2009-11-24(Tue)

日航再建を考える(9) 年金減額提案

主要278社、積み立て不足21兆円 企業財務直撃も

日航社長が「現役5割、OB3割」の減額提案をしたことが大きく報道されでいる。
が、客観的にみて、
日航年金の減額で、日航再建ができるのだろうか?と思う。

債務超過にある日航の経営を支えるには、公的資金を入れるしかない。
その公的資金が、年金の積み立て不足の穴埋めに使われる。
それでは、国民に説明がつかない。
ということから、年金減額が必須条件、ということのようだ。

いろいろ疑問がわく。
債務超過にある経営を、なぜ公的資金を入れて支える必要があるのか?
という説明が、十分ではないように思う。

日航の債務は年金だけではない。
多額の債権を抱えている大銀行などには、債務減額や放棄の要請はどうなってるのか?

経営危機の原因と責任が、日航OBや現役労働者にどれだけあるというのか。
むしろ、放漫経営してきた政府からの天下り官僚と政治家こそ責任を取るべきだ。
ここには、何のメスも入らない、というのでOBらも納得できかねるだろう。

そして、年金減額しただけでは日航再建はできない。
再建策すら、いまだ示されていないではないか。

年金問題は、日航だけにとどまらない。
「主要278社、積み立て不足21兆円 企業財務直撃も」(毎日)というように波及する。

ましてや、「特別立法」などとんでもない愚策だ。
あくまでも「従来ルールで努力を」 (厚労相)というのが筋だ。


日経ネット 2009年11月24日
日航再建の行方」
日航年金減額同意が支援決定に大きな影響 国交相
 前原誠司国土交通相は24日の閣議後の記者会見で、日本航空が来年1月中にOBと社員から企業年金の減額の同意を取りつける考えを示していることに対し、「企業再生支援機構の支援決定のタイミングに合わせて、年金の方向性も出されることが望ましい」と述べた。企業年金の減額の同意取りつけが、「(機構の)支援決定の中身や是非に大きな影響を及ぼす」との見方も示した。(16:56)
日航再建「年金保護に税金は理解されない」 前原国交相
 前原誠司国土交通相は24日の閣議後の記者会見で、日本航空の経営再建問題に関連して「破綻を避けなければならない」としたうえで「年金の保護に税金が使われることは国民目線からすればもっとも理解が得られない。まずは(JALによる)自助努力で方針を決めてもらうことが大切」との考えを改めて示した。
 経営陣に対しては「OBに会社の存続と経営再建に、心の底から協力をお願いしてもらいたい」との考えを示した。
 JALへのつなぎ融資を巡っては「具体的な話はない」と述べるにとどめた。〔NQN〕 (24日10:34)
日航自らの改革判断」 年金減額提案で官房長官
 平野博文官房長官は23日夜、日本航空が企業年金給付減額の割合について退職者分を約3割、現役社員分を約5割減額する案を決めたことに関し「日航自身が自らの改革の判断としてやっていることだ。企業の中での話だからコメントは差し控えたい」と述べた。大阪市内で記者団の質問に答えた。(24日00:31)
日航年金減額「現役5割、OB3割」提案 社長、辞意を強調
 経営再建中の日本航空は23日午後、最大の懸案となっている企業年金の減額についてのOB向け説明会を東京都内で開催した。給付額を加重平均で3割引き下げる案を検討していると説明。OBに理解と協力を求めた。
 これに先立ち、日航経営陣は8つの労働組合向けの合同説明会を東京本社で開催。現役社員の給付額については53%減になる案を示した。支援を要請中の企業再生支援機構や取引金融機関との最終調整が済んでいないため最終案ではないが、具体的な減額幅が初めて提示されたことで今後の議論が加速しそうだ。(23日 15:43)
日航年金減額、厚労相「従来ルールで努力を」  長妻昭厚生労働相は19日の参院厚労委員会で、日本航空の企業年金の減額問題について「減額を考えるなら受給者などの3分の2以上の同意を得るという従来のルールで努力するのが大前提だ」と述べた。特別立法による強制減額など新ルールに頼る前に、日航が現行制度に基づいて努力すべきだとの考えを示したものだ。中村博彦議員(自民)への答弁。 (11/19)


