2008-07-24(Thu)

労働経済白書 反省してただちに改めよ 

労働法制の規制緩和 根本から見直せ

20年版労働経済白書について「信濃毎日新聞」社説は
「パートなど非正規雇用の拡大や、成果主義的な賃金制度の問題点を指摘するのはいいけれど、労働法制の規制緩和の旗を振ってきたことへの反省がないのでは、素直には受け取れない。」
と感想をのべている。

同感だ。問題だというなら、労働法制の規制緩和を根本から直ちに改めるべきだ。




厚生労働省 平成20年版 労働経済の分析(本文版)
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/08/index.html
厚生労働省 平成20年版 労働経済の分析(要約版)
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/08-2/index.html

信濃毎日新聞 7月23日(水)
社説
労働経済白書 反省の弁がなければ
 パートなど非正規雇用の拡大や、成果主義的な賃金制度の問題点を指摘するのはいいけれど、労働法制の規制緩和の旗を振ってきたことへの反省がないのでは、素直には受け取れない。
 厚生労働省が発表した今年の労働経済白書を読んでの感想だ。
 副題は「働く人の意識と雇用管理の動向」。働き方の変化が勤労者や企業経営にどんな影響を及ぼしているかを分析している。
 政府と財界が二人三脚で進めてきた規制緩和に、疑問を投げかけているのが目を引く。例えばパート、派遣といった非正規雇用が増えている問題だ。
 内閣府の調査によると、1990年代半ば以降、仕事についての満足度は下がっている。雇用安定と収入にかかわる項目での低下が特に目立つ。
 白書はこうした傾向について、「正規以外の従業員が増加してきたことも影響している」と分析し、警鐘を鳴らしている。
 成果主義的な賃金制度についても、▽評価する人によってばらつきが出やすい▽事業部門間の業績の差を社員個人の評価に反映させるのは難しい-ことを指摘。「結局は恣意(しい)的な制度運用に堕してしまう危険も感じられる」と厳しい見方を示している。
 非正規雇用や成果主義が働く人の暮らしを不安定にしやすいことは、経済学者や労働組合によって繰り返し指摘されてきた。白書の分析に目新しさはない。
 問題は、一連の制度見直しのレールを敷いたのが、小泉元政権の下で進められた「構造改革」政策であり、ほかならぬ厚労省自身だったということだ。
 例えば2003年版の労働経済白書を見てみよう。白書は非正規雇用の拡大を「就業形態の多様化」ととらえ、原因として「若年層で…非正規の雇用形態を希望する人が増えている」ことなどを挙げている。同じ白書とも思えない肯定的な記述である。
 評価が変わった背景には、「温(ぬく)もりある政治」を掲げる福田政権の登場があるのだろう。そうだとしても、白書が手のひらを返したような書き方をするのでは、労働行政は国民から信用されない。
 日雇い派遣、名ばかり管理職など、労働分野の問題が噴き出している。白書も指摘するように、非正規雇用の拡大は日本経済の生産性上昇を妨げている面がある。
 厚労省が国民生活の将来を考えるなら、過去の労働政策の反省に立って、政策の基軸を働く者の側に移すべきだ。

日経新聞 2008年7月23日
社説1 活力高める雇用改善は構造改革から(7/23)
 賃金は上がらない。能力開発の機会が乏しい非正規労働は増える。このままでは働く人たちの意欲は高まらない。事態を抜本的に改善するには、良質な職を生む新しい産業の成長を促す経済の構造改革が急務だ。厚生労働省が22日に発表した2008年版「労働経済白書」は、こうした分析を中心に据え、労働行政の限界を示唆している。
 今春の賃上げ交渉は労働側にとっては期待はずれに終わった。08年3月期決算で上場会社の連結経常利益が6期連続して増益となる中で、しかも福田康夫首相が賃上げを促す異例の発言をしたにもかかわらずだ。新規学卒者への求人は旺盛だが、3人のうち1人を占める非正規労働者の比率は一向に下がらない。
 雇用の質が改善しないうちに、米国のサブプライムローン問題などによって、世界経済の先行きに暗雲が広がり、国内景気も陰り始めた。原料価格の高騰にも直撃され、企業はあらためてコストの抑制に努めざるを得ない。雇用環境は再び悪化する見通しで、保護的な労働行政を求める声が高まってきている。
 しかし労働条件を法的に向上させようとしても対症療法にすぎない。製造業は今後も重要だが、厳しい国際競争に対処するためにコスト削減の手を緩められない。バブル経済の崩壊後、正規労働者を減らして、賃金の安い非正規労働者を増やして生き延びてきた。これまでの景気回復は外需頼みで、労務費を削減した製造業の立ち直りに負っている。
 労働経済白書がいう、製造業の正規雇用の減少と低生産性のサービス業や流通業での雇用拡大は、問題をはらんでいる。働く人たちの満足度を低める1つの要因になっているからだ。とはいえ労働法制の規制緩和による非正規労働の増大や、サービス業などの非製造業での雇用拡大のおかげで、月次の完全失業率が最高でも5%台半ばにとどまった。
 海外に活路を求める既存の製造業を主柱とする産業構造にこれからも頼らざるを得なければ、製造業に多い好条件の雇用はあまり増えないだろう。非正規労働の法的規制を性急に強めると、雇用機会を減らす思わぬ副作用が懸念される。現状を前提に乏しきを分かち合う策に執着するのは縮小均衡の道である。
 袋小路から抜け出すには、付加価値の高い情報産業や新しいサービス産業などの成長を促さなければならない。停滞している規制改革や地方分権などの徹底により、経済構造改革を急ぐことが、活力ある雇用を生み出す最良の策である。

