2018-04-16(Mon)

大分耶馬渓の山崩れ 予兆なき災害の恐ろしさ

原因調査と備えが急務  身近な危険箇所把握を 死者3人不明3人に 捜索中

<各紙社説・主張>
産経新聞)大分で山崩れ 災害リスクに向き合おう (4/13)
信濃毎日新聞)大分の山崩れ 原因調査と備えが急務 (4/13)
南日本新聞) [大分で山崩れ] 身近な危険箇所把握を (4/13)
西日本新聞)耶馬渓の山崩れ 予兆なき災害の恐ろしさ (4/12)

大分山崩れ 原因調査と備えが急務
----こんな崩落が突然起きるとは。助かるにはどうすればよいのか。
 山肌がごっそりと茶色くえぐられた現場の写真を見ていると、衝撃とともに、不安が頭をもたげてくる。

----現地調査した専門家チームは、岩盤の風化が原因との見方を示している。地下の岩盤に裂け目ができ、堆積した土砂層を巻き込みながら崩れ落ちたとし、地下水の影響は限定的とみている。
 過去の火山活動の堆積物が風雨で浸食され、一帯は土砂崩れが起きやすくなっていたという。住民も「この辺りで過去にも何回か山が崩れた」と話している。大分県は昨年3月、現場周辺を土砂災害特別警戒区域に指定していた。
 地盤の弱いところでは大雨が降っていなくても崩落が起きることがあり、そのまれなケースに当たるということだろうか。

----同様の危険を抱えた山あいの集落は珍しくない。前兆はなかったのか、命を守るためにできることはなかったのか。対策につなげるためにも、発生原因を詳しく調べる必要がある。
(信濃毎日新聞 2018年4月13日社説)




以下引用



産経新聞 2018.4.13 05:02
【主張】大分山崩れ 災害リスクに向き合おう


 降雨や地震など引き金となるような現象はなかった。
 大分県中津市耶馬渓町で11日未明、住宅の裏山が崩落した。民家4棟を突然土砂が襲い、住民6人が巻き込まれた。自衛隊や警察、消防が懸命な捜索を続けている。
 崩落現場は「土砂災害特別警戒区域」に指定されていた。
 専門家によると、現場は急傾斜地の表層が火山噴火の堆積層で覆われた崩れやすい地形、地質だった。今回の崩落は、風化によって地下の岩盤にできた亀裂から起きたとみられる。
 山崩れや土砂災害は多くの場合、大雨や地震がきっかけとなって起こされる。
 ただし、今回のように引き金となる現象がみられないまま崩落することも、まれではあるが起こり得るという。
 どうやって、突然の災害から命を守ればいいのか。
 地震に対しては建物の耐震化でリスクを小さくできる。津波や土砂災害に対しては、避難することが唯一の命を守る手段だ。しかし、今回は避難行動のきっかけとなる現象も起きなかった。
 今回の山崩れは、自然災害のなかでも備えと対策が最も困難なケースといえる。
 土砂災害特別警戒区域に指定された場所は、全国に約36万カ所もある。それでも、あきらめずに災害のリスクと向き合うことが重要である。
 土砂災害に限らず、地震、津波や河川の氾濫、高潮に対しても、自分の住む場所の危険度を学び、家族や地域住民が防災意識を共有することが、命を守る備えの第一歩である。
 身の回りの自然に関心を持つことも大切だ。降雨や地震はなかったが、今回の山崩れでも、樹木や湧き水、山の匂いなどに何らかの変化があった可能性はある。
 直ちに「山崩れの前兆」と判断できなくても、小さな異変に気付いていれば災害発生時に迅速な対応ができるかもしれない。その積み重ねは、将来の災害予測にも役立つだろう。
 今回の山崩れで土砂に襲われた民家のうち、1棟の住民4人は無事だった。わずかな差が生死を分ける。それは、一人一人の防災意識と日ごろの備えで、突然の災害から命を守る可能性が広がることも示している。
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信濃毎日新聞 (2018年4月13日)
社説:大分の山崩れ 原因調査と備えが急務