(2009年11月23日22時10分 読売新聞)
日航年金削減案を提示…現役5割・OB3割
 公的管理下で経営再建中の日本航空は23日、焦点となっている企業年金削減についてOB向けの説明会を開き、年金給付額を約30%引き下げる案を提示した。
 労働組合に対しても同日、現役社員への給付額を53%削減する案を示した。OBと現役を合わせた給付削減率は平均で4割強となる。日航は来年1月初旬をめどに、年金削減に必要なOB、現役それぞれの3分の2以上の同意を取り付けたい考えだ。
 西松遥社長は説明会で、「公的資金なくしては再建は困難な状況にある。国民の理解を得られる形で公的資金を受けるには、年金改定の実施が必要だ」と述べ、年金削減への理解を求めた。さらに、「再生の道筋がつけば、しかるべき形でけじめをつけたい」と、再建のめどがたった時点で辞任する考えを改めて示した。
 日航は12月中旬にも、各OBに具体的な削減額を通知する。ただ、日航がOBなどからの同意が取り付けられない場合に備えて、政府は一定の条件下で強制的な年金削減を可能とする特別立法に向け準備を進めている。
 日航の企業年金は、退職金の一部や会社側の拠出などが原資で、現在は年4・5%の運用利回りが保証されている。これを年1・5%と長期国債並みの水準に下げるのが削減案の柱だ。
 ただ、OBの場合は年金削減が生活に及ぼす影響が大きく、反発が強い。このため、現役の削減率をOBより高くすることで、OBからの理解を得やすくした。
 また、OBは、引き下げ前の給付水準で今後給付される予定の年金を一括して受け取る権利があるが、日航はこの権利の放棄も求めている。
 23日の説明会は1時間半ずつ2度に分けて行われ、全OBの6分の1に当たる約1500人が集まった。日航側は西松社長ら全取締役が出席した。
 説明会終了後、読売新聞の取材に応じたOBからは、「年金は生活そのもの。会社の状況もわかるが、日航は説明が足りない。唐突に年金を引き下げると言われても、非常に不安だ」との声が聞かれる一方、「減額はやむをえない。数字は納得した。日航は一日も早く再生してほしい」との意見も出た。

