「改革」のあり方 国民にとってどうか

自民政権内の対決構図だけ見ていては未来は見えない

福田「改造内閣」をどうみるか。
小泉「構造改革」路線からの転換をめぐって論調が盛んだ。

 東京新聞や日経新聞は「改革路線を捨てるのか」「改革を逆行させるな」など、「改革」路線の転換という論調だ。
 確かに、「改革」路線を推進してきた財界・大企業から見れば、「改革」路線の転換は好ましくないだろう。
 
 しかし、国民の生活、家計から見れば、この転換はどうだろうか。
 「改革」の中身によるのではないか。小泉「構造改革」は、競争原理至上主義、ハイリスク・ハイリターン、弱肉強食、勝ち組VS負け組みなど貧困と格差を拡大してきた。
 結果、国民の支持を得られなかったゆえの転換である。

 ただ、福田内閣は「改革」と「その転換」の両方が内在し、中途半端だ。
 社会保障の財源を考えるとき、福田内閣は「消費税増税」でしか対応できない。
 そうなれば、やはり国民生活・家計は困窮の一途だ。 
 
 そもそも、小泉「構造改革」が誰の利益になったのか。
 「国際競争力の強化」を掲げ、法人税を大幅減税し、規制緩和を推進して財界・大企業を応援してきたのが事実ではないか。
 雇用の流動化などといって低コストで労働者をこき使うために労働者派遣法など労働規制を緩和、都市再生などといって大企業保有地を高度利用できるように規制を緩和・・・etc
 これが、国民のためになったとは言いがたい。

 結局、自民政権内の対策では国民生活第一の政治は望めない。
 政治の中身そのものを転換する必要がある。
 
 その担い手は、国民自身だ。直ちに解散総選挙せよ!の声を上げよう。




東京新聞 2008年8月3日
【社説】
経済閣僚 改革路線を捨てるのか
 福田改造内閣の顔触れをみると、少なくとも経済政策については、首相の意図がはっきりした。「小さな政府」路線からの決別である。改革放棄・ばらまき復活ならば、日本売りが加速する。
 二〇〇一年四月に誕生した小泉政権以来、政府与党内で続いてきた政策論議の対立軸は「大きな政府」か「小さな政府」か、という路線選択だった。
 自民党政権は激しい党内論争を繰り返しながらも、小泉、安倍と二代、約七年間にわたって「小さな政府」路線を推し進めてきたが、今回、福田政権は「大きな政府」路線へ大胆にかじを切り替えたといえる。
 大きな政府を目指す人々は市場を生かす民よりも、規制や所得再分配を担う官の役割を重視する。必然的に政府の規模は大きくなり、歳出削減より拡大する財政需要を賄うために増税を志向する。
 消費税引き上げを訴えてきた与謝野馨経財相や谷垣禎一国交相は言うに及ばず、折々の発言をみれば麻生太郎幹事長、伊吹文明財務相、町村信孝官房長官らは政府の役割を重視してきた。かつての郵政造反組の野田聖子氏も消費者行政担当相として入閣した。
 その一方、公務員制度改革を進めた渡辺喜美前金融相兼行革相や大田弘子前経財相ら小さな政府派の閣僚は退任した。
 少子高齢化が進む中、たしかに高齢者医療をはじめ社会保障政策などで見直しが必要な部分がある。だが、最近の居酒屋タクシー問題を持ち出すまでもなく、政府部門には、なお多くの無駄や非効率が残っている。
 無駄や非効率はなくさなければならないが、既得権益に固執する霞が関官僚は抵抗する。福田政権は新しい陣容で、どう改革を進めようとするのか、大きな懸念がある。それとも、いっそ改革路線からも決別するのだろうか。
 すでに燃料費増加分の九割を国が補てんする漁業対策など、ばらまき財政復活を思わせる政策も出てきた。その財源を赤字国債で埋めるなら、財政再建は遠のく。借金を避けて増税を目指すなら、まさに大きな政府になる。
 政府与党内には、骨太の方針2006が掲げた歳出削減計画自体を見直すよう求める声もある。年末の予算編成に向けて、そうした声は一段と高まるに違いない。
 金融不安や原油高など経済環境が厳しい中、福田政権は時代の歯車を逆転しようとするのかどうか。予算編成が試金石になる。


