2017-08-06(Sun)

カジノ解禁  カジノで観光立国は可能か

運営ルール 依存症など懸念拭えぬ  功罪を改めて示すべき

<各紙社説>
毎日新聞)カジノ解禁で有識者案 実効性ある依存症対策を (8/3)
日本経済新聞)カジノで観光立国は可能か  (8/3)
東京新聞)横浜市長選 カジノはやはり封印を (7/31)

秋田魁新報)カジノ運営ルール 依存症など懸念拭えぬ (8/3)
信濃毎日新聞)カジノ解禁 議論を一からやり直せ (8/2)
京都新聞)カジノ運営  功罪を改めて示すべき (8/3)

神戸新聞)カジノ規制/依存症を抑制できるのか (8/2)
山陽新聞)カジノ規制 依存症対策に万全を期せ (8/3)
南日本新聞)[カジノ報告書] 依存症対策に懸念残る (8/3)




以下引用



毎日新聞2017年8月3日 東京朝刊
社説:カジノ解禁で有識者案 実効性ある依存症対策を


 カジノ解禁に向けた動きが具体化してきた。
 カジノを含む統合型リゾート(IR)の設置に向け、有識者による「IR推進会議」が制度の大枠をまとめ、政府に提言した。
 カジノは免許制度とし、内閣府の外局として置く「カジノ管理委員会」が問題ない事業者かどうか調査を行い、暴力団などの介入を防ぐ。ギャンブル依存症対策として入場回数などに規制を設ける。そうした内容が盛り込まれた。
 ただし、ギャンブル依存症対策は項目を並べただけで、具体的な中身は示されず、政府に委ねられた。
 政府は今秋の臨時国会にもIR実施法案を提出する方針という。法案には、実効性のある依存症対策を盛り込むべきだ。
 厚生労働省研究班が3月に公表した調査では、パチンコ・パチスロなどで依存症が疑われる成人は全国推計で283万人に及ぶ。そこにカジノが加わる負の側面をまず直視しなければならない。
 提言は、カジノ入場の際、日本人についてはマイナンバーカードで本人確認を行い、長期(1カ月程度)と短期(1週間程度)の双方で入場回数を制限すると打ち出した。回数については諸外国の例を踏まえ検討すべきだとした。
 ちなみにシンガポールは月8回、韓国は月15回に入場を制限している。しかしカジノにのめり込む人は後を絶たないという。諸外国並みの回数制限では不十分ではないか。
 安易な入場を抑止するため、日本人からは入場料を徴収する。ただし具体的な金額は示さなかった。
 自国民から約8000円の入場料を徴収するシンガポールの例が参考になるが、利用者の負担感に配慮しすぎれば、依存症対策には結びつかないだろう。
 カジノを巡っては自治体の一部が誘致を検討し、外資系を含め企業も参入に意欲を見せる。そうした企業からは、利用規制が厳しくなることへの懸念の声も出ているようだ。
 だが、カジノ解禁ありきで、必要な対策が不十分になっては本末転倒だ。国民の間には青少年の健全育成の観点からも反対の声が根強い。
 政府は、こうした声も受け止めなければならない。
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日本経済新聞 2017/8/3付
社説:カジノで観光立国は可能か


 カジノを含む統合型リゾート(IR)に関する政府の有識者会議が、運営のルールについて大枠をまとめた。この提言は秋の臨時国会に政府が提出する実施法案の土台となるが、事業破綻のときの処理方法や規制の具体像など、不透明な点も多い。
 提言によれば、自治体とIR全体の運営企業が組んで国に認定を受ける。IRにはカジノに加え国際会議場、ホテル、文化施設、観光案内所の設置を義務づけた。カジノを目玉に外国人を呼び込み、その収益を他の施設の運営に生かす。さらに日本の各地方にも足を延ばしてもらう構想だ。
 しかし海外の例と違い、日本のカジノは日本人客が8割を占めるという民間の試算もある。運営会社には海外で実績を持つ外国企業が有力視される。外国人客からの収益を日本の観光産業の振興につなげられるか、疑問は残る。
 経営面では認可前に事業計画を審査し、開業後も不振なら改善を指導するという。しかし見込み通りに進みにくいのがエンターテインメント事業の特徴だ。経営不振に陥った場合、どんな条件で運営企業の撤退を認めるか。ある程度のルールを定めておくべきだ。
 懸念される依存症への対策として有識者会議は、日本人客にはマイナンバーカードで本人確認して入場料を課し、入場回数も制限するといった案を示している。
 だが入場料の額や入場可能な回数などについて具体的な想定は示されておらず、こうした規制にどの程度の効果があるのか現段階では見通せない。
 暴力団などを排除するため、事業者や従業員について「廉潔性」を厳しく調査するという。しかしそうした目的で民間人のプライバシーに関わる事柄を幅広く調べる制度や経験は日本にはない。
 今回の報告書で、経営や治安などで国民が抱く不安や懸念が払拭されたとは思えない。実施法案をつくる過程では、運営方法を具体的に示し、ていねいに説明していく努力が欠かせない。
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東京新聞 2017年7月31日
【社説】横浜市長選 カジノはやはり封印を


