が内閣改造と自民党役員人事を行った。
 麻生副総理・財務相、菅官房長官、二階幹事長を留任させる一方、政権に距離を置く野田聖子氏を総務相にあてるなど、「お友だち」に甘いという批判を意識し、刷新イメージを打ち出す狙いがあるようだ。
 とはいえ、忘れてならないのは、政権失速の最大の原因がほかならぬ首相にあるということだ。朝日新聞の7月の世論調査では、首相の最近の発言や振るまいについて61%が「信用できない」と答えた。
 辞任した稲田元防衛相を国会の閉会中審査に出席させようとしない姿勢は、身内に甘く、都合の悪い情報を隠そうとする政権の体質がまったく変わっていない現実を露呈している。
 政権の強権姿勢と隠蔽(いんぺい)体質を正せるかどうか。改造内閣が問われるのはそこである。
 加計問題では、野党の質問を「印象操作」と決めつけ、明らかになった文書を「怪文書」扱いするなど、首相や官房長官のおごりがあらわになった。
 身内への甘さの裏側にあるのが、自らに批判的な人々を敵視する姿勢だ。東京都議選の最終日、「辞めろ」コールをする聴衆に向かい、首相が「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と声を張り上げたのはその典型である。
 国会での議論を軽んじる姿勢も改めるべきだ。多くの国民が懸念を抱く「共謀罪」法を、参院の委員会採決を省略して成立させたことに象徴される。
 だが、その指揮をとった松山政司・参院国対委員長を1億総活躍相に、稲田氏の国会招致を拒んだ竹下亘・衆院国対委員長を総務会長に就けた。
 首相は記者会見で反省を口にし、頭を下げたが、真意を疑わせる人事だ。
 改造内閣がまずなすべきことは明らかだ。野党が求めている臨時国会をすみやかに開くことだ。これは憲法に基づく要求であり、首相の都合で可否を決められる問題ではない。
 臨時国会では一連の問題について関連文書の調査を尽くし、すべて公開するとともに、関係者に出席を求め、事実を包み隠さず明らかにする必要がある。
 今回、加計問題で野党の追及を受けた山本地方創生相と松野文部科学相、萩生田官房副長官を交代させたが、このまま説明責任を果たさないなら「疑惑隠し」の改造と言うしかない。
 自らが深く傷つけた政治全体への信頼を取り戻す一歩を踏み出すことができるか。問われているのは首相自身である。
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読売新聞 2017年08月04日 06時03分
社説:安倍内閣改造 「経済最優先」で原点回帰せよ 


 ◆堅実な布陣で負の連鎖断てるか◆
 かつてない逆風の中での再出発である。「人心一新」によって、国民の不信感を払拭するという安易な期待は禁物だ。
 様々な政策を前に進めて着実に結果を出す。それが信頼回復を図る唯一の道である。
 第3次安倍・第3次改造内閣が発足した。麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官ら5閣僚が留任し、内閣の骨格は維持した。
 即戦力の閣僚経験者7人を再入閣させる一方、初入閣は6人にとどめ、堅実な布陣としたのは妥当だ。政策面で成果を上げるには、政権基盤の安定が前提となる。
 ◆政策テーマの整理を
 7月2日の東京都議選での自民党大敗を機に、「安倍1強」の驕りや緩みへの批判が高まり、内閣支持率を低下させるという「負の連鎖」が続いている。新たな体制で反転攻勢できるかどうかが、安倍政権の将来を左右しよう。
 安倍首相は記者会見で「最優先すべきは経済の再生だ。アベノミクスを加速させたい」と強調した。新内閣について「結果本位の仕事人内閣だ」とも語った。
 経済政策を最優先する首相の方針は当然だ。2012年12月の第2次安倍政権の発足時に掲げた「デフレ脱却」は依然、道半ばにある。景気は緩やかに回復しているものの、安定した成長軌道には至っていない。
 今月末には、18年度予算の概算要求を控える。成長戦略を強化し、好調な企業業績を賃上げや内需拡大につなげる好循環の実現に資する施策に重点を置くべきだ。
 消費者の「貯蓄志向」の転換には、社会保障制度の持続可能性を高め、老後や子育てへの不安を解消することが欠かせない。
 麻生氏や世耕弘成経済産業相、茂木敏充経済再生相、加藤勝信厚生労働相は緊密に連携し、こうした改革に取り組む必要がある。
 茂木氏は、新たな看板政策「人づくり革命」も担当する。
 ◆防衛省再建を急ぎたい
 人材育成を重視する理念は理解できるが、教育無償化など「人への投資」の野放図な拡大はバラマキに直結する。「1億総活躍社会」「働き方改革」といった既存のテーマと重複しないよう、施策と所管官庁を整理せねばならない。
 北朝鮮の核・ミサイルの脅威が拡大する中、日米同盟を強化する必要性は一段と増している。経済、軍事両面で影響力と自己主張を強める中国や、反日的な姿勢を内包する韓国の文在寅政権との関係改善も重要かつ困難な課題だ。
 外相には、河野太郎・前国家公安委員長が起用された。途上国援助の削減が持論で、外交手腕は未知数だ。6日からの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議で早速、真価が試されよう。
 小野寺五典防衛相は3年足らずでの異例の再登板だ。陸上自衛隊の日報問題で防衛省は、閣僚、次官、陸幕長が辞任・退職したうえ、背広組と制服組の対立が表面化する異常事態に陥った。省内の態勢の立て直しが急務である。