朝日新聞 2008年7月23日
社説
雇用のあり方―働きがいがあってこそ 
 過酷な労働者の姿を描いた80年近く前の小説「蟹工船」に、若者たちが共感を寄せる。ネットカフェへ足を運べば、アパートを借りる金すらない人たちが相変わらず夜を過ごしている。30~40代のフリーターも増えてきた。
 そうした現実を政府も無視できなくなったということだろう。
 厚生労働省が今年の労働経済白書で、仕事に対する働く人たちの満足度が下がってきている、というデータを大きく取り上げた。
 仕事にやりがいを感じられない。収入や雇用の安定といった面で不満がある。そんな働き手が増えることは、本人はもちろん、企業にとってもいいことではない。労働者のやる気がそがれれば、仕事の生産性も上がるまい。
 働く人の満足度は、なぜ下がってしまったのか。
 白書が指摘した背景の一つが、正社員の数を絞り込む代わりに、派遣やパートなどの非正社員を企業が大幅に増やしてきたことだ。
 バブルの崩壊で経営が苦しくなった企業は、90年代に正社員を非正社員に切り替えることで人件費を抑え込んだ。規制緩和の流れのなかで、90年代後半からは労働者派遣法の改正も相次いで、派遣で働ける職種が一気に広がった。
 リストラや倒産が相次いだ時代には企業も生き残りを最優先に考えただろうし、「職場さえあるならば」との思いが働き手の側にもあっただろう。
 しかし、いったんできてしまった「正社員から非正社員へ」という流れは、景気が上向いてからも止まらなかった。学校を卒業する時に正社員になれなかった若者の多くは、年齢を重ねても非正社員のままだ。
 派遣やパートには、正社員と違って、いつ仕事を打ち切られるかわからないといった不安がつきまとう。まともに生活できない低賃金も珍しくない。
 雇用行政は明らかに転換期を迎えている。政府もやっと、いまの働き方の見直しに本腰を入れ始めた。批判の強い日雇い派遣を含め、派遣労働のあり方をどうするかが議論の焦点になっている。
 しかし、問題は日雇い派遣だけではない。あまりにもふくらみすぎた非正社員をどうすれば正社員に変えていけるのか。一方で、非正社員の賃金や待遇を引き上げて正社員に近づけるには、どうすべきなのか。
 労使の間で意見がぶつかる点も多いが、そうした難しい問題にいまこそ正面から向き合わなければならない。
 一人ひとりが働きがいを感じられ、安心して仕事をすることができる。それが長い目で見て、企業経営にも資する。そうした雇用のあり方をめざしたい。

東京新聞 2008年7月23日
【社説】
成果主義賃金 働く意欲を損ねるな
 バブル経済崩壊後、企業が相次いで導入した業績・成果主義的賃金制度は正社員の働く意欲を低下させている-と二〇〇八年版労働経済白書は指摘した。労働者を大切にする経営に立ち戻るべきだ。
 人口減少時代の日本が今後も成長するには働く人が意欲を持ち生産性を高めていくことが大切だ。白書はまず「働く人の意識」を分析し、企業が取り組むべき課題を示した。
 日本の労働者は今、低賃金と長時間労働、パートや派遣といった不安定雇用の増加など苦しい状況に置かれている。白書によると「仕事の満足度」では雇用の安定や収入の増加、仕事のやりがいなど、ほぼすべての項目が一九九〇年代以降、悪化しているという。
 満足度低下の理由は正社員として働ける会社がないため非正規社員となった人が増加したこと、正社員では業績・成果主義の拡大で賃金が抑えられたためである。
 とくに正社員では五十歳代の長期勤続者の意欲低下が目立つ。成果主義の導入で「賃金が低い」とか「評価が納得できない」「職場のコミュニケーションが円滑でない」などを不満としている。
 もともと成果主義は業績への労働者一人一人の貢献度を反映した賃金を決めることで、仕事への意欲を高める手法である。
 ところが成果主義は結局のところ単なる人件費抑制に使われた。企業は利益を内部留保や株主配当、役員報酬などへ振り向け労働分配率を減らし続けた。これでは正社員でもやる気を失うだろう。
 成果主義の問題点は昨年の白書でも「長期雇用の中で培われてきた経験や能力を正当に評価することが重要」と指摘していた。
 今年はさらに「評価基準がばらばら」で「説明も不十分」と踏み込み、同制度は「必ずしも成功していない」と明記した。企業はしっかりと見直すべきだろう。
 もうひとつの課題は非正規社員の増大である。企業は国際競争力の強化に全力を挙げた。コスト削減は当然だが、人材投資まで減らしたことは失敗だ。白書が指摘する「長期雇用の重要性」を再確認すべき時期である。
 政府にも注文がある。行き過ぎた労働法の規制緩和を見直すことだ。パートと正社員との均衡待遇や日雇い派遣の原則禁止に続き、契約社員などの有期雇用にも歯止めをかける。中小企業に配慮しつつ「雇用の安定」つまり正社員化を推進することが重要である。