 “ハマ”にカジノは似合わない。やはり封印すべきだ。横浜市長選で三選を果たした林文子氏には、まずもってそのことを注文しておきたい。せっかくの横浜の歴史と文化も台無しになるだろう。
 自民、公明両党が推薦する現職に、元旧民主党衆院議員と元民進党横浜市議の二人が挑み、三つどもえの戦いとなった。三百七十万人余りが暮らす最大の基礎自治体が抱える課題は多岐にわたる。
 中でも、カジノをふくめた統合型リゾート(IR)施設の誘致の是非は、重大な争点になると期待された。かねて意欲を示してきた林氏に対し、新人二人は反対の姿勢を鮮明にしていた。
 だが、結果として、市民は肩透かしを食った。今年に入り、とりわけ選挙が近づくにつれ、林氏は慎重な振る舞いに転じたからだ。
 IR誘致による税収と経済への効果を説き、地元に不可欠と唱えていたのに、最近は「白紙」にまで後退した。ギャンブル依存症といったカジノの負の側面を気遣う態度が目立つようになった。
 けれども、本当に立場を変えたのか。賛否が大きく割れる課題から関心をそらす方便だったのではないか。「導入検討」と公約集ではうたっている。多くの市民は疑心暗鬼に陥っているだろう。
 安倍内閣の支持率が下落する中での大型地方選となった。政権与党としては、東京都議選、仙台市長選と続いた連敗に歯止めをかけたかったに違いない。ましてや菅義偉官房長官の地盤でもある。
 振り返れば、カジノを解禁するIR整備推進法も、昨年十二月に国会会期を再延長してまで強引に成立させた経緯がある。その直後の共同通信の世論調査では、カジノ解禁に約七割が反対だった。
 森友学園、加計学園をめぐる問題や、「共謀罪」法の成立強行といったこれまでの「安倍一強」の居丈高な構えが、市民の怒りを増幅させている。反対の声が根強いIR誘致を掲げては危ういと、林氏も読み解いたのではないか。
 くぎを強く刺しておきたい。カジノ解禁の是非を真正面から問わなかった以上、再び積極姿勢に戻るのは信義にもとる。国際交流や観光振興の方策は、カジノ抜きで検討を進めるのが筋だ。
 与野党は依存症対策法案をそれぞれ国会に出しているが、賭博が生み出しうる問題領域は広い。犯罪の増加、青少年への悪影響、反社会的勢力の介入など懸念される弊害は枚挙にいとまがない。政治は国民を甘く見てはならない。
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秋田魁新報 2017年8月3日 掲載
社説:カジノ運営ルール 依存症など懸念拭えぬ