 加計学園問題を抱える文部科学相には政策通の林芳正・元農相が就任した。首相とともに、積極的に説明責任を果たしてほしい。
 首相と親しい塩崎厚労相、高市総務相、石原経済再生相らは、そろって退任した。代わって、首相と距離を置き、時に苦言も呈してきた野田聖子・元郵政相が総務相に起用された。
 安倍1強下での「お友達優遇」批判を踏まえ、首相は挙党態勢を重視したのだろう。出身の細田派の閣僚ポストも5から3に減らした。異なる意見にも謙虚に耳を傾ける姿勢を忘れず、政策の幅を広げることが肝要である。
 自民党では、二階俊博幹事長、高村正彦副総裁は続投した。総務会長に竹下亘国会対策委員長、政調会長には岸田文雄外相が起用された。従来以上に政府と連携するとともに、政策面での情報発信を強めることが求められる。
 ◆異論聞く度量が大切だ
 丁寧な国会運営を心がけつつ、不祥事が相次ぐ若手議員の研修にも力を入れる必要がある。
 岸田氏の三役入りは、「ポスト安倍」をうかがう本人が希望し、首相が受け入れた。岸田派から4閣僚を選んだのと合わせ、首相の岸田氏への配慮が目立った。
 憲法改正について、首相は「スケジュールありきではない。党主導で進めてほしい」と述べた。
 自民党は、年内の改正案作成に向けて、自衛隊の根拠規定の明記、緊急事態条項の創設など、重点4項目を議論している。いずれも重要な課題だ。より幅広い支持と理解が得られるよう、しっかりと論議を深めることが大切である。
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毎日新聞2017年8月4日 東京朝刊
社説:安倍首相が窮余の内閣改造 政治姿勢も手法も変えよ


 安倍晋三首相は今の危機的状況をこれで乗り切れるだろうか。重大な岐路を迎える中で安倍改造内閣がきのう発足した。
 首相が頼みとしてきた内閣支持率の急落が続き、来秋の自民党総裁選で3選を狙う筋書きが揺らいでいる事態を踏まえた人事である。
 今回は、首相と距離を置いてきた野田聖子氏を総務相に起用するなど、これまでと違った姿を強調しようとしたのは確かだろう。「お友達内閣」批判に配慮し、挙党態勢作りを目指した点も認めていい。
 だが、支持率の急落は、「加計学園」問題での乱暴な対応や、「共謀罪」法をはじめ、世論を二分する法律を数の力で成立させてきた首相の強引な手法に国民の不信感が強まっていることが大きな要因だ。
 首相は記者会見で、まず「おわびと反省」を口にしたが、自身の政治姿勢や、取り組む政策の優先順位を、目に見える形で転換しないと国民の信頼は簡単には戻らない。
許されない疑惑隠し
 人事のもう一つの注目点は、「ポスト安倍」を目指す岸田文雄氏が外相から党政調会長に転じたことだ。首相は外相留任を望んでいたが、岸田氏の要望を受け入れた形である。
 首相はここで岸田氏を敵に回しては総裁3選がいよいよ危うくなると判断したと思われる。今まで思い通りに人事を進めてきたことを考えれば、これも「安倍1強」体制が崩れつつある状況の表れと言っていい。
 そんな首相がさっそく試されるのは国会への対応だ。
 今回の改造では山本幸三氏が地方創生担当相を、松野博一氏が文部科学相を、萩生田光一氏が官房副長官をそれぞれ退いた。いずれも疑問が広がるばかりとなっている「加計」問題にかかわってきた人たちだ。
 改造直前には、稲田朋美氏が南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題の責任を取って防衛相を辞任している。
 ところが日報問題は解明が不十分にもかかわらず、野党が求めている閉会中審査に対して、自民党は稲田氏の国会出席を拒んでいる。
 山本氏らも国会で説明する必要はないということになるのだろうか。これでは疑惑隠しと言われても仕方がない。同様に解明が進んでいない「森友学園」問題も含め、首相自らがリードして国会を早期に開き、関係者を交えて説明を尽くすべきだ。
 「加計」問題では、内閣人事局が官僚の幹部人事を握った結果、官僚が首相らに意見を言えず、行政がいびつになっている深刻な実情も見せつけた。官邸側の情報統制も目に余るものになっている。こうした「政と官」のゆがみも早急に見直す必要がある。
アベノミクスの検証を
 一方、首相は宿願としている憲法改正について「スケジュールありきではない」と会見で語った。
 憲法9条に自衛隊を明記する考えを突如提起し、2020年までの改憲を目指して自民党案を今秋の国会に提出するとの方針を変えなかった姿勢から軟化したように見える。
 首相の求心力低下で、自民党内でも改憲に異論が増える可能性がある。世論調査を見ても多数の国民が賛同しているようには見えない。このため首相主導で改憲論議を進めるのは困難になっている。
 ただし、仮にそれを認めるのであれば、方針転換をもっと明確にし、首相の言葉通り、「経済最優先」にきちんとかじを切るべきだろう。
 アベノミクスは行き詰まりを指摘されて久しい。経済成長頼みの財政健全化の道も険しくなっている。政権が発足して4年半余。旧民主党政権時代と比較して成果を強調する時期はとっくに過ぎた。まずこれまでの経済・財政政策のプラスとマイナスを謙虚に検証した方がいい。
 北朝鮮問題や、対中国、韓国外交など外交・安全保障面は厳しい状況が続く。今回、外相に河野太郎氏、防衛相には小野寺五典氏が起用された。首相と異なりタカ派色の薄い2人だけに、首相との連携をむしろプラスにつなげてもらいたい。また小野寺氏は日報問題で揺れた防衛省の立て直しが急務となる。