 こんな崩落が突然起きるとは。助かるにはどうすればよいのか。
 山肌がごっそりと茶色くえぐられた現場の写真を見ていると、衝撃とともに、不安が頭をもたげてくる。
 大分県中津市耶馬渓(やばけい)町の集落が大規模な山崩れに襲われた。幅200メートル、高さ100メートルにわたって裏山が崩れ、住宅4棟が巻き込まれた。計6人の死者・行方不明者が出ている。
 土砂崩れは通常、大雨で地中の水分量が増えたり地震で揺さぶられたりすると起きやすくなる。
 だが今回は、しばらくの間まとまった雨が降っていなかった。2年前の熊本地震の後、地盤が緩くなったとの見方もあるが、はっきりしたことは分かっていない。
 現地調査した専門家チームは、岩盤の風化が原因との見方を示している。地下の岩盤に裂け目ができ、堆積した土砂層を巻き込みながら崩れ落ちたとし、地下水の影響は限定的とみている。
 過去の火山活動の堆積物が風雨で浸食され、一帯は土砂崩れが起きやすくなっていたという。住民も「この辺りで過去にも何回か山が崩れた」と話している。大分県は昨年3月、現場周辺を土砂災害特別警戒区域に指定していた。
 地盤の弱いところでは大雨が降っていなくても崩落が起きることがあり、そのまれなケースに当たるということだろうか。
 2014年の広島市の土砂災害を機に改正された土砂災害防止法に基づき、都道府県は約51万4千カ所を警戒区域に指定した(18年2月末時点)。このうち約36万カ所が特に危険性が高い特別警戒区域となっている。
 長野県内の警戒区域は3月末時点で2万6950カ所、特別警戒区域は2万1322カ所に上る。
 同様の危険を抱えた山あいの集落は珍しくない。前兆はなかったのか、命を守るためにできることはなかったのか。対策につなげるためにも、発生原因を詳しく調べる必要がある。
 山間部では歴史的に、平たんな土地を農地に使い、自宅を危険性が高い斜面の近くに建てることが多い。移転も選択肢だが、愛着のある家に住み続ける気持ちは理解できる。資金面の課題もある。
 今回、間一髪で難を逃れた住民の一人は不気味な音に気付いて家から飛び出している。タイミングによるが、山の異変に気付くことができれば避難できる。普段から防災マップで危険を確かめ、住民同士で山の状態に目を向けるようにしておきたい。
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南日本新聞 ( 2018/4/13 付 )
社説: [大分で山崩れ] 身近な危険箇所把握を


 雨も降っていない中で起きた大規模な山崩れに驚くほかない。就寝中の住民は、逃げることもできず、巻き込まれてしまったのだろう。
 大分県中津市で住宅の裏山が幅約200メートル、高さ約100メートルにわたって崩れた。4棟が土砂に埋まり、12日夕時点で住民2人が死亡、4人の行方がわかっていない。
 県警や消防、自衛隊による懸命の捜索が続いている。何とか助かってくれるよう、一刻も早い発見を祈るばかりだ。
 現場は民家の裏に山の急斜面が迫り、前には水田が広がる。山の谷筋に沿って集落が点在する、典型的な日本の中山間地の風景だ。人ごとではないと感じた人も少なくないのではないか。
 専門家は、深い岩盤までが崩れ落ちる深層崩壊が起きたのではないかと推測する。
 現場周辺は、火山岩や堆積岩が混ざった硬い層の上に、火砕流が固まった軟らかい層と硬い層が乗った3段重ねの構造だという。風化や雨水の浸食で裂け目ができ、大きく崩れたと考えられる。
 深層崩壊は1997年の出水市針原の土石流災害など、鹿児島県内でも発生している。甚大な被害を引き起こすことが多く、予測は難しいとされる。発生予測のための研究が欠かせない。
 2014年に74人が犠牲になった広島市の土砂災害を受けて、国は土砂災害防止法を改正し、安全確保に向けた対策を強化した。
 都道府県が基礎調査し、危ない地域は「警戒区域」に指定。このうち民家が近いなど著しく危険なエリアは「特別警戒区域」として、建築制限や建物の移転勧告もできるようになった。
 だが、その区域は膨大な数に上る。国土交通省によると18年2月末時点で警戒区域が約51万4000カ所、うち特別警戒区域が約36万カ所ある。鹿児島県は3月末時点で警戒区域1万7821カ所、特別警戒区域9914カ所だ。
 今回の崩落現場は昨年3月、大分県が土砂災害特別警戒区域に指定していた。集落から山の上までの高さは指定基準の約35倍、傾斜角度も基準を上回る38度だった。
 県も「非常に危険だった」と認める。十分な対策がとられていなかったことは極めて残念だ。
 長雨の時季も近い。県本土の半分をシラスが覆う鹿児島でもあらためて警戒が必要である。
 まずは自治体が公表するハザードマップなどを活用し、身の回りの危険箇所を把握しよう。山鳴りや斜面の亀裂など、環境の変化にも敏感でありたい。早めの避難がなにより重要だ。
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西日本新聞 2018年04月12日 10時47分
社説:耶馬渓の山崩れ 予兆なき災害の恐ろしさ