 政府の有識者会議が、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の運営ルールに関する報告書をまとめた。
 カジノ解禁に対しては、ギャンブル依存症を増加させるとして国民の不安が根強い。そうした状況を踏まえ、報告書にはカジノ利用に関して日本人を対象とした入場回数制限や入場料徴収などが盛り込まれ、同会議は「世界最高水準のカジノ規制」を打ち出したとしている。
 しかし、入場回数の制限や入場料の金額など具体的な基準は報告書に明示されておらず、肝心な部分の議論は先送りした形だ。依存症対策として十分とは言えず、政府は議論を一層深めて国民が納得できるような対策を示すべきである。
 報告書はIR整備推進法が昨年末、自民党の主導で成立したのを受け、学者らによる「IR推進会議」が4カ月かけてまとめた。IRを整備する当初の区域数は2~3カ所が有力視され、事業認定は早くても2020年以降とみられている。
 注目されていたギャンブル依存症対策について、報告書ではカジノへの1週間・1カ月単位での入場回数制限や入場料徴収に加え、依存症患者や家族から申告があった人については入場を規制できるとした。カジノ内には現金自動預払機(ATM)の設置を禁じ、事業者には依存症予防のための相談窓口設置や情報提供を義務付けることなども提言している。
 これに対しては、依存症の専門家から効果を疑問視する声も上がっている。入場回数を規制しても利用金額や滞在時間に制限がなければ、対策として不十分だとの指摘だ。また、入場回数制限は入場時に提示を義務付けるマイナンバーカードによって行うとしているが、カードの普及率は1割未満にとどまっており、推進会議内にも「現実的ではない」との意見がある。規制の在り方については、もっと踏み込んだ検討が必要だ。
 政府はIRの整備によって「地域経済の振興」を図ることを重点目標の一つに掲げているが、報告書からはその明確な道筋も見えてこない。
 報告書ではIRの認定要件としてカジノや国際会議場、ホテルなど計5施設の完備を挙げ、「国際競争力の高い滞在型観光地を形成する中核施設」と位置付けた。IRの誘致に乗り出した地方からは、そうした趣旨に合致した大規模施設を整備するのは難しいとの不満が出ている。報告書では各地に観光客を送り出すためIR内に「案内所の設置」も義務付けているが、結局は大都市中心の政策になるのではとの懸念は拭えない。
 政府は報告書を基にIR実施法案を作成し、秋に想定される臨時国会に提出する方針だ。依存症対策の充実と併せ、IRによって地域経済の振興が果たして可能なのかどうかについても政府は国民にしっかり説明することが求められる。
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信濃毎日新聞 (2017年8月2日)
社説:カジノ解禁 議論を一からやり直せ


 賭博罪の例外となるカジノ解禁に向けた準備が進んでいる。
 政府の有識者会議がカジノの運営規則を盛った報告書をまとめ、発表した。政府はこれを基に実施法案を作り、次期臨時国会に提出する。
 カジノを巡っては、ギャンブル依存症の増加、治安悪化、子どもたちへの影響、犯罪絡みの資金洗浄の恐れといった懸念が拭えていない。世論調査では、国民の大半が解禁に反対している。
 そもそも観光振興に欠かせないものなのか。原点に返って議論を尽くすよう各党に求める。
 カジノは、統合型リゾート施設(IR)の中心に位置付けられている。事業収益を国際会議場、美術館、ホテルなどの運営に還元し採算性を確保するという。
 国や立地自治体は、税金とは別にカジノ事業者から納付金を徴収できる。安倍内閣や自民党は、外国の富裕層を呼び込むことで、経済成長や雇用創出につながるとうたっている。
 今回の報告書は、日本人向けの「弊害防止対策」として(1)マイナンバーでの本人確認(2)入場回数制限と入場料徴収(3)本人や家族の申告による利用制限の義務付け(4)クレジットカードの利用禁止―などを盛っている。
 独立性の高い管理委員会が事業の審査、許可に当たり、法令違反を監視する。よほどの規制がなければ健全な運営は見込めないことを物語る内容だ。こうした規則の実効性にも疑問が残る。
 経済浮揚や雇用への効果も疑わしい。アジアではカジノの数が増えていて、「過当競争にあり採算が取れない」「訪日外国人の増加につながらない」との専門家の指摘もある。韓国のカジノでは借金を返せない自殺者の増加、治安悪化が問題となっている。
 IR整備推進法は昨年の臨時国会で成立した。審議開始から成立までわずか2週間。超党派の議員立法にもかかわらず、与党側は採決を強行した。カジノは射幸性も依存性も強いというのに、懸念に対するまともな議論はなく、「悪影響を避けるための措置」を政府に丸投げした。
 これほど無責任な議員立法はない。報告書を議論の仕切り直しの機会ととらえるべきだ。
 外国人観光客は、日本各地の伝統文化や景観にこそ魅力を感じてくれている。観光の将来を考えても、手っ取り早く金をもうける手段が好結果をもたらすとは思えない。カジノ合法化ありきで進むことは認められない。
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[京都新聞 2017年08月03日掲載]
社説:カジノ運営  功罪を改めて示すべき