 「国民の声に耳を澄ませ、国民とともに政治を前に進める」と首相は改めて語った。その言葉を実行に移すことだ。状況を変えられるかどうかは、そこから始まる。今回を機に、かつてのような活発な議論が交わされる自民党に戻ることができるかどうかも脱「1強」のカギとなる。
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日本経済新聞 2017/8/4付
社説:改造内閣への注文(上) 政権への信頼の回復こそが急務だ


 政権の浮沈を決める布陣ということになるのだろう。安倍晋三首相が3日、内閣改造・自民党役員人事に踏み切った。内閣支持率が急落するなか、挙党体制を意識した安定重視の布陣だ。有権者の信頼を取り戻し、政策を着実に実行できるのかが問われる。
 「安倍1強」体制は数カ月前までなお盤石に見えた。だが評価は一変し、いま政権は発足以来の正念場を迎えている。
政権のおごりへ批判
 自民党は7月2日投開票の東京都議選で歴史的な惨敗を喫した。日本経済新聞社とテレビ東京の共同調査で4月まで60%を超えていた安倍内閣の支持率は、7月下旬に39%まで低下した。
 支持率の急落はマイナス要因が重なって起きた。学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地の格安での払い下げと、学校法人「加計学園」(岡山市)だけに獣医学部の新設を認める決定に、国民の多くは強い違和感をもった。
 森友学園は安倍昭恵首相夫人が名誉校長を務めていた。加計学園の理事長は、首相が飲食やゴルフをよく共にする長年の友人だ。野党が政治の圧力や官僚の忖度(そんたく)を追及しても、政権内には説明責任を丁寧に果たそうという意識が欠けていた。
 閣僚の不適切な言動も追い打ちをかけた。なかでも防衛相だった稲田朋美氏は都議選で自衛隊が自民党候補を応援しているかのような演説をし、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽問題で辞任に追い込まれた。
 多くの国民が一連の問題の根本に、4年半を超えた長期政権のおごりや緩みを感じている。個別の政策への賛否ではなく、政権そのものへの不信感の高まりという点で状況はより深刻だと言える。
 首相は今回の改造・党人事を通じて、態勢の立て直しを急ぐ。麻生太郎副総理・財務相や菅義偉官房長官、二階俊博幹事長という政権の骨格は維持。一方で岸田文雄前外相を政調会長に起用し、後任の外相に河野太郎氏、防衛相には小野寺五典氏を充てた。
 自民党の入閣待望組の処遇やサプライズ人事で世論受けを狙うよりも、専門性と経験を重視した実務型の布陣は妥当だといえる。現政権の下で雇用や企業収益は改善したが、成長力の底上げや財政健全化への取り組みは遅れている。難しい課題に結果を出せるかどうかが新内閣の評価を決める。
 野党から国会で追及されることの多かった閣僚はそろって閣外に去った。しかし獣医学部新設や日報隠蔽の経緯はなお不透明で、閉会中審査などを通じて真相を解明する必要がある。今回の人事が「疑惑隠し」につながるようなら、政権の信頼回復にむしろ背を向けることになる。
 日本を取り巻く外交や安全保障の状況は日増しに厳しくなっている。北朝鮮は今年に入り弾道ミサイルの発射実験を加速し、複数の同時発射や高高度、長射程の技術開発にメドをつけつつある。核・ミサイル開発が深刻な脅威であるにもかかわらず、中国やロシアは北朝鮮への厳しい制裁に及び腰の対応を続けている。
北の脅威、待ったなし
 中国は南シナ海を着々と軍事要塞化している。日本の再三の抗議にもかかわらず沖縄県の尖閣諸島に公船を派遣し、東シナ海で一方的なガス田開発を加速している。
 河野外相と小野寺防衛相は日米同盟の絆を再確認するとともに、国際社会の結束に向けてさらに努力する必要がある。日報問題で幹部が入れ代わった防衛省・自衛隊の組織立て直しも喫緊の課題だ。
 首相は憲法9条の改正による自衛隊の明記を柱とする改憲案の早期取りまとめを自民党に指示している。ただ教育無償化の明記などには与党内にも異論が多い。経済・財政や安全保障政策への取り組みが後回しになるような政権運営は避けるべきである。
 先の通常国会ではアベノミクスの評価や北朝鮮の脅威にどう向き合うかという重要な政策論争がかすみ、森友、加計両学園の問題をはじめ閣僚の資質や問題発言にばかり焦点があたった。
 支持率が低迷する民進党は蓮舫代表の辞任表明を受けた代表選びが事実上始まった。与野党がより高いレベルで政策を競い合わなければ、日本の明るい未来は開けない。政治の信頼回復には地道な努力を積み重ねていくしかない。
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東京新聞 2017年8月4日
【社説】改造内閣が始動 憲法守る政治、今度こそ


 安倍晋三首相が内閣改造を行った。内閣支持率の続落を受けた政権の立て直しが狙いだが、憲法を尊重し、擁護するのか否か、政治姿勢が問われている。
 第三次安倍第三次改造内閣が始動した。首相にとって第一、二次内閣を含めて八回目となる組閣は二〇一二年の政権復帰以降では、最も厳しい政治状況の中での改造人事ではなかったか。
 昨年七月の参院選での自民党勝利で「安倍一強」は強固になったかに見えたが、今年に入り局面は一変。学校法人「森友学園」への国有地売却問題や「加計学園」の獣医学部新設問題、防衛省・自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)、防衛省・自衛隊を選挙応援に政治利用する稲田朋美前防衛相の発言などが相次いだ。