毎日新聞 2009年11月24日 東京朝刊
エコナビ2009:日航年金、減額説明会 ハードル、どうクリア
 ◇OB同意、訴訟リスク…
 日本航空の企業年金減額問題が山場を迎えた。日航は23日、減額案を現役とOBに提示したが、年金債務の大幅圧縮を実現するには、OBの3分の2以上の同意が必要なうえ「一括受給」する人が増えないよう説得する必要もあり、ハードルは高い。積み立て不足に悩む他の企業も日航年金減額の行方に注目している。【大場伸也、坂井隆之、清水直樹】
 政府の内部資料によると、日航年金支給額は、モデルケースで月額最大48万円で、内訳は国民年金が7万円、厚生年金が16万円、企業年金が25万円。企業年金の内訳は、会社拠出部分が20万円(退職金の年金移行部分が12万円、企業年金独自給付部分が8万円)で、会社負担のない本人拠出部分は5万円だ。だが、日航の退職給付会計によると、今後、支払いが必要な年金や一時金から、実際に手元にある年金資産などを差し引いた積立不足額は3042億円に上っており、年金減額が避けられない情勢となっている。
 年金減額方法としては、まずは現行の確定給付企業年金法に基づき、日航がOB、現役社員それぞれ3分の2以上の同意を目指すやり方がある。OBらの同意が得られなければ、同意がなくても支給額を強制的に減額できる特別立法を来年の通常国会で行うことが検討されている。
 3分の2以上の同意を得ても、減額前に一括受給し年金制度を離脱する一括受給者が増えると日航の負担軽減効果が薄れるため、西松遥社長は同日の説明会で、一括受給しないようOBに協力要請した。
 また、OBの同意を必要としない別の案として、日航の企業年金基金を解散する案もある。同法では、基金は労使双方の現役社員で構成する代議員会の4分の3以上の多数により議決するか、基金の事業継続が不可能になった時に厚生労働相の認可で解散できる。しかし、解散時に日航による巨額補てんが必要となり、容易ではないとみられる。
 年金減額交渉がこじれ、OBらが訴訟に持ち込むリスクもある。他企業のケースでは、NTTが04年、従業員年金の給付額を月額1万円前後減額する制度を導入。退職者約14万人にも同様の減額を求めたが、厚労省から却下された。このため、NTTは国を相手取って行政訴訟を起こしたが、1、2審で敗訴。現在、最高裁で係争中だ。
 一方、パナソニックは大幅な赤字決算に転落した直後の02年、退職金の一部を預かって年7・5〜10%の予定利回りで運用する独自の年金制度について、OB約1万7000人の受給者の予定利回りを一律2ポイント引き下げることを決めた。OBの一部が不服として提訴したが、最高裁は07年、「経済情勢の変動や現役社員との格差拡大」を理由に減額を認めた。
 NTTは厚労省の認可が必要な企業年金の給付率削減だったのに対し、パナソニックは法律に基づかない会社独自の福祉年金の予定利回りを引き下げたという違いがある。
 会社法務に詳しい井上愛朗弁護士は、「NTTは一定の利益を出しながら削減したことで、主張が認められなかった。日航は経営破綻(はたん)寸前の状態で、給付減額は企業年金廃止を避けるやむを得ない措置」としたうえで、「3分の2以上の同意を得るのが困難な状況下で強制減額できる特別立法をするとなると、OBからの提訴は必至で、生存権をうたう憲法の解釈を巻き込んだ問題になる」と指摘する。
 ◇主要278社、積み立て不足21兆円 企業財務直撃も
 予定利回りの高い退職者向け年金は、日航以外の多くの日本企業にとっても大きな頭痛の種となっている。世界的な不況・株価低迷で年金原資の運用利回りが予定利回りを大きく下回り、必要な支給額を割り込む「積み立て不足」が膨張。国際会計基準の変更で積立不足額の一括処理が義務づけられる可能性もあり、企業財務を直撃しかねないからだ。
 大和総研によると、日経平均株価採用の主要278社の年金積立不足額は、09年3月期で21兆円と、前年同期比7兆円も拡大した。近年の株価回復で積立不足額はピーク時の03年同期の38兆円から、07年同期には11兆円まで縮小したが、昨秋以降の株価低迷で再び積立不足額が大きく膨らむ事態となっている。
 低金利などを理由に、00年代に入り、多くの企業は年金給付の減額に着手。過去の高金利時代に5%以上の予定利回りを設定した運用計画を3%程度に引き下げて支給額の圧縮に動いた。ただ、減額は現役社員が対象で、退職したOBの年金は高利回りのままのケースが多い。
 税制上の優遇措置を受ける企業年金の給付減額には「著しい経営悪化」を証明したうえで、厚生労働省の認可が必要。また、日航と同様に、現役とOBのそれぞれから3分の2以上の同意が必要で、既に受給しているOBから同意を得るのはよりハードルが高いと言える。
 「公的支援を受ける特殊なケースとはいえ、日航のOB年金減額が認められた場合、他の企業にも影響が及ぶ可能性がある」(大手企業幹部)との見方もあり、動向が注目されている。
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 ■ことば
 ◇企業年金
 企業が従業員の退職後の生活を支援するため給付する年金。基礎年金、厚生年金に上積みされる「3階部分」に位置づけられる。運用や給付は企業が設ける年金基金が行い、掛け金は企業が拠出する場合が多いが、従業員が在職中に一部を拠出するところもある。団塊世代の大量退職や運用環境の悪化などで積立金が不足する企業も少なくない。
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 ◇企業年金の積立不足額が2000億円を超える主な企業
        積立不足額
三菱UFJFG 7392(▼787)
みずほFG   6804(4055)
富士通     4002(1902)
三井住友FG  3557(1168)
NEC     3483(2266)
三菱重工業   2591(1193)
日産自動車   2450(1372)
 (注)単位億円。09年3月期の有価証券報告書から作成。カッコ内は前年同期。▼は必要額を超過していることを示す。FGはフィナンシャルグループの略

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ジャンル : 政治・経済

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