2017-08-10(Thu)

リニア新幹線 三菱重工が車両撤退

米への新幹線輸出も進展なし 日本企業に高いハードル
JR東海の子会社・日本車両製造 米安全基準を満たせず 契約車両の生産停止


三菱重工リニア新幹線車両撤退 業績不振で事業選別
----三菱重工業は2027年に開業を予定するリニア中央新幹線車両の開発・製造から撤退する方針を固めた。発注元のJR東海と製造コストで折り合わなかった。試験車両の開発で打ち切り、営業車両の量産は断念する。

----JR東海は三菱重工撤退しても「営業車両の発注先は別に決める予定で、開業スケジュールに影響はない」(幹部)としている。基幹部品の超電導磁石は東芝や三菱電機が供給するとみられ、車両本体は三菱重工とともに試験車両を開発したJR東海グループの日本車両製造が軸となる見通しだ。
(日本経済新聞 2017/8/10 2:00)

◇焦点:米インフラ投資、新幹線も進展なし 日本企業に高いハードル 
---- トランプ政権が発足し、米国内のインフラ投資が活発化するとの予想から、日本国内でも対米インフラ投資への期待感が、今年2月の日米首脳会談後に盛り上がった。だが、実態は日本企業にとって想定以上に厳しそうだ。最も有望視された新幹線案件も進ちょくがなく、他の分野も高いハードルが目立つ。

----<安全基準の違いに悩まされる鉄道車両>
米国では日本に比べ鉄道における衝突事故が多く、米国の安全基準は衝突時の衝撃吸収に関する部分が厳しい。その結果、安全基準を満たせず、契約車両の生産停止に追い込まれたのが、JR東海の子会社・日本車両製造だ。

米カリフォルニア州とイリノイ州交通局から総額3億5000万ドルで受注した普通車両130両について、米安全基準をクリアしていないことが発覚し、同社は現在、発注元と納入期限延期や仕様について協議し、州の補助金返還も含めて調整中だ。
(ロイター  2017年 06月 2日 15:15)



以下引用

日本経済新聞 2017/8/10 2:00
三菱重工リニア新幹線車両撤退 業績不振で事業選別
 三菱重工業は2027年に開業を予定するリニア中央新幹線車両の開発・製造から撤退する方針を固めた。発注元のJR東海と製造コストで折り合わなかった。試験車両の開発で打ち切り、営業車両の量産は断念する。国産初のジェット旅客機「MRJ」や大型客船の開発遅れで業績が落ち込んでおり、事業の選別をさらに進める。
 三菱重工は山梨県で走行実験しているリニア中央新幹線の試験車両「L0(エルゼロ)系」を開発・製造。日立製作所や川崎重工業は新幹線の開発実績があるが、三菱重工新幹線など高速鉄道は未経験だった。リニアで巻き返す狙いだったが、余裕がなくなった。
 三菱重工の鉄道事業はゴムタイヤでコンクリート製の軌道を走る新交通システム車両が主力で、「エアブレーキ」と呼ぶ部品も強い。磁力で地上から10センチメートルほど浮かせて走る超電導リニア車両には航空機部品の軽量化技術が生きるとみて試験車両の開発に参画した。
 リニア中央新幹線は14年に着工し、27年の開業を予定している。JR東海は三菱重工撤退しても「営業車両の発注先は別に決める予定で、開業スケジュールに影響はない」(幹部)としている。基幹部品の超電導磁石は東芝や三菱電機が供給するとみられ、車両本体は三菱重工とともに試験車両を開発したJR東海グループの日本車両製造が軸となる見通しだ。
 JR各社は政府と連携し、リニア新幹線を含めた高速鉄道の輸出計画を進めている。JR東海はワシントンDC―ボルティモア間を皮切りに米東海岸の「北東回廊」でリニア導入を働きかけている。巨額のコスト負担に加え、トランプ政権の高速鉄道への姿勢がはっきりしていないことから交渉は停滞している。


日本経済新聞 2017/8/10付
きょうのことば リニア中央新幹線 27年開業予定
▽…JR東海が2027年に品川―名古屋間(286キロメートル)の開業を予定する世界初の超電導リニア新幹線。超電導磁石の力で約10センチメートル浮上して走行し、最高時速は約500キロメートルと現在の東海道新幹線(285キロメートル)と比べて大幅に速くなる。品川―名古屋間の所要時間は現在の約1時間30分から40分に短縮される見通しで、東海道新幹線の混雑緩和や大地震の際の防災対策としても期待される。