 大雨は降らず、地震も発生していないのに、大規模な山崩れが起きた。異例の大災害に驚きを禁じ得ない。
 大分県中津市耶馬渓町できのうの未明、住宅地の背後にある山が崩落した。幅約200メートル、高さ約100メートルの規模に及ぶ。住宅4棟が土砂に埋まり、死者・行方不明者は6人に上る。
 二次災害を警戒しつつ、関係機関には全力で救命救助活動を続けてもらいたい。
 崩れた山の斜面から流れている地下水の影響や、地盤の劣化などの要因が重なったと指摘する専門家もいる。詳しい原因やメカニズムの究明を急ぎ、対策につなげたい。
 大分県は昨年3月、現場周辺を土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域に指定した。土石流やがけ崩れの恐れがある場所だ。このうち一部は特に危険な特別警戒区域である。宅地開発が規制されるほか、新築や建て替えの際には土砂災害に耐える構造にする必要がある。一方で、建物の補強や移転の場合は補助を受けられる。
 それほど危険に直面した場所ということだ。現場は住民の間で地盤が弱い地域として知られていたという。どのような対策が進んでいたのか。周辺住民への避難勧告の在り方なども含めて検証が必要だろう。
 国土交通省によると、土砂災害警戒区域の指定対象は全国で約67万カ所に上る。このうち九州は約14万カ所だが、実際に指定が済んだのは約10万カ所と7割にとどまっている。
 地価下落への懸念や移転先を確保する難しさなどから指定に反対する声も多いためだ。
 先祖伝来の土地に長年住んでいれば災害の危機を日常的に感知するのは困難かもしれない。農林業など仕事の都合で土地を離れにくい事情もあるだろう。
 とはいえ今回の災害は命を最優先する対応を地域や行政に迫っているのではないだろうか。
 福岡、大分両県を襲った昨年7月の九州豪雨では数時間前に大雨警報や土砂災害警戒情報が出されていた。それでも甚大な被害を防げなかった。今回は何の予兆もなかったに等しい。
 日本は森林の面積が国土の7割近くを占めている。森林は水源のかん養など重要な役割を担う。同時に、一瞬にして「凶器」の源にもなることを私たちは改めて思い知らされた。
 山間部で災害が起きれば救助活動には困難が伴う。現場一帯は耶馬日田英彦山国定公園に指定され、渓谷「耶馬渓」として知られる観光名所でもある。
 なぜ、どのようにして景勝地の山は突然崩落したのか。教訓を導き出し、土砂災害の防止に向けて再点検に取り組みたい。
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NHK 4月16日 12時16分大分 土砂崩れ
大分の土砂崩れ 捜索続く 新たに1人の遺体見つかる
 大分県中津市の大規模な土砂崩れの現場では、15日夜、新たに1人の遺体が見つかり、警察などは行方がわからなくなっている女性4人のうちの1人と見て身元の確認を進めるとともに、捜索活動を続けています。
 大分県中津市耶馬溪町で大規模な土砂崩れが起き、住宅4棟が巻き込まれてから16日で5日がたちました。
 これまでに、岩下義則さん(45)と母親の愛子さん(76)が死亡したほか、江渕めぐみさん(52)と娘の優さん(21)、それに江渕さんの母親の橋本アヤ子さん(86)と岩下アヤノさん(90)の女性4人が依然行方不明になっています。
 現場では15日午後10時半ごろ、自衛隊が倒木などを取り除いていたところ、木の間から新たに1人が遺体で見つかりました。
 県や警察は行方が分からなくなっている4人のうちの1人と見て、遺体の収容作業と身元の確認を進めるとともに、住宅が埋まっている場所で重機を使って大きな岩や土砂を取り除く作業を続けています。
大分市が急傾斜地の緊急点検
 大分県中津市で起きた大規模な土砂崩れを受けて、大分市は同じような急傾斜地で斜面に亀裂が入るなど、土砂崩れの兆候がないかを確認しようと、16日から市内で緊急点検を始めました。
 今回の点検では、県から「土砂災害危険箇所」に指定されている場所のうち斜面の角度が30度以上で、崖の高さが30メートル以上あり、付近に住宅がある場所など市内の330か所が対象となっています。
 このうち大分市河原内にある住宅の裏山では、職員が斜面に登って亀裂が入っていないかや石が落ちてきたりしていないかを調べて、土砂崩れが起きる兆候が見られないかを確認していました。
 市によりますと、早ければ来月中旬までにすべての点検を終えたうえで、土砂崩れが発生する危険性が高いと判断された場所については、県と協議して対応策を検討することにしています。
 大分市河川課の吉田健二課長は「急傾斜地の状況の把握に努め、市民の安全確保につなげていきたい」と話していました。