◆真相の解明が先決だ
 自民党は七月、四年前には大勝した東京都議選で惨敗を喫し、内閣支持率は共同通信社の調査で30%台にまで落ち込んだ。今回の内閣改造には、その失地を回復する狙いがあるのだろう。
 次の党総裁候補と目される岸田文雄前外相は政調会長として閣外に出たが、麻生太郎副総理兼財務相や菅義偉官房長官ら内閣の骨格は変えず、初入閣は六人にとどめた。引き続き厳しい追及が予想される文科相には林芳正氏、防衛相には小野寺五典氏を配したことからも、その狙いがうかがえる。
 林、小野寺両氏は一二年十二月に発足した第二次安倍内閣でそれぞれ農相、防衛相を務めた閣僚経験者でもあり、答弁能力も高いとされる。首相が二人を起用した理由は、分からなくもない。
 ただ、安倍政権が国民の信頼を取り戻したいのなら、真相解明が先決のはずだ。
 二つの学校法人の問題では、首相による関与の有無について真相は明らかになっていない。稲田氏が防衛省の日報隠蔽を了承していたのか否かも、証言が食い違う。
◆民主的手続きを軽視
 林、小野寺両氏にはまず真相解明、次に再発防止に取り組んでほしい。今回の内閣改造によって、指摘された数々の問題の解明に幕を引くことがあってはならない。
 野党側は憲法五三条に基づく臨時国会の召集や閉会中審査の開催を求めている。蓮舫代表の辞任表明を受けて民進党は次の代表選びに入っているが、安倍内閣は新しい代表が決まった後、速やかに臨時国会の召集に応じ、首相が所信を明らかにすべきである。
 自民党は稲田氏を参考人招致しての閉会中審査を拒んでいるが、真相解明に依然、後ろ向きと断ぜざるを得ない。加計学園の加計孝太郎理事長を含め、関係者の参考人招致を引き続き求めたい。
 ちょうど一年前の内閣改造を振り返ってみよう。
 七月の参院選を経て、憲法改正に前向きな「改憲派」が、衆参両院で改正発議に必要な三分の二以上の議席を占めた。これを受け、私たちは社説で、憲法尊重・擁護義務を負う首相や閣僚が、現行憲法を蔑(ないがし)ろにするような言動を繰り返さないよう自覚を促した。
 ところが、その後の政治はどうだろう。現行憲法を軽視または無視したり、民主主義の手続きを軽んじる政治がまかり通ってきた一年ではなかったか。
 首相は自ら期限を切り、九条など項目まで指定して政治目標とする憲法改正を主導してきた。議論を深めるために「一石を投じた」と説明したが、自民党の歴代首相が憲法尊重・擁護義務に反するとして避けてきた「禁じ手」だ。
 その一方、憲法に基づく野党側の臨時国会召集の要求は無視し続ける。改正したいからといって現行憲法を軽視・無視していい理由にはなるまい。
 稲田氏による自衛隊の政治利用発言は、行政の政治的中立性を著しく逸脱する憲法に反する発言だが、首相は罷免要求を拒否した。稲田氏を重用してきたからだろうが、憲法に反する発言をした閣僚を擁護したことは、憲法を軽視する首相自身の姿勢を表すものだ。
 首相は記者会見で「結果重視、仕事第一、実力本位の布陣を整えられた。政策課題に結果を出すことで信頼を回復する」と述べた。
◆政治姿勢改める必要
 しかし、いくら内閣改造で体制を一新したからといって、憲法や民主主義の手続きを軽んじる政治姿勢を改めない限り、国民の信頼回復は望めまい。
 「共謀罪」法の成立強行を挙げるまでもなく、「安倍一強」の鎧(よろい)の下にあった憲法や民主的手続きを軽視・無視する強権的手法を国民が見抜いたからこそ、支持率が落ちた事実を注視すべきだろう。
 憲法改正論議自体は否定しないが、国民から遊離した拙速な議論は避けるべきだ。現行憲法を蔑ろにする政治の継続はもちろん、許されてはならない。内閣改造を機に、あらためて指摘したい。
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しんぶん赤旗 2017年8月4日(金)
主張:安倍政権改造人事  追い詰められて、開き直って


 内閣支持率が軒並み急落し、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊の「日報」隠蔽(いんぺい)問題で稲田朋美防衛相が辞任、「森友」「加計」など行政をゆがめた疑惑にも国民の批判が高まる中で安倍晋三政権が閣僚と自民党役員の人事を行いました。追い詰められた改造です。「共謀罪」法を強行した金田勝年法相や、「加計」疑惑渦中の松野博一文科相、山本幸三地方創生相らが交代、河野太郎氏(外相)や林芳正氏(文科相)、茂木敏充氏(経済再生相)らが入閣しました。首相が執念を燃やす改憲や経済政策の布陣は国民への居直りそのものです。
暴言、失言が相次いだ
 昨年の参院選後、安倍政権が内閣と党の人事を行い、ちょうど1年です。当初、アメリカ言いなりに環太平洋連携協定(TPP)を推進した山本有二農水相が三権分立の原則を踏みにじって国会での「強行採決」をけしかけ、南スーダンPKOをめぐって稲田氏自身もかかわる隠蔽疑惑が発覚、「森友学園」への国有地格安払い下げや首相の「腹心の友」が理事長の「加計学園」の獣医学部開設をめぐって首相自身までかかわった疑惑など、問題が後を絶ちませんでした。米軍新基地に反対する沖縄県民を「土人」扱いした鶴保庸介沖縄北方担当相や博物館学芸員を「がん」だと決めつけた山本地方創生相など暴言や失言が相次いだのは、これらの人物がもともと閣僚としての資質を欠き、任命権者である安倍首相がその責任を明らかにしなかったからです。