 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の運営ルールに関する報告書を、政府の有識者会議が発表した。
 IRについては、政府の成長戦略の目玉と位置づけられ、昨年暮れの臨時国会で整備推進法が成立している。
 ギャンブル依存症対策や犯罪絡みのマネーロンダリング(資金洗浄)防止などの課題がある。これらに対処する具体的な法整備が求められるため、有識者会議で運営ルールの検討を進めていた。
 整備推進法は、利益の一部を社会に還元することを条件にしてはいるが、刑法が禁じる賭博を行えるようにする。
 同法の採決では、与党の公明党が自主投票で臨むなど異例の経過をたどり、国民の根強い不安も、完全には払拭(ふっしょく)されてはいない。
 運営ルールについては、慎重なうえにも慎重に取り扱い、公的な利益還元が担保されているか、本当に地域経済の発展や観光振興に寄与するか、厳しく問われなければならない。
 IRでは、カジノ、ホテル、商業施設、劇場のほか、採算性は乏しいが、公的な施設である国際会議場なども備え、カジノの収益をもとに格安のサービスを提供する。観光分野での国際競争力を高め、経済波及効果をもたらすことが期待されている。
 報告書は、都道府県か政令指定都市が事業者とつくった整備計画を、国土交通相が審査して開業区域を認定することにした。事業者は、公共政策的な機能の一環を担うものとし、政府が毎年、評価・監督の対象とする。公的機関が関与し、反社会的勢力の入り込む余地をなくす狙いだ。
 ただ、政府や自治体にIR運営の適否を判断するノウハウがあるかどうかは疑問で、さらに丁寧な検討が必要となろう。
 依存症対策としては、日本人の入場に回数制限を設けることなどを盛り込んでいる。マイナンバーカードを使って本人を確認し、本人や家族の申告による利用制限措置も義務づけるとした。
 2010年にカジノを解禁したシンガポールでは、同様の対策を実施し、依存症の増加がみられないという。一方、韓国では利益よりも依存症によるマイナスの方が大きいとの指摘がある。
 政府は、報告書をもとに実施法案を作成し、今秋の臨時国会に提出する方針だが、IRの功罪を改めて具体的に示し、国民の判断を仰ぐべきだろう。
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神戸新聞 2017/08/02
社説:カジノ規制/依存症を抑制できるのか


 政府の有識者会議が、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の運営ルールに関する報告書をまとめた。各国の例を参考に「世界最高水準」のカジノ規制を設けるとしたが、どれだけの効果があるかは見通せない。
 ギャンブル依存症患者を増やし、反社会的勢力の資金源になるのではないか-など国民の不安は尽きない。有効な対策を練り上げるのが政府の責務だ。
 報告書ではカジノ規制について、日本人の入場回数制限や自己申告などによる利用制限、未成年者への広告・勧誘禁止などを示した。マイナンバーカードでの本人確認も義務づけた。
 これで依存症が抑制できるとの確証はない。疑いのある成人は全体の3%弱と推計されるが、カジノ設置でさらに増える可能性もある。政府は早期発見や治療、社会復帰などの支援策づくりを急ぐべきだ。
 カジノの収益を、併設する国際会議場やホテルの運営に充てるよう求めている点も気にかかる。カジノの利益が、IR全体の経営を左右することになる。収入減を避けるため、規制が厳格に適用されないのではとの懸念がぬぐえない。
 IR設置の枠組みは、都道府県か政令指定都市がIR事業者と共同で整備計画を作り、国土交通大臣が認定する。2020年以降、全国で2~3カ所の認定が見込まれる。
 認定条件に掲げたのはカジノに加え、国際会議場やホテルなど計5施設の完備だ。国際競争力も要求しており、高水準の施設を造らなければならない。
 北海道釧路市や大阪市など、IR誘致には全国の自治体が名乗りを上げている。しかしこの条件では、財政力のある大都市が有利なのは明らかだ。政府の唱える地方創生とは裏腹に、格差を広げることにならないか。
 カジノへの根強い批判を意識してだろう。報告書はIRに「大人も子どもも楽しめる」「型破りで、印象的な空間の創出」を求めた。
 忘れてはならないのは、日本は今でも世界有数の「ギャンブル大国」であることだ。多重債務や自殺、家庭崩壊を招くなど、社会的な損失が指摘されている。「解禁ありき」ではなく、慎重に議論を進めたい。
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山陽新聞 (2017年08月03日 08時00分 )
社説:カジノ規制 依存症対策に万全を期せ