▽…JR東海は14年に工事に着手。当初は45年を予定していた名古屋―大阪の延伸時期は最大8年前倒しする方針を表明しており、10年後の名古屋までの開業に続いて早ければ20年後の37年に大阪まで全線が開業する可能性がある。
▽…リニアモーターカー構想は東海道新幹線の開業前に浮上し、JR東海が旧国鉄から引き継いで山梨県などで進めてきた。車両や設備には日本の先端技術を結集。JR東海はメーカーに別の販売先を確保させる目的も兼ね、米東海岸に輸出する構想を持つ。


ロイター  2017年 06月 2日 15:15 JST
焦点:米インフラ投資、新幹線も進展なし 日本企業に高いハードル 
 6月2日、トランプ政権が発足し、米国内のインフラ投資が活発化するとの予想から、日本国内でも対米インフラ投資への期待感が、今年2月の日米首脳会談後に盛り上がった。だが、実態は日本企業にとって想定以上に厳しそうだ。写真は米カリフォルニア州サンディエゴの高速道路。2016年10月撮影(2017年 ロイター/Mike Blake)
[東京 2日 ロイター] - トランプ政権が発足し、米国内のインフラ投資が活発化するとの予想から、日本国内でも対米インフラ投資への期待感が、今年2月の日米首脳会談後に盛り上がった。だが、実態は日本企業にとって想定以上に厳しそうだ。最も有望視された新幹線案件も進ちょくがなく、他の分野も高いハードルが目立つ。
トランプ政権の経済政策の実現可能性にも懸念の声が漏れ、投資判断を下そうとする日本企業にとって、視界不良の展開が続きそうだ。
<政治判断に翻弄される新幹線>
日本政府内で最も有望視されてきたのは、新幹線案件だ。JR東海(9022.T)は、テキサス州ダラス―ヒューストン間を結ぶ新幹線型の高速鉄道計画に技術協力する。
現地民間会社が2018年着工、22年開業という計画を発表しているが、JR東海によると、今のところビジネス進展の動きはないという。
ワシントン─ニューヨーク間のリニア新幹線構想は、今年2月の日米首脳会談でも期待が表明されたが、こちらも「具体的には何も進ちょくしていない」(広報室)。
カリフォルニア州の高速鉄道計画についても、日本企業が入札に期待を寄せている。しかし、一時関心を示していたJR東日本(9020.T)は4月に入札に参加しない方針を決めた。理由については「総合的判断」(広報室)とだけ回答している。
<安全基準の違いに悩まされる鉄道車両>
在来の鉄道用の車両事業も、日本企業にとって国際競争力のある分野と思われていた。ところが、日米間に存在する安全基準の「相違」という壁にぶち当たっている。
米国では日本に比べ鉄道における衝突事故が多く、米国の安全基準は衝突時の衝撃吸収に関する部分が厳しい。
その結果、安全基準を満たせず、契約車両の生産停止に追い込まれたのが、JR東海の子会社・日本車両製造(7102.T)だ。
米カリフォルニア州とイリノイ州交通局から総額3億5000万ドルで受注した普通車両130両について、米安全基準をクリアしていないことが発覚し、同社は現在、発注元と納入期限延期や仕様について協議し、州の補助金返還も含めて調整中だ。
同社総務部・市川雄大氏は「日本での技術がそのまま生かせなかった」と述べたうえで、労働者の技術水準、部材調達先の米企業の破たん、設計上の問題など「複合的な要因があった」と説明している。
<厳しくなるバイアメリカン法>
加えて「バイアメリカン法」(連邦・州政府の事業で一定割合の米製品調達を条件とする法律)も、日本企業にとってハードルとなっている。
高速鉄道は米製品調達比率が100%、一般の鉄道でも6─7割と厳しい基準が課されている。
ワシントン首都圏交通局やロングアイランド鉄道などの車両生産を手がけている川崎重工(7012.T)は、他社に先んじて1986年から現地生産拠点を構え、実績を積んできた。「多くの部品を米国企業から調達しているが、品質基準を満たした部品を納期通りに供給できる安定したサプライチェーンの維持は容易ではない」(岩崎宏治・北米事業統括担当執行役員)と説明する。
今年4月、トランプ大統領がバイアメリカン法の強化を目指す大統領令に署名。従来認められてきた例外製品さえも排除し、適用を徹底する方針が打ち出された。日本企業にとって事業の遂行は、一段と厳しさを増す可能性が大きい。
<緩和される米環境規制>
さらに日本企業の投資判断にとって、やっかいな存在がトランプ政権の政策の「揺らぎ」という政治リスクだ。
1つは、オバマ前政権から大きくカジを切る環境政策の動向。トランプ大統領はCO2排出規制の見直しを打ち出し、環境予算の3割削減を盛り込んだ予算教書を提出した。
日本企業は、オバマ前政権までの厳しい環境規制に対応した製品、サービスなどを「得意科目」とするところが多い。
ところが、トランプ大統領は1日、温暖化ガスを規制するパリ協定からの離脱を宣言した。
グリーンエネルギー事業を展開する日立造船(7004.T)は、ごみ処理運営事業に初参入し、18年7月稼働を目指してカルフォルニア州でプラントを建設中だ。今後は他の州でも、商機につなげたいと期待してきた。
同社の環境事業本部グローバル事業推進部の青木章氏は「このビジネスは、世界の温室効果ガス排出規制と関係があるのは事実。大統領の方針転換でクリーンなごみ処理技術が全米で万一推奨してもらえることがなくなっても、環境規制の厳しい州では、引き続き方針は変わらないと期待している」と述べている。
経団連・米国委員長の村瀬治男・キヤノンマーケティングジャパン(8060.T)代表取締役会長は「環境規制がどのように変わるかで、製品にとってかなり影響が出てくる可能性がある」と指摘する。
ただ、「米国では、ワシントン(連邦政府)とだけ話をすれば終わりではない。それぞれの州と、きちんとコミュニケーションをとることが大事」だとしている。
<インフラ投資予算、議会がネックの可能性>
一方、インフラ投資に関連する日本からの機械類と交通関連の対米直接投資額は、足元で急減速している。
米商務省統計によると、機械類と交通関連を合わせた直投額は、2010─2015年の平均で年間36億6100万ドル、14年が32億5700万ドルだったが、15年は15億3000万ドルに減少した。
トランプ政権のインフラ投資計画が動き出せば、日本企業の直投額も急反転する可能性がある。
米インフラ投資の全体像をみると、2014年の米国における交通・水道インフラへの公的支出額は4160億ドル(米議会予算局)。03年の4566億ドルをピークに財政赤字の下で減少基調をたどり、今や必要な補修費用も捻出できていない状況だ。
トランプ大統領が示した18年度予算教書では、10年間1兆ドルの投資計画に関し、連邦予算で2000億ドル、民間資金で8000億ドルという官民割合を初めて提示した。
官民連携の水道設備老朽化対策事業の拡大に期待し、米現地企業の買収により事業拡大を図ってきたメタウォーター(9551.T)の福島一郎・取締役執行役員専務は「水インフラ再整備にどの程度の金額が振り分けられるのか、今は明確でない。その状況で、米自治体の中には、計画を先延ばしする例も散見される」と述べている。
連邦政府による2000億ドルの支出は、米上下両院の議決が必要で、与党共和党の強力なサポートがなければ、インフラ計画も「絵に描いた餅」になりかねない。
日本企業にとって、最も読みにくいのは、この「政治リスク」かもしれない。
*本文9段落目の表現を一部修正して再送します。
(中川泉 宮崎亜巳 編集:田巻一彦)