 “辞任ドミノ”を恐れる首相のもとで、この1年間辞任したのは東日本大震災が「東北のほうだからよかった」と被災者を愚弄(ぐろう)した今村雅弘復興担当相と稲田氏だけです。その稲田氏も自民党が国会閉会中審査への出席を拒否し、所管官庁の官僚らが「記録はない」「記憶はない」と繰り返した松野氏、山本氏らも説明責任を尽くしていません。辞任し交代したから“知らぬ”は通用しません。
 新しい閣僚と党役員では、河野外相や野田聖子総務相の起用、岸田文雄外相の自民党政調会長への異動など目先は若干変えたものの、菅義偉官房長官や麻生太郎副総理・財務相、世耕弘成経産相や、二階俊博自民党幹事長ら骨格となる閣僚・党役員は留任し、政権の基本性格は変わりません。防衛相に就任した小野寺五典氏は、集団的自衛権の容認や安保法制=「戦争法」を推進し、北朝鮮問題でも「敵基地反撃能力の保有」を主張した「国防族」です。自民党政調会長から経済再生相になった茂木氏も、厚労相に横滑りした加藤勝信氏、世耕氏らとともに大企業最優先の「アベノミクス」の推進役です。国民の期待に背く暴走に拍車をかける危険は重大です。
改憲シフトの強化許さず
 安倍首相は「アベノミクス」を推進するとともに、秋の臨時国会に自民党の改憲案を提出し、年明けには改憲案の発議を狙っています。今回の党役員人事でも、自民党の改憲案づくりの中心となってきた高村正彦副総裁を留任させ、党内をまとめる総務会長に竹下亘氏を据え党の改憲本部の体制も強化しました。憲法を根こそぎ破壊する策動を許さず、安倍首相を退陣に追い込み、政権を打倒する国民のたたかいがいよいよ重要です。
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北海道新聞 2017/08/04 05:00
社説:改造内閣発足 民意と向き合う姿勢こそ


 第3次安倍第3次改造内閣がきのう発足した。自民党の役員人事も併せて行われた。
 安倍晋三首相は、官房長官、党幹事長の留任で政権の骨格を維持する一方、批判を浴びてきた側近の重用は避けた。閣僚経験者や、首相と距離を置いてきた野田聖子氏らも起用した。
 学校法人「加計(かけ)学園」や陸上自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)問題で支持率が急落する中、挙党態勢を築き政権基盤の安定を図る狙いなのだろう。
 組閣後の会見で首相は、政治不信を招いた責任を認めて陳謝した上で、改造内閣について「結果本位の仕事人内閣」だと強調した。
 だが、官邸主導の名の下で与党内の議論や国民への説明をないがしろにしてきた首相の政治姿勢を改めなければ、内閣改造で目先を変えたところで、国民の信頼回復は望めまい。
 慢心やおごりを排し、民意と謙虚に向き合えるのか。首相に問われるのはその点である。
■期待がしぼんだ1年
 内閣改造は昨年の8月以来、1年ぶりとなる。
 前回の改造直後、共同通信の世論調査で内閣支持率は52・9%、不支持率は30・9%だった。それが先月中旬には支持35・8%、不支持53・1%と逆転した。
 直接のきっかけは加計学園などの問題だ。首相自身、丁寧な説明を口にしながら自らと閣僚の保身を優先し、事態を悪化させた。
 しかし根底にあるのは、「安倍1強」と言われるほど権力が集中する中で、議論を軽視して突き進んできた首相に対する国民の不信感ではないか。
 特定秘密保護法、安全保障関連法に続き、いわゆる「共謀罪」法を、参院の委員会採決を省略する中間報告という奇手まで使って、数の力で強引に成立させた。
 一方、看板であるアベノミクスは、大規模な金融緩和もあって企業業績こそ改善したが、肝心の個人消費は一向に盛り上がらない。すでに限界は明らかだ。
 「女性が輝く社会」「1億総活躍」「働き方改革」などのスローガンは、「道半ば」のまま次々と置き換えられてきた。
 対アジア外交では国内の強硬論にばかり目を向けた結果、中国、韓国との溝を埋め切れず、最大の懸案である北朝鮮対応で足並みをそろえられていない。
 北方領土問題では、当初は大きな進展を期待させながら、帰属の問題では前進がなく、共同経済活動の前提となる「特別な制度」の姿すら見えないのが現状だ。
 そんな中で相次いだ不祥事や疑惑が引き金となり、国民の信頼の失墜を招いたとみるべきだ。
■許されぬ「疑惑隠し」
 内閣改造には、こうした政権運営の行き詰まりを打開する狙いもありそうだ。
 ならば首相に求められるのは、独善的との批判がある政権運営を徹底的に改めることだろう。
 そのためには、閣僚がイエスマンであったり、首相の意向を忖度(そんたく)することがあってはならない。
 とりわけ野田氏や、外相に起用された河野太郎氏には、内閣としての意思統一にあたり正面から首相にもの申す姿勢が求められる。
 今回の改造では、国会の焦点である加計学園問題に関わってきた文部科学相と地方創生担当相が、そろって交代した。改造前には陸自の日報問題で、稲田朋美氏が防衛相を辞任している。
 担当閣僚が代わったからといって、政府が説明責任から逃れられるわけではない。
 自民党は稲田氏の国会閉会中審査出席を拒否しているが、これでは閣僚交代が「疑惑隠し」だと受け止められても仕方あるまい。
 野党側は、森友学園への国有地払い下げ問題も含め、国会での徹底究明を求めている。
 首相は「丁寧な説明」を口にしている。野党の求めに応じ、臨時国会を召集するのが筋だ。
■異論にも耳傾けねば
 首相は、任期中の改憲を目指す姿勢を崩していない。議論を仕切る高村正彦副総裁を続投させたのもそのためだ。