時事通信 (2018/04/16-00:43)
新たに1遺体発見=大分山崩れ、死者3人に-大分山崩れ
 大分県中津市耶馬渓町金吉の山崩れ現場で15日、新たに性別不明の1人の遺体が発見された。県は、安否不明となっている4人のうちの1人とみて身元確認を急ぐ。山崩れによる死者は計3人となった。
 県によると、雨のため14日午後から中断していた自衛隊などによる捜索活動を約21時間ぶりに再開。重機で土砂を取り除く作業を続け、15日午後10時25分ごろ、遺体を発見した。
 現場は雨水を吸収してぬかるみ、足場が悪くなっている。無人のバックホーと呼ばれるショベルカーのような機械2台を少し離れた場所から動かし、家屋を覆う土砂を除去。その後、安全が確認できたとして有人の重機も投入した。捜索は14日午後4時ごろから中断していた。


日本経済新聞 2018/4/16 0:31 (2018/4/16 0:46更新)
大分山崩れの死者3人に 捜索再開、1遺体発見
 大分県中津市耶馬渓町金吉で住宅に土砂が流れ込み、2人が死亡、4人が行方不明になっていた山崩れで、15日夜、現場から新たに性別不明の1人の遺体が見つかった。犠牲者は計3人になった。
 悪天候のため中断した捜索活動は同日午後、約500人態勢で21時間半ぶりに再開した。安否が分からない江渕優さん(21)らが暮らしていた住宅近くを、遠隔操作できる無人重機などで慎重に掘り起こした。
 現場に積もった焦げ茶色の土砂は、前日の雨を吸い込み、ぬかるんだ状態に。崩落した斜面からは、小さな石が断続的に転がり落ちていた。
 生存率が大きく下がるとされる「発生後72時間」が経過した中、ある男性自衛隊員は「二次災害の危険があり、人が作業できない状況」と語り、焦りをにじませた。
 農林水産省の礒崎陽輔副大臣は同日、崩れた山林の状況を確認するため、現場や避難所の公民館を視察した。記者団の取材に応じ、不明者の捜索が最優先とした上で「山林崩壊のメカニズムを究明し、防災に役立てるのも重要だ」と語った。
 山崩れは11日午前3時50分ごろ発生、住宅4棟が巻き込まれた。自衛隊員らによる捜索は24時間態勢で続いていたが、雨が強まったため14日夕に中断した。中津市は10世帯26人に避難勧告を出している。
〔共同〕