 カジノを中心とした統合型リゾート施設(IR)の導入に向けて運営ルールを検討していた政府の有識者会議が、安倍晋三首相に報告書を提出した。政府は公聴会などを経て「IR実施法案」を、今秋に想定される臨時国会に出す方針だが、国民の十分な理解が得られるか、先行きは見通せない。
 報告書によるとIRはカジノや国際会議場、ホテルなど5施設を完備することが要件とされる。都道府県か政令指定都市がIR事業者と共同で作成した整備計画を、国土交通相が「国際競争力があるか」といった視点から審査して区域を認定するという。開業できる区域は当初2~3カ所が有力視され、認定は2020年以降の見通し。
 前面に掲げるのが「世界最高水準のカジノ規制」だ。多額の掛け金が動くカジノについてはギャンブル依存を助長しないかや、マネーロンダリング(資金洗浄)など犯罪の温床にならないかといった懸念が根強い。こうした状況を考慮してのアピールということだろう。
 確かに、報告書はさまざまな対策に触れてはいる。反社会勢力の関与などを防ぐため、カジノ事業は免許更新制とする。内閣府の外局に「カジノ管理委員会」を新設し、マネーロンダリングや法令違反を監視し、問題があれば免許の取り消しや業務停止命令を行うことができる。
 ギャンブル依存症への対策では、日本人の利用客にマイナンバーカードによる本人確認を義務付け、入場回数を制限する。入場料も徴収する。さらに安易な借金を防ぐため、施設内での現金自動預払機(ATM)の設置を禁止し、クレジットカードの利用も外国人観光客のみに認めるとしている。
 シンガポールなど海外の実績を踏まえて打ち出したというが、どこまで実効性があるかは疑問だ。依存症対策は、入場回数の制限など“水際防止”に重きを置く半面、発症後のケアは手薄で、万全の備えとは言い難い。
 安倍政権はIRを成長戦略の起爆剤にしたい考えだ。地域経済の活性化に期待を膨らませ、誘致に動く自治体もある。だが、そうしたIRがもたらす経済効果も不透明だ。認可に当たって国際競争力の有無などが問われるため、大都市圏以外はハードルが高い。政府が提唱する地方創生にどう結びつくのだろうか。
 日本へのカジノ導入は政府による実施法案作成へと踏み出す。メリットだけでなくデメリットも明らかにし、国民の声に耳を傾けた丁寧な対応が求められる。拙速な進め方で禍根を残してはならない。
 日本は公営の競馬などのほか、パチンコなどもある「ギャンブル大国」だが、依存症対策は乏しい。政府は実態把握のため初の面接調査を行った。そうした結果を踏まえ、広くギャンブル依存症への対策を進めるよう求めたい。
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南日本新聞 ( 2017/8/3 付 )
社説:[カジノ報告書] 依存症対策に懸念残る


 国民が不安に感じているギャンブル依存症への対策はこれで十分なのか。懸念が残る内容と言わざるを得ない。
 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の運営ルールに関する報告書を、政府の有識者会議がまとめた。
 政府は報告書を基にIR実施法案を作成し、秋に想定される臨時国会への提出を目指す。
 懸案の依存症対策は、日本人の入場回数制限などを盛り込んだ。だが、水際防止策が中心で、発症後のケアは依然として手薄だ。
 観光や経済面での効果を強調するばかりでなく、負の側面も丁寧な説明と対応が必要だ。その上で、国民や立地自治体の住民が受け入れるのか、見極めなければならない。
 報告書によると、IRはカジノや国際会議場、ホテルなど計5施設の完備が要件だ。都道府県か政令指定都市がIR事業者と共同で作成した整備計画を、国土交通相が審査し区域を認定する。
 カジノ事業は免許更新制とし、政府内に新設する「カジノ管理委員会」が暴力団関係者の有無などを審査した上で許可する。
 日本人を対象とする入場回数制限はマイナンバーカードで本人確認する仕組みだ。入場料金も徴収し、施設内の現金自動預払機(ATM)は設置を禁止する。
 だが、依存症問題に取り組む弁護士からは「実効性があるとは思えない」という声が上がる。
 マイナンバーカードの交付状況は今年5月15日時点で9.0%にとどまる。普及が進まないなかでの活用は現実的とはいえない。
 国内には既に、競馬などの公営ギャンブルやパチンコ・パチスロなどがあり、依存症の問題は深刻化している。
 政府が今年、実態把握のために成人2200人を対象に初めて行った面接調査では、依存症の経験が疑われる人は2.7%だった。国勢調査のデータで単純計算すると全国で約280万人になる。相談や治療体制の整備は急務だ。
 IR整備推進法は、依存症防止策の強化を明記した修正を行い、成立したはずだ。それなのに、依存症対策強化法案は先の通常国会で成立が先送りされている。
 依存症に苦しむ人やその家族を支援し、新たに依存症になる人を出さない。その両方の視点に立った継続的な対策が欠かせない。
 政府は報告書に関する公聴会を今月中旬から全国9都市で開催する予定だ。
 依存症や治安面など、さまざまな副作用についても説明し、国民的な議論につなげてもらいたい。
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