 ところが首相の性急な姿勢には党内でも異論が強まっている。
 憲法改正推進本部の全体会合では、憲法に高等教育の無償化を明記する案に消極論が相次いだ。
 党四役人事では、外相だった岸田文雄氏が政調会長に就任した。
 岸田氏は会見で、党内の議論の環境を整えると述べる一方で、9条改正をいまは考えないとしてきた持論は「従来と変わっていない」と明言した。
 公明党の山口那津男代表も、首相が提案した9条改定論と距離を置く姿勢を示した。立ち止まるべき時が来ているのではないか。
 大切なのは、異論にもきちんと耳を傾け、民意をくみ取ることである。
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河北新報 2017年08月04日金曜日
社説:内閣改造/首相の政治姿勢が問われる


 安倍晋三首相はきのう、内閣改造に踏み切った。手堅さを重んじて、実力派の閣僚経験者を要所要所に配置した守りの布陣と言えよう。
 身から出たさびとはいえ、度重なる閣僚の不手際や失言で政権の土台を揺さぶられてきただけに、「耐震強化」を優先したのは間違いない。
 「人心一新」の看板も掲げたものの、初入閣は6人、女性閣僚は2人にとどまる。国民の目には「重厚長大」に映ったのではないか。一歩間違えれば、「飽き」につながりかねない。賭けであろう。
 麻生太郎副総理兼財務相、世耕弘成経済産業相、菅義偉官房長官ら重要閣僚を留任させ、骨格は維持した。
 一方で「お友達優遇」批判にも配慮。政権と距離を置いてきた反主流派の野田聖子氏を総務相として内閣に取り込み、挙党態勢を演出した。
 安定感と政策の継続性を重視したのだろうが、その分、新鮮さに欠けた印象は否めない。裏を返せば、自民党の人材難が露呈した格好だ。
 焦点だったのは、稲田朋美氏が辞任した防衛相のポスト。南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)問題の収束が求められている。
 白羽の矢が立ったのは、小野寺五典氏(衆院宮城6区)だ。安全保障分野のエキスパートであり、即戦力として期待されての再登板だろう。
 防衛省は背広組の事務方と陸自の制服組との対立が深刻で、文民統制(シビリアンコントロール)の根幹を揺るがす事態に陥っている。隠蔽疑惑解明と引き裂かれた組織の立て直しが急務である。
 東北からは小野寺氏以外に、鈴木俊一氏(衆院岩手2区)が五輪相に起用され、吉野正芳復興相(衆院福島5区)が留任した。それぞれの立場で東日本大震災からの被災地復興に力を尽くしてほしい。
 自民党役員人事では、岸田文雄氏が外相から念願の政調会長の座を射止め、「ポスト安倍」の足掛かりを作った。窮地にある安倍首相を政策面で支えながら、閣外で力を蓄えて禅譲を狙う戦略だろう。
 ただ、憲法改正を巡っては9条改正に執念を見せる安倍首相と、慎重な岸田氏とでは立ち位置が異なる。改憲が後継の「踏み絵」になりかねず、岸田氏は難しいかじ取り役を迫られよう。
 内閣改造が政権浮揚につながるかどうかは、ひとえに安倍首相自身の政治姿勢に懸かっているのではないか。
 そもそも支持率が急落したのは森友、加計(かけ)学園問題の対応や強引な国会運営などで、安倍首相に対する積もりに積もった国民の不信感が一気に噴出したからに他ならない。
 今はさまざま疑惑について一つ一つ丁寧に、説明責任を尽くす謙虚さが求められる。たとえ問題閣僚を一掃したとしても、安倍首相が内向き志向を改めない限り、支持率の回復など到底望めまい。
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信濃毎日新聞 (2017年8月4日)
社説:内閣改造 強権政治を改めてこそ


 安倍晋三首相が内閣改造を行った。支持率が落ち込む中、閣僚経験者を多く起用するなど安定を重視した布陣になっている。
 問われるのは閣僚の顔触れよりも政権の姿勢だ。反対意見に耳を貸さない強権的な国会運営や、疑問に正面から答えない不誠実な対応を改めなければ、不信感は拭えない。
 菅義偉官房長官、麻生太郎副総理兼財務相ら5人が留任した。共謀罪を巡って不安定な答弁を重ねた法相、加計学園問題で明確な根拠を示さず疑惑を否定した地方創生担当相らは交代している。
 総務相には自民党の野田聖子元総務会長を起用した。アベノミクス検証の勉強会を開くなど首相と距離を置いてきた野田氏を取り込んだ形だ。党人事では副総裁、幹事長が留任している。首相の言いなり、官邸追随の流れがますます強まらないか心配になる。
 共同通信社が先月中旬に行った世論調査で内閣支持率は第2次政権発足後、最低を記録した。不支持は最も高くなり、支持と不支持が逆転している。不支持の理由で最も多かったのは「首相が信頼できない」だった。首相自身が招いた支持率急落である。
 2012年の政権復帰後、特定秘密保護法や安全保障関連法など巨大与党の強引な国会運営が続いてきた。共謀罪では委員会採決を省き、いきなり本会議で成立させる乱暴な手法を取った。
 前内閣で相次いだ閣僚の問題発言も見過ごせない。環太平洋連携協定(TPP)を巡って「強行採決」に言及した農相、東日本大震災について「まだ東北で、あっちの方だったから良かった」と述べて辞めさせられた復興相…。政権のおごり、緩みが表れている。
 首相はきのう党臨時総務会で反省を口にした。「安倍内閣、自民党に対し、国民の厳しい目が注がれている。私自身、至らない点があり、こうした状況を招いた」と殊勝な姿勢を見せている。