共同通信 2018/04/11
大分の崩落、不明5人の捜索続く  1人死亡確認「岩盤風化が原因」
 大分県中津市耶馬渓町で起きた山の崩落現場で続く安否不明者の捜索=11日午後3時52分(共同通信社ヘリから)
 大分県中津市耶馬渓町金吉で住宅4棟に土砂が流れ込んだ裏山の崩落で、市は11日午後、住民の会社員岩下義則さん(45)が土砂に埋もれた状態で見つかり、死亡が確認されたと発表した。現場では依然、残る女性5人と連絡が取れず、県警や自衛隊などが捜索を続けた。現地調査した国や大学教授らの専門家チームは斜面の岩盤風化が原因だとの見解を示した。
 不明の5人は、橋本アヤ子さん(86)、江渕めぐみさん(52)、江渕優さん(21)、岩下アヤノさん(90)、岩下愛子さん(76)。亡くなった岩下さんの死因は圧死だった。
 県によると、崩落した山の上部に亀裂を確認した。


産経ニュース 2018.4.11 19:13
不明5人の捜索続く 大分県中津市の山崩れ、1人死亡
 大分県中津市耶馬渓町金吉で住宅4棟に土砂が流れ込んだ裏山の崩落で、市は11日午後、住民の会社員岩下義則さん(45)が土砂に埋もれた状態で見つかり、死亡が確認されたと発表した。死因は圧死だった。現場では依然、残る女性5人と連絡が取れず、県警や自衛隊などが捜索を続けた。国土交通省は土砂災害などの専門家を派遣し、山崩れの原因究明を本格化させた。
  県によると、崩落した山の上部に亀裂を確認。さらに崩壊の可能性があるとして、慎重に捜索活動を進めている。捜索は、岩下さんの遺体が見つかった場所を中心に続けられた。市は被災世帯を含む8世帯19人への避難勧告を継続した。
 国交省が派遣した専門家は、上空から視察するなどして現地の状況を確認した。
 現場は市中心部から南西約25キロの山間部で、県は周辺を土砂災害特別警戒区域に指定していた。
寝静まる集落、襲う土砂 名勝の地、光景一変「雨も降っていないのに、どうして」
 寝静まる小さな集落を、大量の土砂が襲った。紅葉などの名勝地として知られるのどかな山あいの風景は、一変した。「雨も降っていないのに、どうして」。道路が寸断し捜索用重機の到着は遅れた。地元の消防隊員や警察官ら100人以上はスコップで土砂をかき分け、安否が分からない住民の捜索に当たった。
 現場は10棟に満たない小さな集落。スギの木が林立する山肌が高さ約100メートルの地点から崩れ、4棟をのみ込んだ。土砂は集落前の道を越え、田んぼや川にまで到達。数メートル四方の岩石が、落石防止のフェンスを押しつぶして転がり落ちていた。
 地元に暮らす下堀保人さん(65)は「過去にも山が崩れることがあったが、住宅が巻き込まれることはなかった。どこで崩落が起きるか分からず怖い」。現場から約2キロ先に住み、午前4時ごろに消防車やパトカーのサイレン音で目を覚ましたという男性(76)は「熊本地震後、地盤が緩くなった感じがした。巻き込まれた住民はみんな知り合い。心配だ」と驚きを隠せなかった。