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日テレNEWS24  2017年2月9日 10:53
安倍首相が提案 米・高速鉄道計画への投資
http://www.news24.jp/articles/2017/02/09/10353638.html
 日米首脳会談で、安倍首相がトランプ大統領に提案するとみられるひとつが、アメリカの高速鉄道への投資。高速鉄道建設の現場で何が起きているのか、取材した。
 アメリカ・テキサス州で計画が進められている高速鉄道プロジェクト。首脳会談で安倍首相が協力を表明するひとつとみられている。
 プロジェクトを進める地元企業に展示されていたのは、日本の新幹線の模型。早ければ来年にも着工し、ダラスとヒューストンの間約390キロを1時間半で結ぶ計画。
 高速鉄道の事業主体、トラビス・ケリー氏「高速鉄道プロジェクトは多くの雇用を生み、トランプ政権の主張と合致する」
 企業は、この計画で新たに4万人以上の雇用が生まれると試算。地元ダラス市も日米首脳会談での後押しに期待を寄せている。
 ダラス市、ウィルソン副市長「安倍首相がトランプ大統領に売り込み、高速鉄道が必要だと納得させてほしい」
 一方、課題は1兆3000億円以上とされる建設費。すべて民間の投資でまかなう予定だが、現在は1割ほどしか資金は集まっておらず、日本からの投資に期待がかかっている。しかし一方で、日本への冷ややかな見方もある。
 建設に反対する住民の一人は、「これは日本のプロジェクトだ。アメリカではなく日本を偉大にする。この場所に高速鉄道は必要ない」と話した。

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