 これまでも度々、反省の言葉を語り、丁寧な説明を約束しながら行動は伴わなかった。加計学園や森友学園の問題で政府は「記録がない」「記憶がない」と繰り返し解明に後ろ向きだ。首相は野党が憲法に基づき要求した臨時国会の召集に応じようとしない。
 次の国会で政府は一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」の審議入りを目指す。カジノ解禁の実施法案も提出する方針だ。ともに疑問が多い。力ずくでなく、議論を尽くしてこそ「反省」は本物になる。
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[京都新聞 2017年08月04日掲載]
社説:内閣改造  おごり排し信頼回復を


 「第3次安倍第3次改造内閣」がきのう発足した。
 国民の政治不信は根深い。政権の立て直しに向けた安定重視の布陣とはいえ、安倍晋三首相にとって強い逆風にさらされての再船出に違いない。首相自らが「1強」のおごりを排して謙虚な姿勢で臨まなければ、政権の起死回生は難しいことを肝に銘じてもらいたい。
 首相は記者会見で「結果本位の仕事人内閣」と位置付け、「政策課題に結果を出すことで信頼を回復する」と力を込めた。
 森友・加計両学園を巡る疑惑や自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)問題などで民意は離れつつある。内閣支持率が急落する中、首相は「人心一新を図りたい」として内閣改造と自民党役員人事を前倒しした。
 ところが、閣僚19人の顔触れをみると、政権の骨格である麻生太郎副総理や菅義偉官房長官らが続投し、外交の顔となる外相に河野太郎氏を起用するなど第2次安倍政権以降の入閣経験者が11人を占めた。新鮮味を欠き、実務や答弁の力を重視した陣容からは首相の強い危機感が透けてみえる。
 挙党態勢へ大派閥のバランスに腐心する内向きの論理ばかりが優先された。政権と距離を置く野田聖子総務相の起用は「批判勢力」を含め幅広い人材を登用する度量を示したが、野田氏の持論を封じ込める狙いがあるようだ。これで身びいきを反省し、信頼回復につながる改造と言えようか。
 防衛相に小野寺五典氏が再登板した。日報問題で揺れる組織の立て直しを図るが、隠蔽体質の糾明や再発防止を怠ってはならない。資質を欠く防衛相の言動で危ぶまれた文民統制の徹底も求めたい。
 加計問題で国会答弁の矢面に立った文部科学相と地方創生担当相を替え、幕引きを図りたい意向も見え隠れする。だが真相解明は程遠く、疑惑は残ったままだ。
 一方、党執行部は高村正彦副総裁と二階俊博幹事長を留任させ、政策立案を取り仕切る政調会長に「ポスト安倍」を目指す岸田文雄氏を充てた。ベテランを残した守りの布陣といえ、刷新感は薄い。
 政権復帰で安倍政権が再発足して4年7カ月余り。「1強」を背景に強権的な手法が国民の政治不信を招いた。都合の悪いことは調査せず説明もせず、ひたすら強弁で押し隠そうとする姿勢が首相に限らず内閣全体に波及した。
 新内閣はまず国民の声に謙虚に耳を傾け、丁寧な政権運営に心がけるべきだ。説明責任をおろそかにすれば信頼回復は難しい。
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神戸新聞 2017/08/04
社説:安倍内閣改造/政権の体質は改まるのか


 安倍晋三首相が、内閣改造と自民党役員人事に踏み切った。「人心一新」で急落する支持率の回復を図るためだ。
 かつて70%を超えた内閣の支持率は、先月の世論調査で35・8%に下落し、不支持率(53・1%)が上回った。「首相が信頼できない」とする回答が5割を超え、国民の不信感が浮き彫りになった形である。
 「加計学園」の獣医学部新設問題で野党に追及された文部科学相の松野博一氏と地方創生担当相の山本幸三氏は、閣外に出た。自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)で関与が疑われた稲田朋美氏は、改造の前に防衛相を辞任している。
 閣僚の交代で幕引きを図る意図があるのなら、「疑惑隠し」の批判は免れない。
 日報問題は、衆院安全保障委員会の閉会中審査で議論されることが決まった。野党は稲田氏の参考人招致を求めているが、自民党は拒否している。
 後任の小野寺五典氏は防衛相を務めた経験があり、安定感を期待されたとみられる。だが日報隠しで当事者としての説明を求めるのは無理がある。
 加計学園問題では、政府側の答弁が二転三転した。今後、前文科相らが答弁に立たず、後任大臣が追及をかわす展開になれば、真相の解明は遠のく。
 加計学園の疑惑に加え、「森友学園」の国有地売却を巡る問題でも、首相や首相夫人の関与の有無が取りざたされている。そうした疑問に正面から答えないまま、本当に「信頼回復」が可能だと考えているのか。
 首相と距離を置いてきた野田聖子氏を総務相に抜てきし、河野太郎氏を外相に指名したのは、「お友達重視」の印象を変えたいとの意図がうかがえる。
 ただ、安倍政権と与党は、重要法案で強行採決を繰り返すなど、異論に耳を貸さない「おごり」が指摘されてきた。最近までの高い支持率も、「ほかに適当な人がいない」などの消極的支持が多く、民進党の低迷に助けられたのが実情である。
 首相はきのう、「大きな不信を招いたことを改めておわびする」とテレビカメラの前で頭を下げた。「反省」が言葉だけで政権の体質が一向に改まらないのなら、国民の不信感は一層深くなると心すべきだ。