大分合同新聞 2018/04/12 03:01
山崩れ 男性1人死亡 女性5人捜索続く 岩盤風化原因か
 中津市耶馬渓町金吉(かなよし)で民家4棟が巻き込まれた大規模な山崩れで、大分県と市は11日、連絡が取れなくなった男女6人のうち会社員岩下義則さん(45)が土砂に埋もれた状態で見つかり、死亡が確認されたと発表した。陸上自衛隊や警察、消防は夜を徹して残る女性5人の捜索活動を続けた。現地調査をした国の専門家チームは、斜面の岩盤の風化が原因との見方を示し、「極めてまれなケース」と指摘した。
 市などによると、岩下さんは11日午後1時15分ごろ、崩落現場で見つかった。親族が身元を確認した。死因は圧死。
 安否が分からないのは▽橋本アヤ子さん(86)▽江渕めぐみさん(52)▽江渕優さん(21)▽岩下アヤノさん(90)▽岩下愛子さん(76)―の4世帯5人。
 市などは当初3世帯と発表していたが、4世帯に訂正した。橋本さんと江渕めぐみさん、優さんは同じ住宅に住むものの、別世帯と判明した。
 現場では県内外の消防や自衛隊、県警の計約550人態勢(午後6時現在)で捜索活動を続けた。救助犬3匹も投入。小型カメラでがれきの中を調べるなどした。斜面上部には亀裂があり、不安定な土砂の塊も残っているため、二次災害を警戒しながらスコップや重機を使って作業を進めた。
 牧敏弘県防災局長は、災害現場での生存率が下がる目安とされる「発生後72時間」をにらみ、「少しでも(作業を)進めたい」と話した。
 国土交通省などの専門家チームは11日、現地を調査。岩盤の風化で割れ目が生じ、表層の土砂と一緒に滑り落ちたとの見解を示した。12日は林野庁の調査チームが現地入りする。
 県は12日、金吉川沿いにある急傾斜などの危険箇所を点検。県OBや土木事務所の職員ら20人が5班に分かれ、中津市と玖珠町の計67カ所で異常がないか確認する。
「捜索救助に全力」 菅官房長官
 【東京支社】中津市耶馬渓町金吉の山崩れについて菅義偉官房長官は11日の記者会見で、官邸内に設けた情報連絡室で引き続き情報収集に当たる方針を示した。
 菅官房長官は同日午後、男性1人が発見されたが死亡を確認したと説明。周辺住民の避難は完了しているとし、「亡くなられた方の冥福を心より祈っている。引き続き残る5人の捜索救助活動に全力で取り組む」と述べた。


大分合同新聞 2018/04/12 03:01
岩盤風化「極めてまれ」 専門家会見 耶馬渓山崩れ
 中津市耶馬渓町金吉の山崩れ現場を調査した国の専門家チームは11日、市耶馬渓支所で会見し、「風化が進んでもろくなった岩盤が、土砂の層を巻き込みながら崩れた」との見方を示した。「地下水の影響による可能性は低いとみられる」とし、「多量の雨が降っていない中で、今回の崩落は極めてまれなケースだ」と指摘した。
 専門家は国交省九州地方整備局の依頼で派遣された安福規之九州大学大学院教授ら3人と、県から要請を受けた国土技術政策総合研究所の桜井亘深層崩壊対策研究官ら3人。それぞれ地上と上空から調べた。
 原因について「さらに十分な調査が必要」とした上で、溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)や安山岩でできた岩盤が「いつ崩れてもおかしくないぐらい強度が低かったのではないか」と説明した。地下水の影響について「全くなかったとは言えないが、数日前に降った数ミリ程度の雨では地下水の上昇は引き起こさない」と分析した。
 地元からは「(崩落する前)山水が出ていた」「地響きのような音がしていた」といった声が聞かれる。桜井研究官は「現場と一致するなら、前兆だった可能性が高い」と述べ、「しばらくは警戒が必要。落石や湧水量の増減といった前兆現象に十分注意を払ってほしい」と呼び掛けた。