北海道新聞 2008年7月23日
社説
労働経済白書 働く意欲どう高めるか(7月23日)
 今年の労働経済白書を貫くテーマは「働きがいのある社会の実現に向けて」である。
 たしかに今の社会で、労働者が働きがいを持つことは、なかなか難しくなっている。その大きな要因が、過度な成果主義や、非正規社員を受け入れる環境の未整備だ。
 今ほど働く意味が問われている時代はない。ワーキングプア(働く貧困層)や、賃金格差の拡大など、是正に取り組まなければならない問題は山積している。
 白書もこうした労働の現場が抱える問題の深刻さを認め、解決が急務であるとした。企業は真剣に受け止めてもらいたい。
 わが国の経済は、バブル崩壊による一九九〇年代の停滞から、二〇〇二年には回復局面に入った。
 だが、その果実が、十分に労働者に還元されていない現実がある。
 成果主義は、仕事への意欲を高めるという本来の目的よりも、人件費削減の狙いで運用されているきらいがある。それが賃金格差の拡大を招き、仕事に対する意欲の低下につながっている。
 白書は、その是正策として、評価基準の明確化などを挙げるとともに、行きすぎた成果主義に反省を求めている。
 非正規社員が増えたことも「企業にとってコスト負担の低い就業形態として活用された」とし、多様な就業希望の実現という目的はおろそかになっていると断じた。
 どの産業でも、仕事への満足感が低下した労働者の割合は高い。
 白書は、正規社員の絞り込みや成果主義的な賃金制度の運用には「多くの問題点があった」と認めた。
 同時に、こうした労働者の不満感を企業が認識していない、と批判したのは大きな意味を持つ。
 企業はコスト意識にとらわれ過ぎずに、社会的な観点から人材育成に努めるべきだという指摘にほかならない。
 ただ問題は、こうした課題の解決を、すべて企業に委ねていいのかということだ。
 そもそも非正規社員の増大は、政府が推し進めた規制緩和政策がもたらした結果だ。労働者が抱えるさまざまな問題の責任の一端は、国にあることは疑問の余地がない。
 厚生労働省は次の臨時国会に、日雇い派遣の原則禁止を盛り込んだ労働者派遣法の改正案を提出する構えだ。それだけで格差の是正に十分とはとても言えまい。
 政府は、労働現場の切実な声をくみ上げ、意欲を持って働ける社会の実現に向け、真に効果ある対策をとらねばならない。

2008年7月23日(水)「しんぶん赤旗」
非正規増え労働意欲低下
成果主義見直しも求める 労働経済白書
 厚生労働省は二十二日、二〇〇八年版「労働経済の分析(労働経済白書)」を発表し、労働者の満足感が「仕事のやりがい」「雇用の安定」「収入の増加」などで長期的に低下していることを明らかにしました。
 白書は、その要因として、企業が一九九〇年代から人件費の抑制を優先して正社員を減らし、非正規雇用が増大したためだと分析。成果主義賃金の見直しや正社員化への支援を求めました。
 今回の白書は、「働く人の意識と雇用管理の動向の分析」をテーマに、非正規化や成果主義賃金のもとでの労働意欲を分析しています。労働意識を白書で分析するのは初めての試みです。
 白書は、大企業の労働分配率は大きく低下していることを指摘。持続的な経済発展を実現するために、雇用の拡大、賃金の上昇、労働時間の短縮にバランス良く成果を配分することを求めています。
 労働意欲については、非正規雇用化、成果主義賃金によって長期的な満足感の低下があることを指摘。一九九〇年代に企業が人件費の抑制を優先し、若年層の計画的採用や育成の努力を怠ったことで、満足感が低下したと分析し、正規雇用化への支援を求めています。また、成果主義賃金の導入では、正規の中高年層で賃金格差の拡大による意欲の低下があるとのべ、賃金制度の見直しが企業経営の重要な課題だとしています。
 さらに、日本の産業構造について、一九九〇年代までは生産性の高い産業に労働力が集中していたのに、二〇〇〇年代以降は、生産性の低い分野に労働力が集中していることを分析。生産性の高い製造業などで人員削減がすすみ、小売業やサービス業などで非正規雇用が増加することで、産業間の生産性格差が拡大しているとし、製造業などでの雇用拡大が課題だとしています。


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