日経新聞 08月03日
社説 福田改造内閣は改革を逆行させるな(8/3)
 福田康夫首相が率いる改造内閣は、様々な難題に直面している。原油高や世界経済の停滞を背景に景気は厳しさを増し、税収の伸び悩みで、財政再建にも黄信号がともっている。一方、近づく総選挙を意識して歳出拡大や規制の強化を求める声も強まっている。
 そんな中で改造内閣がどんな道を選ぶのかは、日本の行方に大きな影響を及ぼす。
 財政再建の旗降ろすな
 政治的な圧力に迎合し、改革を後戻りさせれば、一時的な痛みの緩和にはなっても、長い目で見れば日本の衰退につながる。それを避けるには、中長期的な成長力や社会保障制度の持続力を高める改革を進めるしかない。福田首相は改造内閣を「安心実現内閣」と命名したが、改革の逆行は真の安心には結びつかない。
 改造内閣の方向を示す試金石になるのは、税財政改革の行方である。
 景気停滞で税収が伸び悩んでおり、2011年度に基礎的な財政収支を黒字にするという政府の目標達成は厳しくなりつつある。これを機にこの目標を取り下げ、従来の歳出抑制路線を放棄すべきだという声が自民党内からは出てきた。
 だが、財政の現状を考えれば、歳出のタガをはずす選択肢はありえない。09年度予算の概算要求基準では歳出全体を抑えつつ、3300億円の重要課題推進枠を設けたが、配分は優先度が極めて高いものに限るべきだ。道路特定財源の揮発油税などを一般財源化するのに伴い、道路予算は厳しく圧縮する必要がある。
 懸念されるのは、すでに予算のばらまきが始まりつつあることだ。政府・与党は原油高対策として漁業者の燃油費増加分の9割を補てんすることを決めた。これをきっかけに似たような要望が強まりそうだが、構造転換につながらないような補助金なら無駄遣いにしかならない。
 税制についても大振りの改革論議が求められる。年金など社会保障制度の改革像を提示するのと一体で、消費税の税率引き上げを真剣に論じる時に来ている。日本を魅力的なビジネス拠点にしていくには、アジアの中で目立って高い法人税の引き下げも前向きに検討すべきだ。
 社会保障制度については、説明が不十分な中で始まった後期高齢者医療制度への批判とあいまって、給付の拡大と負担の抑制を求める声が強まっている。だが、安易にそうした声に乗れば、将来世代の税や保険料負担は過重になってしまう。
 それは日本の活力をそぐだけでなく、社会保障制度への信頼度を低下させかねない。医療や介護にかかる費用もまだムダは多く、歳出の伸びを抑える工夫は必要だ。
 成長力の強化という観点から気になるのは、規制改革路線から逆行する動きである。日雇いなど短期の派遣への規制強化、タクシーの増車や参入規制の復活などだ。
 規制の強化は、結果的に働く人や消費者の利益を損なうことが多い。首相の肝いりで生まれる消費者庁も消費者保護につながる面はあろうが、やり方次第では巨大な規制官庁になってしまう恐れがある。首相が本当に「消費者目線の行政」をめざすなら、規制強化がもたらす負の面に十分目を配るべきだ。
 経済外交の強化も忘れてはならない重要課題だ。
 世界貿易機関(WTO)の閣僚交渉の決裂で、農産物の市場開放が先送りとなったが、これで安心しているようでは困る。アジア各国との経済連携についても、産業界などからは合意内容に不満も多い。
 企業の農業参入推進など農業改革を力強く進めることは、農業の競争力強化とともに、経済外交での発言力を高めるうえでも重要になる。
 受け身脱し、指導力を
 福田首相は地球温暖化防止への積極姿勢を内外にアピールし、「低炭素社会」への転換を掲げる。そのための行動計画はすでに閣議決定したが、制度整備に絡む問題は実質的に先送りしている。
 秋から試行する温暖化ガスの排出量取引も国際的に通用する制度にはほど遠い。本格導入の時期も明確でない。税制のグリーン化も具体的な制度設計は手つかずだ。排出削減に動機づけを与える制度づくりを悠長に進めていては低炭素社会への移行は遅れ、京都議定書の排出削減目標達成もおぼつかなくなる。制度整備を急がなければならない。
 首相は温暖化ガスの排出量を2050年に60―80%削減するとの長期目標を示したものの、京都議定書に続く次期枠組みに絡む中期目標は示していない。改造内閣はこの中期目標も早い段階で示すべきだ。
 いずれの課題も首相の強い指導力なしには前に動かない。「首相の意向がわからない」との声が政権内から多く聞かれたが、内閣改造を機にそうした受け身の姿勢から脱皮し、力強い一歩を踏み出してほしい。

テーマ : 政治・時事問題
ジャンル : 政治・経済

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