大分合同新聞 2018/04/12 03:01
防災マップ間に合わず 特別警戒区域 昨年3月に指定
 中津市耶馬渓町金吉(かなよし)で11日、起きた山崩れで、現場一帯は昨年3月に「特別警戒区域(レッドゾーン)」に指定されていたが、市は土砂災害防止法が義務付けるハザードマップを作製していなかった。市によると、県が開発した専用システムを活用して本年度中に作り、地元に配布する予定だったという。県は崖崩れや土石流、地滑りの恐れがある危険箇所で、土砂災害警戒区域の指定を進める。このうち、より危険性の高いエリアを特別警戒区域としている。
 警戒区域に指定された場合、災害情報の伝達や迅速な避難体制の整備、建物の構造規制(特別警戒区域)といった措置が取られる。市町村は地域防災計画やハザードマップに反映させることになっている。
 市の説明によると、昨年度までにハザードマップを簡単に作製できる新システムを導入。県の基礎調査の結果を踏まえ、「作製に着手したところだった」(市防災危機管理課)。現場は危険箇所のため、「地元には土砂災害の危険性を周知していた」としている。市は今後、各地区のハザードマップを作製した上で、地元説明を順次進める方針。
 県によると、3月末現在、県内の特別警戒区域は1万648カ所に上る。
 中津市で未明に住民6人を巻き込んだ11日の山崩れ。現場は急斜面の麓の小規模集落で、裏山は土砂災害の危険性が特に高い区域に指定されていた。だが、今回は就寝時間帯に予兆なく山が崩れ、避難が間に合わなかったとみられる。同様の危険がある区域は全国で51万カ所超が指定されているが、補強工事などは遅れており対策の難しさが露呈した格好だ。
(もともと弱い地盤)
 「もともと地盤が弱い地域で、どこで崩落が起きてもおかしくない。この辺りでは過去にも何回か山が崩れた」。崩落現場近くに住む無職下堀保人さん(65)は周辺の特徴をこう証言した。
 現場の集落は、民家の裏に山の急斜面が迫り、前には水田が広がる。山の谷筋に沿って、近隣にも数軒単位の小規模集落が点在する。
 国土交通省によると現場一帯は火砕流による堆積物や溶岩が風雨で浸食された脆弱(ぜいじゃく)な地盤が広がるといい、同省幹部は「土砂崩れが起きやすい地形」と説明する。
 2014年の広島市の土砂災害を受け、国は土砂災害防止法を改正し安全確保に向けた対策を強化。同法は、都道府県が基礎調査し、危ない地域は「警戒区域」に指定。このうち民家が近いなど著しく危険なエリアは「特別警戒区域」とし、建築制限や建物の移転勧告もできるようにした。
(特別警戒36万ヵ所)
 国交省によると、指定が必要とみられる全国約67万カ所のうち、18年2月末時点で約51万4千カ所を警戒区域に指定。うち約36万カ所は特別警戒区域とされたが、基礎調査が終わらないものも多く残るのが現状だ。
 兵庫県立大大学院減災復興政策研究科の馬場美智子准教授(防災計画)は、山間部の農家の共通点として「平たんな土地を農地に使い、自宅を斜面近くに建てることが多く、土砂災害の危険性が高い」と強調し、安全な場所への住宅移転や斜面側への塀の設置などが必要だと指摘する。
 ただ、国交省によると特別警戒区域に指定されても、移転勧告まで進んだケースは少ない。資金不足のほか、愛着のある自宅から離れたくないと訴える住民が多いためだ。担当者は「すぐに避難できるようにするなど、日頃から準備するしかない」と抜本的対策が進まない現状を打ち明ける。