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中国新聞 2017/8/4
社説:内閣改造 疑惑解明から逃げるな


 いくら顔触れを変えても、政権が抱えている課題に変わりはない。森友、加計学園や、南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊日報の隠蔽(いんぺい)問題など、国民が抱く疑惑をうやむやにしようとするのであれば、到底許されまい。
 安倍晋三首相がきのう内閣改造を行った。大臣の問題発言や曖昧な答弁、強引な国会運営などが批判を浴び、内閣支持率は急落している。政権立て直しを図るため、追い込まれる格好での閣僚交代となった。
 失敗はもはや許されず、リスクを避けて実務能力優先で人選したのだろう。そんな守りの姿勢に強い危機感がうかがえる。
 歴史認識などの考え方が近い側近を重用する「お友達内閣」のイメージを変えようとした点も危機感の表れといえよう。首相と距離を置く野田聖子氏の総務相起用である。原発など党の政策に対しても歯に衣(きぬ)着せぬ発言で知られる論客、河野太郎氏は外相に就いた。挙党体制をつくって政権を安定させる思惑が首相にはあるようだ。
 野田、河野両氏は、首相を含め閣僚間で議論になることを恐れず積極的に発言してほしい。
 安定感のある人が多い一方、新鮮味が乏しいとの指摘もあろう。大事なのは何をするか、である。安倍首相は会見で「経済最優先」の考えを示した。
 ただ肝心の「アベノミクス」に陰りが見え始めている。日銀は先月、2%の物価上昇目標の達成時期をまた先送りした。「異次元緩和」に取り組んできたものの、先行きは不透明だ。金融政策の抜本的な見直しが必要ではないか。
 忘れていけないのは、政権への逆風となっている数々の疑惑は解明されていないことである。関連する文部科学や地方創生、防衛の大臣は全て代わったが、職を退いても説明責任から逃げられるわけではない。閉会中審査などで今後も、解明に努力する必要がある。
 安倍首相も、積極的に公開の場に出させるようにすべきだ。そうしてこそ、信頼を取り戻す道が見えてくるのではないか。
 そのためにも、まずは安倍首相が自ら真剣に国民の疑念に向き合うことが欠かせない。妻や友人に国会の証人として出るよう促すのが筋である。
 PKO日報の問題を抱える防衛相には、小野寺五典氏が就いた。隠蔽体質の改善を進めながら、省内で生じた亀裂を埋めていくことが求められる。責任は重大だ。公文書の管理には、安倍政権として取り組むことも急がれる。
 内閣改造に先立ち、自民党の役員人事が行われた。憲法改正の論議を主導する高村正彦副総裁を続投させたのは、首相が在任中に改憲を実現したい強い思いの表れだろう。しかし、連立与党の公明党をはじめ自民党内にも慎重論がある。首相の前のめり姿勢は理解し難い。国の根幹に関わるだけに、時間をかけた議論が不可欠だ。
 広島選出の岸田文雄氏は党政調会長になった。外相を務めた4年半余り、閣僚の一員として核兵器廃絶や改憲などの問題で首相との考えの違いを封印せざるを得なかったかもしれない。首相を目指すのなら、党内の意見をまとめる立場に就いたとはいえ、自らの考えをはっきり打ち出してもらいたい。
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西日本新聞 2017年08月04日 10時52分
社説:内閣改造 政治姿勢を改めるときだ


 閣僚や自民党役員の顔触れを変えたからといって、国民が政権に抱く疑念が消えるわけではない。「1強」のおごりや慢心とは決別し、謙虚な姿勢で政権運営に臨んでもらいたい。
 第3次安倍晋三第3次改造内閣が発足した。内閣支持率が急落する中、菅義偉官房長官や麻生太郎財務相ら5人が留任するとともに閣僚経験者7人を再登板させ、手堅さと安定感を最優先した。
 19閣僚のうち初入閣は6人にとどまり、清新さには欠ける。「守りの布陣」といえるだろう。
 防衛省の日報隠蔽(いんぺい)問題で矢面に立った防衛相、加計(かけ)学園の獣医学部新設問題を担当する文部科学相と地方創生担当相、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法を巡る国会答弁が不安定だった法相は、いずれも交代した。
 政権と距離を置いてきた野田聖子氏を総務相に、歯に衣(きぬ)着せぬ発言で知られる河野太郎氏を外相にそれぞれ起用したのは、内外に挙党態勢を印象付ける狙いだろう。自民党役員人事では「ポスト安倍」を目指す岸田文雄前外相を政調会長に据えた。
 前内閣で積み残した宿題は多い。まずは日報隠蔽問題、加計学園問題、国有地格安売却の森友学園問題の解明が欠かせない。閣僚交代による幕引きは許されない。国民も国会も納得できる説明責任を果たすことが信頼回復の第一歩と心得てほしい。
 「アベノミクス」や「地方創生」など看板政策も色あせてきた。次は「人づくり革命」というが、打ち出した政策を検証する作業も必要ではないか。
 首相が前のめりの憲法改正は国民にも多様な意見があり、慎重で丁寧な論議が求められる。特定秘密保護法、安全保障関連法、共謀罪のような暴走は許されない。
 1年前、前回の内閣改造に際して私たちは「『数の力』を過信して国民の目に『おごり』と映るような政治は禁物」と指摘した。今回、首相は「人心一新」のための改造だという。何よりも首相自身が政治姿勢を改めるときである。
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