大分合同新聞 2018/04/11 12:07
「前兆だったかも」数日前に山水 耶馬渓の崩落
寝静まった山村、土砂が一気に飲み込む
 寝静まった山村の家々を土砂が一気にのみ込んだ。11日未明、中津市耶馬渓町金吉の裏山で起きた大規模な崩落。3世帯6人と連絡が取れず、警察や消防、自衛隊などが懸命に救出作業を続けた。「どうしてこんなことに」「無事でいてほしい」。地域住民は茶色に染まった集落を祈るように見つめた。
 「ドスン、ドスン」
 土砂に埋まった住宅3棟のそばで暮らす畜産業の飛瀬(とびせ)幹子さん(70)は、就寝中に大きな音で跳び起きた。「何が落ちたのか」。台所には裏山の方から土砂が流れ込んでいた。
 「危ない。逃げな」。別の部屋で寝ていた娘や孫に声を掛け、慌てて屋外に逃げた。夫は町内で新聞配達業を営む息子を手伝っており、既に朝刊の配達に出掛けていた。
 思い返せば、夫が2~3日前に「大きなミミズを何匹も見た」「普段にはない山水が出ていた」と話していた。地響きのような音も聞いたという。「あれが前兆だったかもしれない」
 牛8頭は土砂に埋まった。「たまがった。こんなことがあるんかな。隣の人もまだ…」。震えながら現場の救出作業を見守った。
 安否が分からない無職岩下愛子さん(76)の弟、梶原正則さん(74)=玖珠町古後=は早朝、テレビニュースで姉の自宅が被災したことを知り、妻と2人で車に飛び乗った。一帯は規制線が張られ、近づくことができない。
 「姉は息子と2人暮らし。車いすに乗っている。逃げられたか心配だ」
 現場は茶色の山肌が現れ、大量の土砂が山沿いの民家に押し寄せた。「男性の声がする」との情報もあり、消防団などが手作業で土砂を掘り続けた。その後、重機が投入され、自衛隊員らも到着した。
 県庁で会見した牧敏弘・県防災局長は「人命救助を第一に全力を尽くす」と語った。
 崩落した斜面は1991年の風倒木被害を受け、県が92~93年にかけて落石防止用の柵(高さ3メートル)を設置していた。過去に大きな山崩れがあったかどうかは「把握している限りではない」(県)。土砂は近くの金吉川にも到達したものの、「完全には埋まっておらず、現時点ではダム化の恐れはない」という。


大分合同新聞 2018/04/11 07:53
耶馬渓で崩落 3世帯6人が安否不明
「天気が崩れそうなので心配」
 11日午前3時50分ごろ、中津市耶馬渓町金吉(かなよし)で「裏山が崩れた」と近くの住民から市消防本部に通報があった。大分県によると、幅約200メートル、高さ100メートルにわたって崩落し、集落の住宅4棟が土砂に巻き込まれた。午後1時現在、3世帯6人と連絡が取れていない。県は災害警戒本部を設置し、陸上自衛隊に災害派遣を要請。警察や消防ら計約300人が捜索している。
 安否不明となっているのは▽橋本アヤ子さん(86)▽江渕めぐみさん(52)▽江渕優さん(21)▽岩下アヤノさん(90)▽岩下義則さん(45)▽岩下愛子さん(76)―の男性1人、女性5人。
 被害に遭った民家のうち1世帯4人は逃げて無事だった。
 市は午前8時、被災した世帯を含む8世帯19人に避難勧告を出した。同11時半現在、崩落現場以外の被害は確認されていない。
 現地では時折雨が降り、重機を使った捜索活動が続いている。
 現場は耶馬渓ダムから南西に約5キロの山間部で、山国川支流の金吉川沿いにある集落。裏山の傾斜が急なため、県は昨年3月、付近を土砂災害防止法に基づく特別警戒区域に指定していた。崩落を受け、県は国土交通省の土砂災害専門チームに現地調査を要請した。
 大分地方気象台によると、耶馬渓では6日に4・5ミリ、7日に1・5ミリの雨があった。9日の島根県西部を震源とする地震では震度1を観測した。
 一帯は耶馬日田英彦山国定公園に指定されている。
 中津市耶馬渓町大島の下郷地区公民館は午前8時ごろから、避難所として開放。毛布や水、食料などを用意している。公民館長の農業平野義信さん(70)は「最近はまとまった雨も降っていないのになぜ今なのか。これから天気が崩れそうなので心配」と首をかしげた。

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